吉村昭のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレヒグマの被害に対する「人間の心の動き」の本である。
個人的にはヒグマもクマも似たようなものだと思っていたが、圧倒的に違うことが この書を読むことでわかる。
もっと恐ろしいヒグマに対して、人間がどのように挑み立ち向かうのか?ということを期待していたが、予想に反して、ヒグマの記述はそれほど多くはない。
圧倒的力を示す残虐性と、それを餌として処理するヒグマの動きに、人間性の醜さや、 今まで口だけで大きな態度をしていた男が小さくなっていくところも、実に深みがある。
昔はすごかったと威張っていた猟師が、圧倒的暴力の前に何の役にも立たず、女子供から信頼を失い、軽蔑の目で見られるところも実に描写がうまい。 -
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2022年の本屋大賞掘り出し部門で推薦されていた作品。なんとなく気になっていた作品だった。
戸数17戸の寒村ではどの家も貧困でその日暮らし、主人公伊作の父は3年の年季奉公で廻船問屋に売られ、母と弟の磯吉、妹のかねとてると暮らしている。村は一つの共同体て村おさと老人指図役が知恵者として村を率いる。
この貧しい漁村は冬に浜で火を焚き、近づく商船を座礁させ、その積荷を奪うことを村の秘め事として行っている。現代を生きる我々の感覚からすれば明らかに犯罪だけれど、火を焚き船を引き寄せる行為はまるで花や昆虫が擬態などで獲物を引き寄せる行為によく似ていて、実は動物的な生きようとする本能の行為なのでは?なんて思 -
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ネタバレ・あらすじ
吉村昭の中期短編集10篇。
・感想
どれも面白かった!
「鳳仙花」「休暇」「苺」「鋏」はどれも刑務官や篤志家(と言っていいのかな?服役中の受刑者を社会的に支える人たち)の話。
この中だと特に「休暇」が重たかったかも…。
鋏に出てくる片桐も不気味な印象があったな。
なにあいつ、慇懃無礼なのかよくわからん。
「無期刑を受けた犯罪者」という事実が余計に不気味さを醸し出してた。
あんなやつ一刻も早く追い出したくなるよw
「同情心を持たず一線引きつつも冷徹な視線で物事を観察する語り手」は読んでてストレスなくていい。
吉村先生のお父さん三部作は時代を感じたw
明治〜昭和初期の人間だもんな -
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ネットでこの本のモデルになった人物のことを知る。
長平。江戸中期の土佐のひと。
漂着した孤島の鳥島でサバイバル生活を13年間。
後年、さらに漂着した二つのグループも合流して、船を作り、ぶじに生還したという。
その際、彼は島に生活道具や生活方法を記した書置きを残して、それがのちにジョン万次郎を救うことになったという。(←ジョン万次郎の部分は本書にはなく、史実なのかあやしいが)
凄すぎる。
漂流もの、島もの大好きの私が、この人物のことは全然知らなかったので、まずは、こんな人がいたんだ!と思った。
怖すぎて面白すぎて、半日で一気読みでした。
吉村は冒頭で、太平洋戦争の終結を知らぬまま、ジャングルに -
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ノンフィクションというのが信じられないくらい壮絶な仕事内容。現代では考えられない忍耐力と根性と主従関係とお金の力。いや、考えられなくないのかもしれないけど。残業なし、有給、フレックス、〇〇ハラスメント。ホワイト企業とブラック企業。間違いなくこの建設会社は現代ではブラックであるが、そんなことを言っていたら発電所が作れないとなると、ブラックであればあるほど、意義のある仕事のような矛盾がある。当時スコップを手に瓦礫をかき集めていた彼らもやりがいとか、これが社会のためとか、国が豊かになるためとか、全く思ってないのではないか。単に生きたいくため。家族を食わせていくため。この想いだけでここまで過酷な仕事が