吉村昭のレビュー一覧

  • 零式戦闘機

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    ネタバレ

    零式艦上戦闘機を通じて開戦から終戦までを描いた実話。
    これを読むまで、零戦が世界の追随を許さないほどの性能であったことを知らなかった。
    緒戦は敵なしで、山本五十六が半年や一年は暴れてみせると言っていたのは根拠があるんだなと思った。
    ミッドウェー海戦を機に米国の巨大な力に飲み込まれていく日本と、零戦の役割を重ねて描いていたのが面白かった。
    また通奏低音のように、牛馬で零戦が運ばれる様子が描かれており、最高水準の技実力と超アナログ運搬、日米の国力差を見事に表していたと思う。

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    2026年08月02日
  • 漂流

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    ネタバレ

    江戸時代、土佐の船乗りが嵐にあい、無人島に流れ着き生きていくサバイバル小説。

    たった4人で、森も川もないため飲み水もない。
    もちろん無人島なので人もなく、野菜も果物もなく、生き物らしい生き物は大量のあほう鳥だけ。道具もないので火も立てられない。とても生きていけるとは思えない。

    漂流者たちは基本的に皆善人であり、しんどすぎる運命に翻弄される彼らの人生と、その中で僅かに見える希望との落差の連続に泣けてしまった。

    驚くべきはこれが実話であること。フィクションならまだもう少し生きられそうなマシな設定にするのではないだろうか。
    実話であり、その物語が今読めるということは…是非結末は調べずに読んで欲

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    2026年07月26日
  • 高熱隧道

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    最初の30ページで、悲惨な描写の連続にすでに耐えられなくて、読み進めるのがきつかった。
    人夫と技師の主従関係による暗黙のルールが、悲惨な工事現場を背景に、気味悪く漂っていて、目を逸らしたくなった。
    最後の方は、全力疾走で読み終わり。
    おもしろかったのだけど、つらくて再読はできなそう。

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    2026年07月18日
  • 羆嵐

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    この本には、その当時の人々の暮らしぶりをはじめ、
    自然の怖さ、極限状態に陥った人間の脆さ、
    そして人間の愚かさや強さ、悲哀
    といったものがすべて詰め込まれている。

    グロテスクな表現も多々あるけど
    そこは本分じゃなくって

    バトルジャンキーな爺さんの悲しみも
    責任感のある爺さんの強さも
    羆をペチペチ叩いたばあ様の痛みも
    浮かれた隣村の人達も
    組織の歯車の分署長も
    どれもこれも鮮烈に焼き付いて離れないんだから
    この本は凄いんだろうと思う。

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    2026年07月17日
  • 羆嵐

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    昨今の熊被害・駆除対策を軽視または疑問視している人は必読。熊の種類こそ違うが大いに教訓を得ること間違い無し。実話ベース(人名、被害状況を変更)で、慰霊碑的な場所(三毛別羆事件復元地)が存在するが、人里から離れている為現在でもヒグマに遭遇する可能性が高いとのこと…

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    2026年07月12日
  • 羆嵐

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    5よりの星4!!
    と思ったけど5に変更です!!
    内容は今年一番没頭できたので5に変更です。

    今までは事件の事の説明で史実を調べたりしましたが、小説として討伐隊の状況や区長の心境など表現して、後半になるにつれ没頭して読めました。

    再読もしたい本です。
    事件ももう一度調べたい。

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    2026年07月05日
  • 破船

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    前浜でささやかな漁をし、浜に流れ着いた貝や海藻を拾い、浜と山の間に小さくある平地でちっぽけな畑を作り、たった十七戸しかない村の生活。
    食べていけない家は、家族の誰かを年季奉公に出す。売る。

    村のたった一つの望みは、村のそばで船が座礁することだ。
    そうしたら、船の積荷を奪い取り、船を解体して木材や釘などを調達でき、運が良ければ米を手にすることもできる。
    しかしそんな幸運は、ここ数年全くなかった。

    伊作の家では、父親が3年の年季奉公に出た。
    まだ10歳を少し超えただけの伊作が、母と二人で小さな弟と妹たちを食べさせていかなくてはならない。
    でも、まだ子どもなのよ。
    気持ちはあっても、力も、漁の技

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    2026年07月03日
  • 雪の花

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    コロナ禍、ワクチンや予防法のデマなど情報が錯綜していたことを思い出した。
    いつの時代も無理解が壁になる。

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    2026年06月27日
  • 漂流

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    長平かっけー
    読むだけでサバイバル力すこし上がる
    島でいかに生きるかは頭使ってる一方で、船出す方角とか日付とか、ギャンブルすぎないか

    ラスト1ページ、村帰った時の諸々、酷すぎて笑った
    キャストアウェイの方がましだった

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    2026年06月27日
  • 漂流

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    過酷すぎる。児童文学の漂流ものならもっと楽しい無人島生活が描かれているはずなのに、現実の漂流生活は、ただただ餓えぬように食い繋ぎながら、いつ現れるとも知れない船を待つだけの日々である。せめて食料と水が豊富な島であれば、楽しみも見出だせただろうに、やっとのことで辿り着いた先が水も食料もない絶海の孤島だなんて、絶望して余りある状況ではないか。もちろん“ただ食い繋ぐ”と言っても、そこには並々ならぬ苦労と失敗があってのことではあるが、そうはいってもほとんど工夫のしようがないような状況の中ので、本当によく生き抜いたものだと思う。御仏への純粋な信仰心がなければ耐えられなかっただろうし、御仏はもちろんのこと

