吉村昭のレビュー一覧

  • 逃亡

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    戦争という自らの力ではどうしようもない状況下。
    置かれている状況からただひたすら逃れようとするが、受身的な逃亡は結局次の逃亡に繋がっている。
    自らの力で逃亡したラストの主人公の姿が象徴的。

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    2012年02月26日
  • 冷い夏、熱い夏

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    ネタバレ

    肺癌になり、五十歳で死んだ弟の一年ほどの闘病過程を「私」=吉村昭の視点から「事実そのまま」描い(───引用:解説)た長編小説。
    医療技術や、告知の概念など今とは違う常識が興味深かった。

    ノンフィクションとは知らずただ小説として読んだが、壮絶。
    弟が衰弱し幻覚に囚われ苦しみ死へ向かう過程は胸が苦しくなるようなものだった。だが、「私」と双生児のようなといわれるほどの弟本人に癌であることをひた隠し、兄弟達にも妻にも隠し、悪化を隠し、嘘を言い連ね死の前に自分ひとりで葬儀を手配し、まんじりとしていてもどうにもならぬと仕事に出、弟が病状を悟らぬよう子供達に見舞いを禁じ、弟の友人が会いに来たのを病室に入れ

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    2012年02月21日
  • 新装版 海も暮れきる

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    吉村昭による自由律俳人、尾崎放哉の評伝。抑えた語り口のおかげで放浪、漂泊のロマンが過度にならず読みやすい。

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    2012年03月14日
  • 吉村昭の平家物語

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    平家物語の入門書として最適。非常に読み易く、一気に読んでしまいました。源氏も平氏も、どちらも酷い事してますね。ただし、戦国時代より優雅でもあり、まだ人間味がある気がします。

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    2012年02月07日
  • 光る壁画

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    意外にあっさりしてたなぁ。著者の淡々としながらも迫ってくるような物を期待してたので、面白かったけどもっと熱くなりたかったかな。

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    2012年02月06日
  • 大本営が震えた日

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    本当に真珠湾作戦が連合国側に傍受されていなかったのか?
    本書にもハル長官の「最初に日本から軍事行動を起こさせたい」という発言がある。
    日本〜ハワイの超長距離を大船団が発見されずに辿り着いたというのも奇跡以上のものが。
    事実はどちらか?

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    2012年02月01日
  • 彰義隊

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    上野寛永寺山主であった輪王寺宮を中心に据えて描かれる、上野戦争と維新。
    筆者の史料を追う姿勢からともすれば出来事の羅列になりかねないところを、主人公の宮があまり主張しない描き方によって逆に、奥ゆかしく静かな目線の持ち主と云う性格で物語が成り立っていると思う。
    幕府崩壊から後の宮の生涯を書いている訳ですがタイトルを「彰義隊」としたのは、宮があの日を一生忘れえないものとして抱えていた事に由来するのでは。

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    2012年01月31日
  • 海の史劇

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    丹念に史料を読み解き忠実に日露戦争を描き出した労力には感服します。が、あくまで読み手側の問題なのでしょうか?話としての面白さは別物と感じてしまいました。氏の作品は好きなのに…。

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    2012年01月15日
  • 深海の使者

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    ネタバレ

    第二次世界大戦中、同盟国であるドイツとの輸送ルートを確保するため潜水艦がひそかに活躍していた。
    遥か離れたドイツへの往来を目指した潜水艦を描く。

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    2014年07月07日
  • 吉村昭の平家物語

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    2011/12/11
    来年の大河ドラマに向けて読んでみた。
    清盛もひどいけど、頼朝もひどい。
    数年前の義経が見たくなった。

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    2011年12月11日
  • 新装版 間宮林蔵

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    世界地図に日本人で唯一名を残している間宮林蔵の壮絶な一生を描き、史実の中に林蔵の人となりを浮かび上がらせている。

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    2011年11月03日
  • 冷い夏、熱い夏

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    シンプルに医療ものかと思ったら、吉村昭氏の最愛の弟の、末期がん診断から死までを綴った壮絶なノンフィクションだった。
    末期がんで余命が少ないことを本人に告知するなどとんでもない、という時代背景があるので、現代からしてみると無理があるんじゃないかと違和感がどうしても否めず、(実際に治療の非常に難しいがんであったにせよ)ここまで絶望的な筆致は読んでいて苦しい。
    しかし、さすが作家だけあって、感情的にもかなり突き動かされている状況でありながら、一方でかなり冷静に物事の成り行きを見ているところは驚き。

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    2011年11月01日
  • ふぉん・しいほるとの娘(下)

