吉村昭のレビュー一覧

  • 破船

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    なんだろうな...海の恵みの描写とか四季の移り変わりの描写とかうつくしい風景目白押しのはずなのに人々の暮らし描写の陰鬱さがそれに並ぶ不思議。村から出たいとも思わず村長を中心に一致団結することで暮らしが成り立つ不思議。地方の因習ネタのホラーとか好きなんだけど現実に即するとなるとこうなるのか...

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    2024年02月06日
  • 戦艦武蔵

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    長崎で建造が始まった第2号艦。その地形や造船に関わる人数を考えるとその存在を秘匿するのは容易ではない。前半は数々の困難を乗り越えて巨艦を完成、引き渡しまで。後半は戦艦武蔵と名付けられ戦線に合流するも時代は航空戦力が主になりその能力を発揮できない。
    読みだしたら止まらない。
    知っている最後に向けて話は進む。撃沈。
    しかし話はまだ続いた。
    武蔵沈没の露見を恐れた海軍中枢部は生存者をほぼ邪魔者扱い。内地に送られた者は輸送中に敵魚雷で沈没。生存者はほぼ軟禁状態。
    現地に残された者はほぼ全滅。
    過酷すぎる。

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    2024年01月03日
  • 深海の使者

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    ドイツまでの3万キロを潜水艦で往来していたという事実に驚きました。片道2ヶ月以上、いつ敵に襲われるかわからない状態で、しかも狭い艦内で過ごす精神力。昔の軍人さん達はこのような過酷な状況下でも命懸けでお国のために任務を果たす姿に胸を締めつけられました。
    また、読者にその時の状況を思い描くことができるほどの文章を書くには、とんでもない量の取材や綿密な調査をしていたのだろうと推察します。
    それを1冊の本にまとめていただき、私たちは史実として知ることができています。感謝です。

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    2023年12月30日
  • 零式戦闘機

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    零式戦闘機の誕生から終焉まで、史実とともに読むことができます。開発者と発注元である軍部との関係や、実戦で示された最新鋭機の活躍、製造工場から飛行場までの輸送手段に牛や馬が使われていたことなど興味深い逸話も知ることができました。
    吉村さんの作品は『熊嵐』以来でした。他の作品も手に取りたいと思いました。

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    2023年12月15日
  • 新装版 海も暮れきる

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    読んでいる時と読後と、様々な感情が湧き起こる作品だと思った。そもそも『海も暮れきる』は、尾崎放哉の句の一部だが数ある句の中からこの語をタイトルにした理由を読みながら探したがわからなかった。
    何が放哉をここまで追い詰めたのか、なぜ酒に溺れるようになったのか。私は彼の激しい自尊心が自身を破滅に追いやったように読んだ。思うようにならない現実と芸術の狭間の苦しみが酒に溺れる結果ではないかと。そして放哉はとても気の小さい人間だとも思った。その感情の浮き沈みを吉村昭は見事に描いたと感動した。そして最後になってタイトルの意味がわかってきた。暮れきった海は真っ暗で底も見えない。底には死があってその恐怖にずっと

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    2023年12月03日
  • 破獄

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    表題の通り、戦前から戦後にかけ4度の脱獄に成功した佐久間(仮称)を話の中心に据え、刑務所内の人間関係を丁寧に描写しているが、国内情勢・司法環境の遷移を緻密な調査をもとに数十年のスケールで厚みのある肉付けがされている。ドキュメンタリーとして非の打ち所ない読み応えある作品である一方、とにかく読み易さが目に付いた。『漂流』も名作だが、本作はドラスティックな展開に読み疲れも少なく非常に楽しめた。

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    2023年11月07日
  • 新装版 赤い人

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    新千歳空港の書店にこの本があるのは、まさにあるべき場所で売られているといった赴き。在庫を切らさないようにしているのかな。
    北海道を訪れたら、北海道を訪れる前に、一度は読んでおきたい開拓と命の歴史。

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    2023年10月28日
  • 破船

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    ネタバレ

     本作は少年の視点から綴られる僻地の寒村の3年間の物語だ。大人が年季奉公で廻船問屋に売られ、未成熟な子どもが一家の労働力として漁をせざるを得ない貧困。村に大きな幸を齎す“お船様”(難破船)を求めて祈り、実際に到来したなら情け容赦無く積荷を奪い取る共同体全員での犯罪。その“お船様”によって富ではなく疫病を齎され、村があっという間に崩壊寸前にまで追い込まれる厄災。これら苛酷で不幸な日々が無駄を削ぎ落とした簡明な文章によって描写され、読者に強烈なリアリティーを与えてくる。

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    2023年10月26日
  • 関東大震災

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    吉村昭の小説はいつもながらリアルです。表目的な事柄だけでなく、どのように被害が拡大してひとびが些細なきっかけで凶暴になっていくのかが描かれている。

    戦争、震災、パンデミック、天災
    いつ起きてもおかしくない。理性を失った時、人はこんなにも簡単に人を殺める。
    そのことが淡々と数字を絡めて書かれている。

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    2023年09月14日
  • ふぉん・しいほるとの娘(下)

