吉村昭のレビュー一覧

  • 島抜け

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    ★3.5

    短編集
    『島抜け』
     天保改革の波に巻き込まれ、詠んだ講釈のために
     島流しにされた講釈士・瑞龍。
    『欠けた腕』
     救いようのない飢饉に見舞われた甲斐国。
     飢えと悲しみから逃れようとする夫婦の物語。
    『梅の刺青』
     幕末から明治にかけ医学進歩のため『腑分け』に
     邁進する医師たちの物語。

    相変わらず、吉村昭氏の作品は壮絶で過酷だ。
    そしていつも、こうした史実に基づく物語の続きが嘆かれがちな今のこの世の中であり、それでもありがたいと思う事が出来る作品。
    氏の作品に出会えた事にもいつも幸せだと思わせられる。

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    2021年11月24日
  • 陸奥爆沈

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    太平洋戦争開戦時、日本は12隻の戦艦を保有し、その大半は戦場で沈没しました。最大級の「大和級」に次ぐ「長門級」の2番艦「陸奥」は戦場以外で失われた数少ない戦艦で、「陸奥」は広島県柱島泊地(基地のこと)における爆発事故によって沈没しました。
    本書はその爆発事故の原因究明にあたった当時の海軍関係者への取材をもとに、「陸奥」以前にも同じような爆発事故で沈没した艦船のケースにも言及しています。
    日本海軍にとって、戦時中に国内基地で主力艦を失うというのは大変ショックな事件でした。発生当時、米軍(潜水艦や航空機)による攻撃、設計上のミス(漏電による火薬引火など)、人為的な問題(規律違反によるミスや、放火)

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    2021年11月17日
  • 雪の花

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    ★3.5

    幕末、日本に於いて初めて種痘の『普及』に努めた医師たちの物語。

    身分や組織、平民たちの価値観との闘いが様々に繰り広げられる分、リアルな苦悩を感じられた作品。

    ありがとう
    という一言につきる。

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    2021年11月26日
  • 少女架刑 吉村昭自選初期短篇集I

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    吉村昭の初期の作品。歴史小説やノンフィクションといったイメージが強い筆者だが、この短編集は文学作品と言える。全七話に共通するのは、濃い死の匂い。なまじのホラー小説より恐ろしいかもしれない。

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    2021年11月04日
  • 脱出

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    戦中,戦後の混乱期における脱出に関する5つの短編.
    「脱出」は終戦直後の樺太からの脱出,
    「焔髪」は東大寺の仏像の疎開,
    「鯛の島」は瀬戸内の島で長年行なわれていた漁船での丁稚奉公制度がGHQが持ち込んだ民主主義に翻弄される話,
    「他人の城」は沖縄からの疎開民を満載した対馬丸が撃沈されたことによって起こる悲劇,
    「珊瑚礁」はサイパン陥落と島民の逃避行.

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    2021年10月30日
  • 夜明けの雷鳴 医師 高松凌雲

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    江戸幕府の残党の最後の戦い、箱館戦争の裏で野戦病院の頭取をつとめ、負傷した兵の治療にあたった高松凌雲の話。

    歴史の表舞台には出てこない人ではあるが、パリで学んだ近代医療を用いて、敵味方分け隔てなく治療にあたる人道的な姿勢は、もっと評価されてもよいものであると思う。

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    2021年10月23日
  • 関東大震災

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    烈震、大火、突風、津波、伝染病…ありとあらゆる脅威が一気に首都圏を襲った巨大地震、その凄まじい惨状の記録。流言による虐殺の横行はその時代の空気を感じさせるが、実は人心が一番怖かったりする。地震対策も情報化もはるかに進んでいるとはいえ、現在東京の人口は当時の 3 倍以上。ネットによるデマ拡散のスピードも比較にならない。同レベルの地震が起きたら今度はどんなパニックが起きるのか想像もつかない。大正 12 年はスペイン風邪大流行の数年後、そして98年後の今新型コロナのパンデミック…全く根拠なく、まさかとは思うが、南関東一帯を揺らす大地震がいつ再来してもおかしくないだけの時が流れたのは確か。震源地・相模

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    2021年09月06日
  • 戦艦武蔵

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    戦艦大和と同型で、大和進水後、二号艦として進水した戦艦武蔵の話だ。
    武蔵は、大和進水後、大和の不都合な点を出来るだけ改善して艤装されたもので、言ってみれば大和よりも性能的には良いとも言えるだろう。
    武蔵は長崎の三菱重工長崎造船所で作られた。進水までは、その製作を秘匿しておく必要があり、それにかなりの労力を費やしたようだ。
    武蔵は、太平洋戦争が勃発した時はまだ艤装中で、作業員達は、休日返上で夜遅くまで働いた。
    武蔵は多数の魚雷などを受け沈没し、助かった乗組員も、各地に転戦し、特攻、自爆攻撃など壮烈な最期を遂げたものが多い。

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    2021年09月02日
  • 冷い夏、熱い夏

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    あらすじ
    癌に侵された弟が死んでいく迄の様子を兄の目線から描いた物語

