【感想・ネタバレ】破船のレビュー

あらすじ

二冬続きの船の訪れに、村じゅうが沸いた。けれども、中の者は皆死に絶えており、骸が着けていた揃いの赤い着物を分配後まもなく、恐ろしい出来事が起った……。嵐の夜、浜で火を焚いて、近づく船を座礁させ、積荷を奪い取る――僻地の貧しい漁村に古くから伝わる、サバイバルのための過酷な風習“お船様”が招いた海辺の悲劇を描いて、著者の新境地を示す異色の長編小説。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

なんて救いのない物語なんだ。
海辺の寒村で自ら身売りした父の帰りを待つ10歳前後の伊作。母と下の弟妹たち3人と厳しい暮らしを乗り切るために切り詰めて暮らす様子がなんとも苦しい。父のいない間に村では一人前として扱われるようになり、大人たちの間で共有される秘密を知り、まさに大人の階段を登る。

しかし、この苦しさが身を切るようでなんとも憂鬱になる物語ではあるのだが、淡々とした文体にどんどん引き込まれ読み進めてしまう。

吉村昭の本は好きである。

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2025年11月30日

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何この表紙、と思い手に取った初・吉村昭作品
大当たりでした
話こそ暗いけれどあまりの緻密さに驚く
船を見ると、あ、お船様、、と心の中で出てくるようになってしまった、、笑

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2025年11月16日

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ぬるい個人主義に浸かりながら、それでも不平不満を言って暮らしている自分の頬を打たれたような。
共同体が優先順位が一番高く、個人の幸せなどそんな概念がない。
誰かのわがままや判断ミスで、共同体自体の存続を危うくするからだ。
僅か数世代前まで、私たちの先祖はこんな暮らしをしていたのだのだと、おそらく昭和初期の地方はまだその記憶を持っていただろうと思う。
生きるために、村ぐるみの犯罪に手を染める。
おそらく、本当にそういうことはあっただろうと思う。
因果応報とかそんな簡単な話ではなく、それがなければ人を売るしかない、そんなギリギリの暮らし。
方言や感情の共感など一切排除された厳しい文体なのに、一気に読んでしまった。

この時代の人は、どんな顔をしていたのだろう。

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2025年06月22日

Posted by ブクログ

小説にこんなに引き込まれるのはいつぶりかってくらい、すごい文章だった。
作物もろくに育たない厳しい環境で、たった十七戸で身を寄せ合い破船がもたらす恵を待ち望む小さな漁村の密かな風習と事件。身を切るような貧しさが、鮮やかに心に斬り込んでくるようだった。

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2025年06月19日

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ネタバレ

現代の価値観からすると、

どうして貧しい村を離れ、たとえば皆が身売りする豊かな隣町へ引っ越さないんだろう?
なぜ口減らしを考えながらも子どもを産むんだろう?
祈祷するとか火を焚く以外に、むしろもっと積極的にお船さまを狙ってみては?
お船さまが来たら船を解体せずそれに乗って航海に出かけられないものだろうか?
村おさの言葉を誰彼疑いなく信じてしまうのはなぜ?

などと色々考えてしまうんだが、それは自分が厳しい暮らしを強いられたことのない現代人だからだろう。
毎日の食事にも事欠く日々を送っていたら、現状を変える気力もないだろうし。
第一ご先祖さまや死者の魂をつなぎ、村を存続させていくことが、彼らの正義なのだ。

それにしてもお船さまとは、なんと酷なものか。
お船さまなど来なかったら、村人たちは粛々と慎ましい暮らしを営んでいたはずで。あるいは農業や漁業のやり方を変えるなど、苦しい中でも少しの工夫をしてみたかもしれない。
なのにたまの幸運がもたらされるから、期待してしまう。極寒の冬の夜に火を焚くなんて、辛い所業を行う。
たとえ幸運がもたらされたとしても、村の外に知られないよう常に警戒しながらびくびく暮らさなければならない。幸運が来る時期も理由も、知ることができないから、祈りを捧げるしかない。
お船さまは神様なんかではなく、村を蝕む悪魔だったと思う。そんな偉そうに判定できるのも、自分が恵まれた現代人だからだろうか。

