吉村昭のレビュー一覧
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本日は、吉村昭文学忌、悠遠忌(ゆうえんき)。
“はるか遠く果てしない”そんな壮大な言葉は、吉村氏が自ら選び、墓石に刻まれたものだそうです。
『羆嵐』は1976年、『小説新潮』に一年間連載され、翌年単行本として刊行されました。
舞台は大正4年、北海道・天塩山地の麓にある開拓村。実際に起きた熊による村人殺傷事件をもとに、吉村昭が取材を重ねて描き上げた記録文学です。
日本各地で熊による被害が相次いだ昨今。人と自然が衝突したその時を、再び読もうという選書でしょうか。
貧しい開拓村へ、冬眠をし損ねた一頭の羆が突然現れました。
子どもと女性が襲われ、女の味を覚えた羆は、その匂いを求めるように村々 -
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本作は、日中戦争の遂行に必要な電力を賄うという軍需目的のもと、黒部第三発電所の建設に挑んだ人々を描いたノンフィクションである。
最初、私は『高熱隧道』というタイトルだけでは一体何が高熱なのか分からなかった。「隧道(ずいどう)」という漢字自体、何と読めばよいのかさえ知らなかった。それが「トンネル」を意味すると知っても、なお「高熱のトンネル」という存在が結びつかず、想像すらできなかった。しかし、読み進めるうちに驚かされた。わが国には、岩盤温度が160℃を超える「高熱断層」なるものが存在していたのだ。本作は、世界でも稀有な温泉湧出地帯にトンネルを穿(うが)つ、壮絶な記録である。
万が一の非常事態 -
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小村寿太郎の生涯が描かれている。宮崎の飫肥出身の小村は外交官として活躍。一番はやはり全権大使として挑んだポーツマス条約締結か。日露戦争で大国ロシアを奉天会戦、日本海海戦で破りルーズベルトの斡旋もあり条約を結ぶこととなった日本を代表してポーツマスへと向かう。日本はロシアに勝っているため国民としては領土、賠償金が得られると望みその期待もあり小村が旅立つ時には多くの日本国国旗が振られることとなる。ロシアに連勝した事実はあるが多くの負債、戦死傷者のため戦争継続は事実上不可能であることは国の上層部はわかっており早急の和平条約締結が小村の任務となる。ロシアの全権大使はウィッテ、狡猾かつ経験もある人物でアメ
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ネタバレヒグマの被害に対する「人間の心の動き」の本である。
個人的にはヒグマもクマも似たようなものだと思っていたが、圧倒的に違うことが この書を読むことでわかる。
もっと恐ろしいヒグマに対して、人間がどのように挑み立ち向かうのか?ということを期待していたが、予想に反して、ヒグマの記述はそれほど多くはない。
圧倒的力を示す残虐性と、それを餌として処理するヒグマの動きに、人間性の醜さや、 今まで口だけで大きな態度をしていた男が小さくなっていくところも、実に深みがある。
昔はすごかったと威張っていた猟師が、圧倒的暴力の前に何の役にも立たず、女子供から信頼を失い、軽蔑の目で見られるところも実に描写がうまい。 -
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2022年の本屋大賞掘り出し部門で推薦されていた作品。なんとなく気になっていた作品だった。
戸数17戸の寒村ではどの家も貧困でその日暮らし、主人公伊作の父は3年の年季奉公で廻船問屋に売られ、母と弟の磯吉、妹のかねとてると暮らしている。村は一つの共同体て村おさと老人指図役が知恵者として村を率いる。
この貧しい漁村は冬に浜で火を焚き、近づく商船を座礁させ、その積荷を奪うことを村の秘め事として行っている。現代を生きる我々の感覚からすれば明らかに犯罪だけれど、火を焚き船を引き寄せる行為はまるで花や昆虫が擬態などで獲物を引き寄せる行為によく似ていて、実は動物的な生きようとする本能の行為なのでは?なんて思