吉村昭のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
1973年第21回菊池寛賞
「戦艦武蔵」「関東大震災」など一連のドキュメント作品に対して
大日本帝国海軍 最後の戦艦(でいいのかな?)
武蔵のその建造から最期までを
記録文学の新境地
解説者曰く 日本人の集団自殺を思わせる
巨大な戦艦を ものすごい技術だと思うのだけど
材料の調達から造船まで愛国心と根性で作りあげてしまうような 狂気に近い当時の状況
進水してからは 建造から戦闘へと記録が変わる
作者のあとがきから
戦艦武蔵の建造日誌を友人から借用したとのこと
建艦に携わった技師が焼却するべきものを秘蔵していたものだとのこと
建造に関わるあらゆる種類の多くの数字が 現場に近い記録から起こ -
Posted by ブクログ
読む度毎回息苦しくなる作品。
黒部ダムには、家内と何年か前に観光で訪れているが、この本を読んでから訪れていたら、旅は自ずと全然違う印象を我々に残したであろう。
日本のインフラ工事とは、こんなに原始的であり、経済的強者が弱者の命すらその達成の犠牲にしたのか、という理不尽な気持ちに苛まれた。日本の歴史を学ぶといつも付きまとうやるせない心情である。
金持ちと貧乏の命の重さが違う。
それが、隧道の中と外で非常によく描かれている作品。
名も無い貧しい人達の命によりなし得た偉業。
果たして、今ならこんな工事は許されたであろうか?
パワハラ、いや、そんなものとっくのとうに超越している!
この工事を -
Posted by ブクログ
戊辰戦争において、北海道で新政府軍と戦いを続けた榎本武揚の旧幕府軍。彼らの主力というか強みは海軍にあり、その中の一隻が表題にある「回天」。始末とあるのは、榎本海軍の始末ですね回天一隻の話ではなく。その回天の一世一代の見せ場が「宮古湾海戦」。
海軍主力だったはずの「開陽」が箱館攻略中に座礁沈没してしまったのが、ケチのつきはじめという気がします。そして、戦争している以上仕方がないとはいえ、無謀な出航が多かったようにも感じました。榎本海軍の作戦行動において、十全とは言わないまでも、全うしたのは回天だけなような気もしてしまう。天地人のうち、天を味方につけられなかった。これでしょうか。
「甲鉄」が新政 -
Posted by ブクログ
八月は日本の戦争の本を読む。
昭和16年12月1日の御前会議でアメリカ、イギリス、オランダとの開戦が決定され、奇襲に向けての準備が秘かに開始された。
12月8日の宣戦布告と同時に真珠湾奇襲とマレー半島上陸を成功に導くためにはそれまでの一週間の軍事行動を絶対に察知されてはならず完璧な秘匿が命ぜられた。
そんな中で作戦を伝達する極秘命令書を持った将校が乗る飛行機が中国領内で行方不明に・・・。
最初はミステリー仕立ての小説のようにハラハラドキドキの展開だが、すべては緊迫の一週間における日本軍に起こった事実の記録。
エトロフ島単冠湾に集結した連合艦隊が秘かにハワイを目指すその緊迫感や、タイ国境マレ