吉村昭のレビュー一覧

  • 総員起シ

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     吉村氏の本2冊目。氏のおかげで戦中、戦後史に俄然興味がわいている。この作は、戦後8年ほどを経て引き上げられた潜水艦の様子の記述に、とにかく度肝を抜かれた。おそらくこの艦だけでなく、他の場所でも多くの沈没艦があるはずで、それらの記録も一部には残っているのだろう。しかし、氏の綿密な調査により、ここまで詳らかになったものはほとんどないのでは?
     30年以上も前の本の新装版ということで、さすがに当時小学生の自分はこの本を知る由もなかったが、とにかくインパクトがあった(その後、自分の生まれた年に発刊された書籍に、この沈没艦から9年ぶりに現れた軍人の姿を収めた写真も見た。本書をさらに記憶づけるに十分なも

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    2014年02月09日
  • 新装版 海も暮れきる

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    ネタバレ

    久しぶりに本を読みました。
    尾崎放哉の、死に向かって一直線に向かう姿を、そして矛盾して抗う姿を、淡々と描いています。
    生きることは、とてもかなしい。

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    2014年02月02日
  • ポーツマスの旗

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    日本が開国列強国へと進む中強烈な自制心をもって国に尽くした男の物語。私生活は幸せとは言えずも信念の人、もっと評価されてもいい人だと思う。韓国から見ると暗殺された伊藤博文と並ぶ憎むべき対象だったはず。伊藤は暗殺、小村は壮絶な病死…国に命を捧げた男達だ。安重根も韓国から見れば命を捧げた人物、が、日本には列強に比べてもまったく引けを取らない優秀な人物が多く排出した。一体この小国にどうしてこんな多くのエネルギーが隠されていたのだろう。

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    2014年02月02日
  • ポーツマスの旗

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    日露戦争の後片付けだとおもったら どうしてどうして、面白いですね。剣を持たない戦争。
    小村寿太郎は食えない感じでした。それがいい。
    条約締結後の日比谷騒動、伊藤博文暗殺、日韓併合などが流れるようで興味はつきません。
    日露から大平洋戦争までの知識をバチっと埋めたいです。

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    2015年05月11日
  • 味を追う旅

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    【梅干しにカツオ】P15

    升酒の端に塩をひとつまみ

    梅肉のたたき+鰹節少々+醤油少々+海苔をもんだ奴 に酒

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    2014年01月21日
  • 新装版 間宮林蔵

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    史実をベースに、間宮林蔵の生涯を丁寧に追った作品。
    困難を極めた極寒の地・樺太探査は勿論の事、シーボルト事件との関わりや幕府の隠密として全国を駆け巡った晩年の様子に興味を惹かれた。

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    2013年11月10日
  • 零式戦闘機

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    「永遠のゼロ」を読み終えて、この小説を知りました。記録小説と言うものがあるとすればこの小説のことでしょう。この作家の作品は初めて読みましたが、読み応えのあるものでした。ゼロ戦は本当に凄い戦闘機だったのが分かります。ゼロ戦の高水準の性能を背景に太平洋戦争に突入して行ったように感じました。序盤では向かうところ敵無しの状況で、圧倒的な勝ち方でした。格段の性能に海軍が妄信して更なる戦争拡大に突き進んでしまったようです。戦争末期まで性能の優位性は保たれていましたが、残念ながら後続機を開発する余力がなかったのが残念でした。また出だしに詳細に書かれていますが、組立て前の戦闘機パーツの国内移動手段がまさか牛車

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    2013年11月06日
  • 零式戦闘機

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    〜13.10.22
    日本の航空技術が世界を超えたことを零戦によって示された。それまで日本は海外の技術の真似でそれが最善だと考えてた。九六艦戦で追いつき、零戦で抜いたという印象を持った。
    その零戦の質に賭けて日本があの大戦に突入していったようにも思える。

