吉村昭のレビュー一覧

  • 高熱隧道

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    ネタバレ

    死体の描写が生々しいですが、過酷な工事を語るには、必要な描写なのだと思いました。

    人夫たちがどんなに頑張っても1日1mしか進めないということがお話の途中でわかり、気が遠くなる思いでした。

    実際に起こったことに基づいて書かれたお話だということで、真剣に受け止めて読み進めなければならないと思いながら読みました。

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    2024年12月05日
  • 戦艦武蔵

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    その当時の日本における造船技術の叡智を集めて、秘匿の内に産み落とされた戦艦「武蔵」の生涯の記録です。かの有名な戦艦「大和」の2番艦、いわば次男坊にあたります。
    「武蔵」の生い立ちとその後の運命に見る光と影は、世界の潮流にもがく戦時中の日本の姿そのものであり、単なる戦記とは違う凄みを感じる作品です。また、飾り気のない文章で綴られる惨烈を極めた戦闘の描写と乗組員のその後には、心がえぐられます。
    否が応でも戦争について考えさせられる、とても悲しい話です。

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    2024年10月03日
  • 三陸海岸大津波

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    過去400年の間に南アメリカ大陸での地震に起因する津波が九例もあるとは。驚きである。地震もなく突然襲う津波なんて。

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    2024年09月26日
  • 大黒屋光太夫(上)

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     江戸時代にロシアへと漂着した日本人が、初めて帰国できたという魅力的な史実を題材にした、井上靖さんの『おろしや国酔夢譚』との違いを知りたくて、こちらはフォローしている方に教えていただきました。改めまして、ありがとうございます。


     まず読み始めて気付いたのが、井上さんの作品では「大黒屋光太夫」ら総勢17名を乗せた神昌丸が出帆したという表記のみで、出帆前の彼らについては全く触れていなかったところを、吉村昭さんの本書ではじっくりと描写している点で、白子浦の繁栄は家康のお陰といった歴史的繋がりも興味深い中、沖先頭の光太夫の半生について、幼い頃から知識欲が旺盛であり、神昌丸に自身の手荷物として浄瑠璃

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    2024年09月14日
  • 新装版 赤い人

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    河崎秋子 愚か者の石の参考文献にあったため読みました。
    小説というより、記録を読んでいるようでした。
    ただ、この北海道が、赤い人の命により発展したことを強く感じる本でした。

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    2024年08月30日
  • 星への旅

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    重厚な歴史小説や記録文学の印象が強い著者だが、こちらは昭和30年代から40年代の初期の作品集で、短編6編を収める。表題作は第2回太宰治賞を受賞している。
    緻密さよりはロマンティシズムが勝る。少年期から青年期のどこか透明な空気感。しかし、そこに「死」の影が色濃く映し出されている。
    戦後しばらく経っているとはいえ、これは戦争の影響なのではないだろうか。あるいは、戦時中に少年期を過ごし、戦中・戦後に若くして両親を亡くし、自身も大病を患ったことがある、著者の心象風景から来るものか。

    1作目、「鉄橋」は、若きボクサーの謎の死。前途洋々に見えた彼は、列車に轢かれ死亡する。果たしてそれは自殺なのか事故なの

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    2024年08月26日
  • 天狗争乱

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    天狗党の話は全く知らなかった。前半登場人物も多く、複雑な情勢でなかなか進まなかったが、京に向かうと決まってからは面白くて地図を見ながら自身が天狗党になって一緒に歩いていくかのような気持ちになった。

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    2024年08月23日
  • 戦艦武蔵

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    1973年第21回菊池寛賞
    「戦艦武蔵」「関東大震災」など一連のドキュメント作品に対して

    大日本帝国海軍 最後の戦艦(でいいのかな?)
    武蔵のその建造から最期までを 
    記録文学の新境地

    解説者曰く 日本人の集団自殺を思わせる
    巨大な戦艦を ものすごい技術だと思うのだけど
    材料の調達から造船まで愛国心と根性で作りあげてしまうような 狂気に近い当時の状況
    進水してからは 建造から戦闘へと記録が変わる

    作者のあとがきから
    戦艦武蔵の建造日誌を友人から借用したとのこと
    建艦に携わった技師が焼却するべきものを秘蔵していたものだとのこと
    建造に関わるあらゆる種類の多くの数字が 現場に近い記録から起こ

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    2024年07月31日
  • 高熱隧道

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    読む度毎回息苦しくなる作品。
    黒部ダムには、家内と何年か前に観光で訪れているが、この本を読んでから訪れていたら、旅は自ずと全然違う印象を我々に残したであろう。

    日本のインフラ工事とは、こんなに原始的であり、経済的強者が弱者の命すらその達成の犠牲にしたのか、という理不尽な気持ちに苛まれた。日本の歴史を学ぶといつも付きまとうやるせない心情である。

    金持ちと貧乏の命の重さが違う。

    それが、隧道の中と外で非常によく描かれている作品。

    名も無い貧しい人達の命によりなし得た偉業。
    果たして、今ならこんな工事は許されたであろうか?
    パワハラ、いや、そんなものとっくのとうに超越している!

