吉村昭のレビュー一覧

  • 彰義隊

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    著者の小説は逃亡をテーマにしたものが多いが、本著も輪王寺宮能久親王とその側近の戊辰戦争に沿った逃亡劇となっている。なので、終章とあとがきで振り返って彰義隊の記述がなければ、題名に少し違和感をおぼえる。内容は、主人公の生涯を全うするまでで、相変わらず事実に対する調査の執念を感じる。2020.10.21

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    2020年10月21日
  • 雪の花

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    使命感を持って生きれるってすごいことだし、この人が世のためにしたことは素晴らしいということは間違いないけれど、この人にももっと楽な生き方があったのではないかと思ってしまう。
    最終的に報われたと言えるけれど…

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    2020年10月09日
  • アメリカ彦蔵

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    嘉永三年、15歳で船乗りになり、破船漂流した彦太郎=彦蔵。
    米国による救出と援助、そして幕末日本での活動。

    めまぐるしく多くの人物が現れ、物語+データというような作品。

    しかしジョン万次郎、土佐長平につぎ読み進めるとめまぐるしいのは作品だけでなく、彼の人生で、作中度々出てくるような『漂流民はいつまでも漂流民』というような表現とそれまでの経緯に切なくなる。

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    2020年08月23日
  • 磔

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    あとがきによれば、吉村昭初めての歴史小説であるらしい。
    だが、すでに完成されている。
    その後の、著者の歴史小説を読むと、更に完成度が増していることが分かる。
    初めての歴史小説で、この完成度は驚きである。

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    2020年08月19日
  • 光る壁画

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    胃カメラが出来るまでの話し。実話ベースの本に凝っていて読んでみる。ゴムホースや小さいカメラ、フラッシュを探したり作ってもらったり、犬での実験等は面白く読むが話し事態はそんなに。

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    2020年07月31日
  • ふぉん・しいほるとの娘(上)

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    ネタバレ

    シーボルト、その妻である其扇(お滝)、その娘イネの話。
    シーボルトは、以前読んだ司馬遼太郎の胡蝶の夢で描かれているシーボルトとは少し違う。本書を読むと、シーボルトは日本に純粋に医療を広めにやってきたのではなく、オランダから日本の海防情報などを調べるために来た諜報部員のような位置付けであり、少し残念だった。また、其扇もシーボルトを愛してあるわけではなく、お金が目当てであったということだ。まあ、それもそのはずで、其扇は遊女であり、それを引いたのはシーボルトで、其扇にシーボルトを無理やり好きになれと言ってもそれはこちらの都合良く考えているだけだといわれることはごもっともだ。作品名から、イネの話がメイ

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    2020年06月28日
  • 新装版 赤い人

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    最近、吉村昭を読み直してる。
    北海道開拓歴史と、安価な命として囚人を使役に利用するシリーズは、色々読んだが、本作も興味深い。

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    2020年05月16日
  • プリズンの満月

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    実在した森田石蔵という元刑務官の話や、彼が作ったという年表をもとにして書かれた小説。完全にフィクション。
    ドラマのような感動や、物語の起伏はない。むしろ時間軸場所軸が前触れなく変わるから、吉村昭に慣れない人には読みづらい印象。
    それでもやはり、あとがきにも書かれていたけど「共苦」の感情を作品の基底においてあるところが、日本人たる自分の心を揺さぶる。
    戦争責任なんて、個人はおろか、国単位で考えてももしかしたら存在しないんじゃないかと思った。

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    2020年03月09日
  • 星への旅

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    やたら轢死の描写が多くて、毎日通勤電車に揺られている身としては苦しいところもあった。
    若さゆえの死の儚さと美しさみたいなものを感じた作品。

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    2020年03月09日
  • 闇を裂く道

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    少し冗漫な感じもする。同じ作者の「高熱隧道」の方がまとまりよく一気に読ませる力があったように思う。

    工事としては、旧丹那トンネルの方が期間も長くかかっているので当然大変だったのでしょうが、それを克明に記すのはある意味マンネリにもなる。
    また、渇水による函南村の村民の苦難や怒りにも筆を向けているので、単なるプロジェクトX的な工事が大変でしたねだけではない、社会的な読み物になっている。

    今の日本にこれだけ、住民の事を真剣に考えてくれるお役所・官僚はいるのでしょうか。

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    2020年01月04日
  • 漂流記の魅力

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    記録文学・小説ではなく新書として著者の作品を読むのは新鮮。同じ島国であるにも関わらず、イギリスに多く日本にはない海洋小説の背景分析と、自らの力ではないが日本最古の世界一周録を紹介する内容。漂流に至るプロセスやその対処法、その後の顛末などに触れており、海や異国の地の過酷さを追体験できる。他の漂流小説を読んでから手に取るべき作品。