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    2026年06月18日
  • アメリカ彦蔵

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    好きなんです、吉村昭の漂流モノ。小説なのにドキュメンタリーのような感覚で読めました。漂流、明治維新、アメリカ南北戦争に外国人殺傷事件。ジョン万次郎に劣らず彦蔵の人生も波乱万丈です。アメリカと日本、2国の橋渡しをしながらも、どちらの国にも彼のふるさとは無い。けれど、もし晩年の彼に平凡な水夫としての人生とどちらが良かったか聞いたとしたら、アメリカに行って良かったと言うのではないかと思う。そうあって欲しい。

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    2026年06月13日
  • 関東大震災

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    ネタバレ

    関東大震災から100年が経ち、あまり当時のことを知らなかったので読むことにしました。
    前触れもなく襲い掛かってくる地震に対し、当時の東京、横浜に住む人々の悲惨さがよく描かれています。
    変な噂が広がり暴動が起こったり、犯罪も増えたりと悲惨な状況だったんだなと身が震え上がりました。
    今年に入って能登半島地震、そして昨日は四国で地震があり、地震に備えた準備をする事は、非常に大切な事だなということを改めて学びました。

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    2026年06月12日
  • 破船

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    終始暗くて怖い場面も多かったけど、地域によって形は違うとしても、近代以前の日本の各地には、ああいうムラ独特の習わしや信仰、そこでの共同体の在り方があったんだろうなと思った。全然違う時代に生きている私でも、なんとなく「日本らしいな」と腑に落ちてしまうところがあった。

    船に群がる村人たちの姿を読んでいると、全然違うものではあるけど、ハイエナとかハゲタカみたいなものを連想してしまった。

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    2026年06月12日
  • 漂流

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    これがほぼ史実、ということに驚く
    ロビンソン・クルーソーも目じゃないね


    とか言って「ロビンソン・クルーソー」を検索したら、これも元になった事実があるらしい

    とはいえ、ロビンソンは約4年、長平は約12年
    アホウドリしかいない、水源もない島でよく生き延びたものだ
    長平が無事に本土に帰り着いたところまで読んで、嬉しくもあったが悲しい気持ちにもなってしまった

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    2026年05月29日
  • 漂流

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    稀に出会う名作…

    私は読書のスピードが遅いです。しかし、500ページ超の長編を、通勤電車の中だけで3日で読み終えてしまいました。

    江戸時代、土佐藩の船乗りの長平が、小笠原諸島から更に離れた絶海の無人島に漂着し、水も湧かない、作物も育たない環境で12年以上過ごし、奇跡的に帰還する物語です。

    とにかく次の展開が気になって気になって仕方なく、あっという間に読み終えてしまいました。(全ての小説がこれくらい面白かったら、いくらでも本を読めるのに)

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    2026年05月20日
  • 漂流

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    どんな苦境に立たされても、希望を持つことが、何よりの原動力になるのだと感じさせられました。出会えてよかった作品です。

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    2026年05月18日
  • 漂流

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    ネタバレ

    これって江戸時代の『プロジェクト・ヘイル・メアリー』じゃない?
    昨年読んだ『破船』もヤバかったけど、この『漂流』もえげつなかった。最後の方、電車の中で泣きながら読んでた。

    後から漂着したグループが先着民の異様な姿を見たりサバイバル譚を聞いたりして絶望、そして先着民は仲間が増えて大喜びっていうめちゃくちゃ残酷なテンドンがリアルだわ〜〜〜〜

    衰弱して死にゆく男が仲間に「(もしお前たちが日本に帰れたら)妻に苦労をかけてすまなかったと、そして息子たちには、決して船乗りになってはならぬと伝えてくれ」って遺言するシーンが個人的に一番食らったかも。

    あと最後の方、船が完成していよいよ出航が近づいた頃は

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    2026年05月14日
  • 虹の翼

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    ネタバレ

    「『才能と努力があれば夢は実現する』というわけではない。時代背景と周りの理解、そして、何より十分な予算も必要なのだ。」
    これがこの本の全てになる。
    この身も蓋もないような現実は「才能があり、努力さえあれば実現する」と思っている人たちは、この本を読むと良いだろう。
    私も含めてそうであった。

    ライト兄弟は有名だが、二宮忠八は世界で有名ではない。それはなぜか?
    世界初飛行を行ったことを認められていないからである。
    いくら練習時にベストタイムが出たとしても、公式な大会でその記録が出さなければ、アスリートとしての記録は認められない。
    現在では割と道具が揃っているので、その証拠が残されるであろうが、夜中

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    2026年05月10日
  • 高熱隧道

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     吉村昭の小説は軒並み好きで、『羆嵐』をはじめとして何冊か読んできた。
     この小説の内容は知らず、黒部の発電所という最低限の前情報から、戦後の黒部ダムを描いたプロジェクトX的な小説なんだろうなと思っていた。ところがどっこい、読み進めるととんでもない小説であることが明らかとなり、度肝を抜かれた。あらゆる意味で現代の常識が通用しない、凄絶極まる物語だった。

     まず、その過酷な環境。岩盤の温度が165度、体は腰の辺りまで45度の湯に浸かるというとんでもない状況で岩盤の掘削等の業務を行う……とのこと。平均月収の10倍と言われる給与を貰ってなお割に合わないような、意味不明な労働環境だ。

     次に、それ

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    2026年05月04日
  • 羆嵐

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    『破船』の後、2冊目。吉村昭は本当に巧い。
    獰猛な熊に食い殺された6人もの村人。熊の息づかいや気配すら感じられるようなリアルな文章に怖さが一層増した。何って熊撃ちの銀四郎がカッコいい!プロの仕事に惚れ惚れする。

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    2026年05月03日