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2025年05月25日

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すごい本でした。柚月裕子さんが手元に置いている本ということで購入しましたが一気に読まされました。少し古い本ですが、客観的でテンポ感のある無駄のない文章がとても読みやすく、感情に流されない描写は小さな貧しい漁村の風景や人々の生活を目の前に甦らせてくれました。流行りの軽いストーリーの本で時間を潰すのも良いですが、このような重厚感のある内容の本は読書をしたという充実感を与えてくれると思いました。しばらく余韻に浸りたいと思います。

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2025年02月24日

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小さな村で過ごす少年の3年が書かれている。
魚をみろ、魚でさえいつも体を動かしている、と口癖のように言う母。お金のため3年の奉公に出た父。お船様からの恵みがなければまともに食べていけない貧しい村。
少年が成長していく描写が多いにも関わらず、いつこの日々が崩れるのかという緊張感や悲しさが終始漂っており、小さなお船様が来た時には、こうなるだろうと頭では分かっていながらハラハラした。
悲しい物語と銘打たれている小説より、毎日を淡々と、感情さえも淡々と書かれている方が一層悲しく思えることもあるものだと思った。

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2024年12月02日

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物語はフィクションであろうが、舞台にとっている設定は必ずしもフィクションとも言い切れないのかも。
貧しい漁村が生きるために、冬の荒れた海を航行する船に向かって火を灯し灯台と勘違いさせて座礁させその積荷を奪ったという苛酷な生きる知恵とその悪行に対する大きな報い。

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2024年04月10日

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なんだろうな...海の恵みの描写とか四季の移り変わりの描写とかうつくしい風景目白押しのはずなのに人々の暮らし描写の陰鬱さがそれに並ぶ不思議。村から出たいとも思わず村長を中心に一致団結することで暮らしが成り立つ不思議。地方の因習ネタのホラーとか好きなんだけど現実に即するとなるとこうなるのか...

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2024年02月06日

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ネタバレ

 本作は少年の視点から綴られる僻地の寒村の3年間の物語だ。大人が年季奉公で廻船問屋に売られ、未成熟な子どもが一家の労働力として漁をせざるを得ない貧困。村に大きな幸を齎す“お船様”(難破船)を求めて祈り、実際に到来したなら情け容赦無く積荷を奪い取る共同体全員での犯罪。その“お船様”によって富ではなく疫病を齎され、村があっという間に崩壊寸前にまで追い込まれる厄災。これら苛酷で不幸な日々が無駄を削ぎ落とした簡明な文章によって描写され、読者に強烈なリアリティーを与えてくる。

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2023年10月26日

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やっぱり吉村昭先生の作品に間違いは無いです。
生きる為には難破船にだって…。
人間が一番怖い,そう思える作品でした。

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2023年06月17日

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面白かった。面白いというと不謹慎だが、淡々とした文章に引き込まれて一気に読んだ。吉村昭氏の本はノンフィクションの記録文学を5冊ほど読んだが、純粋な小説は初めて。
物語は、どこかの島の南端にある小さな漁村が舞台である。そこに住む少年の視点で書かれているが、食料もままならないほど貧しい生活である。村の人々が待つのは「お船様」で、物資を載せた商船が村の近くを通りかかるときに難破し流れつくものだ。手をこまねいて待つだけでなく、海が荒い日に浜で火を起こして座礁を誘う。お船様は村にとっての恵みであり、1船来れば村全体が何年も飢えずに済むだけでなく、出稼ぎに行く必要もなくなるので影響は絶大だ。
そんな難破船が、もう1船流れ着く。その船が村にもたらすものとは。
小さい村に生まれたら、そこでの価値観や習慣が人生を決める。吉村氏の小説は情景描写がメインで心理描写はあまりないのだが、だからこそ心に残るというか、リアリティをもって迫るものがある。過酷な運命に逆らうことができず、人というのは無力なものである。おすすめしたい小説である。

