吉村昭のレビュー一覧
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購入済み
教訓
「天災は忘れた頃にやって来る」という言葉がありますが、私も含めて今住んでいる場所にかつてどのような災害が有ったのかを調べて準備していた方は多くなかったのでは無いかと思います。自らの身に降りかからなければ、実感することは出来なかった多くの事。幾度となく繰り返される災害に対し先人は伝えようと石碑等を残していましたが、時が立つにつれてそれを意識する人は少なくなりまた多くの人が同じ様に被害を被る。とても残念なことです。現代は過去よりも映像等も含めて伝えていくことが容易になっているかと思いますが、それをどの様に受け止めて備え、起こった時にどの様な行動をするかで運命が分かれるのではないかと。
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Posted by ブクログ
紀州から江戸に向かうはずが嵐に遭い遠くロシアまで漂流した商人、大黒屋光太夫。極寒の地を仲間とともに旅し、ロシア人の支援も受けて帰国を目指す。
絶望からキリスト教徒に宗旨変えする仲間も出るなか、ひたすら帰国を信じる彼の姿は映画「ショーシャンクの空に」の主人公に重なる。深い教養やロシア語を身につける知性も武器に、細い糸を辿るように帰国への道を切り開いていく。
吉村昭は華美な形容に走ることなく、淡々と彼らの
漂流の旅を綴る。過酷な船上生活に極東の凍える寒さ、仲間と生き別れるつらさ…余計な形容を省いた描写が読者の想像をかき立てる。
自分なら光太夫のように過酷な運命に立ち向かえるだろうか?異国の人々をも惹きつける人間的魅力を備えているだろうか?光太夫の強さにただただ感嘆するばかりだった。 -
Posted by ブクログ
天然痘の予防のために種痘を広めた町医者の鬼気迫る命を繋ぐ戦いの記録です。
ワクチンの考えがなかった日本にこの予防法が受け入れられるには大変苦心したと思います。自分の職場にもインフルのワクチンでも拒否反応のある人もいますし、気持ちが分からなくもないです。
それにしても電車も車もない時代の雪山越えの凄まじさ!命懸けです。かなり後半になってもなかなか種痘法が受け入れられず、やきもきしました。私が車出してあげたい!と何度も思いました。
子供たちが死んで大八車で運ばれていく列を見るのはもう嫌だと自分の命を削っても助けたい思う優しさが本当に泣けます。7日置きに種痘するって大変すぎじゃない!?
自分の先祖たちも自分もこういう方達のおかげで命を繋いでこられたのかもしれないと思うと、頭が下がります。これは映画化されたら観に行きたいです。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ・あらすじ
昭和11年8月中旬、日本電力株式会社は黒部第三発電所の建設を開始した。
豪雨、豪雪、急峻な崖。
人を寄せ付けない大自然を相手に、欅平から仙人ダムまでの約6キロの隧道工事に命をかけた男達の話。
・感想
超絶面白かった…!!
立山黒部アルペンルートに旅行へ行く前に工事が過酷を極めたという黒部ダムとかその辺りにある発電所の背景でも知っとくか〜くらいのテンションで読み始めたんだけど、面白すぎて(内容的に面白いと言ってしまって良いのか分からないけど)あっという間に読み終わった。
(作品はクロヨンでも黒部ダムでもなくそれより前の黒部第三発電所建設時の話)
ずっーーーと「昭和11年っていつよ…ほぼ90年前じゃん…90年前にこんな人を寄せ付けない大自然相手に大規模工事を行った当時の人々すごすぎ。まじ感謝…ていうか自然恐ろしすぎ…。90年前って思ったより規則とかきちんとしてるんだなぁ」って思いながら読んでた。
高熱断層により166度の岩盤から熱湯が噴き出す隧道工事、危険なダイナマイト作業、襲いかかる大自然。
手に汗握る展開と人間描写が素晴らしい。
そしてあのラストに唸ったわぁ…人夫達の目覚め。
センチメンタルな人間ドラマな描写はなくて、対自然に挑む男達の戦い?(なぜここまでの犠牲を払いながらも工事を進めたのか。)がメインなので変なストレスがなくてそこも読みやすかった理由かも。
わかりやすい悪役がいたりとか、主人公が咄嗟の機転で窮地を脱して万々歳!みたいな作品ではない。
根津とか結構理想的な上司、責任者だった。
「ここで起こったことは俺が許可した、俺に全ての責任がある」的なセリフがあって、職場の責任者のくせに責任とらない無責任役職者とは使命感とか責任感が雲泥の差だなぁ爪の垢でも煎じて飲ませたいと思ってしまったw
好きな登山YouTuberが下の廊下(まさにこの作品の舞台になったルート)を歩く動画を以前みてたんだけど、今回この作品を読みながらその動画を改めて視聴しつつ、地形や位置関係を把握しながら読んでた。
文中に描写されている険しすぎる環境や断崖絶壁のあの場所はこんな感じなのかな?昔は絶対もっともっと危険な道だったはずと想像をめぐらせたり。
そんな場所を開拓し命をかけて工事してた人たちの凄さたるや尊敬しかないよーーー心の底から感謝の念を伝えたい。
まさにこの作品の舞台となったキャニオンルートは本来なら今年開通する予定だったんだけど地震の影響で延期になったので開通したら絶対にこの本を携えていくわっっ。
現代の人間の便利な生活は90〜100年前に現役だった先人達の血と涙と汗によって築かれたものなんだなと実感して改めて感謝しかなかった。
でもそうやって便利な世の中が当然で当たり前になってしまった私たち…黒部ダムにも犠牲となられた方々の慰霊碑があるんだけど色々な思いが胸中を過った。