【感想・ネタバレ】関東大震災のレビュー

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Posted by ブクログ 2023年09月14日

吉村昭の小説はいつもながらリアルです。表目的な事柄だけでなく、どのように被害が拡大してひとびが些細なきっかけで凶暴になっていくのかが描かれている。

戦争、震災、パンデミック、天災
いつ起きてもおかしくない。理性を失った時、人はこんなにも簡単に人を殺める。
そのことが淡々と数字を絡めて書かれている。

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Posted by ブクログ 2023年08月31日

今年で関東大震災からちょうど100年。その間にも大きな地震を何度も体験してきた。将来、また大きな地震が起こると言われているが、過去からどれだけのことを学べているのだろう。

本書は、関東大震災の発生前、発生後の様子、それによって起こったデマ、どさくさ紛れに起きた甘粕事件について、まるで見てきたかのよ...続きを読むうな解像度で描かれている。

建物の耐震性は向上し、関東大震災のような被害は多少起きにくくなったかもしれないが、津波への対策などまだ課題はある。また集団心理については、あの頃とあまり変わってないのではないかとも思った。

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Posted by ブクログ 2023年08月20日

100年前に起きた関東大震災の状況を丹念な取材と著者の筆力で当時の惨状が生々しく再現されています。
飛んできたトタンで首が切り落とされた話や火災旋風やデマの恐怖などこれから起こると言われている大地震のイメージトレーニングとしても役立ちそうです

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Posted by ブクログ 2022年12月30日

有名な関東大震災ですが、実際にどうだったのか?というのが克明にわかる小説でした。怖いです。本当に怖いです。よく復興したなあ、と感心するくらい未曾有の災害でした。が、人災の部分も多かったと思います。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2022年05月09日

あまり知らなかった関東大震災のことをしれてよかった。本所被服本廠跡のことは全然知らなかった。朝鮮人のことは、中学の教科書とかにでてたかな?という感じで、学びが多かった。関東大震災から来年で100年。生きてるうちに経験するかもね

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2019年07月18日

NHK大河いだてんで1話分とりあげられて登場人物が1人行方不明になった。新書よりも読みやすい小説を選択。ネットがない時代とはいえ、ラジオもテレビもない時代の大災害、想像以上の惨状でした。
 20万人以上の死者のうち、建物倒壊による直後の死者は少なく、むしろ火災がひどかった。本所陸軍被服本廠跡地(いま...続きを読むは墨田区の横綱町公園)を避難場所として知らされた5万人近くが家財道具を持ち出したので正午の地震後に発生した大火災が延焼し3万8000人が焼死しその7割近くが性別不明の真っ黒こげだったとか、火災で起きる突風に飛ばされたトタン屋根に一緒に手をつないで走って逃げてた友人の首がスパッと切り落とされ、つないでいた手を放すのに指を1本1本解かないといけなかったとか、遊女は囲われていたため逃げるべき方向がまるで分らず吉原公園に集まっていたところ同じく延焼した火災で丸焼けになったとか。
 なによりひどかったのは、全く暴動や毒混入した事実がないのに、そういう事実があるという流言が広がりマスメディアも流言の裏を取らずそのまま新聞に乗っけたあげく、朝鮮人が何千人も日本人により撲殺されたこと。マスコミ全ての誤報がかえって政府による言論統制への介入の口実をつくったこと。
 大杉栄と妻と甥が陸軍により罪ないのに社会主義者という理由で戒厳令下でリンチで絞殺されたにもかかわらず、指揮者の1人甘粕大尉は3年間の懲役で釈放され、その後満州で大活躍したという歴史の異常さ。
 冒頭が地震学者同士の東京で大地震の起きる確率をめぐっての論争から始まるというところも著者の腕の妙といえる。やっぱり吉村昭はすごい

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Posted by ブクログ 2019年01月30日

 『戦艦武蔵』『羆嵐』などで有名な記録文学作家による、1923年に起きた関東大震災の記録。
 以前、日本の著名な3つの大震災を比較し、東日本大震災は津波、阪神淡路大震災は建物倒壊、そして関東大震災は火災により被害が大きいものになったとまとめられていた。犠牲者の約9割が火災によるものである以上、これは...続きを読む正しいのだろう。
 ただ、記憶に新しい平成の二つの震災と違い、およそ1世紀前に起きた大震災についてはほとんど何も知らない状態だったため、小説というとっつきやすい媒体で知ろうと思い、手に取った。
 火災の状況は地獄と呼ぶ類のものであり、火災で巻き起こった大旋風が人も馬車も吹き飛ばすなど、想像も付かないような描写がページを捲っても捲っても飛び込んでくる。文字という媒体ではあるが人が死ぬ様子や無残な死体の山の描写も多い。テレビ越しに見た平成の2つの震災の報道の方が幾分静かに見えてしまうのは、メディアの配慮によりオブラートに包まれているからだろうか。
 