    アリューシャン海戦でその質の神秘性が薄らぎ、日本全体の神秘性も失われアメリカの物量による押しに負けたように思う。

    また、その戦争の裏でどのように製造されていたかもしっかりと描いている。戦場の側面と実際の製造現場の2つの側面からより客観的に零戦について知ることが出来た。
    また牛車の輸送からも日本自体の未熟さも感じさせ、逆に零戦という世界水準を

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    2013年10月23日
  • 脱出

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    「脱出」「焰髪」「鯛の島」「他人の城」「珊瑚礁」を収録。離島で戦争にあった少年たちの戦争体験記、といったようなもの。
    しかし、単なる体験記にとどまらないのが、吉村昭の作品の見事なところ。
    戦争の影響が比較的少ない場合が多かった離島にありながらも、戦争に段々と巻き込まれていった少年たちの姿が見事に描かれている。

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    2013年09月21日
  • 冬の鷹

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    ネタバレ

    富と名声を無視してでもオランダ語の和訳に対して昏い情熱を燃やし続けた前野良沢と、日本の医学を発展させるために賢しく世を渡って富と名声を手にした杉田玄白。対照的な生き方の二人をターヘル・アナトミアの翻訳という史実を介して、オーバーラップさせて構築した歴史小説。外面描写に徹した文体や冷徹な目線での語りを見るだけでは公平な眼差しで物語を構築しているようにも見えるが、タイトルを見れば、吉村昭氏は前野良沢に対してシンパシーを抱いていたであろうことが想像できる。そんでもって、どうせ人は死んでしまうという虚無感が、この作品の根底にも冷え冷えを横たわっている。これが心地いい。

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    2013年09月20日
  • 天狗争乱

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    桜田門外の変から4年。
    水戸藩では尊王攘夷派が台頭し、横浜から外国人を打ち払おうと挙兵した。
    天狗勢と呼ばれる集団は、水戸で反攘夷派の市川ら門閥はと対立し追放された頼徳軍、武田耕雲斎と合流し、一橋慶喜への望みを抱いて進軍する。

    幕末の波に翻弄されながらも志を高く死んだ天狗勢の生き様を描く。

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    2013年09月01日
  • 漂流記の魅力

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    古本で購入。

    漂流を題材にした小説を6篇書いてきた吉村昭が、「日本独自の海洋文学」である漂流記について語る。
    新書創刊のラインナップにこれを入れてくる新潮社はなかなか渋い。

    イギリスには多くの海洋文学としての小説・詩が生まれた。
    しかし同じ島国の日本には存在しない。それはなぜか。

    理由は船の構造・性格の違いによると、吉村は言う。
    西洋の外洋航海用の大型帆船と違い、日本の船は主に内海航海用だった。一般に「幕府が鎖国を守るために外洋航海のできる船の建造を禁じた」と言われるが、実際はそのような禁令はなかったらしい。日本に外洋航海用船がなかったのは、「必要なかったから」だそうだ。
    物産豊富な日本

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    2013年08月31日
  • 東京の戦争

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    昭和2年生まれの著者が下町で見た戦争下の生活。時刻どおり運行する市電、しかし悲惨な車両。山梨に八王子から乗り継いでぶどうを一人で採りに行った思い出。空襲下で感じていたこと。病気の母を亡くし、電報を駅長に見せて切符を無理矢理売ってもらった話。墓場で見た出征による別れを惜しむ若い男女の逢い引き(セックス)シーン。食糧事情・・・。戦争をこのように日常生活の観点から書いた本は新鮮でしたが、段々このようなことを書くことが出来る作家は減っていくと思うと、貴重な体験談です。

