吉村昭のレビュー一覧

  • 桜田門外ノ変(下)

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    学校で習った桜田門外の変や安政の大獄。
    ただただ丸暗記してただけの歴史的事件が、複雑な人間関係を絡ませながら起こっていたことにびっくり。
    読みながら何度も「そうやったんかー…。」の連続でした。

    ほんとは映画を観に行く前に原作を…だったんだけど、原作で十分堪能できてしまった。

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    2011年02月24日
  • 暁の旅人

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     史伝であるため事実が淡々と述べられていくだけなのだけどおもしろい。松本良順という人の医家としての生き方や当時の人の考え方がおもしろい。歴史の事実が分かっていくのが面白い。

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    2011年02月21日
  • 生麦事件(上)

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    この本は、生麦事件だけを捉えるのではなく、当時の複雑な薩摩藩の政治的な動きを克明に描いているもの。会津についたり、長州についたり、薩摩の政治力は幕府のそれを凌駕し、生麦事件をきっかけとしたイギリスとの接触が大きな影響を与えている。

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    2011年02月06日
  • 桜田門外ノ変(上)

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    水戸藩は、幕末の導火線に火をつけたが、内ゲバにより、薩長のようにコトを成し遂げることができなかった。
    吉村昭の「逃げる」描写が冴えわたる。
    幕府側の拷問の様子を読んでいると、水戸藩士の怒りが自らのものとして響いてくる。
    映画化されたが、この小説の方が断然面白い。

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    2011年02月05日
  • 彰義隊

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    輪王寺宮の伝記です。上野戦争だけでなく、東北戦争についても知識を得ることができる。吉村昭が得意の「逃げる」描写が映画を見ているような。
    一読の価値アリ。

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    2017年03月02日
  • 桜田門外ノ変(下)

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    桜田門外の変の詳細が、残されていた各種の資料から精密に描き出されていた。襲撃した元水戸藩士のほとんどが直後に自刃などにより清冽な死を遂げる中、生き残った元藩士たちがどのように行動するのか、深く追求されている。歴史だけでなく、戦う者、藩邸に逃げ帰る者など、まるで現代に通じる人の生き様のようなものも感じた。

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    2011年01月23日
  • 桜田門外ノ変(上)

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    幕末の水戸藩における門閥派と改革派の主導権争い、安政の大獄での異常に執拗な水戸藩士への処分など、政治的な闘争が克明に記されている、と思う。武力衝突中心の戦国時代は、政略結婚など複雑なお家関係こそあるが、弱肉強食という比較的分かりやすいルールの下で歴史が展開しており、興味が持ちやすい(事実、私は小学校・中学校程度で高い関心を持った)と感じる。一方、幕末は尊皇攘夷と体制維持の両派、とくに前者の歴史的経緯が語られない中での学習が多かったこと、政治的な闘争が多く複雑に感じたことから、個人的にはあまり関心が持てないでいた。本書は、尊皇攘夷論の起源を水戸学にあるとして、勃興から諸国への広がりまで書かれてお

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    2011年01月23日
  • 桜田門外ノ変(上)

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    ネタバレ

    2011.1.19~2.14
    著者が言う"江戸幕府崩壊と大東亜戦争敗戦はそこに至る経緯が似ている、とりわけ桜田門外の変(1860年)と二・二六事件(1936年)は極めて類似している"との指摘はなるほどと感じた。確かに事件によって前者は(尊王はともかく)攘夷派が敗れて開国に導き、後者は軍国主義の暴発と悲惨な敗戦に導いた。しかし暴力によって事態を打開しようとする野蛮な行いが76年後に繰り返されたとうことは歴史に学んでいない訳で、その代償は余りにも大きかったと思う。「長英逃亡」と同様、幕府側の捜査網の鋭さに驚く。

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    2012年01月27日
  • 逃亡

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    逃げた先で、また追われる。
    まるで悪夢のような物語。
    最悪の状況でも、決して諦めることのなかった主人公の精神力に脱帽。

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    2010年10月31日
  • 漂流記の魅力

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    漂流記と言っても外国文学のそれではなく、江戸時代に意図せず難破し漂流して艱難辛苦を乗り越えて日本に帰国してきた人たちからの聞き取りの記録についての本。

    石巻(宮城県)から出航して遭難した若宮丸の帰還者たちの記録「環海異聞」中心に記載している。同じ船で遭難して、シベリアに到着後も、語学習得力の差から仲間割れが起こったり、ロシア永住を決意したり、必ずしも同じ船の乗組員が一枚岩ではなかったことがわかる。
    現地に残った人のその後などは現在は判明しているのだろうか・・。空想のふくらむ本。

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    2010年10月31日
  • 天に遊ぶ

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    少なめなエッセイと短編小説の薄い本
    実家に犬がいるだけ私としては、「飼い犬が癌になった話」が印象深いかったです。
    コンパクトながら、リアリティのある作品でした。

