吉村昭のレビュー一覧

  • 破獄

    Posted by ブクログ

    扱っている史実が非常に強烈なのに、文章が淡々としているというギャップが何とも言えず面白い。
    淡々とした文章ながら想いは強く伝わってくるという、不思議な作品。

    0
    2026年08月18日
  • 死まで 吉村昭初期短篇集

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    ・あらすじ
    吉村昭初期短編集。

    ・感想
    冒頭の「鋏」と最後の「雪」が特によかったなー。
    特に「鋏」はこの作品を読めただけでこの本買ってよかったって思ったレベル。

    太宰治の女子独白作品を踏襲したと思われる表彰状には意外性があった。
    吉村先生もこういう作品書かれてたんだなー。
    でも正直やはりこの分野?では太宰には敵わないな、と思ったり。
    あの年頃の女子の過剰で「肥大した自意識と傲慢さ、そして繊細さの描写はやっぱ太宰がずば抜けてるもんね。
    勘違いして入水なんてやりきれない最期だ。

    雪は、執筆時に20代だったとは思えない作品。
    最後が微笑ましくてとてもよかった。

    表題作の「死まで」は養母の汚ら

    0
    2026年08月17日
  • 羆嵐

    Posted by ブクログ

    身長2.7m/体重384kgの羆。
    もはや怪獣である。
    人間界のルールなんて通用しない弱肉強食な野生の世界を、淡々と生々しく描写した文章に鳥肌。
    羆の息遣い、骨を噛み砕く音、断末魔…怖過ぎる。
    そして終盤の息を呑む緊張感。

    デキる男、銀四郎は田中泯で脳内再生された。

    人間も自然の一部であった事を再確認する。
    吉田昭、これからディグります。名作。

    0
    2026年08月15日
  • 新装版 間宮林蔵

    Posted by ブクログ

    2ヶ月くらいかけてじーっくりと。おかげで内容がしっかりと咀嚼されて、いい読書ができたなって。

    間宮林蔵は、日本史の教科書で「サハリンを探検した」だけの記述くらいしかイメージはなかったけど、彼の人生が立体化され、江戸時代の後期にこんな人がいたのかとびっくりする。探検だけでなく、地図の作成にも携わり、さらには海外渡航という禁忌も犯しつつ(!)、全ては日本のためと私利私欲を捨て、後には隠密行動をとる。

    吉村昭さんの著作は実はこれが初めてで、これからの読者がとっても楽しみになります。

    0
    2026年08月15日
  • 零式戦闘機

    Posted by ブクログ

    零式戦闘機の開発から誕生、緒戦での活躍
    終戦を迎えるまでを描く。
    堀越二郎が主役かと思ったが、タイトル通り零式戦闘機を中心に置き、吉村昭らしく感情的でない、だからこそ戦争の描写は凄惨さが伝わる話。
    解説にもあったが、工場で生産された機体は牛車で運ばれていたという描写が何度かでてくる。米軍がその能力に恐怖した零式戦闘機が、きわめて原始的な方法で運ばれているという対比が興味深かった。
    米軍の圧倒的な物量が、後半から徐々にその姿を表していくところから、戦争の絶望感が伝わってきた。

    0
    2026年08月14日
  • 羆嵐

    Posted by ブクログ

    2.7メートル、384キロの羆と実際に対峙したら、恐怖でまったく動けなくなるんじゃないかと思った。

    人間が起こす殺人事件とは違って、そこに悪意や感情を読み取る余地がない。ただ生き物として、人間の都合とは関係なく襲ってくる。その非情さがすごく恐ろしかった。

    そして銀四郎が男くさくてかっこいい。羆の恐ろしさが際立つほど、それに向き合う姿が印象に残った。

    10段階評価: 7点

    0
    2026年08月13日
  • ポーツマスの旗

    Posted by ブクログ

    エンタメ★★★
    学び★★★★★
    癒し★
    日露戦争後の講和条約締結に至るまでの緊迫した状況を文章は淡々と綴られていた。だんだん追い詰められていく小村たちが細かく描かれている。その日の天気や蚊が出たなどの概況も描かれているので自分がそこにいるような、湿度や気温、その時の匂いが体験できるようだった。勉強では年号ぐらいしか覚えず、このポーツマス条約がその後の日本に大きな影響を与えたのかと思うと小村の責任は計り知れなくその重圧を逃げずに引き受け、締結に至ったのは名外交だと感じた。

