【感想・ネタバレ】関東大震災のレビュー

あらすじ

大正12年9月1日午前11時58分、大激震が関東地方を襲った。直後に大規模火災が発生、首都圏一帯は一瞬にして地獄となった。絶叫し、逃げまどう人々──飛び交う流言が、自警団による陰惨な朝鮮人虐殺という悲劇をも引き起こす。本書は、地震予知を巡る抗争にはじまり、被害状況、死体処理、被災者のバラック街の様子から糞尿の処理にいたるまで、未曾有の大震災の真実を掘り起こす。20万の命を奪った“天災”と“人災”を浮き彫りにする、菊地寛賞受賞の名作。

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地震後の火災による二次災害が被害を拡大しました。
デマによる朝鮮人の虐殺は集団心理のなせることで、あってはならない恥ずべきことです。
SNSによる拡散にも注意が必要ですね。

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2025年08月17日

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この★5は面白いという意味ではない。極限状態の人間について知れるという意味で読む価値は十分にある。人間の残虐性、自然の残酷さなど知りたくないことを触れる機会となり気持ちの滅入る読書だった。

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2025年07月03日

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関東大震災について,被災,朝鮮人の集団虐殺,警察による社会主義者のリンチ,復興の初期段階,地震学者の葛藤を描いたルポルタージュ.
関東大震災の発生から101年が経過している.「アベノミクス」で経済が崩壊寸前の我が国を,このタイミングで首都直下型地震が襲ったら,もうこの国は持たないであろう.

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2024年05月02日

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吉村昭の小説はいつもながらリアルです。表目的な事柄だけでなく、どのように被害が拡大してひとびが些細なきっかけで凶暴になっていくのかが描かれている。

戦争、震災、パンデミック、天災
いつ起きてもおかしくない。理性を失った時、人はこんなにも簡単に人を殺める。
そのことが淡々と数字を絡めて書かれている。

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2023年09月14日

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今年で関東大震災からちょうど100年。その間にも大きな地震を何度も体験してきた。将来、また大きな地震が起こると言われているが、過去からどれだけのことを学べているのだろう。

本書は、関東大震災の発生前、発生後の様子、それによって起こったデマ、どさくさ紛れに起きた甘粕事件について、まるで見てきたかのような解像度で描かれている。

建物の耐震性は向上し、関東大震災のような被害は多少起きにくくなったかもしれないが、津波への対策などまだ課題はある。また集団心理については、あの頃とあまり変わってないのではないかとも思った。

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2023年08月31日

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100年前に起きた関東大震災の状況を丹念な取材と著者の筆力で当時の惨状が生々しく再現されています。
飛んできたトタンで首が切り落とされた話や火災旋風やデマの恐怖などこれから起こると言われている大地震のイメージトレーニングとしても役立ちそうです

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2023年08月20日

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有名な関東大震災ですが、実際にどうだったのか?というのが克明にわかる小説でした。怖いです。本当に怖いです。よく復興したなあ、と感心するくらい未曾有の災害でした。が、人災の部分も多かったと思います。

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2022年12月30日

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ネタバレ

あまり知らなかった関東大震災のことをしれてよかった。本所被服本廠跡のことは全然知らなかった。朝鮮人のことは、中学の教科書とかにでてたかな?という感じで、学びが多かった。関東大震災から来年で100年。生きてるうちに経験するかもね

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2022年05月09日

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震災の被害は、まるで戦時中の空襲や原爆の時の様子かと思わせる程悲惨で残酷だった。
朝鮮人に対する風評被害も酷く、被災時の恐れが人心を支配し、正常な精神状態でなくなる。将来来るであろう大震災時にどうなるか、不安にさせられた。

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2025年05月19日

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ネタバレ


恐ろしい本でした。描写が時系列で丁寧にまとめられ読みやすかった分、凄惨な場面は読んでて不安や悲壮感を強く駆り立てられました。
地震は圧死よりその後の火事で多くの人が亡くなると聞いた事がありましたが、避難時に持ち出した家財などが更なる延焼の起因なってたのは勉強になりました。
また流言がまるで事実かのように報道され、朝鮮の方など多くの方が亡くなられたのは本当に悲しくなりました。視野狭窄になってるとは言え、排他的行為で簡単に殺人までしてしまう人間の愚かさに更なる震災の恐ろしさを感じました。
震災で亡くなられた方々にお悔やみ申し上げます。

