吉村昭のレビュー一覧

  • 海の史劇

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    日本海海戦の記述は圧倒的。ポーツマス講和会議、日比谷焼き討ち、ロジェストヴェンスキー提督などの後日談がまた痛々しい。

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    2015年02月06日
  • 海軍乙事件

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    不都合な事実に目を瞑ると、かえって甚大な被害が出る、というお話。
    旧日本軍の失敗談が事欠かないことと、旧日本軍の影響から脱し切れていない自分達が恐ろしい。

    他山の石としたいところ。

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    2015年01月23日
  • 死顔

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    兄の死を描いた作品を含む短編集。
    そして、著者の最期について夫人が綴ったものがある。
    吉村氏は兄の葬儀の際に、自分の死顔は子供たち以外に見せたくないと書いている。
    そして、それは実行された上、亡くなったことさえすぐには知らせないようにと徹底していたという。
    そのように、兄の死を描いた中にも、自分の時を考えているような節が見えていたように思う。

    2015.1.7

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    2015年01月07日
  • ポーツマスの旗

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    淡々とした筆致のなかに、日露両国外交団のギリギリの駆け引きが重く伝わってくる。講和成立でハッピーエンドとならず、日比谷騒擾事件の顛末まで叙述されていてとても痛々しい。「坂の上の雲」に加えて読むことができて良かった。

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    2014年12月26日
  • プリズンの満月

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    戦犯収容所である巣鴨プリズンを一人の刑務官の目を通して描く。証言者のいるうちに綿密な取材をし遺した貴重なドキュメンタリーと言ってもよい。2014.11.20

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    2014年11月20日
  • 新装版 間宮林蔵

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    さすがは吉村昭である。かなり緻密に調べ上げられている。樺太探検の様子が手に取るように分かる一冊である。おすすめしたい。

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    2014年10月13日
  • 星への旅

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     各作品それぞれに死が絡んでくる短編6編収録の短編集。

     小説や映画、マンガをいろいろ読んだり見たりしていると、ほんとに時々「変な話だったな」「奇妙な話だったな」と思うものがあります。
    この吉村さんの『星への旅』もそんな本でした。

     と言っても、作品の完成度が低いわけじゃありません。いずれの作品も吉村さんらしい真摯で丁寧な描写、
    そして過剰に感情を挟みすぎない冷静な文章でとても文学としての完成度は高いと思います。

     中でも死体となった少女が語り手となり、自身が解剖されていく日々が描かれる「少女架刑」は語り手の異様さもさることながら、
    彼女の語りで解剖に一種の美しさが、ラスト場面の荘厳とし

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    2014年10月06日
  • ポーツマスの旗

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    日露戦争講話会議全権の外相、小村寿太郎を描いた作品。
    彼は日本の存亡を賭して、身を削って講話会議の妥結を勝ち取った。
    「 日露戦争でもあきらかなように、資源のかぎられた島国の日本では、軍事力には一定の限界がある。人口五千万の日本人の団結心は強く将兵の士気も高いが、大国と戦争するには人員が少く、物資も枯渇し、長期戦には堪えられない。 」日本の国策上、外交が重要なのは今も昔も変わらない。

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    2014年09月29日
  • 東京の戦争

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    昭和20年、日本の都市は、アメリカの無差別爆撃にさらされた。一説にはその爆撃で、50万人の日本人が死亡した。大東亜戦争の日本の死者300万人の、1/6である。

    マリアナを失陥した時点で、戦争の帰趨は決まった。
    日本は、すべてを投げうって、その時点で降伏すべきであった。そうすれば、多くの日本人が死なぬに済んだ。

    戦争を始めるのは難しいが、終わらせるのはさらに難しい。教訓とすべきである。

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    2014年09月23日
  • 大黒屋光太夫(下)

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    【本の内容】
    <上>
    若き水主・磯吉の人間臭さのにじみ出た生々しい陳述記録をもとに紡ぎだされた、まったく新しい光太夫たちの漂流譚。

    絶望的な状況下にも希望を捨てず、ひたむきに戦いつづけた男の感動の物語。

    <下>
    十年に及ぶ異国での過酷な日々。

    ロシア政府の方針を変更させ、日本への帰国をなし遂げた光太夫の不屈の意志。

    吉村歴史文学、不滅の金字塔。

    著者渾身の漂流記小説の集大成。

    [ 目次 ]
    <上>


    <下>


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    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
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    2014年09月21日
  • 零式戦闘機

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    国力の差か。
    零式艦上戦闘機は、航空後進国の日本が生み出したとは誰も信じないほどの突出した性能(=質)を備えていたが、日本の国力が量を生産できなかった。
    国力の差とは第一に量なのか。戦争とは量なのか。

