吉村昭のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
うちは今、けっこうな田舎にあって、この前、2、3日うちを開けたら、ネズミかハクビシンか、アナグマが天井裏に住みついてた。というか東京に住んでた時も、防災用のビスケットがネズミにやられて、そこはあんまり田舎関係ないかも。前に虫に詳しい友達が言ってたんだけど、害虫を家に入れないためには、たえず「ここは人間のテリトリー!」とアピることが大事らしい。なので天井は、クイックルワイパーでドスドスつついてがんばった。ケーブルかじられて火事とか怖いし。人間さまの尊厳ってないね。虫やハクビシンとタイマン張らないと、家も守れない。
よく「自然を守ろう」とかって言ったりするけど、自然って、ちょっと気を抜くと、自分なんてぷちっと潰してくる。それは不運も大きいし、それこそ「災害級」の確率でしか起こらないかもしれないけど、毎日地味にナワバリ争いは続く。
ナワバリが崩れるのは対自然だけじゃなかった。この本では、「おいおい、他人も自分の力ではどうにもならないのかよ〜!」いう気持ちになった。周囲のすべてにたいして、わたしの尊厳はとってももろい。わたしは、わたしのどんな部分に、わたしの尊厳と存在意義を見出せるか。 -
Posted by ブクログ
読んでいる時と読後と、様々な感情が湧き起こる作品だと思った。そもそも『海も暮れきる』は、尾崎放哉の句の一部だが数ある句の中からこの語をタイトルにした理由を読みながら探したがわからなかった。
何が放哉をここまで追い詰めたのか、なぜ酒に溺れるようになったのか。私は彼の激しい自尊心が自身を破滅に追いやったように読んだ。思うようにならない現実と芸術の狭間の苦しみが酒に溺れる結果ではないかと。そして放哉はとても気の小さい人間だとも思った。その感情の浮き沈みを吉村昭は見事に描いたと感動した。そして最後になってタイトルの意味がわかってきた。暮れきった海は真っ暗で底も見えない。底には死があってその恐怖にずっと怯えていたのではないか。そしてそれは吉村昭自身も同じ思いだったのではないか。寒くて冷たい海の底への恐怖を孤独に震える2人の男が見えた。