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2025年04月19日

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本所被服廠跡、二万四百三十坪余の広大な避難地で起こった悲劇。三万八千名の死者、多くの大八車に乗った家財等へ四方から火が襲いかかり引火。さらに思いがけぬ大旋風が巻き起こる。全東京市の死者の55%強に達する。大災害を克明に描く大作。

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2025年01月23日

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日本人にとっても不幸な災害であったが、それ以上に異常状態にあった人々の朝鮮人に対する行いはすさまじい。かくも人は簡単に理性を失うものだとつくづく思う。

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2025年01月13日

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著者初読み。歴史ドキュメント。「関東大震災」の存在は知っていましたが、その内実を読んだのは初めて。読むのが辛い場面多々ありますが、知っておくべき。特に流説、デマの類い。危険性は今も同じ。朝鮮人襲撃がこんなにも酷いものだったとは。日本人の「負い目」が恐怖へと変わったとの著者の指摘。なるほど。また、悲惨な状況は日頃規律正しくても人心荒廃させていくという真実。今こそ読むべき本だと思いました。想像すると怖いけど。

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2024年08月24日

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NHKスペシャルで関東大震災の特集を放送した。
積読に成っていた本書を読みながら、テレビで見た映像を思い出した。
火災旋風により、人や物が宙を舞うという。まさに地獄絵図だ。
持ち出した火災道具に火が付き、災害を増加させる。江戸時代には守られていた火災時の教訓が、大正になって守られず、むしろ後退していたとは、愚かなことだ。
朝鮮人への根拠の無い迫害行動など、生々しく綴られていて、憤りを感じた。
パニックを起こした人々が集団心理により、簡単に狂暴化する。
幸い、東北大地震ではこのような事が起きなかった。過去の教訓が生かされたのだろう。
2035年前後には東北大地震の何倍もの威力の南海トラフ地震が、必ず起こると言われている今日。
あの東北大地震を、身をもって実感した自分としては、生きている間には2度と体験したくないものだ。
日頃の備えは大事だ。

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2023年10月12日

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膨大な事実を淡々と積み上げる手法が特に際立つ小説だった。
時代を重ねるにつれ豊かになっていく事の裏返しなのか、震火災への人々の対応が江戸時代より退化していた、というのが印象的だった。

小説の最後で、冒頭のエピソードの続きが始まり、ここで初めて表現された個人の心情が沁みた。

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2023年09月21日

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吉村昭『関東大震災』文春文庫。

関東大震災から丁度100年という区切りの年。我々日本人は、この100年の間に阪神淡路大震災、東日本大震災という2つの震災を経験している。日本列島が大陸のプレートの狭間に存在する以上、これからもこのような大震災を経験するのは間違いない。大切なことは震災への備えと心構えといざという時の知恵、情報であろう。

記録文学の第一人者である吉村昭の菊池寛賞受賞作。

少し前に読んだ江馬修の『羊の怒る時 関東大震災の三日間』では、当時の東京市とその近郊の混乱の状況が生々しく描かれていたが、本作では関東大震災の8年前の前震と思われる群発地震から震災当日からその後の状況までが、様々な視点で描かれている。

最近放映されたNHKスペシャルでも当時の大災害の様子がカラー映像で紹介されていたので、本作を読んでいると頭の中に映像が浮かんで来る。

関東大震災が起きる8年前の大正4年に大震災の前震と思われる群発地震が起きていたのは知らなかった。その群発地震を巡り、当時の地震学者が大地震の予兆か否かで議論しているのも興味深い。

東日本大震災の時も2日前の昼前にM7.3の大きな地震があり、それ以降M6クラスの地震が何度も発生していたことを覚えている。しかし、この時の群発地震が東日本大震災につながることを注意喚起した学者は居なかった。今の科学では地震を予知することは出来ないというのが定説である。


