吉村昭のレビュー一覧

  • 人生の観察

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    「取材の鬼」、「記録の人」と呼ばれ、数々の名著を持つ吉村氏が、自らの暮らしや人との出会い、生き方、作品執筆の背景、戦争など69篇にわたり、幅広く語るエッセイ。

    簡潔で淀みのない文章の中に鋭い観察眼や分析力が垣間見られ、時に辛辣、また、時にユーモラスな語り口で、楽しく読ませてもらった。

    1 生き方と美学、2 暮らしとものの見方、3 言葉と場所、4 家族と忘れえぬ人々、5 記憶と継承という区分の5章で構成されている。

    1では、注文に応じる寿司職人が「あいよっ」ではなく、「へい、承知いたしました」と言うべきだと、著者が持つ、人としての節度へのこだわりが感じられた。
    また、胃カメラの飲み方をほめ

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    2026年09月08日
  • 戦艦武蔵

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    戦争の狂気というか、熱狂のようなものを感じる作品だった。
    武蔵ができるまではお仕事小説的な面白さ、そうやって作られた武蔵とその乗組員のその後は、滑稽であり、残酷であり、悲しい。

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    2026年08月30日
  • 羆嵐

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    読み易い文体で、引き込まれて一気読みした。

    羆と対峙するシーンは全体の一部だけれど、
    そこに居るのか居ないのかわからないことで生じる恐怖にずっと包まれていて、
    読んでる側も消耗するような凄みがあった。

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    2026年08月29日
  • 吉村昭の平家物語

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    盛者必衰の例。栄えまくった「驕れる平氏」の興亡物語。
    ・諸行無常
    ・盛者必衰
    ・権威を脅かせば潰しに掛かられる。猿山のボス猿理論(1位と3位で2位を潰す)
    ・驕れる者は久しからず

    出過ぎた杭は打たれるし、覇権を脅かす者は殺しに掛かられる。どれだけそれまで役に立っていても。そして、覇権も必ず衰える。
    出る杭は打たれるし。盛者必衰は必ず起こる。この世の理

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    2026年08月28日
  • 関東大震災

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    R8.6.14~8.25

    (きっかけ)
    好きな作家
    古本屋でみかけて

    (感想)
    数年前のNHKスペシャルでやっていた関東大震災特集。
    そこで初めて「火災旋風」を知る。
    信頼する吉村先生は、この本で火災旋風をどう描いているのか、すごく興味があった。
    そしてそれは、死傷者などのデータや、生々しい描写とともに見事に再現されていました。

    そして、朝鮮人へのいわれなき攻撃についても、当時の警察の記録をもとにまったくのデマであることを断定しており、大変納得のいくものだった。そしてその狂気の伝播を、著者の想像に頼らず、データと記録を基にしたドキュメントとして描写されており、これも好印象でありました。

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    2026年08月27日
  • 人生の観察

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    吉村昭の随筆は既に結構な種類の本が出版されているそうだが、自分は初めて読んだ。
    没後二十年なのだから当たり前だけど、かなり時代が古い。現役時代の増田明美さんの話が出てきたりする。だから大体1980年〜90年くらいかな。書き振り的にはその頃には既に結構な年齢だったみたい。

    読んだ感想としては、質実剛健な昭和の頑固オヤジという印象を受けたが、そういうナマの人物像が文章に現れているのが良かった。だから、あまり共感しないことに対しても、率直に「そういうもんなんだ。」と思える。例えば、吉村昭曰く、寿司屋の職人の返事は「あいよッ」は軽薄で、「へい、承知しました」が礼儀正しいらしい。ふぅん。自分は全然分か

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    2026年08月27日
  • 桜田門外ノ変(下)

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    緊迫した展開でストーリーに引き込まれて一気に読んでしまった。特に今まであまり歴史小説などで読んだことがなかった幕末の水戸藩の動きがよく分かった。桜田門外ノ変で薩摩藩が動かなかったのは、水戸藩の志士には気の毒だが、歴史の大きな流れの中では間違いなく重要なターニングポイントで、それは志士たちも誇っているはず。

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    2026年08月24日
  • 高熱隧道

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    相当過酷な出来事を淡々と書きながらも熱を持って伝わってくる不思議な作品
    作品の終わり方もサラッとしながら強烈な余韻を残す

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    2026年08月22日
  • 桜田門外ノ変(上)

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    これまで幕末の歴史小説を読んでも長州、土佐、薩摩が中心でそれらのなかでは水戸は脇役の扱いだったので、とても興味深い小説。ちょうど面白くなってきたところで下巻が楽しみ。

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    2026年08月20日
  • わが心の小説家たち

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    良い読者でないとはいえ、その著作に触れたことはあり、結構面白かったという感想を持つので、本書も手に取った次第。やはり誰しも独特な小説の読み方はあって、こと自身が書き手でもあるだけに、作家評は興味深いものになりますね。

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    2026年08月20日
  • 破獄

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    扱っている史実が非常に強烈なのに、文章が淡々としているというギャップが何とも言えず面白い。
    淡々とした文章ながら想いは強く伝わってくるという、不思議な作品。

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    2026年08月18日
  • 死まで 吉村昭初期短篇集

