吉村昭のレビュー一覧

  • 死顔

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    【目的】読書会に向けて
    【感想】おどろくほどシンプルな文章。平安時代の和歌を詠んだあとに万葉集を詠むよんだとき感じるような、そんなに愚直に表現していいものかと一瞬とまどうった。でも、その感覚は、慣れきった技巧的な文章との違いに違和感を感じただけであって、ただシンプルな文章は、それで良い。シンプルな文章は、比喩などで読み方の筋道が立てていられていない分、読者に感情が委ねられる。「兄弟の死に目を見届けなくては可哀相、死顔に手をふれたい、それが愛情を伝えることになる」という固定観念に一石投じられたように感じた。

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    2009年11月17日
  • 仮釈放

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    【本文より】おれの神経を最も刺激するような余計な物を勝手に持ち込んだから、このようなことになったのだ、おれを憤らせたおまえがいけないのだ。

    この本はこの記述に尽きる。
    世の中には「刺激」に弱い人がいるのだ。

    他人のお節介で、主人公は二度も罪を犯す。
    他人はよかれと思って主人公に働きかけたが、
    最悪の結果を招いた。

    本人が気がついて、なんとかしようと行動するまで放っておく。
    人は人を変えることはできない。
    だから、他人のお節介はほどほどに。

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    2009年10月07日
  • プリズンの満月

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    ・巣鴨プリズンを含めて40年間刑務官を務めた鶴岡って主人公の半生を描く小説。
    ・と、いう体裁を取ってはいるが、実は巣鴨プリズンに関するノンフィクション、と言った方が正しい。鶴岡の回想ですら無い部分も多い。
    ・GHQから日本に管理が移った後の巣鴨プリズンが、どんどんグダグダになっていく様子がとても意外だった。まさか入所者たちが内職をしたり自由に(じゃないけど)故郷に帰ったり外部に就職して酒を飲んで帰ったり、などと言うことが起きていたとは全く知らなかった。
    ・「戦争受刑者の即時釈放要請に関する決議」が昭和30年にあって、その翌年に講和条約第11条の手続きをして、そして釈放となったと理解していたんだ

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    2009年10月04日
  • 長英逃亡(上)

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    夫のふるさと岩手県水沢市の誇る文化人。生家を訪れたことがあり、墓も義母の家と同じお寺にあるので何故か親近感が沸く人物。
    興味があってこの本を読み始めたけど、その生きた時代の厳しさと人間くささが印象に残る。長編小説だけど、一気に読める魅力ある一冊です。

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    2009年10月04日
  • 桜田門外ノ変(上)

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    限りなく実話・・・時代小説なのかもしれませんが、歴史カテゴリに

    水戸という海岸線が長い地理、その近くまで捕鯨にくる多くの外国船
    水戸が水戸学を独自に発展させ、御三家にも関わらず、多くの急進派
    としての行動を起こした事情が伺えました
    もともと、外圧に対する危機感が、水戸斉昭をして、時代の先端と
    なしたのだが、その性格の頑迷固陋さが、支持者の離反を招き、孤立
    を生むのでした
    水戸で生まれ勃興した尊皇攘夷の影響を受けた諸藩の攘夷活動で、
    外国の脅威と武力に圧倒された・・・尊皇攘夷から尊王倒幕の動き
    がでてきた
    混迷する幕府を見て、幕政に参与できるかもから幕府に代わり治世
    できるかもと

    何をするか

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    2009年10月07日
  • 海の祭礼

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    ちょっと早かった、残念なアメリカ青年の話。開国前夜〜初期の奮闘する通詞の姿に働きマンとして感動。タイトルのみ、あまりしっくりこないが。

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    2010年04月13日
  • 冷い夏、熱い夏

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    悲しい物語である。
    悲しくて、こういう状況下でいたときにはとても読めない小説だろう。

    肺ガンの手術後、1年間にわたって死んでいく弟を見つめる兄を主人公とした小説。

    吉村氏の告知、延命に対する考えが述べられている。

    が、それは人それぞれである。

    自分としては、他人に病名を隠されたくないし、自分の意向が無い延命は徹底拒否である。

    「自分の意志」で延命を伝えたい。
    伝えられない状況下に置かれていたとしても、今のうちから、妻に言っておく。

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    2009年10月04日
  • 遠い日の戦争

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    太平洋戦争終了間際に捕虜となったアメリカ兵を処刑した主人公。

