吉村昭のレビュー一覧
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総員起しは、森史朗の「作家と戦争」で紹介された小説だったので読んでみた。終戦後になって沈没した潜水艦から、死亡した当時のままの姿で発見されたというショッキングな内容が書かれていた。一貫して、吉村昭の小説に描かれている死に際の内面に迫っていく手法なだけに身に迫る怖さがある。ここには、「手首の記憶」など短編5編が掲載されているが、あっと言う間に読み終わってしまったという印象である。中には、吉村自身が「私」はという主語で論じるスタイルもあり、面白い。ストーリーの構成としては、ショッキングな場面から始まり、そこに至る事実経過や取材の場面が書かれ、最後に、タイトルともなっている出だしのキモの部分に焦点が
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吉村氏ならではのノンフィクション小説。今回は戦後、世界発の胃カメラを実現した話。オリンパスの技術者と東大医研の先生との協同研究の顛末については、かつてプロジェクトXでも取り上げられていたが、別の視点からの事実ベースの小説で、非常に引き込まれた。短い記述ながら、技術的にはまってしまい苦悩する様子がありありと浮かぶ。当時のなんでもありの風潮もあったろうが、彼らの一途な指向に驚嘆する。残念ながら今、こんなかたちで開発のできる技術者は国内には存在しえないかもしれないが、思想、発想、そして哲学は継承されうる。とても臨場感があり、今後のためにも読んでおくと良いと思えた本であった。
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ライト兄弟が世界最初の飛行機を飛ばす十数年前、独自の理論を構築し”飛行器”の完成を目指した二宮忠八の生涯を描いた歴史長編。
吉村さんの作品でやっぱりすごいなあ、と思わせるのは綿密な取材に基づいた描写です。今作でもそれがいかんなく発揮されていて、忠八の生涯はもちろん、彼の人生のターニングポイントとなった日中戦争での調剤士としての従軍体験、軍から離れ製薬業界へ飛び込む様子。そうした折々のポイントが当時の世相や社会情勢の描写と共にしっかりと書き込まれています。
卒論をちょくちょく書き始めている自分にとって、お手本にしたくなるくらいに詳しく、それでいて簡潔な文体で書かれています。ただ調べたこ -
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講釈師の瑞龍は幕府を批判する講釈を読んだ廉でしょっぴかれ、島送りの沙汰が下った。大坂は開放的な街だったが、ちょうど享保の改革に当たり、見せしめみたいなものだったようだ。船で種子島に送られた。
島の暮らしは比較的自由で、海辺で貝拾いをしたり魚釣りをしたりした。ある日一緒に預けられている罪人二人とよそ村身体訪ねてきた者と四人で釣りに行った。ちょうど丸木舟がもやってあったのでちょいと拝借し沖釣りをした。浜で釣るより各段によく釣れた。
ところが途中で一人がこのまま島抜けしようと言い出した。宛てなく漕ぎ出したが、途中時化にも遭い十五日後に着いたところは清国の島であった。
何とか日本行きの大 -
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戦争にまつわる実話を基にした5つの短編小説。
もう、ずーっと読みたくて、古本で探しても見つからず1年。我慢できずに新刊をお取り寄せしました。読んで良かったです。戦争の悲惨さ、当時の人の思い、傷跡…。あくまで、「実話を元にした小説」なのでしょうけれど、Wikipediaなんかで調べただけではイメージ出来ないいろいろな情景が胸に迫ってきます。とても読みやすい小説で、引きこまれました。
『海の柩』
北海道で大量の水死体がある村に流れ着いた。その中に、手・腕のない死体が多く紛れていた。
『手首の記憶』
南樺太で起きた、看護師の集団自決。数名の看護師以外は一命を取り留めたが、彼女たちがその後背