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光太夫は、ペテルブルグへの苦難の旅路をへて、女帝エカテリナに謁見。日本との通商を求めるロシアの政策転換で、帰国への道も開かれた。改宗した二人を除く光太夫、磯吉、小市は、使節ラクスマンに伴われて、十年ぶりの帰還を果たすが、小市は途中、蝦夷地で病に倒れる。――鎖国日本から広大なロシアの地に漂泊した光太夫らの足跡を、新史料を駆使して活写する漂流記小説の最高峰。
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Posted by ブクログ
面白かったー。読後、まずはどれだけが事実かが非常に気にになったが、どうもかなりが史実に基づいていると知り尚更に読んで良かったと思った。 あの時代に、言葉が一言も通じない外国に流れ着き、長い年月を過ごさなくてはいけないというのはどれだけの事だったか想像を絶する。仲間が一人ずつ亡くなっていったり、絶望...続きを読むしていったりするのも胸が締め付けられた。 そして、過酷な状況においては賢くないと生き残れない、という事も改めて気づく。 光太夫に諦めてほしくない、と強く思いながら読み進め、一緒に悲しみ、苦しみ、焦れて、歓喜する。とても良い読書ができた。いつの時代も、異国の人であっても心を通じ合える人はいる、という事も再認識。 帰国して、最後は心穏やかに光太夫が過ごせた事に、とても安堵した。
天明2年暴風でロシアのアリューシャン列島に漂着した漁師の大黒屋光太夫と17人の仲間たちが帰国を夢見てシベリアからペテルブルクまで赴き帰国するまでを描いた歴史小説の傑作。いや、冒険小説の傑作。女帝エカテリナに請願する不屈の光太夫の行動力、船主として乗組員を励まし、また苦悩する姿。キリスト教の洗礼を受け...続きを読むて帰国をあきらめる者、凍傷で命を落とす者、それぞれの者たちの苦しみや悲しみ、そして帰国への情熱が痛いほど身に刺さる。かなり燃えます。
下巻では帰国がなかなか叶わぬロシアでの苦難な生活から女帝エカテリナへの謁見、また、その後の帰国・日本での余生まで、まさに波乱万丈の一生に心を動かされた。 ロシアで光太夫等の帰国に労を惜しまないキリロの子息がラクスマンであることは歴史の繋がりも実感できるところ。 厳冬の中、死に至るメンバー、改宗せざ...続きを読むるを得ずロシアに残るメンバー等々、心の描写を巧く捉えており、読みながら胸を締め付けられる思いを何度も抱く。 光太夫が日本に戻ってから行ったロシアに関する情報提供、語学指導等は、当時の日露の外交政策に大きく影響を与えているはずであり、単なる漂流者ではなく、知識人・政府役人等へ啓蒙にも多大な影響を与えているのだろう。 大黒屋光太夫は、確かに歴史の一ページを担っている。
漂流物は心を打つ。是非裏表紙を見ないで読んでもらいたい。 命をかけたドラマチックな人生は壮絶で、到底自分は生き抜くことはできないと 思うけど、現代は生ぬるく生きているような気がして少しうらやましい。
『ロシアの風土は、自分たちの体になじめず、生きる力を奪い取る。そのために出来るかぎりの努力をしてきた』 やはり、一つの山場は三度にわたる帰国願いだろうと思われた、それはこれまでロシアに漂流してきた日本人が誰一人として帰国できなかったという事実が、何よりも「大黒屋光太夫」らの心を重くさせながらも、...続きを読む温暖な伊勢育ちの彼らにしたら、ロシアの寒さは尋常でないことを悉く肌で痛感させられてと、まるで板挟みのような苦行を長いこと味わい続けた末の帰国不許可には、人間としての当然の権利を剥奪するものだと、激しい怒りに駆られるのも肯けるものがあった。 また、そんな状況が死に別れた仲間たちだけでなく、生き別れせざるを得ない仲間たちを生み出すきっかけでもあったことには言葉を失うものがあり、当時の彼らはそれくらいの切羽詰まった状況なのであったことを知るとともに、その選択を責めることなど、いったい誰ができようかと思われた、計り知れない悲しみは別れの場面によく表れており、その非情なまでに突き付けられた現実の容赦のなさには、とてもじゃないが見ていられなくて読むのが辛かった。 そうした様々な葛藤の末に訪れた奇跡的な展開には、改めて「キリロ・ラクスマン」の『諦めということを知らぬ不屈な強靱さ』が大きく貢献していることを実感させられて、その不屈さは光太夫以上に頼もしいものがあった、まさに命の恩人なのだと思う。 