【感想・ネタバレ】星への旅のレビュー

あらすじ

平穏な日々の内に次第に瀰漫する倦怠と無力感。そこから脱け出ようとしながら、ふと呟かれた死という言葉の奇妙な熱っぽさの中で、集団自殺を企てる少年たち。その無動機の遊戯性に裏づけられた死を、冷徹かつ即物的手法で、詩的美に昇華した太宰賞受賞の表題作。他に『鉄橋』『少女架刑』など、しなやかなロマンティシズムとそれを突き破る堅固な現実との出会いに結実した佳品全6編。

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Posted by ブクログ

感じたことや印象をうまく言語化するのが難しい本。しかし、この難しさが確実に自分の心の襞になった作品。
死に結びついた歪な欲望、執着。ここでの死はセンチメンタルなものでなく、生物が死体という物体になるという、物的なものとして描かれている。死がそのようなものとして描かれているから結局欲望や執着は無意味なもののように感じられる。表題作の「星への旅」で描かれる無動機な自殺は、このような死の即物的な側面を顕著に表していると思う。

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2024年06月30日

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人の心の動きと体の動きはどちらも不可解なんだけれど、どちらも鮮やかに描写されて息の止まるような瞬間だった。

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2023年01月14日

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【目次】
鉄橋/少女架刑/透明標本/石の微笑/星への旅/白い道

【感想】
『名短篇、ここにあり 』で少女架刑が印象に残った為、購入。
繊細な言葉選びと著者の死生観が分かる作品が連なった一冊。

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2022年08月07日

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高校生の頃、タイトルや表紙で宮沢賢治みたいなファンタジーだと勝手に思い込み購入。
それまで死について深く考えて来なかった若い頃の私にとっては衝撃的な内容だった。
しかし…静謐な空気感のなか死に向かう人間の、美しくも淡々とした描写に心を奪われた。そして「もう少し大人になって、また読み返そう」と心に決めた。
いま数十年が経ち、再読。
粗筋は何となく覚えていたので記憶通りだったが、特筆すべきはやはり繊細で美しく儚い描写力。現代の人気作家にはない昭和の文士の力量をまざまざと見せつけられた。

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2021年05月28日

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昔読んだ漫画の中にモチーフとして登場していて、ずっと印象に残っていたが読むのが怖いような気がして保留にしたままになっていた。数十年の時を経てやっと購入。死をテーマにした中短編集で、思っていた通り暗い雰囲気に包まれた作品たちだけど、描写は素晴らしく美しい。透き通るような骨標本や暗闇に星が瞬く場面が頭の中で鮮明に映像化される感覚になる。ジャンルはかなり違うけどその感覚は宮澤賢治を読んだときに感じたものと重なる。これが戦時中を生きた人の死生観なのか。高校時代、現国の先生が太宰治の「人間失格」を評して〝精神的に参っているときに読むとヤバい〟と言ってたけど、この作品もどこかメルヘンめいた世界に引き込まれていきそうで、太宰治賞受賞なるほどと思った。

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2020年08月29日

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往来堂書店「D坂文庫 2017夏」からの一冊。
吉村昭の作品はこれまでに何冊か読んでいたけれど、短編小説は初めて。しかも、これは昭和33年から42年にかけて書かれた作品を集めた、実質的なデビュー作ということらしい。
その筆致は、後に書かれる社会派作品群と同様、緊張感にあふれて鋭い。しかし、本書はそう評するだけでは不十分だろう。何しろ、収められた6編はいずれも生と死をテーマに書かれていて、鋭さに重さが加わっているからだ。
表題作の「星への旅」は、そのメルヘンっぽいタイトルとは裏腹に、日常の倦怠感と無力感から集団自殺を企てる若者の話であるし、「鉄橋」ではボクサーが列車に轢かれて不可解な死を遂げる。「少女架刑」では遺体となった少女が語り手で、その連作とも思える「透明標本」では、死体標本作成に取り憑かれた男の情念が重い。
冒頭で、生と死がテーマと書いたけれど、本書を読み終えてみると、生と死というのは実は紙一重の違いしかなく、死はいつでも生の隣にいて口を開けて待っているのではないか、などという妄想じみた思いにかられる。後の作品では、様々な死を描くことになるわけだが、著者はデビューした頃から既に死に対するスタンスを明確に持っていたのかもしれない。読むのに体力が要るこの短編集を読んだ今、あらためて著者の作品を読み直してみると、違う読み方ができそうに思える。

