吉村昭のレビュー一覧

  • 殉国 陸軍二等兵比嘉真一

    Posted by ブクログ

    終戦から75回目の8.15を前に選んだのは筆者の数ある記録小説の一つ。勇躍出征、14歳少年兵の目を通した沖縄戦。その余りにも凄惨な戦場の生々しい描写には言葉を失います。祖父母も戦後世代であろう今の中学生にこそ知ってもらいたい、そして語り継いでほしい、戦争の真実。

    0
    2020年08月05日
  • 戦艦武蔵

    Posted by ブクログ

    2015年3月、マイクロソフトの共同創業者の故ポール・アレン氏の捜索プロジェクトチームが8年がかりで、シブヤン海底に眠る武蔵を発見した。本書を読みながら発見時のテレビの衝撃的な映像を思い出した。

    大和は海軍の施設である呉海軍工廠で造艦されたのに対して、武蔵は三菱重工長崎造船所という民間企業が造ったことは初めて知った。
    武蔵の起工から竣工までが造艦に関わる人間ドラマとともに完成するまでの過程が克明に記されており記録文学の傑作と言える名著だと思う。

    造船所から海軍に引き渡されるまでを前編、海軍が所有してから沈没までを後編として、最新の映像技術でぜひ映画にしてほしい作品。豪華キャストに実力派の監

    0
    2022年06月05日
  • 陸奥爆沈

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    詳細な調査により紡ぐ戦艦陸奥沈没の真相に迫る! まあ結局は真相には辿り着けないのだけれども、当時の構造的な問題を掘り下げる筆致は、そうなんじゃないか? と思わせる...。現代の人事施策にも当て嵌まる著者の提言のように思えてならない。

    0
    2020年08月01日
  • 戦艦武蔵

    Posted by ブクログ

    戦艦武蔵の建造から最期までを、ある意味淡々と描いている。

    誰かに感情移入する事もなく、事実を事実として緻密に描き切っている。

    敵国である米英だけでなく、日本国民にも秘密とされた大和、武蔵。すでに航空機での戦争へと移行しつつあった時代に敢えて不沈艦として大型戦艦を建造する意味とは何だったのか。

    日本海軍の象徴としてなのか。武蔵建造にかける人達の盲目的なまでの情熱。出来てからの活躍が難しいと何となく理解していても、完成させる事が目的となっていた当時の人達の情熱。

    完成してからの描写があまりにも悲しい事と対比すると、 何と無駄なものに時間と労力と人を投資していたのか、と思ってしまう。

    吉村

    0
    2020年07月15日
  • 新装版 赤い人

    Posted by ブクログ

    読み応えのある文章量で、なおかつ史実が詳細に記録された価値のある書籍だと思います。

    この書籍をおかずにご飯が3杯食べられるくらいに満足出来ますよ。

    0
    2020年07月10日
  • 夜明けの雷鳴 医師 高松凌雲

    Posted by ブクログ

    高松凌雲、現代ではあまり知らていない医師の伝記的小説。幕末における医学事情、江戸末期から明治初期の歴史小説としても面白い

    0
    2020年06月27日
  • 冬の鷹

    Posted by ブクログ

    著者はこういう前例のないものに挑む人間ドラマが本当に好きなんだろうな。他作品もそうだが、地道に愚直に自身の求めるものを深く掘り下げていく様は危うさが感じられるものの、まっすぐで清々しさがある。玄白や源内との対比でよりキャラが立ち、良沢が孤高の存在として際立つ。署名を固辞した後の2人の生活、人生遍歴も興味深い。

    0
    2020年06月02日
  • 桜田門外ノ変(下)

    Posted by ブクログ

    「これは映像になる」
    と、どなたかが感知して映画になったのかどうか
    2,3前に映画が完成しブレイクしいたのを思い出す
    たしかに読んでいて
    雪の霏々と舞う中の惨劇を絶えず思い浮かべてしまう小説

    日本史の勉強で
    「安政の大獄」1859年(安政6年)
    「桜田門外の変」 1860年(蔓延1年)
    と暗記した昔が懐かしい
    けれどもたった2行の年表事項、試験が終われば忘れてしまう

    その歴史的事実を忠実に吉村昭さんは小説になさった
    ルポルタージュでもない、創作でもない作品
    ましていわゆる時代小説でもない

    しかし
    感動を呼び起こし夢中にさせる筆力
    それはなんだろうなぁ、誠実な筆運びというのかな

    0
    2020年05月10日
  • ふぉん・しいほるとの娘(下)

    Posted by ブクログ

    シーボルトの娘「いね」の波乱の生涯
    あるいは
    女性自立ものがたり&教養小説
    とみてもいいのであるが

    事実上スパイだった医師シーボルトと遊女の間に生まれ
    江戸時代末期、女でありハーフがゆえに辛酸刻苦して
    女医第一号になったという
    それはそう強調してなくて淡々

    吉村さんの筆は
    末と維新後の歴史事実にものすごく詳細に詳細に
    書かれてあったので、その雰囲気にのまれた

    つまり、その裏打ちがあるからこそ
    おいねさんがぴかりと光った女性だったのね
    との読後感なのである

    なるほどね、思うには思うが

    すっかり維新前夜維新後の歴史事実に目を覚まされた
    そりゃそうでしょ、港にゃ、外国軍艦押し寄せ

    0
    2020年05月08日
  • ふぉん・しいほるとの娘(下)

