吉村昭のレビュー一覧

  • わが心の小説家たち

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    ネタバレ

     吉村昭さん、敬愛する8人の小説家について語ってらっしゃいます。「わが心の小説家たち」、1995.5発行。森鴎外、志賀直哉、梶井基次郎には文章の教えを受けた。川端康成からは感覚を教えてもらった。著者が好きだということは、一作のこらず日記の類まで読んだということだそうです。女性作家では個性の強烈な岡本かの子、平林たい子、林芙美子がお好きだったと。

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    2023年06月24日
  • 新装版 間宮林蔵

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    感情的に盛り上げることなく淡々と客観的に綴る文体だからこそ、林蔵の執念というか情熱が強く強く伝わってくるような気がした。
    断片的な史料を想像で繋ぎ合わせた部分が大きいって後書きには書いてあったけど、普通に細かな手記とか残ってたんじゃないかって思ってしまうくらい端々に「実際の出来事らしさ」を感じた。

    周りの人々やシーボルトを題材にした物語や伝記にも触れて、多角的に味わってみたいな……。

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    2023年06月12日
  • 新装版 間宮林蔵

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    いやこれはまた重厚な本なのですよ。
    基本的には間宮林蔵がどこで何したかとか書いてるだけ、っちゃあだけなんけどね。
    とりあえず樺太を探検した人って感じの認識だったんで、半分ぐらい読んで探検終わって、あれどうなるんじゃろって思ったら、残り半分は隠密の旅だった!
    というわけで、3へぇ。

    しかし欧米の奴らは勝手にやってきてクジラを殺しまくってしかも油だけ取って捨ててしまうとか酷い話ですよ。しかも陸地に上陸して薪とか要求してって何様なんだこれ。いや流石であるよニンニン。

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    2023年05月18日
  • 天狗争乱

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    勝者は讃え、敗者は美しく描く。幕末劇の定番。維新で日本は植民地になることを免れ、先進国の一員となる。開国派と攘夷派がせめぎあい幸運にも成し遂げられた奇跡。その過程で生まれた多くの犠牲。…元治元年、栃木町。悲劇が起きる。焼き払われた家並み。路頭に迷う町民。家族を殺され怒りは心頭に発す。天狗党憎し…舞台は水戸へ。門閥派対攘夷派。それぞれの言い分。どちらにも肩入れできない。…敗れた攘夷派と天狗党の合流。京への旅路。様相が変わる。畏敬もされる。…降伏。痛々しい結末。それが綴られるのも歴史。こんな人々もいたのだ。

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    2023年05月17日
  • 関東大震災

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    大震災では、地震による建物の倒壊だけでなく、家財の持ち出しに寄る避難経路の遮断、火災、火災が誘因となる暴風、そして人心の乱れであることがよくわかった。大正の関東大震災では過去の大地震の経験が生かされなかったのである。最近とみに地震を想定した防災訓練なども行われているが、実際どうなったのか過去の事実を知った方が身につまされる。必読の書。2023.5.14

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    2023年05月14日
  • 破獄

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    高校時代に友達に勧められて読みました。私のそれまでの読書遍歴に登場しなかったジャンルで非常に新鮮だったことを覚えています。
    主人公は牢破りの犯罪者なのに憎めないキャラクターで次はどんな手口で脱獄するのかハラハラさせられます。追う側と追われる側の攻防戦。かと言ってエンタメに終わらない重厚感。
    紹介してくれた友人に感謝。

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    2023年05月03日
  • 新装版 白い航跡(下)

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    帰国後の活躍。下巻に入っても上り調子は続く。日本の風土病とされた脚気。治療法の追求。仮説。確信。戦艦訓練での実験。許されぬ失敗。結果を待つ。成功の知らせ。地位は揺るぎないものになるはず。しかし、そこに立ちはだかるものが。二度目の世界大戦まで続く陸軍という病。…精力的に働きながらもその晩年はどこか暗い。慈恵病院の設立・生命保険の創立・看護教育の充実。偉大な業績を上げながらも現代では高木兼寛という名を知る人は少ない。…多くの人が気づきながら公に正解が認められない。今もあるその構造。それは日本の風土病なのか。

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    2023年04月27日
  • 関東大震災

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    関東大震災についてすこし詳しく知りたいと思い手に取りました。本所被服廠跡や吉原の悲劇について知り、大火の恐ろしさに戦慄しました。流言や朝鮮人虐殺、大杉栄事件などの章には大災害で動揺する人々が記録されていました。愚かとは思えません。コロナの初期にも様々な噂が流れたのを思い出しました。
    吉村昭の記録文学は手堅くしかも読みやすいという点で大好きです。