 だが、それ以上に戦慄したのは、震災により破壊された人の心だった。
 朝鮮人虐殺事件という日本史における汚点、自警団と名乗る暴力集団、流言飛語を事実確認もないままに掲載してしまった新聞、社会主義者というだけで本人はおろかその妻と子どもまで軍人が殺害してしまった「甘粕事件」(作中「大杉栄事件」)。手許にある日本史図版では関東大震災はこうした擾乱についてほとんど触れられていなかった(そもそも高校時代は日本史をろくに勉強していないのだが)。

 日本は自然災害発生のリスクが世界4位と高い反面、インフラ整備や対処能力、適応能力を加味した脆弱性を考慮した総合評価はやや下がって17位なのだとか(世界リスク報告書2016年版による。主要な先進国は100位以下、すなわちもっと安全ということになる)。
 しかしながら、政府の対処能力やインフラ設備が高いとはいっても、先に挙げた朝鮮人・社会主義者の虐殺は、韓国併合による圧迫・被圧迫民族という関係や、社会主義者=共産主義者であり国家転覆を目論む不届き者と判断する傾向に端を発する。近年は、移民問題の顕在化とか保守化とかヘイトスピーチとかLGBTとか日韓問題とか呼ばれるようなニュースを見かけるが、自分・自分たちと違う者とどう向き合うかという問題が根底にあるのではないかと思っている。
 それがうまくいかないままに反発し合う方向に進むのならば、震災による混乱が起きた際は、何が起こるか。2018年の渋谷ハロウィーン事案では、大衆の暴走に危機を感じ警察が引かざるを得ない状況に陥ったし、自衛隊は自国民に対し発砲する訓練はしていない(と思う)。神経が過敏になった大衆がマイノリティをスケープゴートにし、それを止める術がない、という悪夢のようなシナリオも、考えられないだろうか。
 また、上述の流言飛語が拡散した点においても、現代も同様の危機を抱えていると思う。東日本大震災においても、SNSの情報共有が役立った反面、誤情報やデマも飛び交った。当然情報の真贋など素人目に分かるはずもなく、善人が良かれと思ってデマ情報をリツイートし、混乱を深めてしまった。
 そもそも、混乱状態にあっては自分や自分と近しい人のことで精いっぱいである。先の震災で買い占めが起き批判がなされたが、例えば子を持つ親が、子に何かあったらというリスクを恐れて買い占めに走ることは、一概に非難できるものではないかもしれない。私だって結婚して小さな子どもがいたら買い占めに走ったかもしれない。朝鮮人虐殺事件だって、赤信号みんなで渡れば~の理論でマジョリティ側に胡坐をかいていれば安全といえば安全なのだ。私だって虐殺する側に回ったかもしれない(!)。当時の日本人はまだまだ未熟だったとかそういう問題ではない。原発事故の際、放射能に関する知識が飛び交い、政府もマスコミも疑わざるを得ないなかで、それらを自分で取捨選択できる人間がいったいどれほどいたか。正しいかどうかなど、生命の危機を感じている際はどうでもよくなってしまうのだろう。山口良忠じゃあるまいし(非常に気高く立派な方だと思う派だけど)、法や思想や正義よりも、命の方が大事なのである。

 だからこそ、こうした悲劇は知られるべきなのだと思う。100年前に比べ防災のためのインフラは飛躍的に向上しているだろうし、また同規模の地震があったとしても東京が再び火の海になるとは考えにくい。だが、明治の東京が江戸に比べて火災対処という点において後退していたように、関東大震災で学んだはずのものが忘れられているのかもしれない。東日本大震災からですら得られないような教訓が、この本には詰まっている。

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Posted by ブクログ 2018年12月31日

2012年95冊目。満足度★★★★★ 菊池寛賞受賞作。これは必読です。常軌を逸した人間の行動に驚くばかりでした。

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Posted by ブクログ 2018年10月12日

阿鼻叫喚のカタストロフや各種の事件騒動よりも、震災後の公的機関による処理及び復興への取り組みがとても興味深かった。この部分にもっと紙幅を割いてくれたら良かったのに。また大森房吉と今村明恒という二人の地震学者の言動も面白い。