    主人公は、空襲や原爆で大勢の日本人を殺されたうらみ、それを晴らす代表者としての気持ちで捕虜を殺害した。

    しかし、待っていたのは戦後の日本人の意識の変換であり、警察からの厳しい逃亡生活だった…。

    こうも意識の変化が行われるものか。

    生きるためとはいえ、処刑を実行した主人公のむなしさが良く伝わる。

    逃亡の事細かな主人公の心の描写が切ない。

    特に逮捕のシーン、東京裁判のシーンが印象的だった。

    東京裁判は、真実を学びなおしたい。

    遠藤周作の「海と毒薬」にも事件的(捕虜処刑)にはつながる作品。

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    2009年10月04日
  • 海軍乙事件

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    吉村昭かなり過去作品新装版。
    乙事件だけじゃナクて甲事件も入ってマス。当時の戦況、価値観。この人の取材力は凄い。目の付け所が鋭い。派手さはナイけど淡々と書かれるリアルなストーリーに惹きつけられマス。
    時代の違い、それでも替わらない人間くささが書かれてマス。

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    2009年10月07日
  • 事物はじまりの物語

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    江戸から明治、人々は苦労して新しいものを取り入れ、初めてのものを作り
    だした。歴史小説家が豊富な史料を駆使して書いたパイオニアたちのとって
    おきの物語

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    2009年10月07日
  • ふぉん・しいほるとの娘(下)

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    この一家は絶世つーほど美しいのにもかかわらず男運がなかったですね・・・産科を学んでいた師に無理矢理犯され女児を出産。一度はやる気を失ったものの、再び産科医をめざし、ついに独立。バリバリ働きだした稲。この人の熱心さ、すごい。

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    2009年10月04日
  • ふぉん・しいほるとの娘(上)

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    「間宮林蔵」でも出てきたシーボルトと、遊女其扇の出会いから物語は始まる。やがて二人の間にはハーフの女の子が生まれるが、シーボルトは国外追放を受けることに。彼女はどのように成長するのでしょうか・・・??なんかすごい不安。この時代でハーフ。しかも美女。大丈夫か??どきどき

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    2009年10月04日
  • 空白の戦記

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    タイトルのとおり、正史から抹殺、あるいは無視された人々の物語。
    どうやら著者のノンフィクション系の作品が好きなようだと思うようになった。いくらでも読めるし、読みたい。純文学系の方の作品はちょっと取っ付きにくいが。

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    2009年10月04日
  • プリズンの満月

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    巣鴨プリズンという日本人が日本人の戦犯に刑の執行をする場所があった、そういうことを忘れてはならないと思った。

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    2009年10月04日
  • 海の祭礼

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    今こうして日本という国で暮らしていられるのも、歴史に埋もれたこの本の主人公たちのおかげなのだということは知っておくべきだと思った。森山栄之助の人生を通してみる日本開国史。

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    2009年10月04日
  • 冷い夏、熱い夏

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    相変わらず骨太。壮絶な弟の闘病姿を極めて冷静に描写しながら、兄としての熱い思いにも触れ、静かに胸打たれる。

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    2009年10月07日
  • 関東大震災

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    関東大震災前後の事が書かれている。
    こういう感じなんだなろうなと思っていた通りのことがかいてあった。

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    2025年11月29日
  • 羆嵐

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    熊の被害が多発していることもあり、この小説を読んでみた。
    恐ろしい。沈着冷静な老練猟師がいなければどうなっていたのか。

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    2025年11月15日
  • 羆嵐

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    ネタバレ

    大正4年、北海道の開拓村を襲った国内史上最悪の獣害事件――「三毛別羆事件」。
    『羆嵐』は、その凄惨な実話をもとに描かれたドキュメンタリーホラー小説です。

    まず圧倒されるのは、熊の存在感と忍び寄る恐怖です。3メートルに迫る巨体でありながら、闇に紛れ、気づいたときにはすでに家の中に侵入している。雪の白に、血の赤がじわじわと広がっていく描写は、ただの獣害を超えた自然の猛威として読者に迫ります。
    特に、「寝ていると思っていた家族が、すでに喉を食い破られていた」という場面は、虚を突かれたような衝撃と絶望感がありました。

    物語は、登場人物の感情に過度に踏み込むことなく、冷徹な三人称視点で進みます。その

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    2025年11月11日
  • 羆嵐

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    今年は熊の被害が異常なので、前から気になっていた三毛別事件について書かれているこちらを読んでみた。ただただ恐ろしい。。
    時代背景も相まって人間の無力さを痛感した。

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    2025年11月08日