吉村昭のレビュー一覧
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尾崎放哉の俳句に関心を持つうちに、吉村昭が伝記的小説を書いていると知り、読んでみた。
あまり調べずに読んだので、てっきり人生が書かれているのだろうと思っていたら、死ぬまで過ごした小豆島での8か月間の記録であった。
「死に際文学」とでも呼ぼうか。そういえば、あまりそういうものを読んだことがなかった。「イワン・イリッチの死」とか、少し毛色が違うかもしれないが「ラーゲリから来た遺書」くらいだろうか。
アラフォーなので、そろそろ、こういうのを読んでいくのも必要なのかなと思った。
放哉は、アルコール依存症だったのかと思った。惜しい才能をなくした。亡くなったとき、わずか41歳であった。私より少し年上なだ -
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吉村昭『雪の火祭り 吉村昭初期中篇・短篇集』河出文庫。
未発表小説『新月』を含む未収録作品全9篇を収録した作品集。
吉村昭の小説を読み始めたのは40年以上前だろう。原作映画の『漂流』を試写会で観たのを切っ掛けに原作を読み、『破獄』や『羆嵐』、『高熱隧道』などを読んでいた。吉村昭は、こうした有名な中篇の傑作も面白いのだが、短篇にも名作が多数ある。自分が最も好きな短篇は『梅の蕾』だ。何度読んでも涙が零れる。舞台が故郷の岩手県であるだけに思い入れも強いのかも知れない。
『緑雨』。昔は結核で療養という話がよくあった。兄弟で経済的な負担をし合うのも、この頃の話。結核のため、家で療養している主人公 -
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ゴールデンカムイを観てからだと銀四郎のほうが羆に対しての恐怖やリスペクトをよっぽど持っているなと感じた。そういうものへの無知な村の人への対応は銀四郎にも問題はあるが、分からなくもないとは思った。未開の地を切り開き、肥沃な土地に当たるかどうかも分からない。そんなギャンブルのような生活をしている中で村や部落というものが生まれていくんだなということを感じた。
羆はいつも人間にとっての脅威であり、そしてカムイなんだと思った。太刀打ちできない圧倒的な存在として荘厳な存在ですらあると感じる。熊が全国各地で出没してアレコレ騒がれているが、難しい問題だと思うと同時に、共生していく在り方をこの本を通して改めて考 -
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副題に初期短篇集とあるが、収録された作品は一九五〇年に書かれた作品もあれば一九八五年に書かれた作品もある。すべての短篇が同時代の家族を題材に書かれていて、そして、それらの家族は次々と崩壊していく。崩壊の誘因は、病と性。なんとも暗く、読んでいて陰鬱になる。特に、発掘短篇だという「日曜日」(pp77-89)の救いの無さはすごい。どんよりした気分になりながらも、とても読みやすい文章なので、するすると読めてしまう。それにしても荒んだ話を連続で読み続けるのはつらいなあ、と思っていたら、最後に収録された「雪」(pp245-267)の老夫婦の寄り添いあう姿にようやくほっとできた。