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Posted by ブクログ 2012年07月14日

大正12年9月1日正午に起こった大地震での死者は約20万人。その多くは地震による直接被害よりもその後の火災や逃走中の事故によるもの。

中でも悲惨なのが、2万坪の空き地である被服廠跡地での災害。広大な空き地は絶好の避難地として、多くの人々が大量の荷物を抱えて逃げ込んでくるが、そこに巨大な竜巻が発生し...続きを読む、人間や荷物を吹き飛ばす。さらに火災が引火。足の踏み場もないほどに集まっていた群衆は逃げることも容易ならず、死者は38千名。

著者はその現場で数少ない生存者たちへ取材し、その地獄絵を明らかにする。折り重なった死体を踏み越えて逃げる群衆。踏みつけられた死体から内臓がはみ出す。転倒したために生きたまま踏みつぶされた死体も。人間が意外と燃えやすいことを知ったという生存者の言葉が印象的だ。

さらに情報網が遮断され、人々の不安定な精神から様々な流言が放たれたのもこの地震の特徴。朝鮮人が暴動を起こす。次なる大地震が発生する。などのデマを民衆だけじゃなく、取材力を失った新聞社までもが鵜呑みにしてしまう。混乱した人間の集団心理がいかに不確実なものなのかがよくわかる。

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Posted by ブクログ 2023年10月12日

NHKスペシャルで関東大震災の特集を放送した。
積読に成っていた本書を読みながら、テレビで見た映像を思い出した。
火災旋風により、人や物が宙を舞うという。まさに地獄絵図だ。
持ち出した火災道具に火が付き、災害を増加させる。江戸時代には守られていた火災時の教訓が、大正になって守られず、むしろ後退してい...続きを読むたとは、愚かなことだ。
朝鮮人への根拠の無い迫害行動など、生々しく綴られていて、憤りを感じた。
パニックを起こした人々が集団心理により、簡単に狂暴化する。
幸い、東北大地震ではこのような事が起きなかった。過去の教訓が生かされたのだろう。
2035年前後には東北大地震の何倍もの威力の南海トラフ地震が、必ず起こると言われている今日。
あの東北大地震を、身をもって実感した自分としては、生きている間には2度と体験したくないものだ。
日頃の備えは大事だ。

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Posted by ブクログ 2023年09月21日

膨大な事実を淡々と積み上げる手法が特に際立つ小説だった。
時代を重ねるにつれ豊かになっていく事の裏返しなのか、震火災への人々の対応が江戸時代より退化していた、というのが印象的だった。

小説の最後で、冒頭のエピソードの続きが始まり、ここで初めて表現された個人の心情が沁みた。

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Posted by ブクログ 2023年05月14日

大震災では、地震による建物の倒壊だけでなく、家財の持ち出しに寄る避難経路の遮断、火災、火災が誘因となる暴風、そして人心の乱れであることがよくわかった。大正の関東大震災では過去の大地震の経験が生かされなかったのである。最近とみに地震を想定した防災訓練なども行われているが、実際どうなったのか過去の事実を...続きを読む知った方が身につまされる。必読の書。2023.5.14

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Posted by ブクログ 2023年04月26日

関東大震災についてすこし詳しく知りたいと思い手に取りました。本所被服廠跡や吉原の悲劇について知り、大火の恐ろしさに戦慄しました。流言や朝鮮人虐殺、大杉栄事件などの章には大災害で動揺する人々が記録されていました。愚かとは思えません。コロナの初期にも様々な噂が流れたのを思い出しました。
吉村昭の記録文学...続きを読むは手堅くしかも読みやすいという点で大好きです。

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Posted by ブクログ 2022年07月20日

焼死や溺死が非常に多い。木造密集の家屋が多く、多くの荷物を持った人が多かったのだろう。
通信の途絶による流言や錯乱が最も恐ろしかった。朝鮮人や社会主義者の虐殺など目を背けたくなる事件の数々が記録されている。

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Posted by ブクログ 2021年12月01日

今現在の東京で大震災が起こっても同じようなことにはならないだろうが、これはタメになる。
この大震災に関しては想像を絶する事態に驚愕した。
地震による建物の圧死者よりも焼死、溺死者が多かったということ。
社会情勢による混乱。
流言による殺人。
復興の大変さ。
報道のあり方。
正確な情報により行動するこ...続きを読むとが大事だと感じたが

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Posted by ブクログ 2021年06月05日

大震災の記録が克明に書かれています。
被害の詳細な数字、混乱の生々しい記憶などあまりにも具体的で身に迫る物を感じました。
時代は変われど、受け継いでいかなければならない内容だと思いました。

