吉村昭のレビュー一覧
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ネタバレ記録文学という分野は珍しく、私も初めてで。事実に基づいて客観的に綴るから読みやすいけれど、ここにいちいち登場人物の心理が描写されていたら辛くて読めなかったかも知れないと思った作品でした。
藤平目線で書かれているけれど、神目線を勘違いしてしまいそうなほどに淡々と、様々な現場トラブルが語られ、バラバラになった遺体を血まみれになって運ぶ根津の姿、下山後、繋ぎ合わせる様子は藤平同様、胸にぐっと来ました。
最高温度166度という高熱地帯で行う過酷な工事。
熱と疲労感に抗いながら隧道を掘るその情熱と執念は一体どこから滲み出るのか。
更には大自然の脅威に翻弄され続け、中止を言い渡されながらも、真っ直ぐに -
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本日は、吉村昭文学忌、悠遠忌(ゆうえんき)。
“はるか遠く果てしない”そんな壮大な言葉は、吉村氏が自ら選び、墓石に刻まれたものだそうです。
『羆嵐』は1976年、『小説新潮』に一年間連載され、翌年単行本として刊行されました。
舞台は大正4年、北海道・天塩山地の麓にある開拓村。実際に起きた熊による村人殺傷事件をもとに、吉村昭が取材を重ねて描き上げた記録文学です。
日本各地で熊による被害が相次いだ昨今。人と自然が衝突したその時を、再び読もうという選書でしょうか。
貧しい開拓村へ、冬眠をし損ねた一頭の羆が突然現れました。
子どもと女性が襲われ、女の味を覚えた羆は、その匂いを求めるように村々 -
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本作は、日中戦争の遂行に必要な電力を賄うという軍需目的のもと、黒部第三発電所の建設に挑んだ人々を描いたノンフィクションである。
最初、私は『高熱隧道』というタイトルだけでは一体何が高熱なのか分からなかった。「隧道(ずいどう)」という漢字自体、何と読めばよいのかさえ知らなかった。それが「トンネル」を意味すると知っても、なお「高熱のトンネル」という存在が結びつかず、想像すらできなかった。しかし、読み進めるうちに驚かされた。わが国には、岩盤温度が160℃を超える「高熱断層」なるものが存在していたのだ。本作は、世界でも稀有な温泉湧出地帯にトンネルを穿(うが)つ、壮絶な記録である。
万が一の非常事態 -
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小村寿太郎の生涯が描かれている。宮崎の飫肥出身の小村は外交官として活躍。一番はやはり全権大使として挑んだポーツマス条約締結か。日露戦争で大国ロシアを奉天会戦、日本海海戦で破りルーズベルトの斡旋もあり条約を結ぶこととなった日本を代表してポーツマスへと向かう。日本はロシアに勝っているため国民としては領土、賠償金が得られると望みその期待もあり小村が旅立つ時には多くの日本国国旗が振られることとなる。ロシアに連勝した事実はあるが多くの負債、戦死傷者のため戦争継続は事実上不可能であることは国の上層部はわかっており早急の和平条約締結が小村の任務となる。ロシアの全権大使はウィッテ、狡猾かつ経験もある人物でアメ