吉村昭のレビュー一覧

  • 深海の使者

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    太平洋戦争開戦直後に、帝国海軍はインド洋にて様々な軍事作戦行動を敢行したようです(コロンボ空襲、マダガスカル島攻撃、インド洋での通商破壊作戦等)。その中の一隻(潜水艦)が、インド洋から喜望峰を廻り(悪魔の南緯40度を超え)、大西洋に出てドイツ軍の軍港を目指し、無事に到達をしたという。帰りも英軍等の追跡を躱して大西洋を南下、喜望峰を廻り(再び悪魔の南緯40度を超え)、無事にマレーシアのペナンに戻っている(その後、事情を知らない大本営命令によりシンガポールに回航され、機雷に触れ沈没)。戦争中に五隻の潜水艦が日本(呉)から欧州を目指し、3隻が無事に欧州に到達、そして呉に無事に戻った潜水艦は1隻あると

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    2024年12月26日
  • 天に遊ぶ

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    見合いの席、美しくつつましい女性に男は魅せられた。ふたりの交際をあたたかく見守る周囲をよそに、男は彼女との結婚に踏みきれない胸中を語りはじめる。男は、独り暮らしの彼女の居宅に招かれたのだった。しかし、そこで彼が目撃したものは……(「同居」)。日常生活の劇的な一瞬を切り取ることで、言葉には出来ない微妙な人間心理を浮き彫りにする、まさに名人芸の掌編小説21編。(裏表紙)

    小説だけじゃなく、著者の取材紀行や過去の話など、わりとヴァラエティに富んでいる短編集。
    久しぶりに読んだけど、やっぱり面白い。未読の諸々を探したくなってきた。

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    2024年12月23日
  • 高熱隧道

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    ネタバレ

    圧倒する自然と人間との戦いの記録。
    ダイナマイトすら自然発火で爆発してしまう高熱な環境と、最後の人間の持つ冷たいまでの感情の余韻がすごかった。

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    2024年12月22日
  • 仮釈放

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    思ったより面白かった。
    前半は心理描写もそこそこにさくさく話が進んでいくので、薄っぺらくない??と思っていたが、具体的に自身の犯行を振り返るシーンが出てきてからは深みが出てきて面白かった。
    やはり、自分の犯した罪を心から悔いて反省するというのは、人間にとって難しいことなのだと思う。
    なのに主人公は抑制的で振る舞いも模範的だから、周りは(判決も!)「こいつはちゃんと反省している」と思いこんでいるのが興味深い。
    そしてそのすれ違いが悲劇を招くというのは、「罪を償う」ことをめぐる本質をついているような気がする。

    人を殺したときが逆上ではなく、逆に「感情というものがすべて欠落していた」「得体の知れぬ

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    2024年12月14日
  • 三陸海岸大津波

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    明治29年と昭和8年に三陸沖大震災が起きている事が、はっきりと理解できた。時が過ぎると、人は同じ過ちを起こす事も理解できた。

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    2024年12月14日
  • 漂流

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    ネタバレ

    漂流した人の話などは、テレビやネットで見る事があったが、本で読むと想像も膨らみ過酷な状況下だと言うのが詳細に知れた。

    目標を見つけた時の頑張る気持ちは、今の時代にも共感でき大事な事だと思った。

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    2024年12月10日
  • 敵討

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    「ぜひ読んでもらいたい。」と貸してもらうが、時代ものは慣れていないので少し読めない気もしているが、チャレンジして読んでみよっと。

    最初は、ただ慣れない時代小説に苦戦。
    無になって読んでみようと、必要以上に理解することを諦めて読んでみた。
    淡々と事実が書き込まれているのに、その事実が辛い。
    敵討…
    そのシステム?が侍魂が、恐ろしいとおもってしまう。
    時代によって価値観ざにが全然違うんだなーと、読み終わってから、なんとも、いえない気持ちになった。

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    2025年07月10日
  • 桜田門外ノ変(上)

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    登場人物が多く読むのに苦労したが、歴史はそれほど多くの人間が関わって動くものという表れだと思った。
    揺らがない信念を持つのは難しい。自分が水戸藩士だったらきっと大人しく幕府に従っていたと思う。

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    2024年11月25日
  • 戦艦武蔵

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    終始、客観的な視点で物語が進むせいか「何でこんな馬鹿なことをしたんだろ」という感想がまず初めに湧いた。
    冷静に後から振り返れば、とてつもない大きな船を造ることには人員もコストも材料も膨大なものになるし、出来たら出来たでまた人員や燃料が必要になり、挙げ句の果てに航空機からの格好の的になって総攻撃を浴びて沈没するという悲惨という他ないプロジェクトのように思えた。

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    2024年11月22日
  • 戦艦武蔵

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    漁網に使う棕櫚の繊維が誰かに買い占められたことを書き出しに使うのがプロの技。いや、取材の賜物というべきか。
    尋常ではない巨大戦艦を造るための苦悩や苦心を書く前半が本書の面白いところ。
    だから、竣工した武蔵を海軍に引き渡した瞬間に部外者にとなって、呉工廠を後にする三菱造船所の面々というシーンまでがあれば本書は十分だと感じた。

