吉村昭のレビュー一覧

  • 高熱隧道

    Posted by ブクログ

    リアルにあったことだからこそ戦慄。
    現場作業員と監督者の間にある口には出せない水面下の思いや立場、考え方が生々しくも現実感をより引き立てる非情に溢れている。
    知った上で富山に改めて行きたい

    0
    2026年02月08日
  • 漂流

    Posted by ブクログ

    読み応えがありました。面白かったです。
    絶望的な状況でも冷静さを失わず、かと言って必ず帰ろう、帰れるといった信念があるわけでもなく、あるがままを受け入れて生きるために工夫していく。これはすごいことだと思いました。その精神力もすごいですが、宗教というか仏様にすがることで精神を保つ。すがるものがあったのが冷静さを保てた要因だと思うと、宗教というのも意義あるものだと感じます。心の支えは極限において絶対必要なものだと思いました。

    0
    2026年01月31日
  • 破獄

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    戦時中の記録など、読むのが大変ではあるが、圧倒的な面白さがある。面白がって良いことなのかはわからないが、佐久間と看守、警察との戦いが、最後は人権を尊重することにより終結するというストーリーが素晴らしかった。
    ただ、佐久間は北海道の監獄で温かく接してもらっていたとしても、寒いのが嫌でやはり逃げ出していた気もする。
    ドラマでは山田孝之、(ゴールデンカムイでは矢本悠馬)が演じていたが、今作ではもっと暗い印象だった。

    0
    2026年01月29日
  • 漂流

    Posted by ブクログ

    多くの人がレビューしている通り、13年間岩山の無人島で過ごし続けた長平という男性の物語である。自分が思ったこととしては、人間は規則正しい生活だったり、太陽を浴びて生活することや体を動かしておくことというのは生存において非常に重要だということです。体調崩す人たちの大半は生きることに希望を失ったりとか、生活に対してやる気を見出せなかったりとか、無理にでも体を動かそうという気持ちが沸き起こらない人たちからだったので、そこはすごく興味深く読ませてもらいました。あとは何度も何度も失敗して、最終的にそこに行き着くのかということと、生還するまでの過程が本当にすごいなと純粋に思いました。吉村昭さんの詳細な記録

    0
    2026年01月24日
  • 羆嵐

    Posted by ブクログ

    大正4年12月に北海道天塩山麓の開拓村で発生した羆襲撃事件の実録小説。昭和52年に出版された。

    2日に亘り2家族が襲われ、7名の死者、3名の負傷者を出した惨劇。

    作者らしく、実直な筆致で事実を淡々と記しているのが、事態の凄惨さ、人間たちの愚かさ、傲慢さを余計に浮き彫りにしている。

    会話文は必要最小限で最近の小説に比べると極端に少ないが、現場の寒くて暗い冬の光景や、人々の重苦しい、半ば諦めに近い暗い雰囲気を描写するのに相応しい。

    犠牲になった入植者たちからすれば、村落は家族の生活を成り立たせるために必死で開拓し、維持してきた財産だったが、羆にとっては自らの縄張りの中の餌狩り場に過ぎない。

    0
    2026年01月21日
  • 新装版 海も暮れきる

    Posted by ブクログ

    自由律俳句の代表例として「咳をしても一人」があることしか知らないまま読んだ。太宰治もびっくり?の尾崎放哉の生き様もだが、何より作者には放哉と同じ病気の当事者として自分のこれまでの著作の中では「死への激しい恐れ、それによって生じる乱れた言動を私は十分に書くことはせず、筆を曲げ、綺麗ごとに済ませていたことを羞じた(作者あとがきより)」という強い意志があったことに想いを馳せながら一気に読みしてしまった。
    尾崎放哉の残した書簡などの沢山の資料を研究された上での著作(伝記文学)であり、感銘を受けた。初発が講談社のPR雑誌「本」での連載ということにもびっくりした。
    是非小豆島にも行ってみたい。

    0
    2026年01月21日
  • 漂流

    Posted by ブクログ

    江戸時代に無人島に漂流して生還するという。。しかも実話。え?江戸時代にそんなことが!?どうやって生還したんだ?と興味津々で手に取った。

    島鳥(伊豆諸島)という岩だらけの火山島に12年間サバイバル。樹木も湧き水もない。食べるものは貝などやアホウドリ(渡り鳥だから期間限定)のみ。最初の数年間は孤独との闘いでもある。