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2023年06月02日

購入済み

閉じた世界の恐ろしさ

狭い世界に閉ざされた人々にとって、長年培われた常識は絶対のもの。とはいえ、外の常識とここまでかけ離れてしまうものか。それでいて、外との繋がりは捨てきれない、人の性が恐ろしく、そして悲しい。

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2021年02月19日

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世の中と隔絶した名も無き漁村を舞台に描かれる、江戸時代の極貧生活。わずか17戸の小さな貧村では、夜の岬で塩焼きという風習が行われていた。しかしその本当の目的は、遭難した船をおびき寄せ座礁させるためものであった。
口減らし、年季奉公という名の身売り、死を意味する山追いなど、一般庶民がまともに食えない時代である。遭難船は「お舟様」と呼ばれ、村にとって恵みをもたらす一大慶事であった。前年に、大量のコメを積んだ「お舟様」によって潤った村が、2年連続で新たな「お舟様」を迎えた。しかし、船には積荷はなく、20数名の乗船者は皆一様に、謎の赤い布を身に付けて死に絶えていた。村長はその着衣を村民に分配する。しかし「お舟様」は村に絶望的な厄いをもたらす事となる。

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2023年10月07日

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ある漁村に伝わる「お船様」。嵐の夜に近づく船を座礁させその積荷を奪い取る異様な風習。犯罪だが村が生き残るために必要なこととして描かれる。現代でも組織内のルールに基づくものの、世間ズレをした倫理なき問題が起こる。閉鎖社会の怖さを感じる作品。

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2025年05月31日

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家族を売り、食物も育たず僅かな海産物だけで生活をする極貧の漁村。彼らには独特な風習があった。

荒天の暗夜、海岸で火を焚き、難破船を誘い込み座礁させ、十数年ぶりの「お船様」に潤う漁村。
翌年も難破船が来て歓喜する村人達。しかし、「お船様」に積まれていたものは厄災だった。。。絶望に絶望を重ねるラスト。


この貧困ゆえの風習は私のご先祖様が経験したことなのかもしれない。
脚色はあるにせよノンフェクションとはそういうことで、だからこそ重みがあり受ける衝撃が大きかった。
普段SFやミステリーを読んでいる方に、箸休めで是非読んでほしい。

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2025年05月17日

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すごい本でした。
貧しい生活の中で、ひたすら指導者や母の教えを守り一生懸命に生きようとする主人公を、
どうか幸せに、どうか豊かになってくれと祈りながら読みました。
苦しい生活なのに、自分の仕事を投げ出さず、目の前の仕事に取り組もうとする主人公の心の持ちようや行動に感心しかなかった。
読み終えてぐったりしたけども、読めてよかった。

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2025年05月12日

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他作品でもそうだが、なぜここまで細かく描写できるのか。200世帯弱の小さな集落での独特な文化に読みながらどっぷり浸かってしまい、早くお船様とお父さんが来るように願ってしまった。

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2024年09月25日

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なんかもうずっとつらいのよ。大自然のペースに合わせてしがみつくような生き方とか、村ぐるみで犯罪を隠したりしてるとか。お船様で一時は生き延びられるかもしれないけど、それが永遠ではないってわかってるところとか。
それでも好きな娘との淡い交流とか、漁の腕前が上がったとか、友人との関係が穏やかなものになっていったりとか、きらめく瞬間がある、あったのにさぁ~~…

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2024年04月16日

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一人前の漁師/大人になるという自覚が芽生え始めた少年が主人公。出稼ぎ(身売り)により父が不在の三年間を描く物語。

読み進めて早い段階から、自然現象に左右される寒村という共同体の、心細さと危うさが重くのしかかり息苦しさが続く。それでも、主人公が徐々に成長して生活は安定に向かうのかと思った矢先、ついにお舟様が到来し、寒村の日常は狂い始め、あまりにも悲劇的で無情な幕引きへ。