    この工事を

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    2024年07月11日
  • 高熱隧道

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    04月-07。3.5点。
    今シーズン、下ノ廊下へ行こうと思っているので読んだ。
    過酷、過酷のひと事。「黒部は人間を寄せ付けない」と現場の課長が思うほど、工事不可能な感じ。臨場感あり、面白かった。

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    2024年04月16日
  • 破獄

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    佐久間がとにかく脱獄する。戦時中の刑務所のことなど考えたこともなかったし、一般市民よりも豊かな食生活を送っていたことは驚きだった。

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    2024年04月05日
  • 彰義隊

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    幕末時代の流れに流されて、良い悪いも関係なく
    滅んでいった人達がいた。可哀想、会津に近いので
    (ToT)

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    2024年03月14日
  • 新装版 赤い人

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    北海道開拓に働いた囚人達の記録。
    北海道のインフラ開発が多くの人の犠牲の上にあったことを思い知る。
    囚人を人とも思わないような扱いの残酷さ。こういう感覚の麻痺はどの時代でも、どこにでもある。なぜだろう。

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    2024年02月25日
  • 三陸海岸大津波

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    もともと1970年の本だが、私が読んだのは2004年の再文庫化版。

    東日本大震災により津波の恐ろしさに対する認識は一挙に改まったが、別に過去に恐ろしい津波の被害がなかったわけではまったくない。1896年の津波は死者約2万6千名、1933年の津波は死者約3千名、1960年のチリ地震津波は死者約100名。チリ地震津波は規模が小さいとはいえ、警報や堤防などの対策により津波の被害を軽減できているようにも見えたのかもしれない。しかし2011年の津波は1896年に匹敵する犠牲者を出した。それを踏まえて読むとあらためて慄然とする。

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    2024年02月02日
  • 破獄

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    この夏、知床旅行をした際に網走監獄博物館に行った。庭は整備されて沢山のハーブが咲き天気に恵まれた事もあり写真映えする所だった。
    しかし、130年前の網走刑務所の建物、歴史は囚人、看守共に過酷な環境であったと博物館の記録で知った。そこで、脱獄を重ねた白鳥由栄をモデルにした小説がある事を知り本書を読む事にした。
    読み進めると、博物館で観た当時の模型や映像などが頭をよぎる。そして最後は模範囚となる話に引き込まれた。
    網走監獄博物館に行ってから読むか、行く前に読むか、取り敢えず、旅に一味加えてくれる小説であった。

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    2023年12月09日
  • 幕府軍艦「回天」始末

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    戊辰戦争において、北海道で新政府軍と戦いを続けた榎本武揚の旧幕府軍。彼らの主力というか強みは海軍にあり、その中の一隻が表題にある「回天」。始末とあるのは、榎本海軍の始末ですね回天一隻の話ではなく。その回天の一世一代の見せ場が「宮古湾海戦」。

    海軍主力だったはずの「開陽」が箱館攻略中に座礁沈没してしまったのが、ケチのつきはじめという気がします。そして、戦争している以上仕方がないとはいえ、無謀な出航が多かったようにも感じました。榎本海軍の作戦行動において、十全とは言わないまでも、全うしたのは回天だけなような気もしてしまう。天地人のうち、天を味方につけられなかった。これでしょうか。
    「甲鉄」が新政

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    2023年12月06日
  • 吉村昭の平家物語

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    ネタバレ

    刀剣乱舞好きなので、お勉強に…と思って読みました。
    だいぶ時間かかった。
    平家万歳!の話と思ってたんですが、平家が滅びてく話なんですね。
    あと誰がどっちの勢力なのかよくわからずページ戻って確認してました。
    ところどころ大河ドラマや学生時代どっかで聞いたなーみたいな話がありました。
    大河ドラマの影響で頼朝あまり好きじゃないんですが、やっぱり嫌いでした。
    なんて疑り深い人と思いました。
    ついでに梶原景時が嫌いになりました。
    解説で最初子供向けに書かれてたとあって、これ子供向けなんだわー…と思いました。

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    2023年11月03日
  • ニコライ遭難

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    読み切れるだろうか、と挫折前提でページをめくり、気づけばラストまで到着。吉村昭さんの本は毎度そのパターン。
    日本史で確かに知ってはいた、大津事件。
    それをタイムマシンで遡り、透明人間になってその場にいたかのような気にさせてくれる。
    お蔭様で、まるで体験したかのような気持ちに。
    艦船に乗り、桜島を眺め、人力車に乗り、琵琶湖を眺め、サーベルが振り下ろされるのを見て、眠れぬ天皇を見て、司法の誇りを感じ、北海道の刑務所の寒さを感じ、上野の小さな墓の前に立つ。
    読めてよかった。ニコライの最期も哀しい。

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    2023年10月04日
  • 冬の鷹

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    吉村昭さんのお蔭で、知らなかった、知っておくべき過去の有名無名の偉人の業績、人生を知ることができて本当に嬉しい。有難い。
    タイムスリップして、透明人間になって、その場にいたような気になれる文章が好き。
    ターヘルアナトミアを前に、絶望する前野良沢や杉田玄白の姿が見える。孤独、名声、期待、失望、怒り、悲しみ、喜び、安堵。
    彼らの生きた時代の空気を感じられた気がする。
    読めてよかった。

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    2023年09月23日
  • ニコライ遭難

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    明治時代に起こった大津事件に関する小説。
    大国ロシアの動向を気にすることで、行政府と司法府とが対立。
    両者は近代国家形成期の愛国心を違う観点から共有していたため対立することとなった。
    その後の日清戦争〜第一次大戦までの両国の動き、関係者のその後が物悲しい。

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    2023年09月18日