    まあ武蔵の生涯という意味では就役後、撃沈されるまで書かないと落ち着かないというのはわかるが。

    そして、設計図を焼いてしまったN太郎の話はやっぱり考えさせられる。
    選ばれて極秘任務に抜擢されたものの、最年少なので下働きしかさせてもらえず、その間に同期生は仕事を覚えていく。

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    2024年11月11日
  • 新装版 間宮林蔵

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    前半の樺太の測量は、鬼気迫る情熱、意志を感じます。
    後半は、隠密として、江戸末期の混乱と革命前夜の様子を知る事が出来ます。

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    2024年11月04日
  • ポーツマスの旗

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    日露戦争の講和交渉の末、ポーツマス条約が結ばれたが、国民からは評価されず。ロシアが日本に対して一切の賠償金を支払わず、領土については、日本軍が占領していたサハリン島のうち南半分を日本の領土とし、ロシアが有していた中国東北部の権益は日本に譲渡される、という内容だったが、死傷者総数20万人以上という犠牲と、戦費負担のための金銭的の国民の我慢が報われないと感じられたからだ。そのため、東京では講和に反対する市民によって「日比谷焼打事件」と呼ばれる暴動が引き起こされたという、これは歴史の教科書にも書かれる内容だが、本書は、ここに至る経緯に迫る。

    小村寿太郎や金子堅太郎の活躍がよく分かるが、特に金子の胆

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    2024年10月22日
  • 破獄

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    相変わらずの丁寧な調査に基づいており、時代背景やその当時の刑務所の環境も理解でき、興味深かった。太陽政策が全てにおいて通じるかは疑問だが、心を閉ざしている人に寄り添う姿勢は学ぶところがあると感じた。

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    2024年10月19日
  • ニコライ遭難

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    ”開花”を迎えようとしていた”まことに小さな国”。北方の大国の皇子来日は国を挙げての大イベント。長崎、鹿児島、京都と旅程は順調に進むが、事件は大津で起きてしまった。国家存亡の危機の騒ぎとなる中、法を捻じ曲げてでも死刑を適用すべきと圧力をかける行政。だが、司法は筋を通す。その後、賠償も請求されず、事は平穏に治まる。治外法権の解消。この決断も”開花”の一躍を担った。…頂点を極めたバブル。その崩壊後の衰退が止まらないこの国。モリカケ桜に裏金問題。忖度を思わせる数々の司法判断。いつのまにか筋が通らなくなっている。

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    2024年10月12日
  • 漂流

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    やめられなくて一気読み!

    無線も海図もなかったころの遭難は
    死と直結してたんですね。

    普通の若者、長平が
    いつの間にか遭難者たちのリーダーのような存在になる頼もしさも。

    いつも念仏を唱えている姿が印象的でした。

    高井有一さんの解説も読ませる。

    吉村昭先生の作品、
    やっぱり惹かれます。



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    2024年10月03日
  • 新装版 白い航跡(上)

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    たった200年以内の間でここまで医療が変わったのかと驚いた。移り変わりがこんなにも激しい中、医師いるのは今よりも大変だったんじゃないかなと思った。何歳になっても勉学に励み続けている姿、日本だけでなく海外でも1人の医師として大きく貢献しているのが本当にすごいと思った。
    漢方医、蘭学医、イギリス医学、ドイツ医学と日本の医学が良くなるようにと移り変わったのがすごい
    海外で日本人として恥じぬように勉学に励む姿、そして結果しっかりと残すところも見習うべきところがあると思った

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    2024年09月27日
  • 破船

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    他作品でもそうだが、なぜここまで細かく描写できるのか。200世帯弱の小さな集落での独特な文化に読みながらどっぷり浸かってしまい、早くお船様とお父さんが来るように願ってしまった。

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    2024年09月25日
  • 高熱隧道

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    トンネル工事の過酷さを知るだけでなく、自然を相手にするインフラ工事の難しさに想像を膨らませることができた。「死ぬ気で働く」とは言葉で言うのは簡単だが、本当の生死のはざまで働く現場監督や技師たちの想いや生き様に感銘を受けた。
    私事だか、父がゼネコンで働き、これまで国内外のトンネル工事やダム建設、道路工事などのプロジェクトに関わっている背中を見てきたが、改めて貴いことだと感じた。

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    2024年09月16日
  • 大黒屋光太夫(下)

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    『ロシアの風土は、自分たちの体になじめず、生きる力を奪い取る。そのために出来るかぎりの努力をしてきた』

     やはり、一つの山場は三度にわたる帰国願いだろうと思われた、それはこれまでロシアに漂流してきた日本人が誰一人として帰国できなかったという事実が、何よりも「大黒屋光太夫」らの心を重くさせながらも、温暖な伊勢育ちの彼らにしたら、ロシアの寒さは尋常でないことを悉く肌で痛感させられてと、まるで板挟みのような苦行を長いこと味わい続けた末の帰国不許可には、人間としての当然の権利を剥奪するものだと、激しい怒りに駆られるのも肯けるものがあった。

     また、そんな状況が死に別れた仲間たちだけでなく、生き別れ

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    2024年09月15日
  • 東京の下町

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    戦前の下町(日暮里/千駄木あたり)の風景。その時代の皮膚感を理解するに最適な書。昔は汚く不衛生でろくでも無いのを実感する。戦後昭和レトロ好き女子を馬鹿にする方は、戦前昭和好きのオジサン(お姉さん)たちをタコ殴りにしていただきたい。

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    2024年09月02日