村人の自死シーンでサラッとギョッとすることが書いてあったり、村人達の犯す大罪がテキパキ機械的に進んだり、文体/描写はかなり淡々としていて、だからこそ抵抗できない暴力の怖さ不穏さを強く感じた。一方で、クライマックスの母の健気な強さには胸を貫くような切なさがあり、あわや落涙するところだった。
230ページとは思えないくらいズシンと重厚/濃厚な一冊。

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2023年11月10日

Posted by ブクログ

会社の先輩からお借りした一冊。

この作者の本は、漂流から2冊目かな?
漂流もこの先輩からお借りした本だった。

漂流もリアリティ溢れ、臨場感が半端ない小説だったが、この本も凄い!
目の前に情景が現れる。自分がその村に迷い込んだような錯覚を起こす。

すっごい惹きつけられる小説なのだが、常に恐怖感が付き纏っていた。

何処か不気味で、何かに怯えながら読んでいた気がする。何に怯えていたのかは、読み終わった今も謎だけど(^◇^;)



北の海に面した、貧しい村が舞台となる。
痩せた土地には雑穀しか育てたない為、村民は鰯やイカ、タコ、秋刀魚などを採り、隣村まで売りに行き、穀物と交換してギリギリの生活を送っていた。
いや、ギリギリ以下の生活だったのだ。

そんな村だが、冬の海が荒れ狂う頃、貨物を乗せた船が座礁し、荷を村民で分かち合うことができた。
それはお船様と呼ばれ、村民はわざと天候の荒れる日に塩を作るために火を起こし、船を村の方へ誘い込むのだった。

そんな村にある日災が起こる。。。

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2023年09月25日

Posted by ブクログ

 「破船」は2022年の本屋大賞の「超発掘本!」選ばれた本でもあります。本屋大賞の「超発掘本!」とは、ジャンルや刊行年を問わず今読み返しても面白い本が選出されるものです。
 日本海沿岸の閉鎖的な貧しい寒村。土壌が痩せて作物もうまく育たず、魚介類もその場しのぎ程度の漁が精一杯の土地。村人たちは近海を通る貨物船の船荷をあてに座礁を祈る。
 生きることがこんなに苛酷だとは...。ちょっと気分が暗くなってしまいますが、海外でも広く評価され、多くの国の言語に翻訳された作品でもあります。

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2023年09月17日

Posted by ブクログ

 帯に「本屋大賞超発掘本!」とあったので、気になって買ってみた。
 貧しい生活の村で、幸をもたらす「お船様」。簡単に言うと荷を多く積んだ商人の難破船のことだが、難破船をあえて呼び込むための方法もこの村には伝わっている。
 これを読むと人々の生活は誰かの犠牲の上に成り立っているのだなということが実感される。
 しかし、難破船が必ずしも幸のみをもたらしてくれるものではなく、時には災厄ももたらしてしまう。因果応報と言ってしまえばそれまでだが、そうでもしないと生きられない厳しい環境下に置かれた人々の苦しさもある。
 かなりのパンチ力を持っている作品。

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2023年08月12日

Posted by ブクログ

時代背景・地域不明、作者の作品群で異色なドキュメンタリー風小説。
200pと控えめなボリュームながら、貧しい漁村の哀しい運命が過不足無く描かれる。
個人的には、『漂流』を生み出した作者が、漂流者を餌食とする本作を描く事にとてつもない作家意欲を感じる。

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2023年08月04日

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暗い物語であった。

僻地の漁村で日々を生き抜く三年間を、一人の少年を通して語った「破船」。
農作は期待できず、季節ごとの漁労で糊口を凌ぐ生活。その暮らしの中、唯一の僥倖が難破船の訪れ。その船の積荷を奪うことが、稀に見る豊作と同様。ただ、積荷の略奪であるために、難破船の船員が生きていても、殺して口封じをするという残酷さが、村全体の共通の認識として受け継がれている。

生きて行くために。生きるという目的が優先されるは「人」でなく「村」。「村」の存続が第一であり、そのためには個人の意志は破棄されるべき。という思考が隅々まで行き渡っている様は、過酷であり悲哀しかない。それが何よりも象徴されるのが、物語の終盤。難破船から広まった天然痘で村が壊滅級の被害を受けた後。
指導者自ら「村」のために命を擲つ覚悟を示し、皆それに諾々と従う場面。