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    2014年09月15日
  • 深海の使者

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    再読。
    第二次大戦の、まさに知られざる裏側。
    潜水艦の往き来とヨーロッパに残された日本人。
    そして、海に空にと何とかして確保しようとした交通路。
    その緻密な取材はこの作者ならではである。
    ただ、登場人物の名前が多すぎるなぁ…

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    2014年09月10日
  • 遠い日の戦争

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    戦犯を主人公にしたストーリー。正義に対する考え方が深くて面白い。人間の信念についても考えさせられる。特にラストがすごくよく、自分の腹に落ちる佳作だと思う。

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    2014年08月26日
  • 島抜け

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    【本の内容】
    読んだ講釈が幕府の逆鱗に触れ、種子島に流された大坂の講釈師瑞龍。

    島での余生に絶望した瑞龍は、流人仲間と脱島を決行する。

    丸木舟で大海を漂流すること十五日、瑞龍ら四人が流れついた先は何と中国だった。

    破船した漂流民と身分を偽り、四人は長崎に送り返される。

    苦難の果て、島抜けは見事に成功したかに思えたが…。

    表題中篇をはじめ、「欠けた椀」「梅の刺青」の三篇を収録。

    [ 目次 ]


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    ☆☆☆☆☆☆☆ 

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    2014年08月23日
  • アメリカ彦蔵

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    歴史を裏・表・横から見たのではなく、歴史の証人であり、ガラスの向こう側に映る自画像とともにあった彦蔵。その視線は天賦の知性だったのではないだろうか。こういう切り口の吉村昭に脱帽するとともに歴史を照射する視点が討幕、佐幕、列強ではない漂流民という名の日本人がいたことを知った。世の中は今もまだまだ知らないことだらけ。

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    2014年08月16日
  • 海軍乙事件

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    「海軍乙事件」「海軍甲事件」「八人の戦犯」「シンデモラッパヲ」の4編を集録。
    どれも素晴らしいが、表題作と巻末の「調査メモ」が特に心を打ちます。
    作品中の大西大隊長と福留中将。前者の「一貫して沈黙をつづけた武人ぶり」と後者の「旧海軍のエリートとしての復活」。それを綿密な取材で作品とした著者。この題材で映画が出来そう。
    しかし、著者は主観的な事は一切述べず記録文学に徹します。
    こんな武人も著者も現在の日本にはいないと思います。
    少しでも彼らを目指したいと気持ちを新たに。

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    2014年08月13日
  • プリズンの満月

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    巣鴨プリズンが極東軍事裁判によって、
    A級戦犯とされた人々の収容所だったという事実や
    池袋のサンシャイン60がその跡地であり、
    サンシャイン60に隣接する公園の片隅に
    ひっそりとたたずむ「永久平和を願って」の碑の存在を
    はたして今、どれだけの人が知っているのでしょうか。

    この小説の主人公鶴岡は、
    A級戦犯を収容した巣鴨プリズンに勤務する刑務官です。

    同じ日本人でありながら、
    戦犯の日本人を米兵の命令で看守しなければならない苦悩。
    戦争の勝ち負けで大きく変わる戦犯の罪。
    人が人を裁くのは、何と罪深いことでしょう。
    鶴岡の眼をとおして、
    戦後の日本の混乱した時代がリアルに描かれていました。

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    2017年11月09日
  • 冷い夏、熱い夏

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    作者の弟の癌が見つかってから臨終までの、約1年間のドキュメント。
    この頃はまだ告知をしないケースが多かったようで、癌を疑う本人に、
    何としても隠し通す親族の葛藤と、傷みと闘う弟の詳細な描写に読むのが苦しくなる。
    現在とは時代背景が違うので、しかたのないことだと思うが、癌を隠し通されたことで、
    命が尽きる瞬間まで、誰とも腹を割って本音で語り合えなかった彼は、本当に可哀想だ。

    全編を通じて重苦しく凄まじい内容なので、闘病中の方、
    またはご家族がそうである方にはお勧めしません。

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    2014年07月17日
  • 仮釈放

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     吉村 昭 は三冊目、実に重い内容である。著書も多いのでこれからも読み続けよう。作者が取り上げる主題がアンダーグランド的なものであって、一般社会とあまり接点がない隠された事実をを取材し、実像に肉迫する。この本に出会わなければ生涯知らないであろう内容が書かれている。本を読んで感じ入ることのできる数少ない作家だと思う。

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    2014年07月12日
  • 海軍乙事件

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    淡々と事実を連ねているだけに見えるのに、なぜか引き込まれていってしまう吉村昭マジック。劇的な心理描写はないのに、各人物に感情移入していってしまう。尊敬できる人も、そうでない人も。
    それにしても、日本海軍の危機管理の甘さよ…暗号が漏れたか漏れてないかってなったら、ふつうは悪いほうに想定して「念のため」って動くよね…。あの戦争は負けるべくして負けたし、福島の原発事故も同じ文脈の上にあるんじゃなかろうか。自分も肝に銘じておきたい。

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    2014年07月09日