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    ネタバレ

     結局、タイトルはあくまでも象徴であったのだろう、と思う。
     「ふぉん・しいほるとの娘」とあるが、シーボルトに関わってしまった男たちがメインだと感じた。

     シーボルトの子を産む滝、娘の稲、孫のタダが出てくるが、稲以外の女たちの扱いは、男たちに比べると弱い。
     群像劇として読むのならば、男たちと同じようにシーボルトの娘の客観的な立ち位置が知りたかった。

     恐らく、タイトルから察した私の読みたい話とは異なった……ということなんだろうなぁ。
     長かったです。

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    2011年11月03日
  • ふぉん・しいほるとの娘(上)

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    ネタバレ

     「タイトルに偽りあり!」の本かと思うくらい「しいほるとの娘」が出てこなかった。もしかして主人公は「ソノギ」さんかと。

     歴史に詳しくなくとも読めるけど、情報量が多くてなかなか読み進まない。面白いとは思うんだけど、話が多方面に広がっているなぁと。

     そしてただいま下巻を読んでるんだけど、下巻のあらすじは読まないほうがいいと思う。あらすじでネタバレされてがっかりした。

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    2011年10月31日
  • ふぉん・しいほるとの娘(下)

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    所謂オランダお稲の話。江戸時代、しかも幕末から明治維新のただでさえ動乱の時代に日蘭のハーフで生きるってどんなに大変だったんだろう。

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    2011年10月29日
  • 深海の使者

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    大戦中、杜絶した日独両国を結ぶ連絡路を求めて、連合国の封鎖下にあった大西洋に、数次にわたって潜入した日本潜水艦の決死の苦闘を描いた力作長編!

    とのことです(裏表紙より)。

    第二次大戦中、潜水艦で日本とドイツを行き来していたなんて知らなかったです・・・。
    しかも、そのルートが凄い。日本から直通でどこにも寄港せずにはさすがに行けませんが、寄港できる場所も限られてるんで、数ヶ所寄港するだけでドイツまで行かなきゃいけない。
    伊号第八潜水艦に至っては、日本を出発して、シンガポール、ペナンに寄港して、もうそこからノンストップでドイツへ。もちろん喜望峰を迂回。どえらいルートです。

    さらに、その航海途中

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    2011年10月16日
  • ふぉん・しいほるとの娘(下)

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    ようやく読破。。
    シーボルトが出島に来ていた頃、遊女との間にできた娘の一生の話。

    う~ん。シーボルトって偉いお医者様だったんだよね、
    くらいの知識しかなかったから、
    遊女との恋物語とか、その後、お手伝いの女性に手を出すとか、
    そういうものか。。と思ってしまった(^_^;)
    まぁ、それ以上に、日本のことをオランダに伝えたい、という意欲に圧倒される。
    そこまでする?!ということが多々あり。

    小説としては面白いけど、
    日本史の弱い私には行き詰る箇所が結構ありました。。

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    2011年10月10日
  • 海の史劇

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    吉村昭という作家を始めて知った。これだけの作家を今まで知らなかったなんて、恥ずかしい限り。

    日露戦争の日本海海戦を描いている。
    ロシア側、日本側の両側を丁寧に、史実を確実に積み上げた、読み応えのある、面白い小説だった。

    当然、これを読みながら司馬遼太郎の「坂の上の雲」と比べていた。
    同じ舞台を描きながら、全く異なるアプローチ、記述。
    「坂の上の雲」と「海の史劇」というタイトルだけで、2人の違いが良く分かる。
    明治の日本人が坂の上にある何かを求める姿勢とか想いを描いたのが前者なら、後者は淡々とあった歴史を積み重ねている。
    小説家によってこんなにも違う作品になる。
    もちろんどちらも素晴らしい。

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    2011年10月08日
  • 光る壁画

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    ドラマ化されてたので、なんとなく再読。
    ドラマの脚本、上手く出来てるなー・・と感心。

    「下町ロケット」や周辺、ドキュメンタリーを観ててずーっと痛感するのだけども、町工場の技術と発想をもっとサポートする体制を国が作ってくれればいいのに・・でないとそういったものは失われるか他国に流出するばかり・・・。

    それこそ恩田陸の「ネバーランド」のIT少年の様な発想を!

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    2011年10月05日
  • 桜田門外ノ変(下)

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    ・井伊大老の初傷はピストルによる貫通銃創。
    ・襲撃時間は約3分程度。
    ・実際の斬り合いは剣術によるスマートなものは全くなく、泥臭い鍔元による押し合いで指、耳、鼻が斬られるケースが多く、襲撃後の現場にはそれらが散乱していた。
    ・幕府による逃亡者の逮捕捕獲技術の高さ。

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    2011年09月26日