精霊の木 080327 上橋菜穂子
「自由だとか平等などは始めからあるものでなく人が創るもの」
「何事もなく平安に死ぬか責任とわずかな希望を持って生きるか?」
「精霊(精神)といる限り天と地の間のすべてと非土地であると感じていられる」
精霊は神ではなく魂の片割れで生まれた後に出会うものだという
歪みだらけの現実世界をつくりだしている人間が自分自身を傷付けることで
その対極と出会うというパラドックスな相対世界を浮き彫りにしている
を描いた物語
精神は湖の矛盾によってのみ磨くことができることを描こうとしているのだろう
現在地球上で起こっている見るに堪えないあからさまな憎悪と差別
我欲恐怖政治アメと鞭による支配と服従
すべては視野の狭さからくる恐れによって吹き出す
暫定的ハッピーエンドで幕を閉じているけれども
人類が同じ過ちを繰り返している学びの薄さと
その命が肉体と魂と神なる部分からなる相対世界にあることを伝えている
20170101
改めて読んで
上橋さんは精霊の守り人で脚光を浴びましたが
院生で沖縄のフィーウドワークをしていた当時に
この処女作を書き上げたのだそうです
当時は売れなかったようですが
今になってファンの要望に押される形で
15年前のものをリメークすることになったのがこの本だといいます
確かに学者としての思想が滲み出していますし
強い者勝の商業主義の中で全体観や信頼関係がそこなわれ
組織的強欲のウソと秘密によって見事に政府を乗っ取られ
社会の舞台裏で押し潰されていく純真な人々の存在を明らかにするために
社会に一石を投じたいということが目的の大きなファクターだったのでしょう
それだけに劇的にプロ化されたエンターテイメントとしてではない
深みのある生活感の中での表現になっているのだと思います
宇宙空間に舞台を移しただけで
正に歪んだグローバリズムや新世界秩序という今の時代を
生き写しにしたようなおぞましい内容です
最も私は一人ひとりの人間が次元の違う意識状態に成長しない限り
宇宙空間に飛び出せないと考えていますので
今のような依存意識の状態のままで
宇宙を手玉に取ることはできないと思っています