吉村昭のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
・巣鴨プリズンを含めて40年間刑務官を務めた鶴岡って主人公の半生を描く小説。
・と、いう体裁を取ってはいるが、実は巣鴨プリズンに関するノンフィクション、と言った方が正しい。鶴岡の回想ですら無い部分も多い。
・GHQから日本に管理が移った後の巣鴨プリズンが、どんどんグダグダになっていく様子がとても意外だった。まさか入所者たちが内職をしたり自由に(じゃないけど)故郷に帰ったり外部に就職して酒を飲んで帰ったり、などと言うことが起きていたとは全く知らなかった。
・「戦争受刑者の即時釈放要請に関する決議」が昭和30年にあって、その翌年に講和条約第11条の手続きをして、そして釈放となったと理解していたんだ -
Posted by ブクログ
限りなく実話・・・時代小説なのかもしれませんが、歴史カテゴリに
水戸という海岸線が長い地理、その近くまで捕鯨にくる多くの外国船
水戸が水戸学を独自に発展させ、御三家にも関わらず、多くの急進派
としての行動を起こした事情が伺えました
もともと、外圧に対する危機感が、水戸斉昭をして、時代の先端と
なしたのだが、その性格の頑迷固陋さが、支持者の離反を招き、孤立
を生むのでした
水戸で生まれ勃興した尊皇攘夷の影響を受けた諸藩の攘夷活動で、
外国の脅威と武力に圧倒された・・・尊皇攘夷から尊王倒幕の動き
がでてきた
混迷する幕府を見て、幕政に参与できるかもから幕府に代わり治世
できるかもと
何をするか -
Posted by ブクログ
太平洋戦争終了間際に捕虜となったアメリカ兵を処刑した主人公。
主人公は、空襲や原爆で大勢の日本人を殺されたうらみ、それを晴らす代表者としての気持ちで捕虜を殺害した。
しかし、待っていたのは戦後の日本人の意識の変換であり、警察からの厳しい逃亡生活だった…。
こうも意識の変化が行われるものか。
生きるためとはいえ、処刑を実行した主人公のむなしさが良く伝わる。
逃亡の事細かな主人公の心の描写が切ない。
特に逮捕のシーン、東京裁判のシーンが印象的だった。
東京裁判は、真実を学びなおしたい。
遠藤周作の「海と毒薬」にも事件的(捕虜処刑)にはつながる作品。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ大正4年、北海道の開拓村を襲った国内史上最悪の獣害事件――「三毛別羆事件」。
『羆嵐』は、その凄惨な実話をもとに描かれたドキュメンタリーホラー小説です。
まず圧倒されるのは、熊の存在感と忍び寄る恐怖です。3メートルに迫る巨体でありながら、闇に紛れ、気づいたときにはすでに家の中に侵入している。雪の白に、血の赤がじわじわと広がっていく描写は、ただの獣害を超えた自然の猛威として読者に迫ります。
特に、「寝ていると思っていた家族が、すでに喉を食い破られていた」という場面は、虚を突かれたような衝撃と絶望感がありました。
物語は、登場人物の感情に過度に踏み込むことなく、冷徹な三人称視点で進みます。その