吉村昭のレビュー一覧

  • 羆嵐

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    今年は熊の被害が異常なので、前から気になっていた三毛別事件について書かれているこちらを読んでみた。ただただ恐ろしい。。
    時代背景も相まって人間の無力さを痛感した。

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    2025年11月08日
  • 羆嵐

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    ここ数年熊と隣り合わせの生活をしているので、一層臨場感を味わいながら読むことができたのが、嬉しいような悲しいような
    漢字とひらがなの使い分けが独特に感じられて、読み慣れるまで少し時間がかかった

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    2025年10月26日
  • 深海の使者

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    第二次世界大戦中、日本からドイツまでの連絡ルートの開拓と技術交換のため、連合国の封鎖下にあった大西洋を通って数次にわたって潜入した潜水艦の苦闘を描いた作品。潜水艦の過酷な任務、敗戦前後の在独邦人の大変さなど、読んでいて苦しくなる。改めて戦争は悲惨だと思わされる。

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    2025年09月23日
  • 雪の花

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    幕末、天然痘対策として種痘を行うことを決意し、生涯を捧げた福井藩の町医者・笠原良策の物語。

    何らかの脅威に対して新たな技で立ち向かおうとする際に、必ず現れる障害となる存在。無知からくる恐怖だったり、既得権益にしがみつくものだったり、と時代は変われど同じ事が起こり続けます。
    コロナ禍になるまでは、それは言っても過去の出来事で、自分の生きている今ではそんな事起きないだろう、と思っていましたね。

    いや、時代が進んでも、科学技術が発達しても、人間の本質というものは変わらないのだな、という結論を得るとは思いもしませんでした。
    ワクチンの危険性の是非を云々ではなく、全てワクチンの存在自体を否定するよう

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    2025年09月10日
  • 冷い夏、熱い夏

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    刻一刻と癌に蝕まれて行く弟に、少しでも希望を持っていて欲しいと願う兄。
    自分の祖父も闘病の末に癌で亡くなったので、リアルすぎる描写が読んでいて辛かった。
    本書の時代からは考えられないくらい、医学は進歩しているのに、いまだに癌の特効薬ってないんだなぁ。

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    2025年09月07日
  • 高熱隧道

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    ★★★☆☆昔ながらにトンネル工事では人が死ぬことがあると聞いたことがあった。言い伝えのようなものだと思ってきたが、このことだったのか。戦争という異常な状況がからんでくるが、中止されなかったことが不思議。死ぬまでに1度は訪れてみたいなぁ。

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    2025年08月30日
  • 零式戦闘機

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    零式戦闘機
    第二次世界大戦当時最強を誇った空の化け物。

    これだけの技術力がありながら日本はなぜ負けたのか。
    物語の主軸は戦闘機の制作にかける男達のプロジェクトXだが、大戦の歴史も学べた。

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    2025年08月14日
  • 脱出

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    フィクションとノンフィクションの間のような短編作品集。戦時中から敗戦に至るまでの辺境での話が淡々と描かれる。
    この時代では、多くの人があっという間に命を落としてしまい、生きている人も今では考えられないくらい辛い思いをしていた。今の時代がいかに恵まれたものであるかが分かる。

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    2025年07月26日
  • 戦艦武蔵

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    戦艦武蔵の建造から沈没までの記録。
    当時の技術の粋を集めて、史上最大の戦艦を建造するストーリーはさながらプロジェクトXのようで、困難に立ち向かう技術者達の姿はビジネス書で取り上げられるようなサクセスストーリー。
    一方、当時、すでに戦艦の戦力に航空機が代替され始めており、実際に戦場では戦艦武蔵は敵の飛行機による攻撃になすすべなく、沈没。
    その最期を知っている後世の我々からすると、前半のサクセスストーリーも少し方向性が違う努力に思えてしまう。
    しかしながら、それこそが人間なのかな、と思わせる話。

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    2025年07月12日
  • 新装版 間宮林蔵

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    前半は樺太探索、間宮海峡の発見、東韃靼潜入といった冒険譚、後半は幕府の隠密活動。頻発する外国船来航に右往左往する幕府など、淡々としながらも当時の世相も良く描かれている。安定の吉村昭。

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    2025年07月03日
  • 破船

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    貧しく農業がほとんどできない漁村が、冬に火を焚いて、北前船を誘導し、暗礁に乗り上げさせ、座礁した船を襲って、乗組員を惨殺し、積み荷と船の材木を盗むことによって生き延びていた。
    ある年、近隣の村で天然痘にかかった患者たちを村から追放するために載せて漂流させた船が座礁したので、商船と間違えて襲い、船に残っていた死体がつけていた衣服を、剥いで、村中で使ったために、村に天然痘が流行し、死者が多数発生する。
    この小説は、このような悲劇を、やっと大人になりかけた9歳の男児の視線で描く。

