上橋菜穂子のレビュー一覧
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精霊の木 080327 上橋菜穂子
「自由だとか平等などは始めからあるものでなく人が創るもの」
「何事もなく平安に死ぬか責任とわずかな希望を持って生きるか?」
「精霊(精神)といる限り天と地の間のすべてと非土地であると感じていられる」
精霊は神ではなく魂の片割れで生まれた後に出会うものだという
歪みだらけの現実世界をつくりだしている人間が自分自身を傷付けることで
その対極と出会うというパラドックスな相対世界を浮き彫りにしている
を描いた物語
精神は湖の矛盾によってのみ磨くことができることを描こうとしているのだろう
現在地球上で起こっている見るに堪えないあからさまな憎悪と差 -
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ネタバレリュザの東、隊商都市群の領有権をめぐって、騎馬の民ラーザとの戦は避けられないものとなってくる。
エリンは王獣たちを訓練し、イアルは闘蛇のりとして、闘蛇部隊で、人の手によって闘うために改良され闘蛇の現状を知る。
しかしラーザは、もとより闘蛇の戒めなどなく、すでに人間の手で戦闘用に繁殖した闘蛇部隊をつくりあげていた。
エリンが希望をつないだ、残された人々たちの隠された歴史が明らかになった時、すでに戦いははじまり、エリンは王獣リランの背に乗っていた。
明らかになった、王獣と闘蛇たちの戦い。規制し、秘密にすることによって、ふたたび惨劇を招いてしまったが、エリンは、知識も歴史も明らかにして、そうでな -
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ネタバレ降臨の野(タハイ・ハゼ)での奇跡から11年。エリンはイアルと結婚し、長男をさずかっていた。おだやかな幸せな日々は、ある闘蛇村で牙の大量死がおこったで一変する。エリンはその原因をつきとめる命をうけ、元黒鎧であったヨハルとともに、闘蛇村やヨハルの故郷などを訪れる。闘蛇の生態、王獣の繁殖、・・・リョザ神王国のあり方を左右する謎をとくため、歴史の闇に埋もれていた事実を探す旅に出る。
王獣編から11年の時がたって、この巻ではほとんどエリンとヨハルの旅。闘蛇の大量死の原因を探ってゆくとともに、リュザが未だ安定しない国であり、王獣が、その政策の切り札として使われないよう、エリンは奔走する。(イアルや子ども -
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物語を読んでいる最中には、外気の冷たさや、登場人物たちが置かれている状況をこういう食事の件でもかんじていたのだと、改めて感じながら作者上橋菜穂子さんのエッセイとともに楽しみました。
楽しんだ、というのは少し違うかな。通勤途中に読んだので、空腹時が多く、けっこうクラクラしながら読んでいて、読み進めるのに苦労したかも。
2017年追記
再読。初読時は、レシピまでしっかり読んではいなかったなたのだけれど、今回は、主として、原作のその料理・食べ物が出てくる場面とレシピを楽しみ、上橋氏のエッセイはおまけな感じで楽しみました。
これを読むと、また、原作が読みたくなります。獣の奏者も -
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Posted by ブクログ
〈守り人シリーズ〉や『獣の奏者』で知られる著者の文化人類学者としての仕事。
「大自然の民」というイメージとは裏腹に、マイノリティとして町に暮らすアボリジニ。
一緒に生活して関係を作りながら、インタビューを重ね、彼らの声を引き出していく。
混血を繰り返し都市の生活に順応しながらも、白人とは違った親戚づきあいや世界観を持っている彼ら。差別を受けてきた歴史、それは悲惨そのものであるのだが、分離や保護といった政策には功罪両面があることも否めない。現実はこんなにも曖昧で複雑だ!「気高い大自然の民」あるいは「飲んだくれて暴れるならず者」といったステレオタイプにはまらないよう、ひとりひとりの歴史と生活を丁 -
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