吉村昭のレビュー一覧

  • ニコライ遭難

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    明治24年に起こった大津事件の前後を描いた歴史小説。

    史実が淡々と積み上げられていくので、どこまでが本当のことで、どこに作者の想像が入っているのか全く分かりません。非常に細部にまで史実にこだわった作品です。

    日本のロシア皇太子の歓迎ぶりは現代に生きる自分が読んでいると、滑稽にまで感じてしまうのですが、それだけ当時のロシアの力の強さ、開国から間もない日本の苦慮の部分が見えます。ロシア皇太子のはしゃっぎぷりはなんだかかわいらしく思えたのですが(笑)

    事件が起こってからの司法と内閣の犯人の量刑をめぐっての軋轢は描写は決して多くないのにそれでも引き込まれます。司法側が頑なに法律を守ろうとしただけ

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    2014年02月16日
  • ふぉん・しいほるとの娘(上)

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    シーボルトの妾であった其扇ことお滝、二人の娘であるお稲、お稲の娘であるタカ。女三代に渡る物語。
    日本が鎖国を経て、ペリー来航ののち開国していく激動の時代に、異人との間に産まれ、また、女性でありながら産科医として名を馳せていくお稲。数々の苦労を経験しながらも、彼女の一つひとつの行動が、そのまま時代の進化に繋がっていることに気づかされる。

    改めて、私は良い時代に女性として産まれてきたのだと思う。

    日本初の女医さんは、荻野ぎんさんでは?と思っていたら、最後の方で彼女の話も紹介された。荻野ぎんさんの生涯を描いた渡辺淳一さんの「花埋み」もおすすめ。

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    2012年04月30日
  • 暁の旅人

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    幕末から明治に掛けて医学の分野で活躍した松本良順の一生を描いた作。佐藤泰然の次男として生まれた良順は泰然が洋方医であったこともあり蘭語は少しはやれた。若かりし頃長崎でオランダの医官のポンペに師事し医学を習得する。やがて幕府の奥医者となり幕府の医者の最高位までなる。明治になると会津・庄内の新政府徹底抗戦藩の支援にまわる。それも敗色濃厚となり、蝦夷の支援依頼を榎本武揚から受けるがこれを断り新政府に捕われる。その後長崎での外国知人らの支援で洋方病院を設立し、これを認められて軍医の取り纏め役となる。公では成功するが、私では長男・次男共に若くて喪いあまり幸せな人生とは言えなかった。
    吉村氏の表現が淡々、

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    2012年03月31日
  • 関東大震災

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    前半の実際の地震の被害のドキュメントは一読に値する。◆トタン屋根で首がちょん切れるエピソードなど生々しい。◆恥ずかしながら、被服工廠跡のエピソードも甘粕大尉による大杉栄一家惨殺も知らなかった。◆今読むと、当時でも大杉栄の甥っ子を口封じのために殺すことは、世間でも厳しい目で見ていたのか。また、震災によって、新聞が段々と御用メディアに成り下がっていく契機になったようにも思える。

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    2020年07月27日
  • 桜田門外ノ変(下)

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    桜田門外の変から明治維新までの8年。激動ですね。お殿様やお家のために家来は躊躇いもなく命を投げ出す。そんな古の時代から8年で近代国家。
    幕府大老暗殺なんて日本史上の大事件を起こしながら、維新まで生き延びてよりによって警視庁勤務した奴までいるとは。英国公使館を焼き討ちした初代内閣総理大臣伊藤博文といい凄い時代です。

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    2012年03月11日
  • 逃亡

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    戦争という自らの力ではどうしようもない状況下。
    置かれている状況からただひたすら逃れようとするが、受身的な逃亡は結局次の逃亡に繋がっている。
    自らの力で逃亡したラストの主人公の姿が象徴的。

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    2012年02月26日
  • 冷い夏、熱い夏

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    ネタバレ

    肺癌になり、五十歳で死んだ弟の一年ほどの闘病過程を「私」=吉村昭の視点から「事実そのまま」描い(───引用:解説)た長編小説。
    医療技術や、告知の概念など今とは違う常識が興味深かった。

    ノンフィクションとは知らずただ小説として読んだが、壮絶。
    弟が衰弱し幻覚に囚われ苦しみ死へ向かう過程は胸が苦しくなるようなものだった。だが、「私」と双生児のようなといわれるほどの弟本人に癌であることをひた隠し、兄弟達にも妻にも隠し、悪化を隠し、嘘を言い連ね死の前に自分ひとりで葬儀を手配し、まんじりとしていてもどうにもならぬと仕事に出、弟が病状を悟らぬよう子供達に見舞いを禁じ、弟の友人が会いに来たのを病室に入れ

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    2012年02月21日
  • 新装版 海も暮れきる

