吉村昭のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
映画に、忘れられない台詞がたくさんあったので原作を読みたくなった。
驚いたのは、脚本によって、かなり色彩が異なった作品になっていたのだと感じられたこと。
どちらが良い、ということではなく、映画の力、その原点になった笠原良策という人の辛抱強さ、そして吉村昭さんが詳細に調べて小説にしなければ、ほとんどの人が知らずに終わっていたかもしれない、ということに驚いた。
福井出身の津村節子さんの夫であるからか、福井藩を責めるような記述がほとんどないが、福井出身者としては「嫉妬」という言葉で全てを表しているように感じられた。
天然痘が撲滅されてから久しく、福井医大(福井大医学部)の同窓会名に名前を遺していても -
購入済み
間違いなく読んでる
ゴールデンカムイ、巻末にはアイヌ関連の文献しか載せていないが、この本は間違いなく読んでる。
北海道の住民は読むべきでしょうね。
お好みで。 -
Posted by ブクログ
太平洋戦争開戦直後に、帝国海軍はインド洋にて様々な軍事作戦行動を敢行したようです(コロンボ空襲、マダガスカル島攻撃、インド洋での通商破壊作戦等)。その中の一隻(潜水艦)が、インド洋から喜望峰を廻り(悪魔の南緯40度を超え)、大西洋に出てドイツ軍の軍港を目指し、無事に到達をしたという。帰りも英軍等の追跡を躱して大西洋を南下、喜望峰を廻り(再び悪魔の南緯40度を超え)、無事にマレーシアのペナンに戻っている(その後、事情を知らない大本営命令によりシンガポールに回航され、機雷に触れ沈没)。戦争中に五隻の潜水艦が日本(呉)から欧州を目指し、3隻が無事に欧州に到達、そして呉に無事に戻った潜水艦は1隻あると
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Posted by ブクログ
思ったより面白かった。
前半は心理描写もそこそこにさくさく話が進んでいくので、薄っぺらくない??と思っていたが、具体的に自身の犯行を振り返るシーンが出てきてからは深みが出てきて面白かった。
やはり、自分の犯した罪を心から悔いて反省するというのは、人間にとって難しいことなのだと思う。
なのに主人公は抑制的で振る舞いも模範的だから、周りは(判決も!)「こいつはちゃんと反省している」と思いこんでいるのが興味深い。
そしてそのすれ違いが悲劇を招くというのは、「罪を償う」ことをめぐる本質をついているような気がする。
人を殺したときが逆上ではなく、逆に「感情というものがすべて欠落していた」「得体の知れぬ -
Posted by ブクログ
漁網に使う棕櫚の繊維が誰かに買い占められたことを書き出しに使うのがプロの技。いや、取材の賜物というべきか。
尋常ではない巨大戦艦を造るための苦悩や苦心を書く前半が本書の面白いところ。
だから、竣工した武蔵を海軍に引き渡した瞬間に部外者にとなって、呉工廠を後にする三菱造船所の面々というシーンまでがあれば本書は十分だと感じた。
まあ武蔵の生涯という意味では就役後、撃沈されるまで書かないと落ち着かないというのはわかるが。
そして、設計図を焼いてしまったN太郎の話はやっぱり考えさせられる。
選ばれて極秘任務に抜擢されたものの、最年少なので下働きしかさせてもらえず、その間に同期生は仕事を覚えていく。 -
Posted by ブクログ
日露戦争の講和交渉の末、ポーツマス条約が結ばれたが、国民からは評価されず。ロシアが日本に対して一切の賠償金を支払わず、領土については、日本軍が占領していたサハリン島のうち南半分を日本の領土とし、ロシアが有していた中国東北部の権益は日本に譲渡される、という内容だったが、死傷者総数20万人以上という犠牲と、戦費負担のための金銭的の国民の我慢が報われないと感じられたからだ。そのため、東京では講和に反対する市民によって「日比谷焼打事件」と呼ばれる暴動が引き起こされたという、これは歴史の教科書にも書かれる内容だが、本書は、ここに至る経緯に迫る。
小村寿太郎や金子堅太郎の活躍がよく分かるが、特に金子の胆