    購入済み

    ゴツゴツとした歯ごたえ

    作家吉村昭のゴツゴツとした歯ごたえが際立つ作品である。司馬遼太郎が時代小説家歴史小説家なら吉村昭は史談 史劇作家 と感じた。想像力の羽ばたきを意図的に抑え、史実に語らせる、という手法がこの作品にも満ちている。そのような手法で描き出される、時代に置き去りにされる老いたシーボルトや、正式な医学を前にして身を引くお稲を感傷を交えずに書き上げている。

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    2023年09月03日
  • 関東大震災

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    今年で関東大震災からちょうど100年。その間にも大きな地震を何度も体験してきた。将来、また大きな地震が起こると言われているが、過去からどれだけのことを学べているのだろう。

    本書は、関東大震災の発生前、発生後の様子、それによって起こったデマ、どさくさ紛れに起きた甘粕事件について、まるで見てきたかのような解像度で描かれている。

    建物の耐震性は向上し、関東大震災のような被害は多少起きにくくなったかもしれないが、津波への対策などまだ課題はある。また集団心理については、あの頃とあまり変わってないのではないかとも思った。

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    2023年08月31日
  • 関東大震災

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    100年前に起きた関東大震災の状況を丹念な取材と著者の筆力で当時の惨状が生々しく再現されています。
    飛んできたトタンで首が切り落とされた話や火災旋風やデマの恐怖などこれから起こると言われている大地震のイメージトレーニングとしても役立ちそうです

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    2023年08月20日
  • 冷い夏、熱い夏

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    ある冷夏の年の8月、主人公の「私」の弟の肺に影がみつかる。残念ながらそれは、悪性腫瘍の中でも特にタチの悪いものであり、1年以上の生存例が皆無であることを、「私」は医師から告げられる。「私」と親族たちは、弟が癌であることを隠しておくことを決める。手術後、弟は一時的に体調を回復させるが、徐々に痛みを訴え、体調を崩していき、再度入院することになる。癌は進行するが、治療する方法はなく、病院での措置は痛みを和らげること、そして、出来るだけ長く生きてもらうことしかない。徐々に身体の自由を失い、痛みが耐えられないものになっていく弟。まさに、闘病である。そして、残念ながら、前年とは打って変わった翌年の猛暑の夏

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    2023年08月19日
  • 破獄

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    白鳥由栄と思って、読み進めた。
    佐久間の人間性は特異かも知れないが、実はかなり今でも通じる人間の根底にあるものだと思う。
    脱獄させないために手錠足錠をとること人間らしく扱うことが、更正につながる。この考えは、教育界にもつながると思う。

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    2023年08月06日
  • 桜田門外ノ変(下)

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    上巻の途中からはどんどん読める。

    事件そのものの描写は100頁から133頁までしかない。

    事件前後の緊迫した状況が、確かな筆致で描かれている。

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    2023年08月03日
  • 吉村昭の平家物語

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    吉村昭の作品は色々と読んでいるのだが、本作は「異色作」と言えるのかもしれない。が、なかなかに興味深く読んだ。
    本作は「古典文学を現代語訳というようにすることで、少年少女向けとして世に問う」という企画で登場しているのだという。言わば「現代語訳『平家物語』 吉村昭 訳」というような一冊なのだ。
    吉村昭は熱心に取材を重ね、そういう成果を踏まえた、作中世界で流れる時間や景色が強く感じられるような、濃厚で精緻な描写で知られていると思う。本作は必ずしもその「本来のスタイル」ということでもない。「翻訳」なのだ。同時に、伝えられている『平家物語』を詳細に訳出しようというのでもない。好いテンポで、「普通の小説」

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    2023年06月27日
  • 桜田門外ノ変(下)

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    桜田門外の変が、現場を指揮した水戸藩士関鉄之助の視点から訥々と語られている。膨大な資料を基に徹底的にリアルに描かれており、読みながら大老井伊直弼は生かしてはおけぬと思わされるほどである。桜田門外での井伊大老の襲撃シーンは、鉄之助の横で観ていたかのような映像記憶が残る。事変後は、鉄之助はじめ関与者の過酷な逃避行には胸が締め付けられた。吉村昭の筆力に感動する。★5つでは足りない。

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    2023年06月16日
  • 新装版 海も暮れきる

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    ネタバレ

    尾崎放哉はじめて知った
    終盤はどんよりしていくが、お遍路さんの訪れや近所の看病してくれるおばさんのことなど、良いこともあり対比が素晴らしかった

    薫さんはなぜ最後の最後に飛んできたんだろう。どういう心境なのか

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    2023年05月06日
  • 新装版 間宮林蔵

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    かなり面白かった。歴史物で文章が頭に入りづらいこともあったが、間宮林蔵と海峡について知識を得ることができ面白かった。

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    2023年04月30日
  • 雪の花

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    福井藩町医だった笠原良策が天然痘の治療法である種痘を日野鼎哉と協力して福井で広める話。福井という土地柄異国の治療法を広めるのに苦労するところは陰湿な土地柄が出ているようだった。五臓六腑は心、肺、肝、腎、脾の五臓と大腸、小腸、胃、胆、三焦、膀胱の六腑の事らしい。

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    2024年11月19日