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    吉村昭による自由律俳人、尾崎放哉の評伝。抑えた語り口のおかげで放浪、漂泊のロマンが過度にならず読みやすい。

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    2012年03月14日
  • 吉村昭の平家物語

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    平家物語の入門書として最適。非常に読み易く、一気に読んでしまいました。源氏も平氏も、どちらも酷い事してますね。ただし、戦国時代より優雅でもあり、まだ人間味がある気がします。

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    2012年02月07日
  • 光る壁画

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    意外にあっさりしてたなぁ。著者の淡々としながらも迫ってくるような物を期待してたので、面白かったけどもっと熱くなりたかったかな。

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    2012年02月06日
  • 大本営が震えた日

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    本当に真珠湾作戦が連合国側に傍受されていなかったのか?
    本書にもハル長官の「最初に日本から軍事行動を起こさせたい」という発言がある。
    日本〜ハワイの超長距離を大船団が発見されずに辿り着いたというのも奇跡以上のものが。
    事実はどちらか?

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    2012年02月01日
  • 彰義隊

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    上野寛永寺山主であった輪王寺宮を中心に据えて描かれる、上野戦争と維新。
    筆者の史料を追う姿勢からともすれば出来事の羅列になりかねないところを、主人公の宮があまり主張しない描き方によって逆に、奥ゆかしく静かな目線の持ち主と云う性格で物語が成り立っていると思う。
    幕府崩壊から後の宮の生涯を書いている訳ですがタイトルを「彰義隊」としたのは、宮があの日を一生忘れえないものとして抱えていた事に由来するのでは。

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    2012年01月31日
  • 海の史劇

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    丹念に史料を読み解き忠実に日露戦争を描き出した労力には感服します。が、あくまで読み手側の問題なのでしょうか?話としての面白さは別物と感じてしまいました。氏の作品は好きなのに…。

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    2012年01月15日
  • 深海の使者

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    ネタバレ

    第二次世界大戦中、同盟国であるドイツとの輸送ルートを確保するため潜水艦がひそかに活躍していた。
    遥か離れたドイツへの往来を目指した潜水艦を描く。

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    2014年07月07日
  • 吉村昭の平家物語

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    2011/12/11
    来年の大河ドラマに向けて読んでみた。
    清盛もひどいけど、頼朝もひどい。
    数年前の義経が見たくなった。

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    2011年12月11日
  • 新装版 間宮林蔵

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    世界地図に日本人で唯一名を残している間宮林蔵の壮絶な一生を描き、史実の中に林蔵の人となりを浮かび上がらせている。

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    2011年11月03日
  • 冷い夏、熱い夏

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    シンプルに医療ものかと思ったら、吉村昭氏の最愛の弟の、末期がん診断から死までを綴った壮絶なノンフィクションだった。
    末期がんで余命が少ないことを本人に告知するなどとんでもない、という時代背景があるので、現代からしてみると無理があるんじゃないかと違和感がどうしても否めず、(実際に治療の非常に難しいがんであったにせよ)ここまで絶望的な筆致は読んでいて苦しい。
    しかし、さすが作家だけあって、感情的にもかなり突き動かされている状況でありながら、一方でかなり冷静に物事の成り行きを見ているところは驚き。

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    2011年11月01日
  • ふぉん・しいほるとの娘(下)

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    ネタバレ

     結局、タイトルはあくまでも象徴であったのだろう、と思う。
     「ふぉん・しいほるとの娘」とあるが、シーボルトに関わってしまった男たちがメインだと感じた。

     シーボルトの子を産む滝、娘の稲、孫のタダが出てくるが、稲以外の女たちの扱いは、男たちに比べると弱い。
     群像劇として読むのならば、男たちと同じようにシーボルトの娘の客観的な立ち位置が知りたかった。

     恐らく、タイトルから察した私の読みたい話とは異なった……ということなんだろうなぁ。
     長かったです。

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    2011年11月03日
  • ふぉん・しいほるとの娘(上)

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    ネタバレ

     「タイトルに偽りあり!」の本かと思うくらい「しいほるとの娘」が出てこなかった。もしかして主人公は「ソノギ」さんかと。

     歴史に詳しくなくとも読めるけど、情報量が多くてなかなか読み進まない。面白いとは思うんだけど、話が多方面に広がっているなぁと。

     そしてただいま下巻を読んでるんだけど、下巻のあらすじは読まないほうがいいと思う。あらすじでネタバレされてがっかりした。

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    2011年10月31日
  • ふぉん・しいほるとの娘(下)

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    所謂オランダお稲の話。江戸時代、しかも幕末から明治維新のただでさえ動乱の時代に日蘭のハーフで生きるってどんなに大変だったんだろう。

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    2011年10月29日