    Posted by ブクログ

    幕末の激動の時代と「あいのこ」の数奇な人生と。この時代の女性ならではの苦労に思いを馳せ、生まれたばかりの我が子の幸多かれを心から祈る。

    0
    2020年04月13日
  • 新装版 海も暮れきる

    Posted by ブクログ

    どうしようもないアルコール中毒の俳人、尾崎放哉の最後をいとおしく描いた吉村昭の小説。戦艦武蔵などの戦記物しか知らなかった吉村だが、この放哉への心の寄せ方にこちらも心を動かされた。

    0
    2020年04月05日
  • 冬の鷹

    Posted by ブクログ

    『解体新書』の舞台裏を、吉村昭がいつものごとく、緻密な取材のもと描いた作品。

    『解体新書』=杉田玄白と前野良沢ら、と学生時代に習った記憶。
    杉田玄白メインなイメージ。
    それを根底から覆してくれた作品。

    杉田玄白の明るさや要領の良さと、前野良沢の生真面目さや頑固っぷりが、一貫して描かれていたから、年を重ねるごとのその対比が読みやすかった。
    平賀源内などの当時の彼らを取り巻く人々についても、仔細に描かれているのはさすが。

    0
    2020年03月09日
  • 新装版 間宮林蔵

    Posted by ブクログ

    マミヤ海峡の発見者として世界地理に名を残す江戸時代の冒険家、間宮林蔵の生涯を、若き日の樺太冒険だけでなく、幕府隠密として過ごした後半生やおりきと暮らした最晩年も含めて描き切った一冊。史料に基づきつつも、まるで見てきたかのような人物の生き生きとした描写は吉村昭の真骨頂。

    0
    2020年02月22日
  • 新装版 海も暮れきる

    Posted by ブクログ

    お酒は怖い…。一番の印象はこれ。才能があってもお酒に飲まれてしまう身体では、周囲も自分も損なってしまう。でも、お酒から離れられず醜い自分をさらし、あがきながらも生き永らえようとする放哉の姿は痛ましくも人間らしい。

    0
    2020年01月28日
  • 深海の使者

    Posted by ブクログ

    太平洋戦争末期、同盟国ドイツとの物理的な交流は潜水艦での往来しか手段がなくなっていた。片道2ヶ月を要する航海の苦悩を描いた小説。
    氏の小説は過度な脚色はなく、史実にのめり込めるのが良い。

    0
    2020年01月04日
  • 新装版 北天の星(下)

    Posted by ブクログ

    冒険小説だった前巻、後半は歴史小説に変わる。展開は早く情報量は多い。それでもすいすい進む。物語の本筋に必ずしも必要ではないと思われる場面での情景描写その部分も決して退屈ということもない。記録を丁寧になぞろうとする姿勢がみられる。巻末の覚書に「史実に忠実にありたいと願った」という著者の言葉。それでも、調べつくしてもわからない部分はあっただろう。こうであったろうと作者が信じて書く。歴史小説の楽しみ方は、史実と物語の組み合わせであるという前提を忘れないこと。知識をつけながら自分も想像してみることだ。

    0
    2020年01月02日
  • 星への旅

    Posted by ブクログ

    死体とか自殺とか。あんまり楽しい話じゃない、なのに文章がすごく綺麗。こういう鬱々とした現実にさらっと美を入れ込めるって文章が上手じゃないとできないだろうと思う
    個人的には鉄橋と石の微笑が好き

    0
    2019年12月11日
  • 大本営が震えた日

    Posted by ブクログ

    太平洋戦争勃発前の数日間を詳細な調査によって描き出した著者得意の記録文学。情報秘匿のためには人の死も厭わない軍部の闇、一握りの軍人により企図された奇襲計画...。
    「トラ、トラ、トラ」との高揚感、達成感とは真逆な感情が溢れ出す...。読後の疲労感が半端ない。

    0
    2019年11月18日
  • 海の史劇

    Posted by ブクログ

    日本海海戦を舞台とした小説では、司馬さんの「坂の上の雲」が有名だが、その視点が日本側からなのに対し、この小説はロシア艦隊側からの視点で展開する。7ヶ月に及ぶ航海、戦争、そして敗戦後の祖国への帰路。よく資料を集め、事実に基づいたストーリーとして価値を感じる。そして、作中にもあるように戦争が日露ともに大きな犠牲と負担を残した虚しさに共感を得る。以降さらに殺傷能力の高まる大きな戦争が続くのである。2019.10.28

    0
    2019年10月28日
  • 海の史劇

    購入済み

    読むほどに先に、先にと心が。

    今は読んでる途中です。一気に読めない性分なので。
    数年前に、司馬遼太郎の「坂の上の雲」全巻読みました。全6冊でとても時間が、かかりました。日本海海戦のところは後半にでてきます。
    同じ日本海海戦でも作者が違うと、どう変わるのだろうと興味が湧きこの本を買いました。難しい表現はありません。とても読みやすいです。
    日本海海戦のことを知りたければ、この一冊で充分でしょう。
    バルッチック艦隊が出港から各地の港に寄港しながらの様子は、つい世界地図で見てしまうほどの興味がわきます。歴史上、強大国のロシアとアメリカと正面きって戦った国は日本以外にありません。日本史を知る上でも、ぜひ中学生や高校生にも読ん

    0
    2019年09月27日