    感想
    兄は弟に癌であることを頑なに隠すが、私は正直に伝えた方がいいと思います。苦しい状態が続き、明らかに死ぬであろう状況を本人も自覚しているにも関わらす隠し通す意味がわかりませんでした。
    末期癌の厳しい病状が描かれますが、あんなに苦しいのかと恐ろしくなりました。昔の話なので今はもう少しましだとは思いますが。
    人がいくら苦しんでいても、他人は痛みを感じず酒を飲んだり食事をしたり日常生活を送れるのですね。当たり前の事ですが。

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    2022年02月16日
  • 新装版 間宮林蔵

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    歴史好きな人、男性には楽しめる本でしょう。二部構成の文章だったので要旨が分かりやすいほうでした。前半部、登場する北方民族は素直に「お前マジ関係ねぇっ」と言いたくなる。後半部、江戸趣味が繚乱を飾って読むのが楽しかった。吉村昭さんを単に歴史つながりで本を借りたんですが、吉村さんも歴史も早熟だし奥が深いですね。

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    2021年08月03日
  • ニコライ遭難

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    ずいぶん前から積み読になっていて、読み始めるも冒頭で挫折を何回も繰り返しやっと読破!
    いや結果、面白かったし、為になった!
    この事件、凄い出来事なのに、多分知られていない。こと無き得たから良かったものの、一歩間違えたら歴史が変わってたであろう。

    この前に佐木隆三氏の「司法卿 江藤新平」を読んでいたので、裁判についても興味深く読めた。

    法律とは、漠然と守らなければならないものという認識しか無かったけど、これを読んで法の何たるかを少し理解できたように思う☺️

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    2021年07月27日
  • 仮釈放

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    ラストのカタストロフィが、、まあ小説だから、こうしないといけなかったのかもしれないけど。それまでの、仮釈放された重犯罪者の暮らしと心情を丁寧に追っていくところで、個人的には終わりにしてほしかったなー。それだと地味なんだろうけど。

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    2021年05月30日
  • 天に遊ぶ

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    21編の小さな小さな短編集。
    『はて、それから⁇』と戸惑う物語も多い中、一つ一つに共感できる人間臭さ。日本人らしさ。

    そして人生は『はて、あれからどうなったのだろう』と思う出来事がいつの間にか流れ続けているものなのかもしれないと感じた。

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    2021年03月04日
  • 彰義隊

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    なぜ慶喜は戦わずして江戸に帰ったのか?
    その思いを多くは語られていない。
    慶喜の周りの人達の動きが興味深い。

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    2021年01月06日
  • 雪の花

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    吉村昭×疫病といえば「破船」が印象深いが、「北天の星」「花渡る海」そして「雪の花」は天然痘3部作と呼ばれるらしい。子どもの頃、世界中の歴史的な出来事をカレンダーのように紹介する本で、5月の出来事として、ジェンナーが子どもに牛痘を接種したというエピソードを強烈に覚えていて、それは同じ頃読んだ「ベルばら」でルイ15世が罹った天然痘はメチャメチャ恐ろしいとすり込まれたこともおおきいが、子どもに牛のなにかを植え付けるその本の挿絵の不気味さもあいまって、私の脳裏に刻まれていた。「雪の花」ではその種痘を子供から子供へ移していく様子が描かれる。私の中で勝手に気持ち悪いイメージが肥大化していたが、今、こうして

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    2020年11月07日
  • 彰義隊

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    著者の小説は逃亡をテーマにしたものが多いが、本著も輪王寺宮能久親王とその側近の戊辰戦争に沿った逃亡劇となっている。なので、終章とあとがきで振り返って彰義隊の記述がなければ、題名に少し違和感をおぼえる。内容は、主人公の生涯を全うするまでで、相変わらず事実に対する調査の執念を感じる。2020.10.21

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    2020年10月21日
  • 雪の花

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    使命感を持って生きれるってすごいことだし、この人が世のためにしたことは素晴らしいということは間違いないけれど、この人にももっと楽な生き方があったのではないかと思ってしまう。
    最終的に報われたと言えるけれど…

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    2020年10月09日
  • アメリカ彦蔵

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    嘉永三年、15歳で船乗りになり、破船漂流した彦太郎=彦蔵。
    米国による救出と援助、そして幕末日本での活動。

    めまぐるしく多くの人物が現れ、物語+データというような作品。

    しかしジョン万次郎、土佐長平につぎ読み進めるとめまぐるしいのは作品だけでなく、彼の人生で、作中度々出てくるような『漂流民はいつまでも漂流民』というような表現とそれまでの経緯に切なくなる。

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    2020年08月23日
  • 磔

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    あとがきによれば、吉村昭初めての歴史小説であるらしい。
    だが、すでに完成されている。
    その後の、著者の歴史小説を読むと、更に完成度が増していることが分かる。
    初めての歴史小説で、この完成度は驚きである。

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    2020年08月19日
  • 光る壁画

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    胃カメラが出来るまでの話し。実話ベースの本に凝っていて読んでみる。ゴムホースや小さいカメラ、フラッシュを探したり作ってもらったり、犬での実験等は面白く読むが話し事態はそんなに。

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    2020年07月31日