吉村昭のレビュー一覧

  • 新装版 海も暮れきる

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    どうしようもないアルコール中毒の俳人、尾崎放哉の最後をいとおしく描いた吉村昭の小説。戦艦武蔵などの戦記物しか知らなかった吉村だが、この放哉への心の寄せ方にこちらも心を動かされた。

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    2020年04月05日
  • 冬の鷹

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    『解体新書』の舞台裏を、吉村昭がいつものごとく、緻密な取材のもと描いた作品。

    『解体新書』=杉田玄白と前野良沢ら、と学生時代に習った記憶。
    杉田玄白メインなイメージ。
    それを根底から覆してくれた作品。

    杉田玄白の明るさや要領の良さと、前野良沢の生真面目さや頑固っぷりが、一貫して描かれていたから、年を重ねるごとのその対比が読みやすかった。
    平賀源内などの当時の彼らを取り巻く人々についても、仔細に描かれているのはさすが。

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    2020年03月09日
  • 新装版 間宮林蔵

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    マミヤ海峡の発見者として世界地理に名を残す江戸時代の冒険家、間宮林蔵の生涯を、若き日の樺太冒険だけでなく、幕府隠密として過ごした後半生やおりきと暮らした最晩年も含めて描き切った一冊。史料に基づきつつも、まるで見てきたかのような人物の生き生きとした描写は吉村昭の真骨頂。

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    2020年02月22日
  • 新装版 海も暮れきる

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    お酒は怖い…。一番の印象はこれ。才能があってもお酒に飲まれてしまう身体では、周囲も自分も損なってしまう。でも、お酒から離れられず醜い自分をさらし、あがきながらも生き永らえようとする放哉の姿は痛ましくも人間らしい。

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    2020年01月28日
  • 深海の使者

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    太平洋戦争末期、同盟国ドイツとの物理的な交流は潜水艦での往来しか手段がなくなっていた。片道2ヶ月を要する航海の苦悩を描いた小説。
    氏の小説は過度な脚色はなく、史実にのめり込めるのが良い。

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    2020年01月04日
  • 新装版 北天の星(下)

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    冒険小説だった前巻、後半は歴史小説に変わる。展開は早く情報量は多い。それでもすいすい進む。物語の本筋に必ずしも必要ではないと思われる場面での情景描写その部分も決して退屈ということもない。記録を丁寧になぞろうとする姿勢がみられる。巻末の覚書に「史実に忠実にありたいと願った」という著者の言葉。それでも、調べつくしてもわからない部分はあっただろう。こうであったろうと作者が信じて書く。歴史小説の楽しみ方は、史実と物語の組み合わせであるという前提を忘れないこと。知識をつけながら自分も想像してみることだ。

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    2020年01月02日
  • 星への旅

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    死体とか自殺とか。あんまり楽しい話じゃない、なのに文章がすごく綺麗。こういう鬱々とした現実にさらっと美を入れ込めるって文章が上手じゃないとできないだろうと思う
    個人的には鉄橋と石の微笑が好き

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    2019年12月11日
  • 大本営が震えた日

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    太平洋戦争勃発前の数日間を詳細な調査によって描き出した著者得意の記録文学。情報秘匿のためには人の死も厭わない軍部の闇、一握りの軍人により企図された奇襲計画...。
    「トラ、トラ、トラ」との高揚感、達成感とは真逆な感情が溢れ出す...。読後の疲労感が半端ない。

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    2019年11月18日
  • 海の史劇

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    日本海海戦を舞台とした小説では、司馬さんの「坂の上の雲」が有名だが、その視点が日本側からなのに対し、この小説はロシア艦隊側からの視点で展開する。7ヶ月に及ぶ航海、戦争、そして敗戦後の祖国への帰路。よく資料を集め、事実に基づいたストーリーとして価値を感じる。そして、作中にもあるように戦争が日露ともに大きな犠牲と負担を残した虚しさに共感を得る。以降さらに殺傷能力の高まる大きな戦争が続くのである。2019.10.28