    0
    2026年08月11日
  • 羆嵐

    Posted by ブクログ

    【2026年96冊目】
    北海道の開拓民を襲った悲劇の実話を小説化。1915年、北海道苫前郡苫前村三毛別六線沢に住む開拓民を襲った一頭の羆。体長2mを越えたそれは、延べ6名の開拓民を死に至らしめ、3名に重症を負わせた。わずか二夜にして起こった悲劇に、開拓民たちは恐れ慄き、一人の熊撃ちに命運を託すことになるが…。

    友人に勧められていたので、読もう読もうと思いつつ先延ばしして、ようやく手に取った一冊でした。熊騒動、最近は収まってきたように思いますが、こっわいですねぇ。羆の生態についても書かれてるんですが、想像しているよりもずっと知能が高いことがわかります。「戻り足」なんか使われたら勝てないでしょ。

    0
    2026年08月16日
  • 漂流

    Posted by ブクログ

    難波して草も水もない無人島に流れ着いた長平。生き抜く精神力がすごいし生き抜くための方法を編み出すための頭が良い。もともと知識がないのに考えつくってすごい。こういう人はほとんどいなかったからこそ当時でも驚かれたんだろう。

    0
    2026年08月08日
  • 漂流

    Posted by ブクログ

    髭もじゃで鳥の羽の衣装を着た集団を想像したら、コミカルで思わず吹き出してしまいました。
    厳つい男たちのイメージとのギャップが面白く、爆笑。

    今回あらためて感じたのは、どんなに過酷な状況でも、神にすべてを委ね、神と自分を信じる心を持ち続けることの大切さです。

    極限の状態というのは、通常の人生においても、何度となく訪れる状況だと思うので、自分がそれを経験する時、長平たちのことを思い出して、乗り越えていきたいと思いました。

    高知の東の方に車で行くと、長平の像が立ってるらしいので、今度訪れてみたい。

    0
    2026年08月06日
  • 高熱隧道

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    記録文学という分野は珍しく、私も初めてで。事実に基づいて客観的に綴るから読みやすいけれど、ここにいちいち登場人物の心理が描写されていたら辛くて読めなかったかも知れないと思った作品でした。

    藤平目線で書かれているけれど、神目線を勘違いしてしまいそうなほどに淡々と、様々な現場トラブルが語られ、バラバラになった遺体を血まみれになって運ぶ根津の姿、下山後、繋ぎ合わせる様子は藤平同様、胸にぐっと来ました。

    最高温度166度という高熱地帯で行う過酷な工事。
    熱と疲労感に抗いながら隧道を掘るその情熱と執念は一体どこから滲み出るのか。
    更には大自然の脅威に翻弄され続け、中止を言い渡されながらも、真っ直ぐに

    0
    2026年08月04日
  • 破船

    Posted by ブクログ

    貧しい漁村。男は海で魚を追い、女は海岸で貝や海藻を拾って暮らす。飢えをしのぐため、元気な男は年季奉公で働き、女は身を売り家族を支える。

    そんな寒村の生活を支えるのは「お舟様」。
    村が一体となって、時化の嵐に会った船を海岸沿いの岩礁に誘い込み、座礁した破船から積荷を奪って村全体で分配し生活の糧にする。

    村おさの指示は絶対で、それしか生きる術のない村人にとっては当たり前のこととはいえ犯罪であることは違いなく、他村には絶対に知られてはいけない。

    0
    2026年08月03日
  • 光る壁画

    Posted by ブクログ

    胃潰瘍や早期癌の発見に絶大な威力を発揮する胃カメラは、戦後まもない日本で、世界に先駆けて発明された。わずか14ミリの咽喉を通過させる管、その中に入れるカメラとフィルム、ランプはどうするのか……。幾多の失敗をのりこえ、手さぐりの中で研究はすすむ。そして遂にはカラー写真の撮影による検診が可能となった。技術開発に賭けた男たちのロマンと情熱を追求した長編小説。(表紙裏)

