吉村昭のレビュー一覧

  • 羆嵐

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    北海道の苫前三毛別六線沢で起こった獣害史最大の惨劇羆事件。「クマ嵐だ。クマを仕とめた後には強い風が吹き荒れるという」。とても凄惨な話だった。

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    2026年06月16日
  • 漂流

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    漂流本はいろいろ読んだけど、ノンフィクションは初めてかも。悲嘆にくれる時も、念仏を唱えて諦めない姿に感動した。日本人は無宗教だと言うけれど、結局何か拠り所がある人が1番強いと思った。

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    2026年06月03日
  • 高熱隧道

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    黒部ダムに行って読もうと思った本。人間業とは思えないほどの僻地に大規模なダム、それを繋ぐ隧道、あの時代だからこその話。面白かった。

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    2026年05月24日
  • 戦艦武蔵

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    戦艦武蔵の製造から沈没まで。
    想像ベースとはいえとてもありありと書かれた記述に映像がくっきりと浮かんでくる。
    集団幻想というか、誰も理由も分からないしそれを尋ねることもできない状況で恐ろしさが全体的に漂っている。住民の様子はほとんど描かれていないが、あとがきにあるように証言した人が怯えていたとおり、戦後も続くトラウマになっていたのだろう。

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    2026年05月23日
  • 仮釈放

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    幼稚で臆病なオッサン主人公が哀れで、そしてこんなしょーもない男にも周囲が一生懸命妻帯を勧め女を充てがおうとする時代が恐ろしいね。

    松本清張みたいな硬くスッキリした読み味が気持ちよかった。

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    2026年05月18日
  • 羆嵐

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    ネタバレ

    ヒグマの被害に対する「人間の心の動き」の本である。
    個人的にはヒグマもクマも似たようなものだと思っていたが、圧倒的に違うことが この書を読むことでわかる。

    もっと恐ろしいヒグマに対して、人間がどのように挑み立ち向かうのか?ということを期待していたが、予想に反して、ヒグマの記述はそれほど多くはない。
    圧倒的力を示す残虐性と、それを餌として処理するヒグマの動きに、人間性の醜さや、 今まで口だけで大きな態度をしていた男が小さくなっていくところも、実に深みがある。
    昔はすごかったと威張っていた猟師が、圧倒的暴力の前に何の役にも立たず、女子供から信頼を失い、軽蔑の目で見られるところも実に描写がうまい。

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    2026年05月14日
  • 大本営が震えた日

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    戦争とは形のない歯車が噛み合いながら進んでいくようなもの。
    作戦や戦略ももちろんあるが、偶然、運が重なりながら結果が導かれる。

    大東亜戦争開戦に向けて日本陸海軍が入念な計画と準備を進める中で、綱渡りのように作戦遂行する様子が描かれている。

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    2026年05月12日
  • 破船

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    2022年の本屋大賞掘り出し部門で推薦されていた作品。なんとなく気になっていた作品だった。
    戸数17戸の寒村ではどの家も貧困でその日暮らし、主人公伊作の父は3年の年季奉公で廻船問屋に売られ、母と弟の磯吉、妹のかねとてると暮らしている。村は一つの共同体て村おさと老人指図役が知恵者として村を率いる。
    この貧しい漁村は冬に浜で火を焚き、近づく商船を座礁させ、その積荷を奪うことを村の秘め事として行っている。現代を生きる我々の感覚からすれば明らかに犯罪だけれど、火を焚き船を引き寄せる行為はまるで花や昆虫が擬態などで獲物を引き寄せる行為によく似ていて、実は動物的な生きようとする本能の行為なのでは?なんて思

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    2026年05月09日
  • 桜田門外ノ変(下)

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    水戸藩士の関鉄之介が主人公で、時代が変わるきっかけを作った桜田門外ノ変について書かれています。
    歴史的小説でありながら、非常に読みやすかったです。
    実行までの入念な計画を立てるますが、計画通りにいかなかったことや、事件後の逃亡生活など、授業では教えてくれなかった事柄を多々知ることができました。
    著者の主観も入っていますが、それでも史実を淡々と書いているように思えるので、ある程度は真実に沿っているのかなと思いました。
    井伊直弼の暗殺の場面は、文面からも緊張感が伝わってきて、結末は分かっていても、ドキドキしながら読みました。

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    2026年05月08日
  • 桜田門外ノ変(上)

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    水戸藩士の関鉄之介が主人公で、時代が変わるきっかけを作った桜田門外ノ変について書かれています。
    歴史的小説でありながら、非常に読みやすかったです。
    実行までの入念な計画を立てるますが、計画通りにいかなかったことや、事件後の逃亡生活など、授業では教えてくれなかった事柄を多々知ることができました。
    著者の主観も入っていますが、それでも史実を淡々と書いているように思えるので、ある程度は真実に沿っているのかなと思いました。
    井伊直弼の暗殺の場面は、文面からも緊張感が伝わってきて、結末は分かっていても、ドキドキしながら読みました。

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    2026年05月08日
  • 高熱隧道

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    以前黒部ダムにいったことがあり、そのときにも工事が大変だったということは把握していたものの、こんなに凄惨な現場だったということは知らなかった。
    なまなましく描かれていて迫力があった。