    いやいやいや、アホウドリを生で食べ続けるとかちょっと無理なんだが・・・生死の選択を迫られたら最初は人間何でもやれそうだが、生への執着がよほどでないと、ここまで長期間がんばれない気がする。まず神経の細い人は生き残れなさそう。現代人は誰でも無理そう。

    その後、何回か同じように漂流して

    0
    2026年01月16日
  • 仮釈放

    Posted by ブクログ

    主人公の幼稚性が垣間見れるように感じた。同じ受刑者で女遊びにも慣れた鈴木から、幼稚なほど真面目な人間だと言われているシーンがある。この主人公は真面目なのでは無く、決まった自分の世界でしか生きることのできない幼稚な人間であると考える。確かに不倫をされる苦しみなどはあるかも知れないが、彼は妻を殺害する時に苦しみや怒りに燃えていたわけでは無く、清冽とした中で殺人を働いている。房内でハエの翅を毟り取り、紐でくくりつけて逃げないようにするシーンはまるで虫を捕まえた幼稚園児のような姿であった。結局のところ彼は幼稚な人間であり、罪を意識することができておらず、自己弁護することに終始している。罪を意識できなけ

    0
    2026年01月10日
  • 羆嵐

    Posted by ブクログ

    1915年.三毛別ヒグマ事件を基にした小説。開拓時代の貧困村を襲った巨大なヒグマと駆除しようとする人々との1週間。人間を餌とみなす熊の執着心が淡々と描かれ恐ろしすぎた。人間を餮る音が耳元で聞こえてくるようだった。なす術のない人間達の切実な思い。リアルで凄い。

    0
    2026年01月07日
  • 羆嵐

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    好きすぎて読み終わりたくなくて、何年もかけて読み終えた。
    北海道の凄まじく厳しい自然環境にしがみつくように生きている村の描写からすでに面白い。
    作中に描かれる熊を前にした恐怖と無力感は、令和の今も変わらないな。

    0
    2025年12月27日
  • 漂流

    Posted by ブクログ

    これが実話なのだから驚きだ

    大昔から鳥島には漂流者が流れ着き、大半の人が亡くなってしまったんだな
    長平たちが仲間の年長者を労い尊厳を守る姿がこんな極限の状態なのにすごい事だなと思う
    究極のサバイバル
    長平の精神力と行動力が凄い
    生きる力が凄かった

    流木を10年以上集めて船を作る
    それがどれほど大変なことが、読んで震えた
    一番怖かったのは、無事故郷の土佐へ帰った長平に1人だけ帰ってきたから冷たくされたり、陰口を言われたり、、、長平の苦労を知ってる読者からすれば悲しい

    0
    2025年12月20日
  • 羆嵐

    Posted by ブクログ

    大好きな作品。何度も読み返しています。
    かなり残虐な描写もありますが。。
    最近の熊被害もあり、昔の話だと思わずに
    今の人にも読んで頂きたい小説です。

    0
    2025年12月11日
  • 戦艦武蔵

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

     長崎から棕櫚が消えた。何かが起こっている。冒頭の不気味さ。その棕櫚のすだれに隠された港で造られていたものは。。。
     いやあ、もう悔しいというか怒りというか、時代遅れの巨大戦艦を造るまでの異常なまでの秘密主義に翻弄された人々と、ほとんど成果を上げることなくあえなく海中に沈んだ戦艦の乗組員たちが哀れでなりません。
     それにしても淡々と事実を積み上げてその狂気を描く吉村氏にはますます敬意を払いたい。素晴らしい作家です。現代でこのようなことができるのは。。。。小川哲さんぐらいでしょうか。まだ吉村氏の読んでない作品がたくさんあるので、これからも読んでいきたいです。

    0
    2025年12月07日
  • 漂流

    Posted by ブクログ

    凄かった…
    人も住めないような無人島におよそ12年も生き抜いてとか自分には到底出来そうにないと思った。
    気付いたらずっとページをめくっていたくらい気になってどんどん読むことを止められなかった。
    それくらい面白かった!
    主人公の精神力や行動力、周りを観察する力など学ぶべきところがたくさんあった。
    衣食住が確立していることに感謝したくなる。

