吉村昭のレビュー一覧

  • 事物はじまりの物語

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    ネタバレ

    「解剖」から「万年筆」まで、13の事物について、日本に広まっていった経緯が簡単に解説されています。著者は有名な歴史小説家ですが、自信の想い出が織り交ぜられていて、単なる雑学本ではなく上質なエッセイとして読めます。西洋料理は当初は日本人には不評だったという点と、薩摩藩の西洋式帆船が日本国旗の起源だという俗説を訂正している点が、特に印象に残りました。

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    2025年01月27日
  • 大黒屋光太夫(上)

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    紀州から江戸に向かうはずが嵐に遭い遠くロシアまで漂流した商人、大黒屋光太夫。極寒の地を仲間とともに旅し、ロシア人の支援も受けて帰国を目指す。
    絶望からキリスト教徒に宗旨変えする仲間も出るなか、ひたすら帰国を信じる彼の姿は映画「ショーシャンクの空に」の主人公に重なる。深い教養やロシア語を身につける知性も武器に、細い糸を辿るように帰国への道を切り開いていく。
    吉村昭は華美な形容に走ることなく、淡々と彼らの
    漂流の旅を綴る。過酷な船上生活に極東の凍える寒さ、仲間と生き別れるつらさ…余計な形容を省いた描写が読者の想像をかき立てる。
    自分なら光太夫のように過酷な運命に立ち向かえるだろうか?異国の人々をも

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    2025年01月08日
  • 漂流

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    非常に面白く惹きつけられた一冊。
    ジョン万次郎も難破して辿り着いたのが、同じ「鳥島」だったのを思い出した。
    個人差にもよるが、人間は志と体力、知恵でこごまで生き延びることが出来るのかと感慨深い。
    鳥島でアホウドリが飛来しなくなったらどうなるか怖くなった、自然頼みの命だ。
    長平は人間的に最高の人物、すごい人生だ。

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    2024年12月25日
  • 雪の花

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    天然痘、今のようにワクチン接種などによる予防策がない背景では、種痘するという行為が怖かったと思います。
    ネットもない時代では、口コミのような伝わり方が主で、途絶えさえないことへの執念は素晴らしいことです。
    雪山を越えるシーンは、何とか助かってほしいと願いながら、読みました。
    映画化されるとのことで、楽しみです。

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    2024年12月18日
  • 破獄

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    戦前から戦後の刑務所の設定だが、まるで現代かのように時代を感じさせない。
    刑務官の仕事は大変だ、敬意を持った。
    無期刑囚の佐久間が、彼の持つ頭脳と強靭な体力を犯罪で使わずにいたら、相当優秀な人物として有名になっていただろうと思うと悲しい。
    鈴江府中所長にもっと早く出会えてたら、佐久間は4回も脱獄しなかっただろう。

    引き込まれるように読みふけった1冊でした。

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    2024年12月15日
  • 漂流

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    実際に会った出来事として、信じられないと感じました。人間の生命力に感動しました。人は希望を捨ててはならないという事が、とても大事と感じました。

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    2024年12月14日
  • 闇を裂く道

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    確かに帯にあるとおり『高熱隧道』をしのぐおもしろさ。驚くのは鉄道省と国鉄の人事異動の多さ。こんな大工事してんのに所長や責任者がポンポン代わる。水を失った農民に最後まで向き合った静岡県庁の柏木さんが一番偉かった。

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    2024年12月10日
  • 冬の鷹

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    ネタバレ

    前野良沢、杉田玄白それぞれの特性・性格が反映された人生が描かれており興味深く読んだ。

    良沢の執念、玄白の社交性と統率力。両者どちらが欠けても解体新書は世に出版されることはなかっただろうと思った。
    良沢は玄白の祝いの席にも出席したのに、いくら性格が合わず、後ろめたさがあったとはいえ玄白が良沢の葬儀に行かなかったのは不義理だと感じた。

    個人的に好きな場面は老いて隠棲していた良沢を娘の峰子が迎えに来た場面。冬の鷹とはまさしく前野良沢のことだと思った。

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    2024年11月25日
  • 冬の鷹

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    解体新書の訳者は杉田玄白ではなかった、とこの本の概略について事前情報を得ていたので、杉田玄白はとんでもないやつだった!という内容なのかと思って読んでいたが全く異なっていた。
    私は良沢に共感する心と玄白に共感する心の二面性があり、どちらが自分にとっての幸せが掴める生き方なのだろうかと考えながら読んでいた。

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    2024年10月22日
  • 冬の鷹

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    教科書に載っている皆がしっている歴史の事実を、タイムスリップして覗き見ができた感じ。教科書ではわからない、そこに生きた人の性格や生き方に触れることができて面白かった。

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    2024年09月25日
  • 遠い日の戦争

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    八月は戦争関連の本を読む月間。

    太平洋戦争末期に北九州をB29による無差別爆撃で大量の市民を殺戮し、その後撃墜されて俘虜となった米軍兵と、その俘虜を斬首処刑した日本軍人。
    日本人が倹しい生活に苦しむ中、爆弾投下で大量殺戮をした米軍兵が収容所でぬくぬく暮らしていることに憤りを抑えられず個人の感情で斬殺するが、米軍兵が最後に残した愛する人の名前を呼ぶ声が耳に残る。果たして正義とは、戦争とは何か。

    戦後、連合国から戦犯として処刑されることを逃れるための逃亡劇は重苦しい、吉村昭の世界。

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    2024年08月14日
  • 漂流

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    ネタバレ

    ・あらすじ
    1785年、土佐藩の船乗り長平は悪天候と黒潮の影響により3人の船乗り仲間とともに無人島にたどり着く。
    そこは土佐から700km離れた鳥島という場所だった。

