吉村昭のレビュー一覧

  • 海の祭礼

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    読みづらいが、読み応えあり。
    感情やセリフが少ない分、妙に心情が響く。
    歴史に埋もれて名も残らない方々にスポットを当て、調べ上げる作業は大変であろう。
    それを一冊の本としてまとめ上げられたからこそ、こうやって知ることができる。大変ありがたいことだ。

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    2022年06月05日
  • 暁の旅人

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    我々日本人が牛乳を飲むようになったのはこの方のお陰!
    「ふぁんしいほるとの娘」を読んだらコレも読んで欲しい。

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    2022年05月21日
  • 戦艦武蔵

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    表題どおり、第二次対戦の時代の戦艦武蔵建造にまつわる話です。
    軍の要求と圧力を受けながら、必死に設計と建造にあたった男たちの奮闘ぶりが淡々と描かれ、ぐいぐいページが進みます。
    なるほど、巨大なものを建造している事実とを隠すのって難しいんだな、と気づかされました。

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    2022年04月17日
  • ポーツマスの旗

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    初の吉村作品。こう言った記録小説自体を初めて読み、読み進めるのには時間がかかったが、通常の小説と同じく、或いはそれ以上に世界に入り込むことができたのは不思議な感覚だった。

    舞台はポーツマス講和会議、日本全権の小村寿太郎。小村は私も多少縁のある宮崎・飫肥出身ということもあり、読前から思い入れがあった。ただ、ポーツマス条約という日露戦争の輝かしい成果の話と思っていたが、実際は当時も今も色々な見方ができる結果だったのだということを知った。

    小村はメディアを使った印象操作を行わなかった。積極的に利用していたロシアとは対照的な姿勢に私は非常に小村らしいと誇らしく感じた。昔からメディアの力で世論は動く

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    2022年04月17日
  • 冬の鷹

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    オランダの医学書を翻訳して解体新書を書いた前野良沢の翻訳人生を描いた作品。
    同じく解体新書を書いた杉田玄白とは、その後の人生、信条、キャラクターなどがまるで対照的で、この二人の対比で話が進んでいく。
    杉田は外交的、前野は内向的。前野は語学の学問を追及、杉田は医学の実利を追及。前野は自分が育ちたい人、杉田は人を育てたい人。
    二人に共通しているのは、好奇心のかたまりであること、あきらめが悪いこと、確固たるポリシーを感じること。
    二人の歩んだ人生はまったく違うが、チャレンジ精神を称えたい一冊。

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    2022年04月11日
  • 幕府軍艦「回天」始末

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    吉村昭らしい細かい資料収集に基づく軍艦回天の最後。土方歳三とかも居るのにその最期にすら触れないとは流石としか言えません。新撰組には期待せず、幕末~明治の海戦や青森・岩手沿岸に興味のある方にオススメです!

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    2022年04月11日
  • 海の史劇

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    日露戦争におけるバルチック艦隊と東郷艦隊の大戦を描く。

    艦隊の大戦のみならず、旅順港攻略、バルチック艦隊が日本に到着するまでの苦難に満ちた道のり、日本勝利後のロシア捕虜の扱い、ロシア将官の祖国帰還まで周辺情報が、綿密な調査に基づき、整理されて記載されているのは、さすが吉村氏である。

    あとがきで書かれているとおり、戦争終結後の日本国民の反応は、戦争と平和に対する意識の未熟さを露呈するものであり、それは、後の戦争への失敗へと繋がっていく。

    読み応えのある一冊だった。

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    2022年04月03日
  • 遠い日の戦争

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    戦犯者琢也の逃亡の様子、琢也の気持ちの変化の描写どれも吉村昭さんの作風にどんどん引き込まれて、一気に読み終わりました。まだまだ知らなかった戦争の事実が様々な小説に沢山あり、これからも少しずつ読んでいきたいです。

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    2022年03月19日
  • 冬の鷹

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    オランダの解剖書ターヘルアナトミアを翻訳した前野良沢と杉田玄白の話。

    学者肌で頑固、融通が利かない良沢、学問を極めることよりも世渡りや調整力に長けた玄白の対比が面白く、現代人にもそれぞれ似たようなタイプが居ると思う。
    良沢は貧しく寂しい老後を送る一方、玄白は弟子に囲まれて裕福な老後を送る。

    物語にあるように、世の中で成功するのは大抵人格能力の優れた玄白タイプが多いのではないかと思う。

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    2022年03月18日
  • 幕府軍艦「回天」始末

