上橋菜穂子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
〈守り人シリーズ〉や『獣の奏者』で知られる著者の文化人類学者としての仕事。
「大自然の民」というイメージとは裏腹に、マイノリティとして町に暮らすアボリジニ。
一緒に生活して関係を作りながら、インタビューを重ね、彼らの声を引き出していく。
混血を繰り返し都市の生活に順応しながらも、白人とは違った親戚づきあいや世界観を持っている彼ら。差別を受けてきた歴史、それは悲惨そのものであるのだが、分離や保護といった政策には功罪両面があることも否めない。現実はこんなにも曖昧で複雑だ!「気高い大自然の民」あるいは「飲んだくれて暴れるならず者」といったステレオタイプにはまらないよう、ひとりひとりの歴史と生活を丁寧に描こうとする誠実さに感銘を受ける。
彼女が構築するファンタジー世界は緻密な設定と歴史観に裏打ちされていると感じるが、そのルーツがどこにあるのか、この本を読むと感じることができる。
上橋ファンタジーのファンにはぜひおすすめしたい一冊。
これを読んでから小説をまた読みたい。