    食物も育たない活火山の岩山で雨水をのみ、アホウドリを食べ心身ともに極限状態の中を生き抜き生還した長平の12年間。

    ・感想
    さすが吉村先生、面白かった。
    江戸時代の奉行所の公的文書でしか残されていない漂流者の記録から、壮絶なサバイバル生活を綿密な取材と想像力で描写してた。
    淡々とした文章ながら、いや、だからこそ厳しく牙をむく自然が恐ろしく感じたし、絶望、孤独感、諦観などの人間の心理に納得させられた。
    手に汗握る展開もありするす

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    2024年08月12日
  • 雪の花

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    天然痘の予防のために種痘を広めた町医者の鬼気迫る命を繋ぐ戦いの記録です。

    ワクチンの考えがなかった日本にこの予防法が受け入れられるには大変苦心したと思います。自分の職場にもインフルのワクチンでも拒否反応のある人もいますし、気持ちが分からなくもないです。

    それにしても電車も車もない時代の雪山越えの凄まじさ!命懸けです。かなり後半になってもなかなか種痘法が受け入れられず、やきもきしました。私が車出してあげたい!と何度も思いました。

    子供たちが死んで大八車で運ばれていく列を見るのはもう嫌だと自分の命を削っても助けたい思う優しさが本当に泣けます。7日置きに種痘するって大変すぎじゃない!?

    自分

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    2024年08月02日
  • 高熱隧道

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    ネタバレ

    ・あらすじ
    昭和11年8月中旬、日本電力株式会社は黒部第三発電所の建設を開始した。
    豪雨、豪雪、急峻な崖。
    人を寄せ付けない大自然を相手に、欅平から仙人ダムまでの約6キロの隧道工事に命をかけた男達の話。

    ・感想
    超絶面白かった…!!
    立山黒部アルペンルートに旅行へ行く前に工事が過酷を極めたという黒部ダムとかその辺りにある発電所の背景でも知っとくか〜くらいのテンションで読み始めたんだけど、面白すぎて(内容的に面白いと言ってしまって良いのか分からないけど)あっという間に読み終わった。
    (作品はクロヨンでも黒部ダムでもなくそれより前の黒部第三発電所建設時の話)

    ずっーーーと「昭和11年っていつよ

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    2025年03月19日
  • 破船

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    小さな村で過ごす少年の3年が書かれている。
    魚をみろ、魚でさえいつも体を動かしている、と口癖のように言う母。お金のため3年の奉公に出た父。お船様からの恵みがなければまともに食べていけない貧しい村。
    少年が成長していく描写が多いにも関わらず、いつこの日々が崩れるのかという緊張感や悲しさが終始漂っており、小さなお船様が来た時には、こうなるだろうと頭では分かっていながらハラハラした。
    悲しい物語と銘打たれている小説より、毎日を淡々と、感情さえも淡々と書かれている方が一層悲しく思えることもあるものだと思った。

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    2024年12月02日
  • 高熱隧道

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    戦時下での黒部ダム建設の過酷な労働状況を読み進めながら、働くという行為に向かう気持ちには共感できる場面が多かった。同時に、いとも簡単に人命が失われる、現代との著しい相違にも驚愕した。毎日当たり前のように使っている道路、橋、水道などの社会基盤を届けてくれた先人達に、感謝しなければならないと思った。

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    2024年07月13日
  • 漂流

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    ネタバレ

    一気読み、ドキドキ面白い。作者の調査と想像力がすごい。漂流し無人島での生活等が描かれる。無人島で何もすることもなく無気力に過ごし、仲間たちが精神や身体を病む様子は現代人への戒め様にも感じてしまう。主人公の長平は前向きかつ島暮らしを達観し修行僧のよう、他の漂流者とともに大自然相手に難しい仕事に取り組むことで生活にハリが出て長い時間をかけ未来を切り開く。これが実話に基づいていることが恐ろしい。

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    2024年07月02日
  • 星への旅

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    感じたことや印象をうまく言語化するのが難しい本。しかし、この難しさが確実に自分の心の襞になった作品。
    死に結びついた歪な欲望、執着。ここでの死はセンチメンタルなものでなく、生物が死体という物体になるという、物的なものとして描かれている。死がそのようなものとして描かれているから結局欲望や執着は無意味なもののように感じられる。表題作の「星への旅」で描かれる無動機な自殺は、このような死の即物的な側面を顕著に表していると思う。

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    2024年06月30日
  • 魚影の群れ

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    うちは今、けっこうな田舎にあって、この前、2、3日うちを開けたら、ネズミかハクビシンか、アナグマが天井裏に住みついてた。というか東京に住んでた時も、防災用のビスケットがネズミにやられて、そこはあんまり田舎関係ないかも。前に虫に詳しい友達が言ってたんだけど、害虫を家に入れないためには、たえず「ここは人間のテリトリー!」とアピることが大事らしい。なので天井は、クイックルワイパーでドスドスつついてがんばった。ケーブルかじられて火事とか怖いし。人間さまの尊厳ってないね。虫やハクビシンとタイマン張らないと、家も守れない。

    よく「自然を守ろう」とかって言ったりするけど、自然って、ちょっと気を抜くと、自分

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    2024年06月21日
  • 高熱隧道

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    起承転結ならぬ転転転結で読む手が止まらない
    昔の日本人の体力は凄いものだったんだと感心させられた
    地道な作業の積み重ねと人夫達の汗と涙と命で不可能と思われる高熱隧道が完成した
    黒部ダムへ行きたくなったし行きたくない気持ちも同時に出てきた
    そのくらい凄い本だった

    実話なのよね…すごい

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    2024年06月07日