吉村昭のレビュー一覧

  • 破獄

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    白鳥由栄と思って、読み進めた。
    佐久間の人間性は特異かも知れないが、実はかなり今でも通じる人間の根底にあるものだと思う。
    脱獄させないために手錠足錠をとること人間らしく扱うことが、更正につながる。この考えは、教育界にもつながると思う。

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    2023年08月06日
  • 桜田門外ノ変(下)

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    上巻の途中からはどんどん読める。

    事件そのものの描写は100頁から133頁までしかない。

    事件前後の緊迫した状況が、確かな筆致で描かれている。

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    2023年08月03日
  • 漂流

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    ネタバレ

    江戸時代中期に伊豆諸島最南端、絶海の孤島である鳥島に流れ着いた漂流船の物語。

    寝泊りする洞窟を見つけ、アホウドリの肉と雨水を得る方法を体得してからは、仕事もしなくてよい、誰にも拘束されないため、堕落してしまい、毎日寝て暮らすようになる。栄養が偏り体に異変が現れる。そして希望の無い境遇を嘆き、卑屈になり、所有物(家屋や妻)への執着を見せるようになる。
    そうやって仲間が次々と体調を崩し、絶望しながら生涯を終えていくなかで、主人公(長平)だけは自分の芯を強く保ちながら生きながらえる。

    ・毎朝日の出を眺めながら念仏を唱えるルーティン
    ・亡くなった仲間たちの墓参り
    ・体力増強と健康維持、規則正しい生

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    2023年07月31日
  • 吉村昭の平家物語

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    吉村昭の作品は色々と読んでいるのだが、本作は「異色作」と言えるのかもしれない。が、なかなかに興味深く読んだ。
    本作は「古典文学を現代語訳というようにすることで、少年少女向けとして世に問う」という企画で登場しているのだという。言わば「現代語訳『平家物語』 吉村昭 訳」というような一冊なのだ。
    吉村昭は熱心に取材を重ね、そういう成果を踏まえた、作中世界で流れる時間や景色が強く感じられるような、濃厚で精緻な描写で知られていると思う。本作は必ずしもその「本来のスタイル」ということでもない。「翻訳」なのだ。同時に、伝えられている『平家物語』を詳細に訳出しようというのでもない。好いテンポで、「普通の小説」

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    2023年06月27日
  • 破船

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    やっぱり吉村昭先生の作品に間違いは無いです。
    生きる為には難破船にだって…。
    人間が一番怖い,そう思える作品でした。

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    2023年06月17日
  • 桜田門外ノ変(下)

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    桜田門外の変が、現場を指揮した水戸藩士関鉄之助の視点から訥々と語られている。膨大な資料を基に徹底的にリアルに描かれており、読みながら大老井伊直弼は生かしてはおけぬと思わされるほどである。桜田門外での井伊大老の襲撃シーンは、鉄之助の横で観ていたかのような映像記憶が残る。事変後は、鉄之助はじめ関与者の過酷な逃避行には胸が締め付けられた。吉村昭の筆力に感動する。★5つでは足りない。

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    2023年06月16日
  • 破船

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    面白かった。面白いというと不謹慎だが、淡々とした文章に引き込まれて一気に読んだ。吉村昭氏の本はノンフィクションの記録文学を5冊ほど読んだが、純粋な小説は初めて。
    物語は、どこかの島の南端にある小さな漁村が舞台である。そこに住む少年の視点で書かれているが、食料もままならないほど貧しい生活である。村の人々が待つのは「お船様」で、物資を載せた商船が村の近くを通りかかるときに難破し流れつくものだ。手をこまねいて待つだけでなく、海が荒い日に浜で火を起こして座礁を誘う。お船様は村にとっての恵みであり、1船来れば村全体が何年も飢えずに済むだけでなく、出稼ぎに行く必要もなくなるので影響は絶大だ。
    そんな難破船

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    2023年06月02日
  • 新装版 海も暮れきる

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    ネタバレ

    尾崎放哉はじめて知った
    終盤はどんよりしていくが、お遍路さんの訪れや近所の看病してくれるおばさんのことなど、良いこともあり対比が素晴らしかった

    薫さんはなぜ最後の最後に飛んできたんだろう。どういう心境なのか

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    2023年05月06日
  • 新装版 間宮林蔵

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    かなり面白かった。歴史物で文章が頭に入りづらいこともあったが、間宮林蔵と海峡について知識を得ることができ面白かった。

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    2023年04月30日
  • 雪の花

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    福井藩町医だった笠原良策が天然痘の治療法である種痘を日野鼎哉と協力して福井で広める話。福井という土地柄異国の治療法を広めるのに苦労するところは陰湿な土地柄が出ているようだった。五臓六腑は心、肺、肝、腎、脾の五臓と大腸、小腸、胃、胆、三焦、膀胱の六腑の事らしい。

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    2024年11月19日
  • 破獄

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    「吉村昭」の長編小説『破獄』を読みました。
    『新装版 逃亡』に続き、「吉村昭」作品です。

    -----story-------------
    驚くべき手口に、大胆な実行力で、四回の「脱獄」成功。 
    犯罪史上に残る無期刑囚を描いた「吉村」記録文学・畢生の大傑作。