今から100年前の大正12年9月1日、午前11時58分に相模湾を震源とするM6.9の大きな地震が関東地方を襲う。多くの建物が倒壊し、直後に発生した大火災は東京や横浜を焼き尽くし、20万人にも上る多くの死者を出した。中でも最も悲惨な出来事は、大火災は火災旋風を巻き起こし、本所被服廠跡地で3万8千人もの人びとの命を奪ったことだろう。

こうした中、再び大地震が来るとか、大津波が来るなどといった流言が飛び交う。さらには朝鮮人が火を放っている、井戸に毒を入れているなどという流言蜚語は、朝鮮人の虐殺という悲劇を生み出す。


本体価格770円
★★★★

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2023年09月14日

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大震災では、地震による建物の倒壊だけでなく、家財の持ち出しに寄る避難経路の遮断、火災、火災が誘因となる暴風、そして人心の乱れであることがよくわかった。大正の関東大震災では過去の大地震の経験が生かされなかったのである。最近とみに地震を想定した防災訓練なども行われているが、実際どうなったのか過去の事実を知った方が身につまされる。必読の書。2023.5.14

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2023年05月14日

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関東大震災についてすこし詳しく知りたいと思い手に取りました。本所被服廠跡や吉原の悲劇について知り、大火の恐ろしさに戦慄しました。流言や朝鮮人虐殺、大杉栄事件などの章には大災害で動揺する人々が記録されていました。愚かとは思えません。コロナの初期にも様々な噂が流れたのを思い出しました。
吉村昭の記録文学は手堅くしかも読みやすいという点で大好きです。

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2023年04月26日

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焼死や溺死が非常に多い。木造密集の家屋が多く、多くの荷物を持った人が多かったのだろう。
通信の途絶による流言や錯乱が最も恐ろしかった。朝鮮人や社会主義者の虐殺など目を背けたくなる事件の数々が記録されている。

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2022年07月20日

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今現在の東京で大震災が起こっても同じようなことにはならないだろうが、これはタメになる。
この大震災に関しては想像を絶する事態に驚愕した。
地震による建物の圧死者よりも焼死、溺死者が多かったということ。
社会情勢による混乱。
流言による殺人。
復興の大変さ。
報道のあり方。
正確な情報により行動することが大事だと感じたが

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2021年12月01日

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大震災の記録が克明に書かれています。
被害の詳細な数字、混乱の生々しい記憶などあまりにも具体的で身に迫る物を感じました。
時代は変われど、受け継いでいかなければならない内容だと思いました。

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2021年06月05日

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震災の類型では、関東大震災は火災だと教えられる。また、「井戸に朝鮮人が毒を入れた」などといった流言から虐殺が行われたことも知識としては知っていた。しかし、本書を読むとそれ以上の酷いことが行われていた。また、震災直後の避難民が過ごした過酷な環境も想像を絶していた。読むのが辛い部分もあった。軍、警察、消防の通信インフラは脆弱で、東京が孤立することになった一因と思われた。現代では、通信インフラが完全にダウンすることはなくなった。しかし、SNSなどによるデマの拡散という悪い面も看過できなくなったのは皮肉なものだ。

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2021年02月02日

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地震の被害以上に、被災後の人々の悲惨さに唖然とした。死体の山を被服廠跡でまとめて火葬にし、骨の山が3メートルにもなるとは想像を絶する。人々のパニックと政治の無力さが重なって読んでいて胸が苦しくなった。朝鮮人虐殺や大杉栄殺害など、デマに振り回される愚かな群衆には怒りさえ覚えた。今後大地震が襲った時にも同じような事が起きるかもしれない。愚かさが招く二次災害だけは防ぎたい。もっと多くの人に読んでもらう本だと思った。

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2020年12月02日

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1923年9月1日に発生した関東大震災の発生~復興への動き出しまでを人々の体験談んを元に記したルポの様な作品。

大地震の怖さは揺れによる家屋の倒壊に伴う圧死や津波だけでなく、火災・人心・その後の疫病など広く存在する事を認識した。都市インフラ等現在と異なる点も多いが、歴史から震災の脅威を知る事ができる良書。