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2018年11月20日

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「鉄橋」「少女架刑」「透明標本」「石の微笑」「星への旅」「白い道」の六篇。
吉村昭氏の初期作品。「死」が色濃く表れている。
表題作「星への旅」。名状しがたい読後感。

個人的には、「少女架刑」「透明標本」が印象的。ある意味。対のようになっている。
「少女架刑」は、吉村昭氏には珍しい、「私」という一人称の語り。また、物語る「少女」の視点も不思議で。そして、怖い。

収録されている6つの短篇の登場人物たちは、“星への旅”になっていくのだろう。
“星への旅”という言葉の響きは綺麗だが、表題作の「星への旅」は、テーマが重い。

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2018年06月30日

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ネタバレ

全編通して「死」が横たわっていて、それをいろんな角度から観察しているようなイメージの作品集
詩的な表現を限りなく抑えているように思えるのに、全体に蔓延する死のムードはどこかロマンチックで引力がある
特に表題作の「星への旅」がとても好き
退屈な日常から抜け出す手段として「死」に憧れる少年少女たちの熱に浮かされたような逃避行、実際はその逃避行すら日常の反復運動に回収されてしまっていて、結局全員がそこから抜け出せないまま、、

わたしは吉村さんの豊かな観察眼に裏打ちされた丁寧な表現がすごく好きだけど、状況を的確にあらわしたり、ある人物を詳細に描写したところで決して読者に「あるある」として消費させないような気概を感じる
だからどこか幻想的だったり、高潔に感じるのかなぁと思った(ノンフィクションは読んだことない)
時代性もあるとは思いますが…

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2016年06月30日

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吉村昭の初期作品はずいぶん雰囲気が違うんですね。シュールな世界なのですが、「モノ」と「人の死」についてだけはひどく生々しく、即物的でなんとも言えない読後感を残します。

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2015年05月17日

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『戦艦武蔵ノート』の解説で紹介されていた「少女架刑」を読みたくて本書を購入。表題作を含む6つの短編は、すべて人間の死が絡む。ボクサーの自殺に見えた轢死は、彼の独白から異常に発達した動体視力を過信した事故死であった「鉄橋」。死んだ少女の魂が、自身が大学解剖学教室の献体として切り刻まれる様を目撃する「少女架刑」と、その姉妹編とも言える「透明標本」など、とても読みごたえがあった。当然、どの作品も暗い色調を帯び、今まで自分が読んできた吉村作品とは一味違う印象を持った。

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2025年05月25日

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○星への旅
集団自殺に向かう若者の揺れ動く気持ちを描く。
死は芸術たり得るのだなと思わされるほど、死にゆく際の表現は美しい、、

そりゃみんな死ぬんやから
芸術にしなきゃね

○少女架刑
恵まれない境遇で命を終えた少女が、死後に自らの遺体の解剖や火葬を通して人々の欲望と無関心を俯瞰する

生前には持ちえなかったほど澄んだまなざしで、骨が燃える色の変化さえも静かに感じ取っていた

救いはない
だが、沈黙の中に確かな声がある。

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2025年05月11日

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タイトルからファンタジー的要素があるかと期待したのがバカだった。これまでの吉村昭だったことを読後に痛感した。なぜここまで詳細に深く描写するのか。その意図は多分実行に至るまでの気持ちの動きを追うことなのだろう。死んで星になるなんて甘いものではない。しかし、主人公のその瞬間の描写には痛みや苦痛かなく、淡々と客観的な心情が語られるのみ。思いとどまるきっかけを期待したが、思いとどまる理由がなかった。最後はそんなものかもしれないと納得するしかなかった。

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2021年04月03日

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死体とか自殺とか。あんまり楽しい話じゃない、なのに文章がすごく綺麗。こういう鬱々とした現実にさらっと美を入れ込めるって文章が上手じゃないとできないだろうと思う
個人的には鉄橋と石の微笑が好き

