吉村昭のレビュー一覧

  • 深海の使者

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    太平洋戦争の戦前、戦中に、同盟国であったドイツに派遣された多数の潜水艦について書かれた作品。
    こういった事実があったということを今まで全く知らなかったので、興味を持って読むことができた。
    ただ、多数の潜水艦が登場しても、潜水艦内部での苦闘などに大差があるわけではないので、この記述はさっきもでてきたなと思う部分がいくつもあった。そのため途中まんねりに感じた部分もあった。
    しかし、こういった普段光が当たらない歴史に、目を向けた作者はすごいと思う。

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    2013年08月21日
  • 脱出

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    淡々としているからこそ、恐ろしい。
    自分だったらどうなるのだろうとつい考える。
    気づけば自分も登場人物たちと同じ時間軸に立ってしまっている。

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    2013年08月17日
  • 陸奥爆沈

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    天一号作戦の大和乗組員の生存率が8%だとすると、陸奥爆沈での生存率10%が如何に異常な数字なのかがわかります。

    戦ってもいないのに爆沈した陸奥は哀しいですが、その事実を隠そうとした海軍は昭和18年の時点でそれほどまでにすでに狂っていたのかと感じました。

    そして意外なほどに戦艦事故の原因は人為的なものだということに驚き、あっけないほどにもろく潰え去った陸奥はその後の海軍を象徴していると思いました。

    この小説は戦後26年経って書かれたもので当時はまだまだ生存者が残っており、吉村氏の丁寧な取材により徐々に真相が明らかになっていきます。

    馴染みのない用語が多量にあり途中飛ばしながら読みました。

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    2013年11月14日
  • 脱出

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    終戦直前から終戦直後の戦いの中の少年を掌編で纏めた一冊。スタートは樺太の住民の少年がロシア軍の進行で北海道にたどり着き苦労しながら生きていくさま。中でも沖縄からの疎開船対馬丸に乗り、母・弟・妹ともに潜水艦の攻撃で沈没。死の海の中を弟とともに生き延び、戦後沖縄に戻る少年の姿は痛ましい。まず沖縄で戦闘要員として戦っている中学の同級生達に引け目を感じ船に乗り込み、攻撃を受け沈没での人間性(自分だけの気持ち)、疎開先の宮崎での地元住民からの蔑視。沖縄に帰ってからの米軍の好き放題。結構読み応えがあった。

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    2013年07月24日
  • 長英逃亡(下)

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    一方、下巻では長英に影響を受ける人たちが確かにいたこと、また「志士」という人たちがどんなものなのかと考えさせられた。やはり現代において、ここまで気高い志を保つ人にならねばと思って仕方がない。
    しかし、不運。不運だが、気高い。

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    2013年07月23日
  • 長英逃亡(上)

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    江戸時代の獄中はこういうものなのかと感じられた作品。
    牢名主という存在があったのかと興味深く感じられた。
    上巻は獄中生活から幕末の世を見ている様子が感じられる。

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    2013年07月23日
  • 私の好きな悪い癖

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    古本で購入。
    吉村昭のエッセイ集。

    吉村昭作品のレビューで前にも書いたけど、淡々としているようで温かみのある文章が、氏の魅力のひとつ。
    本人が「エッセイとは人間を書くもの」と言うように、エッセイのメインは人間なわけです。
    それは歴史上の人物だったり友人だったり、旅で出会った人々だったり小料理屋の店主だったり。

    日々の些細な出来事や思いを書き綴ったエッセイが、微笑ましくていいです。

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    2013年07月22日
  • 遠い日の戦争

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    終戦と後のいわゆる戦争犯罪(人)に対して考えさせられる小説。
    主人公は終戦後、B29の搭乗員を処刑することに加わり、その事で戦後追われる身になる。B29の搭乗員は当時の国際条約に違反して民間人を大量虐殺した事で、日本軍部は処刑を決定し、国際社会にも宣言していた。戦後それらが戦争犯罪となるが、勝者が敗者を裁くことを見せつけられた思いがした。また裁く側の都合で量刑が斟酌され、減軽される政治的な流れについても人間の行いの空しさを覚えた。主人公が最後の場面でかつて働いていたマッチ工場のマッチを擦り、その質の変化を眺める様は時代の流れを思わせられてしんみりした。

    考えさせられる小説であったが、生きる勇

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    2013年07月17日
  • 虹の翼

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    ライト兄弟より先に飛び立とうとした日本人がいたことは知ってました。テレビでやってたので。そのプランを却下したのがあの長岡外史だということもしってました。しかしその二宮忠八が製薬業界の重鎮なのはちょっと想像ができませんでしたなあ。明治の日清日露の頃のエネルギーはどの切り口でも面白くて。浅田飴、龍角散、正露丸(征露丸)…。飛行機の話を読もうとしたら国産の製薬の事を知りましたよ。やはり吉村昭は面白いですね。

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    2015年05月25日
  • 東京の戦争

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    吉村昭が自らの戦争体験について語っている本。この時代に生まれた作家にとって、根底にあるのはこうした戦争の体験であることを再認識できる。

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    2013年05月25日
  • 生麦事件(上)

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    父にプレゼントした本。
    面白かったから読めとわたしのところに舞い戻ってきた(笑)
    読んでみると…
    品川、大森など、ちょうど通勤経路にあたる場所がバンバン出てきて、電車の中で読みながら、このあたりでこんな事件が…と臨場感ありまくり、かつ非常に不思議な気持ちになった。