・震災での死者数は圧死ではなく、間もなく発生した火災によるものが最多という。
当時は木造建築中心、路面の狭さに加え家財を持ち出して避難する人が多く、家財により消防が行き届かず、また家財に火が燃え移り被害を拡大させた。

・震災の被害により電報・新聞その他通信手段が失われた中、人々の間では流言が飛び交い、特に在日朝鮮人が井戸に毒を入れたという事実と異なる噂は新聞各社も事実として報じ、民間の自警団が組織され朝鮮人を虐殺する等の悲劇も生まれた。

・10万人を超える遺体処理は難航し、また居住地を失った人々はバラックに住まざるを得ず、バラックは不衛生だった事から疫病が流行った。

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2020年08月16日

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当時の震災後が生々しく記録されている内容。
ここ十数年での、震災時の日本人の対応が称賛されているが、かつての日本人はそうではなかった事が分かる。ある意味本のなかにもある、科学的判断ができるようになっているのかもしれないと感じた。

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2020年07月06日

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関東大震災前後の事が書かれている。
こういう感じなんだなろうなと思っていた通りのことがかいてあった。

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2025年11月29日

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大正12年9月1日に起こった関東大震災について詳細に描かれており、天災の恐ろしさを改めて感じた。地震による被害よりもその後の火災による被害の方が大きかったんだな。当時は木造建築がひしめき合っていて、上下水道も十分に発達しておらず火災が起こった後の消火能力が低いのが原因だけど、家財道具を多量に持って行ったり一つのところに被災者が集まりすぎたりと人災の側面もあったのが意外。地震後の社会不安もどの時代でも変わらないのか。この時代に限っていえば社会主義者に対する弾圧、朝鮮併合に伴う朝鮮人からの報復に怯える社会がとてもわかりやすかった。自警団による朝鮮人虐殺、大杉栄事件など混乱に陥った人たちの精神不安が今後の日本でも起こるかもしれない。歴史からしっかりと学んでいかないと。

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2025年05月13日

Posted by ブクログ

著者の「三陸海岸大津波」と同様の感想になってしまうが、元々知っている内容ばかりだったので新たに知ることのできるものはほとんどなかったが、私が既にいろいろな媒体で知ることができたのは、そもそもこのルポルタージュを元にしてできた記事なり映像だったりするのではないだろうかと思った。それほど詳細に調べてあるということだろう。ルポルタージュということで社会情勢や被害数字もかなり分量的に多くて、新聞を読んでいるような感覚だった。

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2022年11月05日

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烈震、大火、突風、津波、伝染病…ありとあらゆる脅威が一気に首都圏を襲った巨大地震、その凄まじい惨状の記録。流言による虐殺の横行はその時代の空気を感じさせるが、実は人心が一番怖かったりする。地震対策も情報化もはるかに進んでいるとはいえ、現在東京の人口は当時の 3 倍以上。ネットによるデマ拡散のスピードも比較にならない。同レベルの地震が起きたら今度はどんなパニックが起きるのか想像もつかない。大正 12 年はスペイン風邪大流行の数年後、そして98年後の今新型コロナのパンデミック…全く根拠なく、まさかとは思うが、南関東一帯を揺らす大地震がいつ再来してもおかしくないだけの時が流れたのは確か。震源地・相模トラフの間近に住む者として、昔話で済ますことはできない。自分の身は自分で守る!そのときに慌てないよう日頃の備えをしっかりしておこうと改めて思った次第。

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2021年09月06日

Posted by ブクログ

前半の実際の地震の被害のドキュメントは一読に値する。◆トタン屋根で首がちょん切れるエピソードなど生々しい。◆恥ずかしながら、被服工廠跡のエピソードも甘粕大尉による大杉栄一家惨殺も知らなかった。◆今読むと、当時でも大杉栄の甥っ子を口封じのために殺すことは、世間でも厳しい目で見ていたのか。また、震災によって、新聞が段々と御用メディアに成り下がっていく契機になったようにも思える。

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2020年07月27日

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