    泡雪崩についても初めて知ったが建物が600メートル以上もふっとぶほどの破壊力というのはにわかに信じられない。

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    2026年05月06日
  • 白い遠景

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    日暮里生まれ。戦時に育つ。空襲を受け、自宅が焼失。仮宿に住み、隅田川に架かる橋を渡る。欄干にもたれ遺体を見下ろす。戦争が罪悪に思えなかったその頃。庶民こそが権力化した怪物。…作家となり読む側から書く側になる。実在感のない読者。本当に自分の著作を求める人がいるのか?小説を書くとは密室で贋金を造っているようなもの。集団自殺を題材にした作品を書いていても、自分の命は大事にする。記録文学というより戦史小説。証言者の語る事実の方を重くみる。…数々の名作を残した著者の原点を浮き彫りにする。少しだけ近づけた感じがする。

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    2026年05月01日
  • 破船

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    ネタバレ

    地理的に厳しい条件にある村の信じられないほど貧しい、歯を食いしばるような生活の記述で吉村昭に叶うものはないな。

    大人の仲間入りをしたばかりの伊作のイノセントな目線を通して描写される生老病死の厳しさに一気に引き込まれる。
    金がない、物がない故に連綿と続き無罪化される略奪行為。
    情報がない、知識がない故に一気に崩れる共同体。

    派手な描写は何一つ無いのに、吉村作品を読むたびに(疫病含む)自然の前に無力すぎる人間の業を強烈に感じてたまらなくなる。

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    2026年04月30日
  • 破獄

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    脱獄を繰り返す男の脱獄劇です。
    強靭な身体と高い頭脳を持つ男が、各刑務所で脱走を繰り返すという話で、実際存在した人物をモデルにしています。
    とにかく看守たちは意地でも脱獄を防ごうと試行錯誤するのですが、その上で脱獄してしまうというスーパー脱獄犯です。
    文章はカチカチのお硬い系なので、若干読むのに苦戦しますが、読み続けて慣れてくれば気にならなくなりました。

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    2026年04月28日
  • 羆嵐

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    Wikipediaに事件の詳細が載っている。以前、事前情報まったくなく読んでしまい…とても衝撃を受けたことがある。
    事件を元にした小説ではあるけれど、こちらには人の心情なども書かれているので…重い気持ちになりつつも、読み進める。女の肉、という表現が怖すぎる。

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    2026年04月26日
  • 冬の道 吉村昭自選中期短篇集

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    ネタバレ

    ・あらすじ
    吉村昭の中期短編集10篇。

    ・感想
    どれも面白かった!
    「鳳仙花」「休暇」「苺」「鋏」はどれも刑務官や篤志家(と言っていいのかな?服役中の受刑者を社会的に支える人たち)の話。
    この中だと特に「休暇」が重たかったかも…。
    鋏に出てくる片桐も不気味な印象があったな。
    なにあいつ、慇懃無礼なのかよくわからん。
    「無期刑を受けた犯罪者」という事実が余計に不気味さを醸し出してた。
    あんなやつ一刻も早く追い出したくなるよw

    「同情心を持たず一線引きつつも冷徹な視線で物事を観察する語り手」は読んでてストレスなくていい。

    吉村先生のお父さん三部作は時代を感じたw
    明治〜昭和初期の人間だもんな

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    2026年04月24日
  • 漂流

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    ネットでこの本のモデルになった人物のことを知る。
    長平。江戸中期の土佐のひと。
    漂着した孤島の鳥島でサバイバル生活を13年間。
    後年、さらに漂着した二つのグループも合流して、船を作り、ぶじに生還したという。
    その際、彼は島に生活道具や生活方法を記した書置きを残して、それがのちにジョン万次郎を救うことになったという。(←ジョン万次郎の部分は本書にはなく、史実なのかあやしいが)
    凄すぎる。
    漂流もの、島もの大好きの私が、この人物のことは全然知らなかったので、まずは、こんな人がいたんだ!と思った。
    怖すぎて面白すぎて、半日で一気読みでした。

    吉村は冒頭で、太平洋戦争の終結を知らぬまま、ジャングルに

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    2026年04月24日
  • ふぉん・しいほるとの娘(下)

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    ネタバレ

    読み応えのある長編歴史小説

    シーボルトとその娘に興味があり
    読み進めていった。
    シーボルトが日本に与えた影響は
    非常に大きく
    お滝との子供が成長していく姿が
    精細に描写されていく。

    一気に読める歴史小説である。

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    2026年04月19日
  • 破船

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    面白かったです。
    今よりだいぶ倫理観・価値観・理不尽さが違っていてやるせなかったです。
    自分が住んでいるのは山間部ですが、ご先祖さまはどんな暮らしをして、命を繋いでいったのか興味を持ちました。

    この作品は人間のエゴや業の話に括られるのでしょうか。
    個人的には命や命を繋いでいく使命の話のような気がしました。
    この作者の他の作品も読んでみようと思います。

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    2026年04月15日
  • 高熱隧道

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    ノンフィクションというのが信じられないくらい壮絶な仕事内容。現代では考えられない忍耐力と根性と主従関係とお金の力。いや、考えられなくないのかもしれないけど。残業なし、有給、フレックス、〇〇ハラスメント。ホワイト企業とブラック企業。間違いなくこの建設会社は現代ではブラックであるが、そんなことを言っていたら発電所が作れないとなると、ブラックであればあるほど、意義のある仕事のような矛盾がある。当時スコップを手に瓦礫をかき集めていた彼らもやりがいとか、これが社会のためとか、国が豊かになるためとか、全く思ってないのではないか。単に生きたいくため。家族を食わせていくため。この想いだけでここまで過酷な仕事が

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    2026年04月15日