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2019年12月11日

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初期短編集
表題作で太宰治賞をとっている

「鉄橋」
傲慢かつ臆病、ゆえに意味なく自分を試そうとしてしまう
それも無駄に危険なシチュエーションで

「少女架刑」
人体標本としてボロボロに使いたおされながら
誰にも感謝されない女の子

「透明標本」
人骨標本に美を追求する老人と
永遠の架刑にのぞむ娘

「石の微笑」
意味のないものにだって美術的価値を見いだすことはできる
しかし人間は

「星への旅」
集団自殺の旅になんとなくついてきてしまう少年
臆病者と思われたくないがためだけに

「白い道」
空襲で街が焼けるなか
人々は絆の空虚さに直面する

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2016年11月15日

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 各作品それぞれに死が絡んでくる短編6編収録の短編集。

 小説や映画、マンガをいろいろ読んだり見たりしていると、ほんとに時々「変な話だったな」「奇妙な話だったな」と思うものがあります。
この吉村さんの『星への旅』もそんな本でした。

 と言っても、作品の完成度が低いわけじゃありません。いずれの作品も吉村さんらしい真摯で丁寧な描写、
そして過剰に感情を挟みすぎない冷静な文章でとても文学としての完成度は高いと思います。

 中でも死体となった少女が語り手となり、自身が解剖されていく日々が描かれる「少女架刑」は語り手の異様さもさることながら、
彼女の語りで解剖に一種の美しさが、ラスト場面の荘厳とした感じも圧倒的でエンターテインメント性は皆無の作品ながらも、惹きこまれました。

 表題作「星への旅」は集団自殺を企てる若者たちを、一人の大学生の視点から描いた作品ですが、
吉村さんの感情を挟みすぎない文章が、彼らが自殺に惹きこまれる理由となる倦怠感と非常にマッチしているように思いました。
語り手の圭一が星空を見上げた時の描写も美しいの一言いに尽きます。

 この短編集の奇妙さは、それぞれの作品の死に対して必要以上に痛みや苦しみ、死を忌避する感情を挟まない点だと思います。

 普段普通の小説を読んでいると死は避けるべきもの、忌避すべきものとして描かれるのですが、この短編集ではそういう感情があまり読み取れず、死に対して余計な感情を挟まない一種の透明感があるように思いました。それが自分の感じた奇妙さの理由のように思います。

 そして改めて吉村さんの冷静な文章に惚れ直した作品でした!

第2回太宰治賞受賞作「星への旅」収録

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2014年10月06日

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『少女架刑』『透明標本』はどうも好きになれず、これはハズレだったかとおもったが、表題作、『星への旅』がとてつもなくすばらしい。

私の言葉で言い表せない。感動でもなく、なんだろう、共感?なのか。いや共感してはいけないんだろうけど。

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2014年03月30日

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常に流れる死の匂い。
生きることへの疲労感、徒労感が半端ないのだが、かといって何かを批判するでもないのだ。
だから居心地良く感じるのかも、吉村昭の作品は。

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2013年12月15日

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ノンフィクションが多い吉村氏にしては珍しいフィクションの短編。
死をテーマにしており、全体としてかなり暗い。死とはどういうものなのかを追求した氏の思いが分かる。

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2025年06月15日

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ネタバレ

・あらすじ
吉村昭先生の短編6篇が収録された短編集。
うっっすらと何となく繋がりがありそうでなさそうな作品たち。
単なる現実としての生と死と、超越した視点から描かれる生と死。

・感想
星3.8くらいかな。
鉄橋の轢死したプロボクサーは自殺なのか事件なのか、ミステリー風に周囲の人間の客観的視点を書いた後に本人視点での動機と背景。
周囲の人間はあーだこーだと己との関係性から彼の死に「理由」付けしてるけど、実際は今でいう迷惑系な動機だったんだ…。
己の限界を追い求めた結果ってことなのかな。

少女架刑は死んだ少女の自意識からの一人称視点の話。
解剖される様子、家族との関係。
死後の身体が単に「物体」として扱われることは不謹慎なのか?弄んで面白半分に損壊することは勿論問題外なんだけど、出てくる登場人物が研究者として、遺体を単なる「研究対象」として扱ってる。
今の倫理観だと中々受け入れられない言動も多々あるけど、今より死が身近なあの時代なら然もありなん、なのかな。
最後に火葬されてやっと死の静けさという安らぎの中でいれると思いきや、そこには無機物の奏でる音で満たされていた。
という何とも最後まで不幸な1人の少女の一生を書いた作品だった。

