【感想・ネタバレ】羆嵐のレビュー

あらすじ

北海道天塩山麓の開拓村を突然恐怖の渦に巻込んだ一頭の羆の出現! 日本獣害史上最大の惨事は大正4年12月に起った。冬眠の時期を逸した羆が、わずか2日間に6人の男女を殺害したのである。鮮血に染まる雪、羆を潜める闇、人骨を齧る不気味な音……。自然の猛威の前で、なす術のない人間たちと、ただ一人沈着に羆と対決する老練な猟師の姿を浮彫りにする、ドキュメンタリー長編。

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とにかく怖い

いや、なにがコワいって表紙のクマがこれでもかってくらいコワいんですけど、読んだら中身はもっと怖かった。

大正時代の北海道開拓民の山村を巨大な羆が襲い6人惨殺...という実話を基にした小説だが、前半はエイリアン並みの、姿の見えない巨大羆と、その陰惨な襲撃シーンに恐怖する。
一転して後半は、羆を恐れる村人たちの緻密な心理と、羆を追い詰める老マタギのハードボイルドな描写に一喜一憂しながら読み進めることになる。

Wikipediaで「三毛別羆事件」を参照すれば分かるが、ストーリーはほぼ実話。そこに、迫真の心理描写を加えたのがこの小説のすばらしいところだろう。まちがいなく傑作だ。

3
2014年06月11日

Posted by ブクログ

大正4年12月に北海道天塩山麓の開拓村で発生した羆襲撃事件の実録小説。昭和52年に出版された。

2日に亘り2家族が襲われ、7名の死者、3名の負傷者を出した惨劇。

作者らしく、実直な筆致で事実を淡々と記しているのが、事態の凄惨さ、人間たちの愚かさ、傲慢さを余計に浮き彫りにしている。

会話文は必要最小限で最近の小説に比べると極端に少ないが、現場の寒くて暗い冬の光景や、人々の重苦しい、半ば諦めに近い暗い雰囲気を描写するのに相応しい。

犠牲になった入植者たちからすれば、村落は家族の生活を成り立たせるために必死で開拓し、維持してきた財産だったが、羆にとっては自らの縄張りの中の餌狩り場に過ぎない。

集落の男たちが作った救援隊についての「五丁の銃を中心に屈強な五十名ほどの男たちで構成した集団は、羆に対抗する力はなく、むしろそれは羆の食欲を満たす餌の群れに過ぎなかった」という記述が、事態の本質を端的に物語っている。
その後に結成された、警察分署長が指揮するより大規模な数十丁の銃と数百人の男たちからなる救援隊も、本質的には何も変わらない。

最終的に羆を退治したのが、救援隊とは別行動をとった一人の老熊猟師だったというのは象徴的。

体長2.7m、体重300kg超の怪物に立ち向かえるのは、中途半端な物量ではなく、獲物の習性を熟知したプロだということか。

昨今の熊被害については自衛隊の投入も噂されるが、より小型のツキノワグマはまだしも、武器を扱うプロの実力部隊だとは言っても、羆と対峙するのに安直な議論は慎むべきだろう。

0
2026年01月21日

Posted by ブクログ

1915年.三毛別ヒグマ事件を基にした小説。開拓時代の貧困村を襲った巨大なヒグマと駆除しようとする人々との1週間。人間を餌とみなす熊の執着心が淡々と描かれ恐ろしすぎた。人間を餮る音が耳元で聞こえてくるようだった。なす術のない人間達の切実な思い。リアルで凄い。

0
2026年01月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

好きすぎて読み終わりたくなくて、何年もかけて読み終えた。
北海道の凄まじく厳しい自然環境にしがみつくように生きている村の描写からすでに面白い。
作中に描かれる熊を前にした恐怖と無力感は、令和の今も変わらないな。

0
2025年12月27日

Posted by ブクログ

大好きな作品。何度も読み返しています。
かなり残虐な描写もありますが。。
最近の熊被害もあり、昔の話だと思わずに
今の人にも読んで頂きたい小説です。

0
2025年12月11日

Posted by ブクログ

え、もう大惨事はじまったん…
思いの外、事件が起きるのが早い!
展開のテンポ良さと主人公の存在の曖昧さが余計不安を作りだす、短編ながらも濃厚な作りで吉村先生さすが…と舌を巻く。
熊の恐ろしさから浮き上がってきたのは、北海道の自然の奥行き、そして立ち向かう人の営みのタフさと脆弱性。