    但し、初めて吉村昭を読む人に対しては、短編だけの吉村昭じゃないよ。本当の良さは、緻密な資料に基づく小説です。といいたくなる程の良い作品。

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    2010年10月26日
  • 敵討

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    敵討ち、これは侍の時代のれっきとした制度で、この時代、敵討ちという私刑制度の下、合法的に殺人が許されていた。私刑の禁止されている現代においては考えられない制度である。
    主人公は敵討ちの使命を負い、敵を探す旅に出る。出たくなくても、世間体というものがそれを許さない。その道のりは果てしなく、終わりがなかなか見えることはない。この制度の下、敵にめぐりあうことなく、無念に朽ちていった者も数多くいる。まさに、自分との戦いである。
    小泉元総理大臣も本書を読んだとか。

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    2010年09月21日
  • ふぉん・しいほるとの娘(下)

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    江戸鎖国時代の長崎にオランダ船でやってきた医学者シーボルト。出島に出入りする遊女其扇(お滝)との間に生まれたお稲は、偉大な父と同じ医学、産科医として自立していく。職業を持った女などいない時代に医者としての道を志し、教えをうけた石井宗謙に犯され女児を生みながらも幕末、明治維新を生き抜いていく。

    開国ってすごかったんだ。武力を見せしめにして開国を迫って中国を植民地化したイギリスを筆頭にアメリカ・ロシア・フランス。開国か鎖国を続けるかで日本国内も争いが激しいし、暗殺、切り捨て、切腹、投獄、拷問も日常茶飯事。男が妾をもつのは当たり前、女がてごめにされても仕方がない。すごい時代。シーボルトが最初に来

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    2010年08月15日
  • ふぉん・しいほるとの娘(上)

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    江戸鎖国時代の長崎にオランダ船でやってきた医学者シーボルト。出島に出入りする遊女其扇(お滝)との間に生まれたお稲は、偉大な父と同じ医学、産科医として自立していく。職業を持った女などいない時代に医者としての道を志し、教えをうけた石井宗謙に犯され女児を生みながらも幕末、明治維新を生き抜いていく。

    開国ってすごかったんだ。武力を見せしめにして開国を迫って中国を植民地化したイギリスを筆頭にアメリカ・ロシア・フランス。開国か鎖国を続けるかで日本国内も争いが激しいし、暗殺、切り捨て、切腹、投獄、拷問も日常茶飯事。男が妾をもつのは当たり前、女がてごめにされても仕方がない。すごい時代。シーボルトが最初に来

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    2010年08月15日
  • 冷い夏、熱い夏

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    弟の壮絶な闘病と、取りまく家族の葛藤。
    医療技術、インフォームドコンセント、緩和ケア、QOLの考え方などが、作品が描かれた1980年代と現在とでは大きく異なる。その違いに戸惑いをおぼえるが、死に向き合うそれぞれの立場の苦悩が圧倒的な迫力でリアルに伝わってくる。

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    2010年07月06日
  • プリズンの満月

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    ひとりの元刑務官による巣鴨プリズンの回想。
    羆嵐が無茶苦茶良かったので読んでみた吉村昭2冊目。
    徹底した調査と取材を元に構成したフィクションというのは羆嵐と同じ。
    一見硬質な飾り気のない文体が実はとても読みやすく、逆に主人公に感情移入しやすかった。
    羆嵐読んだ時にこの作家好きになるかも、と感じたのは間違いじゃなかった。

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    2010年08月29日
  • 事物はじまりの物語

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    [ 内容 ]
    江戸から明治、人々は苦労して新しいものを取り入れ、初めてのものを作りだした。
    歴史小説家が豊富な史料を駆使して書いたパイオニアたちのとっておきの物語。

    [ 目次 ]
    解剖
    スキー
    石鹸
    洋食
    アイスクリーム

    国旗
    幼稚園
    マッチ
    電話
    蚊帳・蚊取り線香
    胃カメラ
    万年筆

    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

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    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

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    2010年05月29日
  • 冷い夏、熱い夏

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    弟の癌発見から死に至る1年弱の間の病状の変化と、それによる作者自身の心の揺らぎを、冷酷とも思える醒めた筆致でただ綴る。
    肉親の病気による変化と死が、残される者にどのような想いを呼び起こすのかを、自らの経験を書き記すことで形にしようという意図で生まれた作品であろうか。
    石原慎太郎にも似たような作品があるし、誰が書いても同じような雰囲気になるのかもしれないが、死と生が作家の究極のテーマであることは共通。
    それにしても、この作品を読むと癌はやはり告知しないほうがいいのかもしれない、と感じる。

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    2018年10月14日
  • ポーツマスの旗

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    ポーツマス条約にいたる交渉にのぞむ小村寿太郎をはじめ、日本外交団の軌跡と苦闘をドキュメンタリー風に描く。淡々と時間を追って経緯を描写しており、そんな感じだったのかと思う以上のことはないが、記録小説という意味でわかりやすく、不思議と頭に残っている。
    昔、NHKがドラマ化して、小村=石坂浩二、金子=児玉清、明石大佐=原田芳雄のキャストだったと記憶している。割と面白かったように憶えているので再放送してくれないかな。(笑)

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    2020年05月11日
  • 海軍乙事件

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    10/02/01 連合艦隊の参謀長という地位には、それなりの責任がと     もなう。
         どの時代、どの組織でも同じこと。

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    2010年02月01日