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Posted by ブクログ 2021年02月02日

震災の類型では、関東大震災は火災だと教えられる。また、「井戸に朝鮮人が毒を入れた」などといった流言から虐殺が行われたことも知識としては知っていた。しかし、本書を読むとそれ以上の酷いことが行われていた。また、震災直後の避難民が過ごした過酷な環境も想像を絶していた。読むのが辛い部分もあった。軍、警察、消...続きを読む防の通信インフラは脆弱で、東京が孤立することになった一因と思われた。現代では、通信インフラが完全にダウンすることはなくなった。しかし、SNSなどによるデマの拡散という悪い面も看過できなくなったのは皮肉なものだ。

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Posted by ブクログ 2020年12月02日

地震の被害以上に、被災後の人々の悲惨さに唖然とした。死体の山を被服廠跡でまとめて火葬にし、骨の山が3メートルにもなるとは想像を絶する。人々のパニックと政治の無力さが重なって読んでいて胸が苦しくなった。朝鮮人虐殺や大杉栄殺害など、デマに振り回される愚かな群衆には怒りさえ覚えた。今後大地震が襲った時にも...続きを読む同じような事が起きるかもしれない。愚かさが招く二次災害だけは防ぎたい。もっと多くの人に読んでもらう本だと思った。

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Posted by ブクログ 2020年08月16日

1923年9月1日に発生した関東大震災の発生~復興への動き出しまでを人々の体験談んを元に記したルポの様な作品。

大地震の怖さは揺れによる家屋の倒壊に伴う圧死や津波だけでなく、火災・人心・その後の疫病など広く存在する事を認識した。都市インフラ等現在と異なる点も多いが、歴史から震災の脅威を知る事ができ...続きを読むる良書。

・震災での死者数は圧死ではなく、間もなく発生した火災によるものが最多という。
当時は木造建築中心、路面の狭さに加え家財を持ち出して避難する人が多く、家財により消防が行き届かず、また家財に火が燃え移り被害を拡大させた。

・震災の被害により電報・新聞その他通信手段が失われた中、人々の間では流言が飛び交い、特に在日朝鮮人が井戸に毒を入れたという事実と異なる噂は新聞各社も事実として報じ、民間の自警団が組織され朝鮮人を虐殺する等の悲劇も生まれた。

・10万人を超える遺体処理は難航し、また居住地を失った人々はバラックに住まざるを得ず、バラックは不衛生だった事から疫病が流行った。

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Posted by ブクログ 2020年07月06日

当時の震災後が生々しく記録されている内容。
ここ十数年での、震災時の日本人の対応が称賛されているが、かつての日本人はそうではなかった事が分かる。ある意味本のなかにもある、科学的判断ができるようになっているのかもしれないと感じた。

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Posted by ブクログ 2019年05月16日

関東大震災でおきた大小様々なトラブルを思うと、東日本大震災に至る100年弱で日本が地震や災害に対して強くなったこと、そして民度の上昇を感じざるを得ない。もちろん、それでも犠牲者は出てしまうのだが・・・。
荷物経由での火事の広がりは本当に怖いと感じた次第。陸軍被服本廠の件や吉原の件の描写は読んでいてき...続きを読むつかった。このあたりの文章のうまさは吉村さんだな。

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Posted by ブクログ 2019年04月14日

ここまで詳細に調べている著者に脱帽。もうそろそろ関東大震災クラスの震災が関東地方を襲うかも...。先人たちの英知が現代に活かされることを渇望。

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Posted by ブクログ 2018年11月24日

 関東大震災が起こった当時のことを生々しく克明に描いています。吉村昭の作品はしばしば記録文学と呼ばれますが、本作品では小説とか文学とかいう以前に、記録そのものが読者に迫ってくるようです。

 地震により建物が倒壊し、続いて大規模な火災が起こり、人や建物までをも巻き揚げるほどの烈風が吹き荒れて延焼が拡...続きを読む大し、逃げ惑う人たちの荷物や体が燃え始め…… 死者20万人。繰り広げられる光景は、想像を絶するものです。

 流言飛語により自警団が暴徒化して多くの朝鮮人や日本人を殺害し、ついには千人ほどにも膨れ上がった群集が警察署を襲い、留置所に匿われていた人たちまでを皆殺しにしてしまったという事実も衝撃的です。当時の日本人が今とは別人種のように残虐だった訳ではないでしょう。人々の不安が高まれば、今でも同じようなことが繰り返されてしまうのかもしれません。