    最初は英国人たちが斬られる場面描写に驚いた。
    「生麦事件」という名前しか知らなかった事件が、実際にはどんな人たちがどんな状況下で、どんなふうに殺傷されたのか…
    自分の生活圏で起きた事件であることも手伝って、何百年前の出来事が蘇ってくるように感じた。
    絵空事でも何でもなく、本当に人が血を流し、叫んだのだ…と胸に迫るものがあったのだ。

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    2013年05月23日
  • 桜田門外ノ変(上)

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    水戸藩をメインに描いた小説は初めて読んだかも。
    幕末モノはどうしても薩摩贔屓になってしまうので新鮮でした。

    同じ徳川同士でこうも憎しみが深まるとは。
    水戸藩の有為の人材は全て死んだとは読んだことあるけど、今作を読むと理解できた。
    色々な業の深さを考えさせられました。

    桜田門外の襲撃の描写が秀逸。
    見事に想像できる。

    ちょっと小説としてはバランスが悪い気もするけど、読んで損がない作品でした。

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    2013年04月24日
  • 天に遊ぶ

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    ・ごく短い短編が20篇ほど。これ以上短かったら小説として成立しないだろうなーってくらいの短編。いくつかドキッとさせられるものがあってうまいなーと感心しながら読んだ。

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    2013年04月14日
  • ポーツマスの旗

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    某戦国さんが私は小村寿太郎だ!といってたのがほんと笑い話だ。この人が今日本にいてくれたらパンダの国やキムチの国相手にどんな外交をしただろう⁈

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    2013年04月01日
  • ポーツマスの旗

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    交渉にあたってロシア代表のウィッテは新聞にさかんにアピールして自国に有利なアメリカ世論作りに腐心したのに対し、日本の小村寿太郎は同じような真似をするのを避けて誠実に交渉するのを心がけた、というあたり、日本の対外交渉の体質なのかと思わせる。
    それに不満を持つのは他ならぬ日本国民だったわけで、外交のプレーヤーは国民も入っていることを改めて教える。

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    2013年03月27日
  • 脱出

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    戦時から戦後にかけての、戦争に翻弄された若者たちの物語である。5つの物語は、北は樺太から南はサイパンに至る。吉村昭の淡々とした筆運びが臨場感を増す。民間人しかも若者の戦争による悲劇を描く。まさに日常の延長の戦争であり、何気ない平凡な日常から、ある日突然戦争を意識しだし、悲劇に巻き込まれていく様子が恐ろしい。

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    2013年03月16日
  • 桜田門外ノ変(下)

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    映画になった時から読みたかった本。やっと読み終わりました。水戸藩側からというか、襲撃現場の指揮をとった関鉄之介の視点で書かれています。彼が多くの日記を残していたとのことで、いつもながら史実に忠実で淡々と描かれてなかなか読み辛い(眠くなる)けど、のめり込んでくると余分な装飾がないぶん、ものすごいリアル感があります。

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    2013年02月19日
  • わたしの流儀

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    作家冥利に尽きる体験、日常の小さな発見、ユーモアに富んだ 日々の暮し、そしてあの小説の執筆秘話を綴る。作家・吉村昭の文章を紡ぐさまをかいま見る芳醇な随筆集。

    高名な作家である吉村昭であるが、案外とその著書を読んだ事が無い。(「ポーツマスの旗」を苦心して読んだだけである。)
    本書は随筆集であるが、緻密な小説とは違い、著者の人柄が偲ばれ面白い。

    個人的に気に入ったのは「毛がに」というお話。
    北海道の医師の話が出てくる。その医師は、類のないほどの読書家で、毎月かなりの量の書物を買い、それを一つの建物の中に並べ、町の人にも公開している。かれの夢は、その書籍を建物とともに町に寄附することだと

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    2013年01月04日
  • 冬の鷹

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    解体新書を訳して出版した杉田玄白と前野良沢のお話。
    合わせて、平賀源内も同時代で親交があり登場。
    何もないところから専門書を訳すのは、できないことはないけど本当にものすごい根気が必要な作業で、それは熱意の成せる業。

    同じ蘭学を学ぶ同士ながら、その志と辿った人生の違いが描写されています。
    三者三様に良いところがあるのに、時の趨勢が彼らを取捨選択する…
    それでも見てる人はいるんだから、頑固に生きていいのかも。

    華やかなエピソードしか聞いたことがなかった平賀源内の死に方と、あとがきのフルフェッフェンドの逸話が衝撃的でした。

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    2013年01月03日
  • 虹の翼

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    二宮忠八の生涯を描いた歴史小説。彼は、明治時代、ライト兄弟よりも早く飛行機の原理を発見した人物として知られている。
    昭和初期の軍国主義時代に二宮忠八は国定教科書でも取り上げられ、村田銃やゼロ戦と同様に日本独自の技術力の高さを以って賞賛されていたのだろうが、昨今ではあまり知られていない。(私自身も、この小説を知るまで彼のことを知らなかった)

    歴史の表舞台には必ずしも出てこない人物を、このような形で知り、学ぶことができることが歴史小説の醍醐味であり、一期一会的な人物との出会いが嬉しい。

    忠八が子供の頃に新型の凧を造る際に手助けをする竹籠職人など、日本人が、永らく手先が器用で技術力に才能を有して

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    2013年01月02日