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    旧幕府軍 VS 新政府軍。宮古湾海戦の秘話を描いた吉村昭の隠れた傑作が此処に。巻末には短編「牛」が。この作品は江戸時代末期での異国船出没がしきりで、外国の捕鯨船員と警備の日本人侍等の時代と心の機微が描かれる。

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    2022年03月16日
  • 大本営が震えた日

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    航空機「上海号」が中華民国軍支配地域に不時着。そこには対米英開戦に関わる作戦命令書を携行した日本軍参謀が乗り合わせており、もし命令書が敵に渡っていたら綿密な奇襲作戦がすべて水泡に帰してしまう。
    真珠湾攻撃やマレー攻略作戦の直前まで不測の事態に直面していた日本軍の実態を記録した作品。不確実性はつきものとはいえ、ここまでギリギリだったとは知らなかった。
    軍首脳部の狼狽ぶりと最前線将兵の任務に対する実直さの差異が印象的。

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    2022年02月12日
  • 破獄

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    青森刑務所、秋田刑務所、網走刑務所、札幌刑務所を脱獄した男の話。あらすじですべて紹介されているのだが、戦時中の状況と、刑務所の看守の苦悩が生々しく描写されており、牢獄の状況が目に見えてくるよう。400ページ以上と長い話になるが、するすると読めてしまった。
    脱獄した後で牢獄に戻って来る佐久間の姿や、最後の状況も考えさせられる。

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    2022年01月04日
  • 遠い日の戦争

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    終戦後の戦犯による罪を避けながらと逃避する琢也の葛藤を描いた作品。この難しい問いを淡々と詳らかにする著者の筆致は、相変わらずスゴイ...。戦勝者と敗北者の視点から綴られる記録文学。戦争を知らない世代は取り敢えず著者作品に触れてみよう。きっと気づけるものがあるはず。

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    2021年12月31日
  • 光る壁画

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    いやいやながら毎年飲むようにしている胃カメラの話…
    プロジェクトXのような話の中に、この作者には珍しく男女の色恋描写があるのが新鮮です…

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    2021年12月07日
  • 桜田門外ノ変(下)

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    徐々に鉄之介が追い詰められていくのが、苦しい。体調不良、情勢の変化や追われる者の精神的疲労、苦痛。信じたことを行い、貫き通すことは、難しい。

    多様性が叫ばれる現代。正義は、皆違う。何処に落とし所をつけるか。そのためには、他者理解やコミュニケーションが必要か。

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    2021年12月05日
  • 関東大震災

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    今現在の東京で大震災が起こっても同じようなことにはならないだろうが、これはタメになる。
    この大震災に関しては想像を絶する事態に驚愕した。
    地震による建物の圧死者よりも焼死、溺死者が多かったということ。
    社会情勢による混乱。
    流言による殺人。
    復興の大変さ。
    報道のあり方。
    正確な情報により行動することが大事だと感じたが

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    2021年12月01日
  • 桜田門外ノ変(上)

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    タイトルの通り、桜田門外の変を描く。時勢の流れや井伊の幕政に対する憤りなど、心理描写が秀逸。読みながら、共に悲憤し、不安になり、動揺する。
    (上)は、変が終わった辺りまで。

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    2021年11月28日
  • 冬の鷹

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    「解体新書」を著した前野良沢と杉田玄白に関する歴史小説。
    オランダ語を習得する執念とその努力は、語学を学ぶ全ての人にとって、大いに刺激になると思う。
    (当時の苦学を知れば、現代人が英語学習で苦労するなんて言ってられないだろう)
    同じ吉村昭著の高野長英の歴史小説も思い出した。(これも名著)

    蘭学を通じて、西洋近代の知識を吸収し、延いては、それが幕末の政治的な動きにまで繋がってくる。
    そう考えると、解体新書を世に出した二人の存在の意義の大きさを、改めて認識させられる。
    (当時、鎖国の方針を緩めた徳川吉宗の見識の高さでもある)

    この小説の面白いところは、今でも、前野良沢的生き方と杉田玄白的生き方

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    2021年11月10日
  • 夜明けの雷鳴 医師 高松凌雲

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    大好きな作家です。いつも史実に忠実な展開と気を衒う事避けた人間模様も特に大好きです。これからも読みます。

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    2021年10月10日
  • 夜明けの雷鳴 医師 高松凌雲

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    「青天を衝け」で主人公の栄一とともにパリでお勉強。
    高松凌雲なかなかの硬骨漢。
    ちょっと細田君では軽すぎるかな。
    昔の武士は漢でした。
    今の政治家は?

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    2021年10月05日