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    2013年08月26日
  • 敵討

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    「敵討」天保の改革の時代に協力者の浪人と父と伯父の敵を追って二人で十数年。漸く見つけた相手は獄中に。このままでは敵討ちが出来ない・・・。この時代に敵討ちがいかに永年、収入もなく、あてもなく捜し回る悲劇。運良く討ち果たした後の二人の叙述もまた悲劇の深さをもの語ります。そして天保時代の政治の影を感じます。「最後の仇討」は明治元年、秋月藩の両親の暗殺を見た10歳の少年がやはり十数年後に判事になった敵を討つまでの苦難の日々と、敵討ち禁止令の施行により殺人罪とされてしまうこれまた悲劇。しかし、明治13年当時は未だ美風とされ、世の中の共感を集めたとの実話。時代の大きな変革に飲みこまれた人々の運命を痛感しま

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    2013年08月25日
  • 大本営が震えた日

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    ネタバレ

    昭和16年12月。戦争を決意してから、ハワイ、マレー作戦を秘密裏に進める日本軍。中国に墜落した飛行機の「作戦計画」回収物語。真珠湾に向かう秘密部隊。マレー半島への輸送船。奇襲に全てを賭けた日本の手に汗を握る緊迫の日々。大本営が震える危機の連続だったようです。日本軍部の薄氷を踏む思いでの開戦を迎える様子がよく分かります。実に詳細な調査の成果です。

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    2013年08月25日
  • 三陸海岸大津波

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    日本でもこれだけ大きな津波を度々経験しているにも関わらず、何と無知だったのかと痛感します。三陸海岸の方言では「よだ」が明治29年(死者26,360人)、昭和8年(死者2,995人)と僅か37年の間の2回も襲った悲惨な経験は驚きでした。そして昭和35年のチリ大地震による津波(死者105人)の損害の大きさにも吃驚です。著者はあくまでも客観的に淡々と前兆から始まる時系列の経過、そして甚大な被害の様子を描いています。そして古文書だけではなく地元のお年寄りへのヒアリング調査の成果です。まるで昨年のニュースをもう一度文章だけで生々しく再現してくれたように思います。チリ地震との関連では過去の南米の地震・津波

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    2025年03月31日
  • 背中の勲章

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    淡々と描かれているからこそ怖い。
    直に人物たちの心情が伝わってくる。不純物がない感じ。

    日本人はこの狂信に陥りやすい。
    これは軍部だとか戦争に限ったことではない。
    災害が起きてもそうだ。いつだって、狂気はそばにいる、戦争だけに注視していたら、繰り返すのだ。

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    2013年10月04日
  • 深海の使者

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    太平洋戦争の戦前、戦中に、同盟国であったドイツに派遣された多数の潜水艦について書かれた作品。
    こういった事実があったということを今まで全く知らなかったので、興味を持って読むことができた。
    ただ、多数の潜水艦が登場しても、潜水艦内部での苦闘などに大差があるわけではないので、この記述はさっきもでてきたなと思う部分がいくつもあった。そのため途中まんねりに感じた部分もあった。
    しかし、こういった普段光が当たらない歴史に、目を向けた作者はすごいと思う。

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    2013年08月21日
  • 脱出

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    淡々としているからこそ、恐ろしい。
    自分だったらどうなるのだろうとつい考える。
    気づけば自分も登場人物たちと同じ時間軸に立ってしまっている。

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    2013年08月17日
  • 陸奥爆沈

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    天一号作戦の大和乗組員の生存率が8%だとすると、陸奥爆沈での生存率10%が如何に異常な数字なのかがわかります。

    戦ってもいないのに爆沈した陸奥は哀しいですが、その事実を隠そうとした海軍は昭和18年の時点でそれほどまでにすでに狂っていたのかと感じました。

    そして意外なほどに戦艦事故の原因は人為的なものだということに驚き、あっけないほどにもろく潰え去った陸奥はその後の海軍を象徴していると思いました。

    この小説は戦後26年経って書かれたもので当時はまだまだ生存者が残っており、吉村氏の丁寧な取材により徐々に真相が明らかになっていきます。

    馴染みのない用語が多量にあり途中飛ばしながら読みました。

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    2013年11月14日