透明標本は少女架刑に出てきたあの老人とは名前が違うから別人だけど、人物像的には同じ。
限界の見えた老人男性が、最後に自分にしか作れない骨標本を作る話。
てっきり病気のお母さんがその餌食になるのかと思いきや…世の中って理不尽。

石の微笑はあらすじ紹介が難しい。結局お姉さんは執着心が消え去って死神である曽根とともに死への旅に出たのかしら。

星への旅。
人生に飽きた怠惰な若者たちの自殺の旅。
辿り着いた先の貧しい寒村の人々が欠乏から選ぶ死と全てが満たされた故の無気力さで選ぶ死の違いとかメンバーの中で醸成されていく「死ななければ」という逃げられない集団ヒステリーとかが怖かった。

白い道は戦時中、帰路にたまたま道程を共にすることになった男たちの話。
主人公の境遇とか妻子を見捨てて逃げた男とそんな男への絶望を通り越した奥さんの話とか、特段劇的なストーリー性があるとかじゃない。
解説にもある「徒労感」という言葉が適切な話。

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2025年05月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

平穏な日々の内に次第に瀰漫する倦怠と無力感。そこから脱け出ようとしながら、ふと呟かれた死という言葉の奇妙な熱っぽさの中で、集団自殺を企てる少年たち。その無動機の遊戯性に裏づけられた死を、冷徹かつ即物的手法で、詩的美に昇華した太宰賞受賞の表題作。他に『鉄橋』『少女架刑』など、しなやかなロマンティシズムとそれを突き破る堅固な現実との出会いに結実した佳品全6編。(背表紙)。

いずれの短編も面白く、平易かつ奇麗な文章は読みやすい。
が、それからの作品を主に読んでいる身としては、やはり後年の歴史小説の方が好みに合っているようだ。

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2025年04月24日

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重厚な歴史小説や記録文学の印象が強い著者だが、こちらは昭和30年代から40年代の初期の作品集で、短編6編を収める。表題作は第2回太宰治賞を受賞している。
緻密さよりはロマンティシズムが勝る。少年期から青年期のどこか透明な空気感。しかし、そこに「死」の影が色濃く映し出されている。
戦後しばらく経っているとはいえ、これは戦争の影響なのではないだろうか。あるいは、戦時中に少年期を過ごし、戦中・戦後に若くして両親を亡くし、自身も大病を患ったことがある、著者の心象風景から来るものか。

1作目、「鉄橋」は、若きボクサーの謎の死。前途洋々に見えた彼は、列車に轢かれ死亡する。果たしてそれは自殺なのか事故なのか。謎解きめいてもいるのだが、単純な結論は導かれない。著者の筆は最後にはボクサーの内面へと読者を引きずり込む。さて、ことの「真相」とは。

2作目「少女架刑」と3作目「透明標本」は、いずれも人体解剖・標本作製の話である。いささか驚くのだが、この時代、実際、こうした形で骨標本まで作られていたのだろうか。現代でも献体が医学生の学習に役立てられることはあるわけだが、もっと生々しく、遺体の取り扱いが乱暴である印象を受ける。高校の理科室などの骨格標本が実は本物の人骨であることが判明し、騒ぎになった事件がいくつかあったが、こうした時代(あるいはもう少し前の時代)の遺物なのだろうか。
「少女架刑」は少しSFあるいはファンタジーめく。命を落とした少女が、自身の身体が解体されていくのを観察している。切られ、臓器を除かれ、採取されたものはホルマリンに漬けられ。少女はどこから見ているのだろう。不思議なロマンティシズムが漂う。
「透明標本」の方は、逆に、解剖する側の視点からの物語。完全な透明骨格標本を作製することを夢見ている男。男が望むものは手に入るだろうか。

4作目「石の微笑」。小学校の時の知り合い・曽根に学院(大学のようなものか?)で再会する英一。曽根は下宿屋をしている英一の家に住むことになり、英一を割のいい「バイト」に誘う。ところがこの男、どこか薄気味悪い。そのうちに同居している姉の様子が何だかおかしくなっていく・・・。