    0
    2025年12月01日
  • 羆嵐

    Posted by ブクログ

    え、もう大惨事はじまったん…
    思いの外、事件が起きるのが早い!
    展開のテンポ良さと主人公の存在の曖昧さが余計不安を作りだす、短編ながらも濃厚な作りで吉村先生さすが…と舌を巻く。
    熊の恐ろしさから浮き上がってきたのは、北海道の自然の奥行き、そして立ち向かう人の営みのタフさと脆弱性。

    過疎化地帯が熊の出没を期に森と雪に飲み込まれていく…そんな大いなる自然の流れの一幕のようにも見えた。

    0
    2025年12月01日
  • 破船

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    なんて救いのない物語なんだ。
    海辺の寒村で自ら身売りした父の帰りを待つ10歳前後の伊作。母と下の弟妹たち3人と厳しい暮らしを乗り切るために切り詰めて暮らす様子がなんとも苦しい。父のいない間に村では一人前として扱われるようになり、大人たちの間で共有される秘密を知り、まさに大人の階段を登る。

    しかし、この苦しさが身を切るようでなんとも憂鬱になる物語ではあるのだが、淡々とした文体にどんどん引き込まれ読み進めてしまう。

    吉村昭の本は好きである。

    0
    2025年11月30日
  • 羆嵐

    Posted by ブクログ

    羆の脅威が詳細に書かれた記録文学。
    入植、開拓の厳しさ、土壌の善し悪しに裏付けされる自然の脅威。
    猟師とマタギの違いというか、そういったものがよく分かりました。

    0
    2025年11月30日
  • 吉村昭の平家物語

    Posted by ブクログ

    原文の空気感を残した、簡潔で読みやすい平家物語です。
    時代劇等での義経はイケメン俳優か演じていますが、物語では色白で背が低く、前歯がとくにつきでているとなっています。これが本当の姿でしょう。
    頼朝は、自分が清盛に助けられたために平家を滅ぼすことになった教訓から、平家を根絶やしにします。自分の兄弟までも殺してしまうような猜疑心が強い印象があります。
    最後には頼朝の子孫が味方だったはずの北条氏に殺されてしまうというのは因果応報でしょうか?

    0
    2025年11月25日
  • 高熱隧道

    Posted by ブクログ

    圧倒的な読みごたえと面白さ、学びにあふれていた。
    どこまでが真実なのかはわからない。緻密な取材による確かな骨組みと、その上に乗る人間ドラマ。
    あとがきで登場人物は架空だと語られていた。恐らくそう大差ないやり取りは実際あっただろうし、真面目で極めつくす性分や帰属意識など日本人として共感できる部分も多い。
    厳しく圧倒的な自然への挑戦。泡雪崩ホウナダレという言葉を初めて知った。人間がどうにかできるレベルではない。それでも立ち向かう人々の描写に心を打たれる。
    日々上昇を続ける温度の不気味さの表現も素晴らしい。絶望感が重くのしかかってくる。
    それでも諦めることなく試行錯誤を繰り返す姿勢に感銘を受けた。

    0
    2025年11月23日
  • 昭和二年生まれの流儀

    Posted by ブクログ

    戦争末期の軍隊の悲惨さと、状況が変わった途端に、転向して、あの戦争は軍部がやったと言う文化人などの話を興味深く読む。
    天地が自分のものという主観の拡大、夜郎自大の問題、大割拠という間違い、そして、文民統治すべき背広組自体が金権政治と腐敗に堕落して力をなくし、内部から軍服まがいの背広を育てて自壊したとの由。
    この状況が、戦後80年の今、2025年の政況と符合しているのが恐ろしい。

    何も信じないということ、現場と一次資料に当たるという吉村さんの姿勢は、研究と同じような姿勢だなと思い、信頼できる。

    明治維新以降を批判する一つの史観として英雄豪傑の出てくる司馬遼太郎と、人情、人間を描く池波正太郎と

    0
    2025年11月16日