    昭和11年青森刑務所脱獄。
    昭和17年秋田刑務所脱獄。
    昭和19年網走刑務所脱獄。
    昭和22年札幌刑務所脱獄。
    犯罪史上未曽有の四度の脱獄を実行した無期刑囚「佐久間清太郎」。
    その緻密な計画と大胆な行動力、超人的ともいえる手口を、戦中・戦後の混乱した時代背景に重ねて入念に追跡し、獄房で厳重な監視を受ける彼と、彼を閉じこめた男たちの息詰る

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    2023年03月20日
  • 逃亡

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    「吉村昭」の長編小説『新装版 逃亡』を読みました。

    この季節になると第二次世界大戦に関連する作品を読まなきゃな… という気持ちになるんですよね、、、

    「吉村昭」作品は、昨年10月に読んだ『漂流』以来ですね。

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    戦争に圧しつぶされた人間の苦悩を描いた傑作

    軍用飛行機をバラせ……戦時下の緊迫した海軍航空隊で、若き整備兵が背負った過酷な運命とは?
    初期の力作長篇が待望の再登場
    解説・「杉山隆男」
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    1971年(昭和46年)に発表された作品… 逃げる男の心理を、戦争という暗い存在とともに巧みに描いた傑

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    2023年03月19日
  • 海の史劇

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    日露戦争の事は全く無知であったが、この本で旅順戦での乃木将軍の稚拙な作戦行動、バルチック艦隊が喜望峰を迂回して壮絶な大航海の後に日本海に来た事、日本海海戦が僅か2日で決着がついた事などが吉村昭氏の淡々とした書法で書かれており、とても楽しく興味深く、面白く読むことができた。

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    2023年03月13日
  • 三陸海岸大津波

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    昭和45年に、明治以降の、三陸海岸で起きた3回の津波について調査、聞き取りをした記録。
    実際の津波はもっと多く発生しているが、大きかったものが3回らしい。
    犠牲者は明治29年は26360、昭和8年は2995、昭和35年は105名。いろいろ対策をして、犠牲を減らせるようになっている、今後は亡くなる人もいなくなるのではないか、というセリフがある。
    2023年3月に読んでいるので、その予測が裏切られていることがらわかる。
    被害のたびに対策しても、それでも被害があるという事実を忘れずに、自分も準備しようと改めて思った。

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    2023年03月12日
  • 新装版 赤い人

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    明治初期の囚人が北海道に送られて開拓していく。彼らは皆重罪犯だが、時代の転換期だったし本当は悪く無い人もいたんじゃないか…?囚人の扱われ方がとにかく酷くて真冬でも足袋すら支給されない。典獄は上席に足袋などを求めるが、北海道の寒さをわかっていないのか、却下される。で、支給されない。日本らしい縦割りだなぁ。作業効率を考えて自腹で勝手に支給してもバレなそうだけど。典獄は桁違いにお給料もらってたみたいだし。そんな感じで囚人は安い労働力としてこき使われバタバタと死んでいく。脱走する人も続出し、逃げきれず死んだり、看守に殺されたりする。海外を視察した偉い人によってこの待遇はあり得ない。という風潮が流れ、明

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    2023年02月21日
  • 三陸海岸大津波

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    すごい記録!
    この本が出版されたのは、2004年。2011年6月に12刷。
    津波がどんなふうに襲ってくるのか、映像も写真もない、文章だけの表現は本当にこわい。当時の教職員が熱い思いで児童生徒に記録させているのも、それを紹介してるのも、凄いとしかいいようがない!

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    2023年02月10日
  • 蚤と爆弾

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    731部隊の歴史的史実の小説でここ迄赤裸々に内容を知ってしまった事実が爆弾級でした。
    曾根二郎と言う天才細菌学者が作り出す戦争兵器…
    正義とは何か,各々にどう解釈する事が出来るか問われる1冊でした。

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    2023年02月04日
  • 新装版 海も暮れきる

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    口語自由俳律で知られる尾崎放哉。その小豆島での最期の8カ月を描いた作品。享年41。
    酒乱で酒を飲めば攻撃的になる。人の施しによってしか生きられない。どうしようもない人間だと思うのだが、「結核」を病み、家族から疎んじられ、長くは生きられないと悟ると、そうなるのかもしれない。もっと句を詠みたかっただろうし。

    没後、放哉の師にあたる井泉水が「捨てて捨てきつて、かうした句境にはいつてきた」「大自然と同化していた」と表現したそうだ。俳人として名を残すには、この捨てきった8カ月が大切だったのかもしれない。

     はるの山のうしろからけむりが出だした

    春の訪れを誰よりも待っていた放哉だったのに。

    吉村昭

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    2023年01月24日
  • 星への旅

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    人の心の動きと体の動きはどちらも不可解なんだけれど、どちらも鮮やかに描写されて息の止まるような瞬間だった。

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    2023年01月14日
  • 戦艦武蔵

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    戦艦武蔵が建造されてから沈むまで。
    見つからないように隠して建造するのは大変だし設計図の管理も厳重。
    大変な思いをしてできた船が沈むのは悲しいですね。
    その戦闘シーンも生々しくて実際にその場にいるような感覚にとらわれました。
    とにかく読みごたえがあり読みだしたら止まりません!

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    2023年01月07日