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    2020年01月01日
  • 生麦事件(上)

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    神奈川県を舞台とした小説の一つとして。
    タイトルの通り、幕末の大きな事件の一つである「生麦事件」を扱った歴史小説です。
    作者の吉村昭は『羆嵐』などで有名ですが、史実に基づいた精緻な描写がこの作品でも展開されています。

    幕府や薩摩藩の対応を批判するのでもなく、かといって賛美するのでもなく、冷静な視点から描かれており、戦闘描写・外交交渉の様子などもとてもリアルに感じます。
    特に、事件についての久光の主張「生麦村の事件については、家臣が外国人に斬りつけたのはやむを得ぬことと久光はその行為を是認していた。大名行列は、班の威信をしめすもので、藩士たちは身なりを整え、定められた順序に従って整然とした列を

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    2019年10月21日
  • わたしの普段着

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    著作の裏話が興味深い。締切は必ず守る、身体が原因で大学中退、史実は正確を期する。語り部が加齢で減ってきて、戦争小説は見限り歴史小説に目を移した。真面目で几帳面な人だったのだろう。2019.9.3

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    2019年09月03日
  • 新装版 赤い人

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    ゴールデンカムイという漫画に影響され、網走旅行中に購入。

    明治維新後、国事犯や民権運動により囚人が牢獄に収まらなくなった。またソ連南下の脅威を感じている日本政府。そこで囚人たちに北海道開拓をさせることに。「苦役に絶えず死ねば国の出費も減る」とのこと積極的に囚人が送られた。

    現地の労働は超極寒の中、履物や手袋、食料までもが十分に支給されず命を落としていく。北海道に囚人が送られることは死と同義と言っても過言ではなく、自暴自棄になり脱獄を試みる囚人も多数。

    旭川から網走に道を一本作るのが一番過酷だったよう。交通網が国力に直結するのは理解できるが、国のために命を落としていく囚人を思うとやるせなく

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    2019年08月17日
  • 死顔

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    吉村昭、遺作短編集。
    吉村昭の死を見つめる、真摯な姿勢がよく分かる作品。
    自らの死期を悟っても、うろたえない姿が目に浮かぶ。
    作家で、夫人の津村節子による「遺作について」も、吉村昭のひととなりがよく分かった。

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    2019年05月24日
  • 逃亡

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    少年兵の脱走をテーマにした小説。逃亡劇をドラマチックに描いた作品。太平洋戦争下の日本で自ら起こした数々の事件を主人公目線で描いている。

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    2019年03月21日
  • 星への旅

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    戦艦武蔵とは全く異なる死をテーマにした短編小説。不思議かつ不気味な作品が多い。細かなディテールの描写や独特の視点、詩的な表現はさすが。文学的価値は高いかもしれないが、好みで言うと好きな小説ではない。完全に好き嫌いの問題。

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    2019年01月27日
  • 星への旅

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    標題作以外にも秀逸な短編が収められた納得の一冊。
    特に「少女架刑」での死者の視点で語られる物質的な死と存在価値(霊的苦痛)、対となる「透明標本」での生きがいを持ちながらも無能となっていく人としての社会的な死への道程に立ち会うがごとき感覚に陥った。
    この時代の文章(というか著者の特徴)は安心して読むことができる...。別の意味でハラハラしなくて良い。

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    2018年12月30日
  • 脱出

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    太平洋戦争末期の日本を、少年の目を通じて描いた5篇からなる短篇集。舞台となっているのは、樺太、瀬戸内海、沖縄、サイパンなど、辺境の地である。これまで戦争とは縁がなかった地域が突然、最前線となり、日常と戦争との境目が極めて曖昧で紙一重である状況が描かれている。普通の生活を送っていて、突然戦争の影がそこに忍び寄っても誰もがそれを目の前に迫る来る現実的な危機とは捉えることが出来ずにいる様がそこにはあった。そして、自分や家族がどのようにするかという判断のほんの少しの些細な差が、生と死を分ける無情な結果がその先に待っているのである。戦争と日常が背中合わせである中、誰もがそれを現実として受け止められないま

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    2018年10月08日
  • 天に遊ぶ

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    原稿用紙10枚(4000字?)以内の珠玉の短編集。
    ここまで短いのに、物語が成立していて、うならされたりちょっとほろ苦かったり。
    名人芸ですね。

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    2018年09月18日