過疎化地帯が熊の出没を期に森と雪に飲み込まれていく…そんな大いなる自然の流れの一幕のようにも見えた。

0
2025年12月01日

Posted by ブクログ

羆の脅威が詳細に書かれた記録文学。
入植、開拓の厳しさ、土壌の善し悪しに裏付けされる自然の脅威。
猟師とマタギの違いというか、そういったものがよく分かりました。

0
2025年11月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 大正4年12月に北海道、天塩山脈の麓苫前村六線沢で起こった史実。丹念な取材に基づく臨場感溢れる記述。

 寒村を巨大なヒグマが襲う。2日間で6人が食い殺された。ヒグマが人間を喰う、その描写が凄まじい。数十人の村人は恐怖に耐えられず村を出る。近くの村の男たち、警察官が徒党を組んで狩りに向かうが、その巨大なヒグマの気配の前になす術がない。人間が対峙できるものではなかった。

 2025年11月、いま毎日ヒグマ、ツキノワグマが里山から街中にまで出没し、人間の生活圏と交わり、多くの被害が発生している。一度人間を襲ったクマがどうなるのか、この本に詳しい。

 恐怖でしかない。

0
2025年11月16日

Posted by ブクログ

破船でハマってしまった吉村昭
たまたま先輩に勧められた羆嵐
この緻密さはクセになるほどで、想像力の嵐に揉みくちゃにされそうになった、
まるで自分が極寒の中粗末なボロ小屋の中で羆に怯えている、飢えと寒さを凌いでいる非力な三毛別の民なのではないかと錯覚してしまうほど、緊迫した状況が想像できた

お腹の大きな方を見ると、腹ちぎらんでくれが出てきてしまうようになり、このセリフだけはわたしの頭の中から消したいフレーズになった、、、

0
2025年11月16日

Posted by ブクログ

今読むべき本。1915年の三毛別熊事件を題材にした小説。熊が火を怖がらないこと、足跡を意図的に戻って人を後ろから襲おうとするなど、頭の良さがわかる。

0
2025年10月31日

Posted by ブクログ

淡々とした語り口で、描写も決してくどくないのに、羆による被害の凄惨さ・残酷さや、それと対峙した人々の凍りつくような恐怖が伝わってくる。本当に恐ろしい。
人間社会は自然の世界に地続きで、そこには人間なんて相手にもならない存在がたくさん生きていることを思い出した。この意識は本当はもっとみんなが持っているべきで、適切に恐怖すること、その上で「棲み分け」という形で共生することがクマにとっても人にとっても必要なんだと思った。
大正時代の出来事のノンフィクションドキュメンタリーということで、ちょっと読みづらさを警戒していたけど、すごく読みやすくて驚いた。

0
2025年10月25日

購入済み

見えない圧倒的恐怖

普段は姿を見せない圧倒的な力ほど、恐ろしいものはない。筆者が描く津波や吹雪然り、この作品の羆も恐ろしいことこの上ない。ゴジラで描かれているような、人の行為に対する自然界からの戒めといったテーマも読み取れる。

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2020年10月20日

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銀四郎おやじ

三毛別のヒグマ襲撃事件の事はテレビやウィキペディアで知り、興味を持ったのでこの本を読んでみた。他のレビューにもあるとうり、確かにヒグマ怖えなあと思ったけれど、その怖さは他のメディアで見聞きしたときの方が怖かった。それはこの本がヒグマの怖さを誇張することなく表現しているからだと思う。そこに住む人々の暮らしや、集団の弱さみたいなものを意識しながら読んでいた。何より銀四郎おやじの存在感たるや、ヒグマ以上じゃないかと思う。

