吉村昭のレビュー一覧
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初版は1971年9月、新潮社より刊行。
綿密な聞き取り取材と資料調査にもとづき執筆された記録文学作品。戦争小説というよりは、当時の技術の限界に立ち向かった巨大プロジェクトの記録という体裁で、いかにも高度経済成長期の作品という感じである。解説の磯田光一が、この作は「一つの巨大な軍艦をめぐる日本人の“集団自殺”の物語である」と看破したのは慧眼という他にない。この小説には、「なぜこの巨大戦艦を作るのか?」「戦艦建造をめぐる過程で、どうしてそこまでやらなければならないのか?」という問いが根本的に欠けているからである。つまり、戦争や軍事をめぐる価値判断が停止されている。 -
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「吉村昭」のノンフィクション短篇集『海軍乙事件』を読みました。
『戦艦武蔵』、『高熱隧道』に続き「吉村昭」作品です。
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昭和19年3月、パラオ島からフィリピンに向かった2機の大型飛行艇が、荒天のため洋上に墜落した。
機内には「古賀連合艦隊司令長官」と「福留参謀長」が分乗していた。
参謀長以下9名は一命をとりとめたが敵ゲリラの捕虜に。
そして参謀長の所持する最重要機密書類の行方は…。
戦史の大きな謎に挑戦する極上の記録文学。
太平洋戦争をたどる上でも、第一級の資料として、貴重な文献といえる。
表題作ほか、『海軍甲事件』 『八人の戦犯』 『シンデ -
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「吉村昭」のノンフィクション作品『戦艦武蔵』を読みました。
「吉村昭」作品は昨年7月に読んだ『零式戦闘機』以来なので約1年振りですね。
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日本帝国海軍の夢と野望を賭けた不沈の戦艦「武蔵」――。
厖大な人命と物資をただ浪費するために、人間が狂気的なエネルギーを注いだ戦争の本質とは何か?
非論理的“愚行”に驀進した“人間”の内部にひそむ奇怪さとはどういうものか?
本書は戦争の神話的象徴である「武蔵」の極秘の建造から壮絶な終焉までを克明に綴り、壮大な劇の全貌を明らかにした記録文学の大作である。
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「吉村昭」のノンフィクション作品『零式戦闘機』を読みました。
『東京の下町』、『歴史の影絵』に続き「吉村昭」作品です。
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日本が誇った名機を通して戦争の本質を抉り出した記録文学の大傑作。
昭和十五年=紀元二六〇〇年を記念し、その末尾の「0」をとって、零式艦上戦闘機と命名され、ゼロ戦とも通称される精鋭機が誕生した。
だが、当時の航空機の概念を越えた画期的な戦闘機も、太平洋戦争の盛衰と軌を一にするように、外国機に対して性能の限界をみせてゆき……。
機体開発から戦場での悲運までを、設計者、技師、操縦者の奮闘と哀歓とともに綴った記録文学の大巨編。
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