表題作「星への旅」は、若者の集団が自殺するために旅をする話、最後の「白い道」は、空襲に焼け出された父とその愛人の元に食料を持っていく少年の話。

いずれも、生と死の境界はさほど確とはしていない。何だかふっと越えられてしまいそうだ。
それが少年(青年)吉村の実感だったのではなかろうか。

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2024年08月26日

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死後解剖される少女の視点で描かれる、「少女架刑」。
集団自殺を図ろうとする少年たちの姿を描く「星への旅」。
透明標本づくりに熱中する男性。
ありありと情景が浮かび、最後まで読み進めてしまう筆力に毎回圧倒される。
また、戦争体験をされた方の文章にも触れておかねばという気にさせられる。

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2023年07月28日

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やたら轢死の描写が多くて、毎日通勤電車に揺られている身としては苦しいところもあった。
若さゆえの死の儚さと美しさみたいなものを感じた作品。

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2020年03月09日

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戦艦武蔵とは全く異なる死をテーマにした短編小説。不思議かつ不気味な作品が多い。細かなディテールの描写や独特の視点、詩的な表現はさすが。文学的価値は高いかもしれないが、好みで言うと好きな小説ではない。完全に好き嫌いの問題。

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2019年01月27日

Posted by ブクログ

標題作以外にも秀逸な短編が収められた納得の一冊。
特に「少女架刑」での死者の視点で語られる物質的な死と存在価値(霊的苦痛)、対となる「透明標本」での生きがいを持ちながらも無能となっていく人としての社会的な死への道程に立ち会うがごとき感覚に陥った。
この時代の文章(というか著者の特徴)は安心して読むことができる...。別の意味でハラハラしなくて良い。

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2018年12月30日

Posted by ブクログ

死を題材にした短編集。
吉村昭の記録小説以外の物語を読むのは初めてだった。
記録小説で見せる重厚感無く、ひたすらに儚げでロマンティシズム。
少し、肩透かしを食らったような感じがした。

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2018年04月11日

Posted by ブクログ

死が漂う6編の小説。雨に濡れた蜘蛛の巣など細部の描写がとても美しい。作品を通して何を言いたいのかはさっぱり掴めなかった。

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2017年02月26日

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吉村昭の初期の頃の短編集である。6編のうち、「鉄橋」は、芥川賞候補作となる代表作の一つで推理小説のように展開する。また、「少女架刑」は、死後の少女が主人公となり、周りの様子を語る手法で進められていく。「星への旅」は、太宰治賞に選ばれた作品で、集団自殺を描いたもの。「白い道」は、自身の生い立ちを描いている。全てに共通する点は、生きることの価値、意味を問うこと。そして、死への恐怖が、同時に生と極めて近いものであり、身近なものとして描かれていることである。その後の吉村昭の記録文学に通じるテーマは、すでにこの時期にあったのだと思える。

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2016年10月09日

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著者初期の短編6編。取材した実話を基にした作品が多い中、色の違った著作。死を生からの解放にとらえたような主題が多い。2016.1.16

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2016年01月16日

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 昭和33年から昭和42年にかけて発表された短編6編を収録したもの。
「鉄橋」(昭和33年)
「少女架刑」(昭和34年)
「透明標本」(昭和36年)
「石の微笑」(昭和37年)
「星への旅」(昭和41年)
「白い道」(昭和42年)
の6編である。「死」をテーマにした作品が多い。最初の「鉄橋」や表題作の「星への旅」は自殺がテーマとなっている。
 「鉄橋」は死にそうもないプロボクサーが鉄橋で轢死する。自殺か事故か、その謎解きをするサスペンス仕立ての小説だ。
 また「少女架刑」は、病死した少女が献体をし、自分の身体の部分部分がそれぞれ切り取られていく様子を、あたかも少女の魂が冷静に観察している。
「星への旅」は、若い少年少女たちが集団自殺へ向かっていく様子を、その仲間の一人の目を通して見つめていく。

 吉村の作品は「漂流」「破船」「島抜け」「三陸海岸大津波」などのドキュメンタリー・タッチの作品を多く読んでいる。それらに比べるとここに収録されたものは、それ程面白いとは思えなかった。表現がくどく解りにくいと感じた。

 流石に昭和中期の作品で「ガソリンカー」などというのが出てくる。電化される以前の鉄道気動車のことか。この辺でもつい最近まで「ディーゼルカー」なるものが走っていた。国鉄に勤める親を持った友人から聞いた。

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2015年09月11日

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