この場面で、根本的に違う価値観の生活があったのだな、という恐怖を感じました。あらすじ時点では、パンデミック下での限定環境での混乱が描かれてゆくのだろう、と予想していたのですが、違いました。
村人たちに混乱は起きず、ただ運命として受け入れるしかないという諦観。もちろん、疫病が終息した後の生活に対して、不安を覚えたりはするのですが、それはもうそういうものであって、なるようにしてゆくしかないという感覚。決意のない覚悟は、無力感と喪失感がすごい。
日々の描写で、喜びや希望がないわけではないのですが、その個人の感情は「村」という存在を超えてあることはできない、という刷り込みのような思考に塗りつぶされていってしまいます。

どこまでも、暗さがつきまとう物語であったよ。
最終盤、奉公から帰郷した父の姿を見て、少年は何を叫んだのか。
希望、喜びであった帰郷が、絶望と悲嘆の入り口であるのだから。思考や感情というものではなく、ただただ体の内から漏れ出たものだったのだろうなぁ。
そして、この「村」の暗さは続いてゆく。この僻地で暮らして行く限り、不幸の大小はあれど、続いてゆく。

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2023年08月03日

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極めて悲劇的。貧しい村の暮らしを丹念に描くことで、船が来て欲しいと読者に思わせる手法がすごい。短いながら読み応えがすごい作品。名作!

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2023年07月21日

Posted by ブクログ

貧しく農業がほとんどできない漁村が、冬に火を焚いて、北前船を誘導し、暗礁に乗り上げさせ、座礁した船を襲って、乗組員を惨殺し、積み荷と船の材木を盗むことによって生き延びていた。
ある年、近隣の村で天然痘にかかった患者たちを村から追放するために載せて漂流させた船が座礁したので、商船と間違えて襲い、船に残っていた死体がつけていた衣服を、剥いで、村中で使ったために、村に天然痘が流行し、死者が多数発生する。
この小説は、このような悲劇を、やっと大人になりかけた9歳の男児の視線で描く。

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2025年06月22日

Posted by ブクログ

生きるために必要だけど、公にはできない、こと。
共同体の中での秘密。
寒い中、なんのために、っていう気持ちでの火おこし、から理由を聞いてから、さらに体験してからの気持ちの違いが同じ作業に対しても違って。
喜びと厄災と。
この後少人数の村人が気持ちを抱えつつも、結局同じような生活を繰り返すんだろうなと思うと、不思議。

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2025年02月22日

Posted by ブクログ

起こったことを丹念に積み重ね、感情を押し殺した文体。飽食の今では考えられない、食料事情。母のことば「人間には、心のたるみが一番恐ろしい。」
「物というものは、いつかはなくなる。恵まれている時にこそ気持をひきしめなければ、必ず泣かねばならぬようになる」
そうは言っても、知らないことは不幸な事でもあり、感染症は防げない。平穏な幸せは長くは続かない、ドラマも、人生も。

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2023年05月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

戦慄の感染症パニック時代小説(なんだそりゃ)。長引くコロナ禍に読み、ぞくぞく。
最近、近未来のディストピアっぽい小説を読んでたけど、昔の貧しい時代の方がよっぽど地獄だなと思う。

惜しむらくは、農村にしては口調が農民ぽくなくて、ちょい違和感が。昔の農民や侍の語り口とか、知らんけども。
あと、最後にいろいろ種明かしする老人いたけど、そんな詳細に覚えているならもっと早く気付くのでは?と思ったり。

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2023年04月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

はるか昔、僻地の貧しい漁村で行われていた、往来船を座礁に導き積荷を奪うという、ほかには言えない風習。
それが巻き起こす悲劇を描く。
そんな風習をもつコミュニティだからこその結束と、世帯ごとライバルのように漁を行う姿が印象的だった。
淡々と重苦しい雰囲気で進む物語だが、読み辞めたくならない不思議な小説だ。

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2023年09月25日

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