    何がすごいって今に続く技術の創造だってのに、その期間の短いこと。
    ガストロカメラという名称はもとより、胃カメラの開発経緯がよく知れた。

    0
    2026年08月02日
  • 羆嵐

    Posted by ブクログ

    本日は、吉村昭文学忌、悠遠忌(ゆうえんき)。
    “はるか遠く果てしない”そんな壮大な言葉は、吉村氏が自ら選び、墓石に刻まれたものだそうです。

    『羆嵐』は1976年、『小説新潮』に一年間連載され、翌年単行本として刊行されました。

    舞台は大正4年、北海道・天塩山地の麓にある開拓村。実際に起きた熊による村人殺傷事件をもとに、吉村昭が取材を重ねて描き上げた記録文学です。

    日本各地で熊による被害が相次いだ昨今。人と自然が衝突したその時を、再び読もうという選書でしょうか。

    貧しい開拓村へ、冬眠をし損ねた一頭の羆が突然現れました。

    子どもと女性が襲われ、女の味を覚えた羆は、その匂いを求めるように村々

    0
    2026年07月31日
  • 冷い夏、熱い夏

    Posted by ブクログ

    最初の10ページを読んだ時点で、読み進めるのがつらくなった。
    弟が体の痛みを訴えたり、呼吸が苦しくなっていく様子がとてもリアルに描かれていて、「死ぬ前にこんなにつらい思いをするのは嫌だ」と感じた。
    自分が同じ立場だったら、一刻も早く楽になりたいと願ってしまうだろうな。
    自分が癌になって余命が短い場合、告知して欲しいか悩む。でも人生の最後に、家族にずっと嘘つかれるのは嫌かもしれない。

    0
    2026年07月29日
  • 天狗争乱

    Posted by ブクログ

    初の吉村昭。詳細かつ丁寧な描写に圧倒された。自身がこの渦中に居たらと、あれこれ想像しながらとても興味深く読んだ。

    0
    2026年07月22日
  • 星への旅

    Posted by ブクログ

    災難に遭い、見捨てた形になった妻子に会いに行く。石仏を拾得し、売り捌き、女を心中に誘い、自らは生き残る。広い邸で放置され、日常を変えるイベントとして集団自殺の旅に出る。死の直前の恐怖。引き返せない。走り込む鉄橋。自殺とみられた轢死。物語は違う真相を明かす。お金のため、研究用に差し出される遺体。自らの体が切り刻まれていく過程を眺める。人目を憚る役割が育む歪んだ美意識。透明標本にしたい骨への執着。…事が起きる前と後。死の全周を一冊で味わう。タイトルからイメージするロマンはない。ただ只管、深淵へと引き込まれる。

    0
    2026年07月12日
  • 高熱隧道

    Posted by ブクログ

    本作は、日中戦争の遂行に必要な電力を賄うという軍需目的のもと、黒部第三発電所の建設に挑んだ人々を描いたノンフィクションである。

    最初、私は『高熱隧道』というタイトルだけでは一体何が高熱なのか分からなかった。「隧道(ずいどう)」という漢字自体、何と読めばよいのかさえ知らなかった。それが「トンネル」を意味すると知っても、なお「高熱のトンネル」という存在が結びつかず、想像すらできなかった。しかし、読み進めるうちに驚かされた。わが国には、岩盤温度が160℃を超える「高熱断層」なるものが存在していたのだ。本作は、世界でも稀有な温泉湧出地帯にトンネルを穿(うが)つ、壮絶な記録である。

    万が一の非常事態

    0
    2026年07月11日
  • 羆嵐

    Posted by ブクログ

    ただただ羆の圧倒的な力を思い知った。
    描写が現実的で淡々としているのが、却って恐ろしさを感じさせられる。

    0
    2026年07月08日
  • 破獄

    Posted by ブクログ

    文章は濃厚だけどサラサラ読める。
    戦争中〜戦後の刑務所事情なんて想像したこともなかったからかなり興味深かった!

    0
    2026年07月03日