吉村昭のレビュー一覧

  • 三陸海岸大津波

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    地震無しの津波到来とか、怖すぎる…。厳密にいえば、地球の反対側では地震が起こっている訳だけど、それにしても…。地震以外にも色んな前兆があり、『ひょっとして…』という感覚は多く共有されていたっぽいけど、それ以上に、『いや、まさかね』っていう思い込みのバイアスが上回る訳ですね。我が事として見ておかないと。

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    2025年03月31日
  • 雪の花

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    天然痘の話。時代のことも相まって苦労の連続。
    この町医師の強固な意志がすごい。
    いくら無駄なことだといわれても頑張れて結果を出せたのがよかったかな。

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    2025年03月07日
  • 破獄

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    物語の大半は刑務所という閉鎖的空間を舞台としており、戦前戦中の混乱や統制を潜り抜けた情報は僅かであっただろう。これらの時代を緻密に描写する吉村昭の取材力、表現力は畏れ多いと感じる。
    彼の文章は滑らかに頭の中を駆け巡る類のものではないが、本書は章立てがされているので途中で区切って読み易い。

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    2025年02月26日
  • 海の祭礼

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    幕末、ペリー来航の5年前に漂流民を装って日本に入国したアメリカ人がいた。ラナルド・マクドナルドは、乗っていた捕鯨船を自ら降り、日本の北端利尻島に上陸したのである。教科書には乗っていない事件ではあるが、その後に日本が鎖国から開国へと向かうにあたって体外交渉の最前線で矢面に立つ通使達の育成に大きな影響を及ぼしたと言える。

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    2025年02月23日
  • 破船

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    生きるために必要だけど、公にはできない、こと。
    共同体の中での秘密。
    寒い中、なんのために、っていう気持ちでの火おこし、から理由を聞いてから、さらに体験してからの気持ちの違いが同じ作業に対しても違って。
    喜びと厄災と。
    この後少人数の村人が気持ちを抱えつつも、結局同じような生活を繰り返すんだろうなと思うと、不思議。

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    2025年02月22日
  • 雪の花

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    先日(2025年1月)見た松阪桃李主演の映画の原作。小説と云うよりもノンフィクションとかルポルタージュに近く、淡々と書かれているので、映画に比べると思足りない感はある。しかし、こういった知られてないけど、社会に大きな影響を与えた方を取り上げたことが素晴らしい

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    2025年02月03日
  • 敵討

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    一作目「仇討」
    天保九年からの幕末期。叔父と父親を殺害された熊倉伝十郎。藩に許可を得ての作法通りに臨んだ仇討。
    二作目「最後の仇討」
    慶應四年から明治十三年という幕末から維新年間。周囲の反対を避け少年期から惨殺された父母のために密かに抱いた臼井六郎の仇討の道程。

    約35年間の違いのある二件の仇討。
    社会や法が変化しても葛藤や挫折を繰り返し仇討というものに臨む日本人の変わらない姿があった。日本人が長い江戸期に積んできた美徳というものは、一瞬一瞬に訪れる社会や法の変化では変えられない根強いもののように感じた。

    さすが吉村昭と感服させられるような、歴史的事実をまざまざと感じられ、考えさせられる一

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    2025年01月30日
  • 夜明けの雷鳴 医師 高松凌雲

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    高松凌雲の伝記。久留米に生まれた凌雲は医師となり徳川昭武らと共にパリの万国博覧会へ参加する。そこでパリにある神の館と呼ばれる病院を見学し、貧富に関わらず治療を行っていることに感銘を受ける。フランスで西洋医学を学ぶ中、日本では慶喜が大政奉還し変革の時期を迎える。凌雲は帰国後幕臣として戊辰戦争に参加し、榎本武揚らと共に箱館へ行き官軍と戦をする。凌雲はフランスで培った医術で多くの戦病者を治療することとなる。官軍が勝利したことで病院内に官軍が侵入し敵側であった傷病者を殺そうとするが凌雲は戦争において傷ついた兵士は敵味方関係なく手厚く扱うという西欧の考えに基づき患者の殺生を止めるよう説得する。官軍である

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    2024年12月27日
  • 高熱隧道

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    ネタバレ

    死体の描写が生々しいですが、過酷な工事を語るには、必要な描写なのだと思いました。

    人夫たちがどんなに頑張っても1日1mしか進めないということがお話の途中でわかり、気が遠くなる思いでした。

    実際に起こったことに基づいて書かれたお話だということで、真剣に受け止めて読み進めなければならないと思いながら読みました。

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    2024年12月05日
  • 戦艦武蔵

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    その当時の日本における造船技術の叡智を集めて、秘匿の内に産み落とされた戦艦「武蔵」の生涯の記録です。かの有名な戦艦「大和」の2番艦、いわば次男坊にあたります。
    「武蔵」の生い立ちとその後の運命に見る光と影は、世界の潮流にもがく戦時中の日本の姿そのものであり、単なる戦記とは違う凄みを感じる作品です。また、飾り気のない文章で綴られる惨烈を極めた戦闘の描写と乗組員のその後には、心がえぐられます。
    否が応でも戦争について考えさせられる、とても悲しい話です。