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2020年04月11日

ネタバレ 購入済み

開拓地での惨劇

入植間もない集落が、文字通り羆の餌食になった事件を扱っている。
厳しい気候のもと農作物を育て、農閑期には出稼ぎをする。貧しさに耐えながら必死に生きようとする人々。
集落の人達はもちろん、隣接集落の人達も羆のことを詳しく知らない。
これは意外なことだった。


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2018年02月14日

Posted by ブクログ

 北海道の貧しい開拓集落で実際にあった羆害事件を題材とした小説です。吉村昭は事実に取材した小説をいくつも書いていますが、特にこの小説では基となる事件が衝撃的なものであるだけに異様な迫力があります。

 この小説で登場する羆は、ジョーズやシンゴジラも顔負けの恐ろしさで、どこで出くわすことになるのかとはらはらしながらページを繰りました。中篇といえる長さで、しかも文章が緻密で淡々として無駄がなくすらすらと読めるので、あっという間に読み終えました。

 羆撃ち名人である山岡銀四郎の活躍が、分署長たちの無能さと対比するようにして描かれています。銀四郎は妻子に去られた悲哀から、すさんだ生活をしています。普段は忌わしい厄介者でしかない彼が、羆を撃つ時だけは別人のように頼もしい男となるのは、胸がすくほどかっこいいけど、悲しくもあります。なぜなら、彼が命がけで羆を撃つのは、自分を死の恐怖に晒すことによって悲哀を忘れるためだと思えるからです。

 加えて、自然の非情さに翻弄されながら寒村で生きていかざるを得ない人々の姿にも、重苦しい悲しさを感じました。

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2025年12月18日

Posted by ブクログ

苫前の三毛別川沿いの奥地(六線沢)で大正時代に起こった、ヒグマ被害 最大の事件6名死亡(7名と解釈する場合もある)実際にあった話を題材にしたもの。妊婦を食べた熊はもうフツウのヒトは食べられなくなるって話。ウマイかららしいのだけどすご〜く怖い。ぎゃー

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2025年09月27日

Posted by ブクログ

2015年に初めて読んだが、いまだにその時の衝撃と恐怖が忘れられない。
熊の本はいろいろ読んでるが、吉村昭さんの文章は迫力と臨場感が違う。
熊をより深く知るために、全ての人に読んでもらいたい一冊。

0
2026年01月16日

Posted by ブクログ

本当に背筋が凍る描写が続く、、人間の里に羆が出たのではなく、羆の巣に人間が放り込まれた感覚、人間が羆を狩にいくところから、羆の餌になった瞬間が克明に描写され、静けさが逆に恐ろしさを増幅する、そんな恐怖を味わえる

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2026年01月14日

Posted by ブクログ

令和現在、クマ被害が深刻な社会問題になっている。東北に住む身としては切迫した危機で、マジでまったく人ごとではない。ネット上では「日本三大Wikipedia文学」の題材の一つとしても有名な、大正時代に実際にあった熊害事件「三毛別羆事件」を扱う本書を手に取る。

語り口は小説というよりもドキュメンタリーに近く、過度に恐怖を煽る演出やパニックホラー的な脚色がない。淡々と事実を積み重ねていく構成により恐怖や緊張感、残酷さがより際立ち、引き込まれる。弱く愚かな人間に立ちはだかる大自然へ畏敬の念を抱く。

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2026年01月13日

Posted by ブクログ

熊による被害が多く猟師によって射殺する、熊が可哀想、などと言う人がいる。これを読んでもそんな事が言えますか。人を喰う熊は害でしかないでしょう。人間を守るためには殺すしかないでしょう。闇雲に撃つ訳ではなく、熊の賢さ、強さへの敬意は忘れてはいけない。

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2025年12月31日

Posted by ブクログ

ネタバレ

熊の恐怖感が凄いな~。そして銃を持っている集団でもその恐怖には勝てないんですね。前半は熊にやられっぱなしの村人。被害者の描写が辛い。妊婦さんとか辛い。後半銀四郎の登場から雰囲気が変わって迫力が増した気がする。熊を撃つ場面は良かったな。明治、大正やそれ以前の時代は自然は今より身近で怖い存在だったんだな~。昔みた『リメインズ』って映画はこれがモデルだったのかな。