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    2025年06月22日
  • 星への旅

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    ノンフィクションが多い吉村氏にしては珍しいフィクションの短編。
    死をテーマにしており、全体としてかなり暗い。死とはどういうものなのかを追求した氏の思いが分かる。

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    2025年06月15日
  • 破獄

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    観光で網走監獄に行った時に脱獄のことを展示してたので興味があって読んでみた。
    4回も脱獄をした佐久間と対峙した人々の話で、戦時中の刑務所の様子など圧倒的な筆力で読ませる本です。脱獄後も捕まることなく過ごしたのがすごい。北海道の冬や熊も強敵なのに。

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    2025年06月12日
  • 星への旅

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    ネタバレ

    ・あらすじ
    吉村昭先生の短編6篇が収録された短編集。
    うっっすらと何となく繋がりがありそうでなさそうな作品たち。
    単なる現実としての生と死と、超越した視点から描かれる生と死。

    ・感想
    星3.8くらいかな。
    鉄橋の轢死したプロボクサーは自殺なのか事件なのか、ミステリー風に周囲の人間の客観的視点を書いた後に本人視点での動機と背景。
    周囲の人間はあーだこーだと己との関係性から彼の死に「理由」付けしてるけど、実際は今でいう迷惑系な動機だったんだ…。
    己の限界を追い求めた結果ってことなのかな。

    少女架刑は死んだ少女の自意識からの一人称視点の話。
    解剖される様子、家族との関係。
    死後の身体が単に「物体

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    2025年05月18日
  • 関東大震災

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    大正12年9月1日に起こった関東大震災について詳細に描かれており、天災の恐ろしさを改めて感じた。地震による被害よりもその後の火災による被害の方が大きかったんだな。当時は木造建築がひしめき合っていて、上下水道も十分に発達しておらず火災が起こった後の消火能力が低いのが原因だけど、家財道具を多量に持って行ったり一つのところに被災者が集まりすぎたりと人災の側面もあったのが意外。地震後の社会不安もどの時代でも変わらないのか。この時代に限っていえば社会主義者に対する弾圧、朝鮮併合に伴う朝鮮人からの報復に怯える社会がとてもわかりやすかった。自警団による朝鮮人虐殺、大杉栄事件など混乱に陥った人たちの精神不安が

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    2025年05月13日
  • 星への旅

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    ネタバレ

    平穏な日々の内に次第に瀰漫する倦怠と無力感。そこから脱け出ようとしながら、ふと呟かれた死という言葉の奇妙な熱っぽさの中で、集団自殺を企てる少年たち。その無動機の遊戯性に裏づけられた死を、冷徹かつ即物的手法で、詩的美に昇華した太宰賞受賞の表題作。他に『鉄橋』『少女架刑』など、しなやかなロマンティシズムとそれを突き破る堅固な現実との出会いに結実した佳品全6編。(背表紙)。

    いずれの短編も面白く、平易かつ奇麗な文章は読みやすい。
    が、それからの作品を主に読んでいる身としては、やはり後年の歴史小説の方が好みに合っているようだ。

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    2025年04月24日
  • 戦艦武蔵

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    戦艦の専門用語と軍役職と名前が詳細に書かれており、固い文面で読むスピードが落ちる。
    これだけ莫大な人員、材料を投入し数年の月日を費やして建造した巨艦武蔵、その甲斐もなく人を巻き込んで沈没した運命は、やりきれない悲しさと虚しさがある。

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    2025年04月11日
  • 少女架刑 吉村昭自選初期短篇集I

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    濃厚に死の空気を纏う、死にまつわる短編集。

    当時は結核とか肺炎とかで死が近い存在だったのだろう。

    死にまつわる作品のため、読んでいて楽しいものではなく、「小山さんノート」をの読んでいた時期でもあったことから、なんでこんなの読んでいるんだろうと思いながら読んだ。

    ただ、文章は美しく、文章が巧い様に感じた。
    ただ、私の好みだっただけかも知れないが。

    星は3つ。3.4としたい。

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    2025年04月10日
  • 闇を裂く道

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    吉村昭さんの著作は「ポーツマスの旗)以来かな。
    もの凄い調査の末に書かれているだけに、内容がものすごく濃い。小説というよりもノンフィクション、ドキュメンタリーに近いと思う。
    丹那トンネルが難関工事であることは何となく知っていたが、ここまで大変だったとは。
    今では長いトンネルは当たり前のようにあるが、戦前は多くの犠牲を伴って完成している。新幹線しか乗らないけど、いつかは東海道線で丹那トンネルを通ってみたい。

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    2025年04月06日
  • 大黒屋光太夫(上)

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    大黒屋光太夫は、天明2年1782件に伊勢白子浦を出帆し、遠州灘で暴風雨に遭遇し、漂流してしまう。
    光太夫一行は、アリューシャン列島の小島に漂着する。そこから、ロシア国内を移動し、僅かな望みをかけて、日本への帰国願いをロシア皇帝に願い出ようとしていた。

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    2025年04月01日