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    ネタバレ

    ・あらすじ
    吉村昭初期短編集。

    ・感想
    冒頭の「鋏」と最後の「雪」が特によかったなー。
    特に「鋏」はこの作品を読めただけでこの本買ってよかったって思ったレベル。

    太宰治の女子独白作品を踏襲したと思われる表彰状には意外性があった。
    吉村先生もこういう作品書かれてたんだなー。
    でも正直やはりこの分野?では太宰には敵わないな、と思ったり。
    あの年頃の女子の過剰で「肥大した自意識と傲慢さ、そして繊細さの描写はやっぱ太宰がずば抜けてるもんね。
    勘違いして入水なんてやりきれない最期だ。

    雪は、執筆時に20代だったとは思えない作品。
    最後が微笑ましくてとてもよかった。

    表題作の「死まで」は養母の汚ら

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    2026年08月17日
  • 羆嵐

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    身長2.7m/体重384kgの羆。
    もはや怪獣である。
    人間界のルールなんて通用しない弱肉強食な野生の世界を、淡々と生々しく描写した文章に鳥肌。
    羆の息遣い、骨を噛み砕く音、断末魔…怖過ぎる。
    そして終盤の息を呑む緊張感。

    デキる男、銀四郎は田中泯で脳内再生された。

    人間も自然の一部であった事を再確認する。
    吉田昭、これからディグります。名作。

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    2026年08月15日
  • 新装版 間宮林蔵

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    2ヶ月くらいかけてじーっくりと。おかげで内容がしっかりと咀嚼されて、いい読書ができたなって。

    間宮林蔵は、日本史の教科書で「サハリンを探検した」だけの記述くらいしかイメージはなかったけど、彼の人生が立体化され、江戸時代の後期にこんな人がいたのかとびっくりする。探検だけでなく、地図の作成にも携わり、さらには海外渡航という禁忌も犯しつつ(!)、全ては日本のためと私利私欲を捨て、後には隠密行動をとる。

    吉村昭さんの著作は実はこれが初めてで、これからの読者がとっても楽しみになります。

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    2026年08月15日
  • 零式戦闘機

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    零式戦闘機の開発から誕生、緒戦での活躍
    終戦を迎えるまでを描く。
    堀越二郎が主役かと思ったが、タイトル通り零式戦闘機を中心に置き、吉村昭らしく感情的でない、だからこそ戦争の描写は凄惨さが伝わる話。
    解説にもあったが、工場で生産された機体は牛車で運ばれていたという描写が何度かでてくる。米軍がその能力に恐怖した零式戦闘機が、きわめて原始的な方法で運ばれているという対比が興味深かった。
    米軍の圧倒的な物量が、後半から徐々にその姿を表していくところから、戦争の絶望感が伝わってきた。

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    2026年08月14日
  • 羆嵐

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    2.7メートル、384キロの羆と実際に対峙したら、恐怖でまったく動けなくなるんじゃないかと思った。

    人間が起こす殺人事件とは違って、そこに悪意や感情を読み取る余地がない。ただ生き物として、人間の都合とは関係なく襲ってくる。その非情さがすごく恐ろしかった。

    そして銀四郎が男くさくてかっこいい。羆の恐ろしさが際立つほど、それに向き合う姿が印象に残った。

    10段階評価: 7点

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    2026年08月13日
  • ポーツマスの旗

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    エンタメ★★★
    学び★★★★★
    癒し★
    日露戦争後の講和条約締結に至るまでの緊迫した状況を文章は淡々と綴られていた。だんだん追い詰められていく小村たちが細かく描かれている。その日の天気や蚊が出たなどの概況も描かれているので自分がそこにいるような、湿度や気温、その時の匂いが体験できるようだった。勉強では年号ぐらいしか覚えず、このポーツマス条約がその後の日本に大きな影響を与えたのかと思うと小村の責任は計り知れなくその重圧を逃げずに引き受け、締結に至ったのは名外交だと感じた。

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    2026年08月11日
  • 羆嵐

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    【2026年96冊目】
    北海道の開拓民を襲った悲劇の実話を小説化。1915年、北海道苫前郡苫前村三毛別六線沢に住む開拓民を襲った一頭の羆。体長2mを越えたそれは、延べ6名の開拓民を死に至らしめ、3名に重症を負わせた。わずか二夜にして起こった悲劇に、開拓民たちは恐れ慄き、一人の熊撃ちに命運を託すことになるが…。

    友人に勧められていたので、読もう読もうと思いつつ先延ばしして、ようやく手に取った一冊でした。熊騒動、最近は収まってきたように思いますが、こっわいですねぇ。羆の生態についても書かれてるんですが、想像しているよりもずっと知能が高いことがわかります。「戻り足」なんか使われたら勝てないでしょ。

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    2026年08月16日
  • 漂流

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    難波して草も水もない無人島に流れ着いた長平。生き抜く精神力がすごいし生き抜くための方法を編み出すための頭が良い。もともと知識がないのに考えつくってすごい。こういう人はほとんどいなかったからこそ当時でも驚かれたんだろう。

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    2026年08月08日
  • 漂流

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    髭もじゃで鳥の羽の衣装を着た集団を想像したら、コミカルで思わず吹き出してしまいました。
    厳つい男たちのイメージとのギャップが面白く、爆笑。

    今回あらためて感じたのは、どんなに過酷な状況でも、神にすべてを委ね、神と自分を信じる心を持ち続けることの大切さです。

    極限の状態というのは、通常の人生においても、何度となく訪れる状況だと思うので、自分がそれを経験する時、長平たちのことを思い出して、乗り越えていきたいと思いました。

    高知の東の方に車で行くと、長平の像が立ってるらしいので、今度訪れてみたい。

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    2026年08月06日