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    2024年10月03日
  • 三陸海岸大津波

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    過去400年の間に南アメリカ大陸での地震に起因する津波が九例もあるとは。驚きである。地震もなく突然襲う津波なんて。

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    2024年09月26日
  • 大黒屋光太夫(上)

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     江戸時代にロシアへと漂着した日本人が、初めて帰国できたという魅力的な史実を題材にした、井上靖さんの『おろしや国酔夢譚』との違いを知りたくて、こちらはフォローしている方に教えていただきました。改めまして、ありがとうございます。


     まず読み始めて気付いたのが、井上さんの作品では「大黒屋光太夫」ら総勢17名を乗せた神昌丸が出帆したという表記のみで、出帆前の彼らについては全く触れていなかったところを、吉村昭さんの本書ではじっくりと描写している点で、白子浦の繁栄は家康のお陰といった歴史的繋がりも興味深い中、沖先頭の光太夫の半生について、幼い頃から知識欲が旺盛であり、神昌丸に自身の手荷物として浄瑠璃

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    2024年09月14日
  • 新装版 赤い人

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    河崎秋子 愚か者の石の参考文献にあったため読みました。
    小説というより、記録を読んでいるようでした。
    ただ、この北海道が、赤い人の命により発展したことを強く感じる本でした。

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    2024年08月30日
  • 星への旅

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    重厚な歴史小説や記録文学の印象が強い著者だが、こちらは昭和30年代から40年代の初期の作品集で、短編6編を収める。表題作は第2回太宰治賞を受賞している。
    緻密さよりはロマンティシズムが勝る。少年期から青年期のどこか透明な空気感。しかし、そこに「死」の影が色濃く映し出されている。
    戦後しばらく経っているとはいえ、これは戦争の影響なのではないだろうか。あるいは、戦時中に少年期を過ごし、戦中・戦後に若くして両親を亡くし、自身も大病を患ったことがある、著者の心象風景から来るものか。

    1作目、「鉄橋」は、若きボクサーの謎の死。前途洋々に見えた彼は、列車に轢かれ死亡する。果たしてそれは自殺なのか事故なの

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    2024年08月26日
  • 天狗争乱

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    天狗党の話は全く知らなかった。前半登場人物も多く、複雑な情勢でなかなか進まなかったが、京に向かうと決まってからは面白くて地図を見ながら自身が天狗党になって一緒に歩いていくかのような気持ちになった。

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    2024年08月23日
  • 戦艦武蔵

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    1973年第21回菊池寛賞
    「戦艦武蔵」「関東大震災」など一連のドキュメント作品に対して

    大日本帝国海軍 最後の戦艦(でいいのかな?)
    武蔵のその建造から最期までを 
    記録文学の新境地

    解説者曰く 日本人の集団自殺を思わせる
    巨大な戦艦を ものすごい技術だと思うのだけど
    材料の調達から造船まで愛国心と根性で作りあげてしまうような 狂気に近い当時の状況
    進水してからは 建造から戦闘へと記録が変わる

    作者のあとがきから
    戦艦武蔵の建造日誌を友人から借用したとのこと
    建艦に携わった技師が焼却するべきものを秘蔵していたものだとのこと
    建造に関わるあらゆる種類の多くの数字が 現場に近い記録から起こ

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    2024年07月31日
  • 高熱隧道

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    読む度毎回息苦しくなる作品。
    黒部ダムには、家内と何年か前に観光で訪れているが、この本を読んでから訪れていたら、旅は自ずと全然違う印象を我々に残したであろう。

    日本のインフラ工事とは、こんなに原始的であり、経済的強者が弱者の命すらその達成の犠牲にしたのか、という理不尽な気持ちに苛まれた。日本の歴史を学ぶといつも付きまとうやるせない心情である。

    金持ちと貧乏の命の重さが違う。

    それが、隧道の中と外で非常によく描かれている作品。

    名も無い貧しい人達の命によりなし得た偉業。
    果たして、今ならこんな工事は許されたであろうか?
    パワハラ、いや、そんなものとっくのとうに超越している!

    この工事を

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    2024年07月11日
  • 高熱隧道

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    04月-07。3.5点。
    今シーズン、下ノ廊下へ行こうと思っているので読んだ。
    過酷、過酷のひと事。「黒部は人間を寄せ付けない」と現場の課長が思うほど、工事不可能な感じ。臨場感あり、面白かった。

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    2024年04月16日
  • 破獄

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    佐久間がとにかく脱獄する。戦時中の刑務所のことなど考えたこともなかったし、一般市民よりも豊かな食生活を送っていたことは驚きだった。

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    2024年04月05日
  • 彰義隊

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    幕末時代の流れに流されて、良い悪いも関係なく
    滅んでいった人達がいた。可哀想、会津に近いので
    (ToT)

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    2024年03月14日