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2025年12月06日

Posted by ブクログ

ゴールデンカムイを観てからだと銀四郎のほうが羆に対しての恐怖やリスペクトをよっぽど持っているなと感じた。そういうものへの無知な村の人への対応は銀四郎にも問題はあるが、分からなくもないとは思った。未開の地を切り開き、肥沃な土地に当たるかどうかも分からない。そんなギャンブルのような生活をしている中で村や部落というものが生まれていくんだなということを感じた。
羆はいつも人間にとっての脅威であり、そしてカムイなんだと思った。太刀打ちできない圧倒的な存在として荘厳な存在ですらあると感じる。熊が全国各地で出没してアレコレ騒がれているが、難しい問題だと思うと同時に、共生していく在り方をこの本を通して改めて考えさせられた。

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2025年11月30日

Posted by ブクログ

今も昔も熊への対処方法は変わらず、恐怖感も変わらないと思った。熊にとって人間はあまりにも非力!熊を可哀想、と言う人もいるけれど、人間はそんな立ち位置にはないと思った。

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2025年11月30日

Posted by ブクログ

ニュースでは「羆に人が殺された」と報道されるが、羆に襲われた人間はどういう姿になってしまうのか、電気もない北海道の寒村時代とはいえ熊の狙撃に慣れていない人間がいかに空疎で無力か、他方、後半で登場した近隣の村でタダ1人の銃撃ちの名人銀四郎のかっこよさ、ところが羆を退治したあとは村人にとって邪魔でしかない、あたかも戦時の英雄は平時の厄介者、映画ランボーを地でいく展開が一筋縄でなくてよかったです。ぜひ邦画をとってほしい、銀四郎は浅野忠信、誠実は区長は小林薫、空っぽの分署長は西村雅彦とかね

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2025年11月23日

Posted by ブクログ

昨今のクマ被害から興味を惹かれ、読書開始。
北海道の開拓民が、大型のヒグマの侵食に晒されるストーリー。

ひたすらヒグマが怖い。
序盤から中盤は、人間の無力さと野生の破壊力にひれ伏すばかりで、熊の生息地には近づかないでおこうと心に誓った。
そんな中で現れる“救世主”の見せ場が、本当に痺れる。良い小説だった。

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2025年10月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

熊の被害が毎日のようにニュースで流れていますが、過去(大正時代)にこんな凄惨な事件があったことも知らなかったです。だいたい知り合いに、ツキノワグマと羆では大きさがぜんぜん違うというのを教わりました。知らない事ってたくさんあります。
羆に村の者たち6人も殺され、特に女の人の人肉がうまいと知るや、女の人だけ狙い男は殺されるだけ。村の者たちが集まっても、銃は5丁しかない。羆を見つけても、銃からは弾が出ず不整備が露見。
もう、逃げるしかなく、警察に依頼さそ、他の村の者たちも羆刈りに参加する。
しかし、囮の遺体を見て戦意喪失する者も多く、軍隊への救援要請をすることに。
薪が崩れ落ちただけでも、皆先を競って逃げ惑う中、村出身の銀じいが最後には羆を撃ち殺す。
供養とは、言っても人を食べた熊肉はなかなか食べたくはないな〜と思いました。
熊が大変怖いという話でした。

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2025年10月11日

Posted by ブクログ

羆こわ
人間 無力
銃があって人数があっても熊一匹にこんなにもうろたえる
熊との共生は難しい…お互い今あるテリトリーを守れるようにしなきゃねえ
銀爺めっちゃかっこいい 最後の狩りのエピソードもめちゃかっこいい

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2025年10月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

まず、羆の登場が思っている以上に早い。読んで数ページでもう羆が人を襲う。ここで読みたいものが読める!と安心した。

情緒的でドラマチックな描写が多くなくとても良かった。感傷的なシーンよりも状況説明が簡潔で、情景がわかりやすかった。

最後の最後に出てくる銀四郎の登場により脳内で作画がいきなりゴールデンカムイになった。

吉村昭の小説がこんなに出ていることも初めて知った。色々読んでいきたい。

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2025年09月23日

匿名

購入済み

ヒグマ怖い

あの有名な日本最大の獣害事件をモチーフとした本作。描写が非常にリアルでヒグマに襲われる人間の恐怖をしっかり感じさせてくれる傑作。

#怖い #ドロドロ #ダーク

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2022年11月05日

Posted by ブクログ

北海道で起きた、熊による襲撃事件を題材にした小説。情景描写や慣れない地区名などが多く、読み進めづらいところもあったけど、熊狩の名人・銀四郎が現れてからの展開がすごく面白かった。

