吉村昭のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
読んでいる時と読後と、様々な感情が湧き起こる作品だと思った。そもそも『海も暮れきる』は、尾崎放哉の句の一部だが数ある句の中からこの語をタイトルにした理由を読みながら探したがわからなかった。
何が放哉をここまで追い詰めたのか、なぜ酒に溺れるようになったのか。私は彼の激しい自尊心が自身を破滅に追いやったように読んだ。思うようにならない現実と芸術の狭間の苦しみが酒に溺れる結果ではないかと。そして放哉はとても気の小さい人間だとも思った。その感情の浮き沈みを吉村昭は見事に描いたと感動した。そして最後になってタイトルの意味がわかってきた。暮れきった海は真っ暗で底も見えない。底には死があってその恐怖にずっと -
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ゴツゴツとした歯ごたえ
作家吉村昭のゴツゴツとした歯ごたえが際立つ作品である。司馬遼太郎が時代小説家歴史小説家なら吉村昭は史談 史劇作家 と感じた。想像力の羽ばたきを意図的に抑え、史実に語らせる、という手法がこの作品にも満ちている。そのような手法で描き出される、時代に置き去りにされる老いたシーボルトや、正式な医学を前にして身を引くお稲を感傷を交えずに書き上げている。