吉村昭のレビュー一覧

  • 海の史劇

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    ネタバレ

    日本海海戦までのロシア・バルティック艦隊の大遠征と圧倒的な日本の勝利、勿論痛快な勝利ではありますが、この時代の紳士的な双方の態度、ロシア兵捕虜への人道的な日本の対応、また敗軍の将ロジェストベンスキー、ステッセル・・・への暖かい日露両国の対応など、しかし寂しい晩年。明治の成長期の輝かしい日本人の希望を描いた司馬遼太郎の「坂の上の雲」とはまた違った、より更に客観的な史実として説得力も感じさせ、なおかつ著者によって素晴らしい心温まる叙事詩になりました。

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    2013年08月24日
  • アメリカ彦蔵

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    実在の人物に取材した物語であり、幕末の尊王攘夷から明治維新に至る日本とアメリカの状況が克明に描かれており、当時の日本人やアメリカの価値観の違いのようなものが興味深く感じられた。ただ、時代の流れを詳細に描く余り、登場人物の心理描写が少なく、小説としても面白みにはやや欠けると感じた。

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    2013年08月24日
  • 逃亡

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    逃げ続ける恐怖と緊張感、戦中戦後の空気の変化、じわじわとくる。
    しかし、どうにも主人公のことが理解できないまま終わった。

    主人公は弱いのに、強い。
    知能はないけれど、生きる本能は長けている。
    だからそのために自分で自分を窮地に追い込んでおいて、生き残る。
    だから理解ができなかったのかもしれない。

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    2013年08月06日
  • 七十五度目の長崎行き

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    248p
    7月12日
    多くの初出が生まれる前であったり、幼い頃であったりで、そのことが読み進めて行く上で新鮮であった。
    取材が先か、旅行が先か、吉村さんは本当に旅行が好きだったのだと痛感した。

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    2013年07月12日
  • 生麦事件(下)

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    一つだけ参考になるのは、末期に差し掛かった幕府の無能ぶり…
    これだけ無為に引き伸ばされたら、さすがに当時のイギリス人も腹に据えかねたでしょうが、しつこく交渉する姿勢に、英国の底深さを感じました。

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    2013年07月04日
  • 死顔

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    大好きな作家だが、意外と生死にまつわる作品を読んでなかったので、ある意味新鮮だった。作者の生死感はなんとなく分かるが、実感がわかない。生死をさまよったことがないからであろう。
    年をとるにつれ、共感していくのかもしれない。

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    2013年06月28日
  • 新装版 白い航跡(上)

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    陸海軍を震撼させる脚気の予防法を確立せよ戊辰戦争で見聞した西洋医学に驚いた薩摩藩軍医の高木兼寛は、やがて海軍に入りイギリスに留学、近代医学を学ぶ。東京慈恵会医科大学を創立した男の生涯を描く。

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    2013年03月31日
  • 新装版 白い航跡(下)

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    明治時代、脚気撲滅をはじめ日本の近代医学において尽力した医師高木兼寛の生涯。海軍での兵食改善にいたる経緯、当時のドイツ医学とイギリス医学の派閥などが興味深く描かれている。偉大な功績にもかかわらず国内で評価されず、家庭内の不幸も重なり、晩年は幸福ではなかった。

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    2013年03月29日
  • 漂流記の魅力

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    近海で遭難してロシアや北米に漂着するケースが意外にあったんだねえ。記録に残っていないケースも多々あるんでしょう。
    巻末の年表の中で、音吉は2年後に帰国とあるが、間違い。日本には戻れずシンガポールで客死。

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    2013年03月06日
  • 熊撃ち

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     クマ(主に北海道のヒグマ)を撃つ猟師を題材とする短編集。すべて実在の猟師・事件に取材したという。非情さにの中に漂う抒情性が特色。

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    2018年08月16日
  • 彰義隊

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    敗者の美学

    解説にも掲載されているように、この作品は吉村昭最後の歴史小説だ。
    作者の生誕地に伝わる彰義隊の言い伝えだけでは物語として物足りないので、皇族でありながら朝廷でなく幕府側についた輪王寺宮を主人公にその悲劇の生涯を描くことによって、幕末から明治の流れを描くことが出来たのだという。

    勝てば官軍という言葉があるように、歴史では敗者側の扱いが偏っていることが多い。
    しかし日本では吉村昭や中村彰彦などの作家だけでなく、白虎隊の悲劇のように敗者側の物語が長い間愛されている。
    これこそが他国との国民性の大きな違いであると私は思う。
    この作品もそんな良作の一つである。

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    2013年01月27日
  • 彰義隊

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    激動の時代に巻き込まれた輪王寺宮の後半生に迫る作品でした。心理描写や過剰な演出を極力排した硬派な構成なので、輪王寺宮の人柄が今ひとつ把握できず淡々としているので盛り上がりに欠けるところもあり、ヒロイズムを欲する人には物足りないのでしょうが、幕末史のあまり知られていない面を丁寧に扱っていますので特に幕府側に思い入れのある人なら一読の価値は大きいかと思います。ただ戊辰戦争後の宮の処遇は脱藩大名・林忠崇の話を知っているとかなり好待遇な気がしてなりません。このあたりはやはり皇族と小藩の大名の違いなのでしょうか。

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    2013年01月22日
  • 桜田門外ノ変(下)

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    桜田門外の変については、井伊直弼が暗殺された事件。ぐらいの認識しかなかったが、事件に至る過程や関わった人達の気持ち、その後の動向が忠実に書かれていてとても勉強になりました。

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    2012年12月22日
  • 島抜け

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    「島抜け」少し時期がずれていたら遠島という重罪にならなかったのに。人間の運命を感じさせられる。12.11.3

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    2012年11月03日
  • 冷い夏、熱い夏

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    肉親が亡くなることよりも癌細胞の増殖によってヒトの臓器が破壊されていく様子がすごかった
    しかしやはり癌は本人に告知すべきだと思う

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    2012年09月30日
  • ふぉん・しいほるとの娘(上)

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    シーボルトの娘・イネの生涯。
    司馬遼太郎『花神』に出てくるような村田蔵六との関係はほとんどありません。
    日本で初めての女性医師になるために、シーボルトの娘として生まれてきたのですね。

    上巻はイネの父シーボルトや母オタキの内容が多いです。

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    2012年09月05日
  • 新装版 白い航跡(上)

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    中学の先生に勧められた一冊、私が歴史小説を好きのなったきっかけの本(あと司馬遼太郎『竜馬がゆく』)。医者の覚悟というものを時代は違いながらも感じ取ることができた。

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    2012年09月02日
  • 冷い夏、熱い夏

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    今とはガンの告知に対する認識が違うのか。徹底的に弟に嘘を突き通す主人公の態度に、ある種の自分勝手さや独善を感じてしまう。本当に隠すのが良いことなのか、告知が患者にとって本当に悪いことなのか。深くて重いテーマの作品でゆっくり考える必要がある。

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    2012年08月02日
  • 逃亡

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    2012/07/31-09/04 アメリカのテレビ映画逃亡者のリチャード・キンブルのようなハラハラ感はない。幸司郎が自ら選んで人生を破綻させていく、自堕落感さえ漂ってくる。構想に筆がついていかないまどろっこさを感じる。

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    2012年08月04日
  • 虹の翼

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    ライト兄弟が飛行機を飛ばす前に日本で真剣に飛ぶことを考えていた二宮忠八。その人生を描いた小説だが、後半にかけての医薬品会社に入社してからの物語に感情移入する。明治-大正期のビジネスマンが企業を立ち上げる様は今の世の中にないバイタリティーを感じる。

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    2012年07月22日