 さらに、大杉事件も異様です。これにはオウムによる坂本弁護士殺害事件を連想させられました。小さな子どもまで殺してしまったのですから! 何によって事件が引き起こされたのか、本当のところは分からないと思います。組織の上部への忖度があったのかもしれません。ごく普通の善良な人が組織の力学の中で取り返しのつかない犯罪を起こしてしまうことは、オウムの事件などでも見られたことです。

 ところで、東北での大震災が起こってから七年が過ぎました。震災直後には津波の衝撃的な映像がテレビやインターネットに溢れていましたが、最近では見かけません。忌まわしい記憶を忘れたいという心理が働いているのではないかと思います。しかし、それでは大きな犠牲が将来への教訓として活かされないでしょう。

 東海地方や首都圏でも大きな地震が来る可能性が高まっていると思います。これに備えるためにも、この本に記されたような貴重な震災の記録は、少しでも多くの人に読み継がれるべきものだと思います。

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Posted by ブクログ 2022年11月05日

著者の「三陸海岸大津波」と同様の感想になってしまうが、元々知っている内容ばかりだったので新たに知ることのできるものはほとんどなかったが、私が既にいろいろな媒体で知ることができたのは、そもそもこのルポルタージュを元にしてできた記事なり映像だったりするのではないだろうかと思った。それほど詳細に調べてある...続きを読むということだろう。ルポルタージュということで社会情勢や被害数字もかなり分量的に多くて、新聞を読んでいるような感覚だった。

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Posted by ブクログ 2021年09月06日

烈震、大火、突風、津波、伝染病…ありとあらゆる脅威が一気に首都圏を襲った巨大地震、その凄まじい惨状の記録。流言による虐殺の横行はその時代の空気を感じさせるが、実は人心が一番怖かったりする。地震対策も情報化もはるかに進んでいるとはいえ、現在東京の人口は当時の 3 倍以上。ネットによるデマ拡散のスピード...続きを読むも比較にならない。同レベルの地震が起きたら今度はどんなパニックが起きるのか想像もつかない。大正 12 年はスペイン風邪大流行の数年後、そして98年後の今新型コロナのパンデミック…全く根拠なく、まさかとは思うが、南関東一帯を揺らす大地震がいつ再来してもおかしくないだけの時が流れたのは確か。震源地・相模トラフの間近に住む者として、昔話で済ますことはできない。自分の身は自分で守る!そのときに慌てないよう日頃の備えをしっかりしておこうと改めて思った次第。

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Posted by ブクログ 2020年02月02日

読んでいる途中、吉村昭特有の政治情勢の話があり中弛みした。

全体としては震災当時が克明に記録されていた。歴史的な記録書としても価値がある本だと思う。

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Posted by ブクログ 2020年07月27日

前半の実際の地震の被害のドキュメントは一読に値する。◆トタン屋根で首がちょん切れるエピソードなど生々しい。◆恥ずかしながら、被服工廠跡のエピソードも甘粕大尉による大杉栄一家惨殺も知らなかった。◆今読むと、当時でも大杉栄の甥っ子を口封じのために殺すことは、世間でも厳しい目で見ていたのか。また、震災によ...続きを読むって、新聞が段々と御用メディアに成り下がっていく契機になったようにも思える。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2018年08月05日

東日本大震災からちょうど1年たった日に読み始めた一冊。

地震の揺れによる建築物倒壊や、津波による自然からの被害よりも、
人々が携行する荷物や、町の構造によって広まった火災等、
人災的なものによる被害が大きかった事が印象的でした。

「朝鮮人や社会主義者が蜂起する」という流言によって
引き起こされた...続きを読む数々の殺害事件など読んで、
昨年の震災時にも「放射能の雨が降る」といったような
風説が流布されていた事を思い出し、
不安に駆られた集団の行動は情報化社会に於いても
変わらないんだと思いました。

関東大震災という単語は知っていましたが、
近代以降の日本で10万人以上の被害者を出した災害が
あったという事はこの本を読むまで知りませんでした。

また、関東大震災での被害データが米軍によって
東京大空襲へ利用されていたとは、、、

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Posted by ブクログ 2018年08月23日

先の震災に触発されて吉村昭 得意の記録文学「関東大震災」を読む。神奈川、東京を襲った烈震の様子から、陸軍省被服廠跡の惨劇、流言飛語に基づく朝鮮人虐殺までを精緻に再現する。

震災による被害がここまで拡大した原因の一つは、江戸時代には生きていたはずの防災ノウハウが失われていたことであった。三陸海岸大津...続きを読む波にしても、関東大震災にしても、吉村昭で先人の知恵と過ちを知っておくことはきっと大切な備えであろう。

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