そして、上巻で書いたロシアが日本人を帰国させない理由が南進政策によるものなのではないかという懸念が、最後の展開に影響されていることには、その歴史的背景も含めてなるほどと納得できるものがあり、それは当時鎖国政策をしていた幕府が、本来であれば異国に行った者(海難事故によって流れ着いた場合も例外ではなかった)を国法を犯した罪人として扱うことを覆した証明ともなり、それが井上靖さんの『おろしや国酔夢譚』の終盤よりも良かったのではないかと思える展開に繋がっていながら、更に詳細な事柄が記載されていたのは、吉村昭さんが発掘した新たな歴史的事実が大きく影響していたのであった。 川西政明さんの解説によると、『おろしや国酔夢譚』は、蘭学者の「桂川甫周」が幕命によって聴取した公式記録『北槎聞略』に従って書かれたそうだが、それを知った吉村さんは、もう一人の方の陳述を引き出したものもあるに違いないと考え、それが実際に彼らの郷里に現存していることを突き止めたことで、本書のみに書かれた新たなエピソードが吉村さんの完全な創作ではないことを知ることによって、却って人間らしさが滲み出てくる、それは吉村さん自身の作風とも繋がっているような、人間なのだから様々な一面を持っていて当然なのだということや公的と私的の違いからも見えてくる、今当たり前に認識している歴史の出来事が変わる可能性など、いくらでも存在することに加えて、もし鎖国政策ではない時代に二人が生きていたらという感傷的な思いも芽生えたりしながら、それでも充分に時代の流れに抗い、内に仲間たちを連れて来ることができなかった責任感を抱えながら様々な困難にも屈せず、人生を全うした彼らには心からの賛辞を贈りたい。 というわけで、『おろしや国酔夢譚』の終盤の二人に複雑な思いを抱いた方には、是非とも読んでほしい、新たな歴史の発見によって書かれた本書は、大黒屋光太夫たちの漂流譚に於ける完全版といった印象であったが、いずれもそれぞれの作家性が垣間見えることから、両方読むことをお薦めしたいと思う。
なんで読もうと思ったか忘れたけどおろしや国酔夢譚(観てないけど)で有名なロシアまで漂流して皇帝にまで謁見した大黒屋光太夫の話。数奇な運命に驚くし、当時の日本人から見た先進国ロシアの姿がとても興味深かった。吉村昭が凄いのは巷で知られてる光太夫からの聞き書き以外にも同行してた磯吉の聞き書きも発掘して多角...続きを読む的に捉えて肉付けしてるところ。ロシア娘とのロマンスは流石にフィクションかと思ったら事実みたいで驚いた。面白かった。しかし、作中で光太夫が権利権利と帰国したがるんだけど、当時の日本人に権利などと言う意識があったのか?とそこはとても気になった。
日露戦争に東西冷戦、北方領土問題にウクライナ危機。残念ながら両者が友好であった期間は短い。お互いをよく知らない時代。日本側の恐れとは裏腹にロシア側には憧憬の念があった。自国に流れ着いた漂流民。相手を知るための教師から自分たちを理解させる特使として使う。政策の道具である一方、本物の誠意も感じさせる。寒...続きを読むさ故か、その情は”熱い”。死にもつながる凍傷。順応しなければ住めない国。ナポレオン、ヒトラーが敗れた冬将軍。決して攻めてはいけない国。悪い感情ばかり抱いてはいけない。遠くて近い国。糸口をつかむヒントをもらう。
【本の内容】 <上> 若き水主・磯吉の人間臭さのにじみ出た生々しい陳述記録をもとに紡ぎだされた、まったく新しい光太夫たちの漂流譚。 絶望的な状況下にも希望を捨てず、ひたむきに戦いつづけた男の感動の物語。 <下> 十年に及ぶ異国での過酷な日々。 ロシア政府の方針を変更させ、日本への帰国をなし遂げ...続きを読むた光太夫の不屈の意志。 吉村歴史文学、不滅の金字塔。 著者渾身の漂流記小説の集大成。 [ 目次 ] <上> <下> [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]
井上靖のおろしや国酔夢譚では、帰国後の光太夫と磯吉は良い扱いがされていないように書かれていた。しかし、新史料をもとに書かれた本書は全く違う。とても恵まれた余生を送っていたらしい。少しほっとした。それよりも気になるのがイルクーツクに残された庄蔵と新蔵だ。どんな思いで極寒の異国で生きていたのだろう。
実話であるが、物語として非常に興味深い。 ロシアに漂流し、10年後に日本に帰国できたのは17名のうち、光太夫を含むわずか3名。 多くの者は寒さや栄養不良で死亡したほか、キリスト教に改宗してロシアに留まる者もいた。 当時のロシアの方針として、基本的に漂流民は帰国させず、来るべき日ロ通商の手段を確保...続きを読むするため、日本語教師としてロシアにとどめ置くという冷酷な措置が取られていた。 その一方で、光太夫らを帰国させようと無償の尽力をしてくれたキリロはじめ親切なロシア人がいて、ロシアの二面性が感じられる。
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