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    2019年10月28日
  • 海の史劇

    購入済み

    読むほどに先に、先にと心が。

    今は読んでる途中です。一気に読めない性分なので。
    数年前に、司馬遼太郎の「坂の上の雲」全巻読みました。全6冊でとても時間が、かかりました。日本海海戦のところは後半にでてきます。
    同じ日本海海戦でも作者が違うと、どう変わるのだろうと興味が湧きこの本を買いました。難しい表現はありません。とても読みやすいです。
    日本海海戦のことを知りたければ、この一冊で充分でしょう。
    バルッチック艦隊が出港から各地の港に寄港しながらの様子は、つい世界地図で見てしまうほどの興味がわきます。歴史上、強大国のロシアとアメリカと正面きって戦った国は日本以外にありません。日本史を知る上でも、ぜひ中学生や高校生にも読ん

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    2019年09月27日
  • 桜田門外ノ変(下)

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    安政7年3月3日(1860年3月24日)の史実。
    今から ほんの160年ほど前に起こった出来事
    であることに 感無量の思いがする。

    その時代に 生きていた人たちの息遣い
    その時代に 生きていた人たちの無念さ
    その時代に 生きていた人たちの吐息
    が 伝わってくる。

    筆者の吉村昭さんが
    指摘されておられるように
    あの「二二六事件」との類似性も
    ものすごく気になるところである。

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    2019年09月27日
  • 桜田門外ノ変(上)

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    教科書の中では
    ゴシックの太字にすぎない
    「桜田門外の変」
    を こんなにも
    興味深く、子細に読み解かせてもらえる
    その喜びを つくづく感じます

    他の人がどういおうと
    いゃあ これは 読み応えあり!

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    2019年09月26日
  • 新装版 間宮林蔵

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    樺太が島であることを、初めて確認した人物。
    間宮林蔵が、類まれなる探検家だということは、知識にあった。
    しかし、その後、隠密として暗躍していたことは知らなかった。
    己の探究心、プライドのために生涯を捧げた林蔵。
    日本各地、そして、己の人生を颯爽と渡り歩いた。

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    2019年08月23日
  • ポーツマスの旗

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    講和条約締結に臨んでの日露それぞれの国情、駆け引きがリアルに伝わってきた。日清戦争と並べることが多いが後世への位置付けが大きく異なることも改めて認識できた。2019.8.2

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    2019年08月02日
  • 長英逃亡(下)

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    ネタバレ

    各所への逃亡を経て、江戸へ身を隠した長英は、自らの顔を焼き、ひとりの町医者として暮らすことを選ぶ。しかし逃げ続けることはついにできず、彼の家へ捕吏が踏み込み、殴殺されてしまうまでを描き切る下巻。
    様々な史料、伝説を勘案し、取捨選択することで生まれている説得力と、抑制的な筆致によって、全編に緊張感が漲っている。読み終えた後は、充実感とともに、空を見つめるしかないような大きな虚脱感も覚える。

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    2019年07月26日
  • 冷い夏、熱い夏

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    ネタバレ

    夜中に読み始めて、一気に読み終わった本
    お陰で目が腫れぼったい
    私たちの親に対する考え方は、はるかに城戸的なもので、人体が決して物体ではなく、主は安らぎを意味する
    50歳で死んだ弟の一年ほどの闘病過程を私吉村昭の視点から実のまま描いているのだが、それ自体は特に凄絶と言うほかない内容だ。苦痛にのたうち回る弟の姿にはいたたまれない思いがする

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    2019年08月17日
  • 海軍乙事件

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    海軍乙事件、甲事件、8人の戦犯、木口小平のシンデモラッパヲ、の4中編。
    全てが佳作良作。軍部の愚かさと戦犯の影と陰。

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    2019年06月23日
  • 新装版 赤い人

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    北海道樺戸集治監を舞台に労働力として押送された囚人達と看守達のドラマ、明治という時代にさまざまな思いが交錯する背景、細かな取材、さすが吉村昭
    ゴールデンカムイのモデルとなった人物も多数あり

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    2019年06月02日
  • 死顔

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    歴史小説とは異なった著者の短編集。「ク号遭難」がここに含まれてるのがよくわからないが、一貫して死生観をテーマにしたもの。近い人の死を間近に見てきた著者の想いがよくわかる。家族は強い共同体で例え兄弟であっても一線を画すもの。死顔は家族以外に覗かれたくないもの。2019.6.1

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    2019年06月01日
  • 新装版 海も暮れきる

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    尾崎放哉の人間として最低な後半生を描く。いや前半生も最低な人間だったことも、章内のところどころで描かれており、典型的な才能のある禄でもない人間の人生と末期の苦しみがこれでもかと描写される。

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    2019年05月24日