土地を開墾したはいいけど自然災害に見舞われたりという様子をみて、村、町ってこういう風にできていくんだなぁと今までなかった視点から考えられた。

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2025年11月23日

Posted by ブクログ

初めてですね、こういうドキュメンタルもの?読むのは。
何で読んだかと言うと、私は現在北海道に住んでおりまして、親戚からヒグマの話をされた上に読みなよってもらったからですね。
別に読みたかったわけでもなく、なんか聞かれた時用に読んでみるか、くらいのノリです。200ページくらいやし、そんな頭使わんやろうしすぐ読めるか的な。
それなのにあいつ渡したこと忘れてやがった。
果たして読んだ意味とは。
まぁ、おもろいかおもろくないかと言われたらおもろかった。感覚としてはジュラシックパーク見とるような気分だね。
一応人間的な部分の描写も色々あったし、時代を感じさせるような描写もあったしで、そんな楽しみ方もできた。
実感に引きつけて読むようなことがないから、そういう意味でも良い読み方ができたねって感じ。
ちなみに私は熊に出会いたくなさすぎて山道ほぼ出ません。
だから親戚よ、熊の恐怖を抱かせるためにこの本を渡したのだとしたら余計なお世話である。

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2026年01月05日

Posted by ブクログ

熊の被害が多発していることもあり、この小説を読んでみた。
恐ろしい。沈着冷静な老練猟師がいなければどうなっていたのか。

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2025年11月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

大正4年、北海道の開拓村を襲った国内史上最悪の獣害事件――「三毛別羆事件」。
『羆嵐』は、その凄惨な実話をもとに描かれたドキュメンタリーホラー小説です。

まず圧倒されるのは、熊の存在感と忍び寄る恐怖です。3メートルに迫る巨体でありながら、闇に紛れ、気づいたときにはすでに家の中に侵入している。雪の白に、血の赤がじわじわと広がっていく描写は、ただの獣害を超えた自然の猛威として読者に迫ります。
特に、「寝ていると思っていた家族が、すでに喉を食い破られていた」という場面は、虚を突かれたような衝撃と絶望感がありました。

物語は、登場人物の感情に過度に踏み込むことなく、冷徹な三人称視点で進みます。その怜悧さが、かえって恐怖を際立たせます。
どれほど多くの人が集まっても、熊の射程に入らなければ殺せない…自然が支配する縄張りの前に、人間はあまりにも無力であることが、淡々と描かれます。

終盤、村を襲った熊を仕留め、その肉を喰らうという決着が印象的でした。
土地を開墾し、家を建て、死者を埋葬することで「自然の一部になろう」としていた村民たち。しかし熊の襲撃により、その努力が打ち砕かれる。
結果として、亡くなった者の遺体を囮とし、自然の代弁者である熊を殺し、その肉を喰らう。
それは野蛮に見える一方で、自然の中で生きるために不可避な選択だったのかもしれません。悲しくも、腹の底に落ちてくるラストです。

余計な要素を排し、事件の流れを淡々と綴ることで、逆に読む者の心に深い恐怖と余韻を残す。「ドキュメンタリーホラー」と呼ぶにふさわしい一冊です。

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2025年11月11日

Posted by ブクログ

今年は熊の被害が異常なので、前から気になっていた三毛別事件について書かれているこちらを読んでみた。ただただ恐ろしい。。
時代背景も相まって人間の無力さを痛感した。

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2025年11月08日

Posted by ブクログ

ここ数年熊と隣り合わせの生活をしているので、一層臨場感を味わいながら読むことができたのが、嬉しいような悲しいような
漢字とひらがなの使い分けが独特に感じられて、読み慣れるまで少し時間がかかった

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2025年10月26日

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