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    2023年04月26日
  • 新装版 白い航跡(上)

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    登場人物も背景も予備知識なしで入る。薩摩藩の大工の家。主人公は幕末に生まれ西洋医学を志す。努力と実力。人格も手伝い偶然も呼び込む。次から次へ、膨らむ立場。責任も重い。下巻の展開が楽しみになる。…明治の日本。「坂の上の雲」を目指して歩く。その先に何があるかはわからない。ただ、ひたむきに登る。その答えを知るのは後世に生まれた我々。脱亜入欧。3度の戦争の勝利。日本は先進国の一員になる。さらにその先に起きる戦争の結末。この物語の登場人物には知る術もない。…学ぶことは多い。失われた30年。その先は我々も知らない。

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    2023年04月23日
  • 雪の花

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    江戸時代末期の福井藩。人々の命を奪う天然痘と闘った一町医の生涯を描いた物語。周りの理解を得られず、詐欺師と石を投げられても人を助けるために人生を捧げられたのは何故なのか。素晴らしい人を襲う苦難の人生。やるせなさに胸が詰まった。

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    2023年04月19日
  • 魚影の群れ

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    ネタバレ

    動物をテーマとした短編4作を収録。

    海の鼠は瀬戸内の島で大量発生した鼠に対応する人々を描いた実話にもとづいた話。
    鼠取り機、殺鼠剤、蛇など、鼠駆除に様々な方策が講じられ、一定の効果はあるものの、結局人間の力で鼠の群れを壊滅させることはできず、島民は鼠の害にあいつつも、状況を諦め、受け入れていく。そのうち、人口の減少と共に鼠は自然に減っていく。

    これはウィズコロナになっていく今の状況にも似ており、自然の力に対して、人間はどうにもできないことを知らされる。

    そのほかの話はフィクションだが、いつも淡々とした文体のノンフィクションを書く筆者であるが、心理描写も上手いと思った。

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    2023年03月25日
  • 戦艦武蔵

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    国を挙げた一大プロジェクト、超大型戦艦武蔵の起工から最期までを克明に記しあげたノンフィクション。
    手に余った巨大戦艦が辿る海上での末路は壮絶の一言。60年代にここまで緻密な調査を行い、当時の日本の愚かさやひたむきさを迫力と共に描き、花火のように終わる本作は記録文学として圧倒的な位置にいると感じた。

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    2023年03月17日
  • 戦艦武蔵

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    巨大戦艦「武蔵」の建設計画から、進水、戦歴、沈没に至るまでの7年間を描いた歴史文学。著者の吉村昭は、軍人や乗船兵でもなければ、造船会社の関係者でもなく、戦時中は少年だった。ある意味「第3者」という立場からフラットな目線で、「戦争に突き進み、敗色濃厚でも戦争を続けてしまう」当時の日本社会に迫ろうとしている。
    膨大な人命と物資、金銭と時間を浪費するだけなのに、なぜこのような非合理的な「愚行」が国としてまかり通り、社会に根強く残ってしまうのか。筆者は強い疑問を持っていたのだろう。

    実は、本書はページ数の過半数が、武蔵が建造される期間に割かれている。さすがに戦場、特にレイテ海戦における沈没までの正確

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    2023年02月23日
  • 幕府軍艦「回天」始末

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    明治初期の宮古湾海戦、「事実主義」の作品。
    さすがの吉村昭。なんでだろう‥臨場感が半端なくて一気読みでした。

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    2023年02月14日
  • 虹の翼

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    「吉村昭」の伝記的歴史小説『虹の翼』を読みました。

    「吉村昭」作品は昨年8月に読んだ『海軍乙事件』以来ですね。

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    「吉村」ファン必読の書が待望の新装版!

    人が空を飛ぶなど夢でしかなかった明治時代―「ライト兄弟」が世界最初の飛行機を飛ばす十数年も前に、独自の構想で航空機を考案した男が日本にいた。
    奇才「二宮忠八」の、世界に先駆けた「飛行器」は夢を実現させるのか?
    ひたすら空に憧れた「忠八」の波瀾の生涯を、当時の社会情勢をたどりながら緻密に描いた傑作長編。
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    1978年(昭和53年)、『京都新聞』に

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    2023年01月30日
  • 東京の下町

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    戦前戦後あたりの東京下町における人々の生活や考え方、感じ方が非常に良く分かり大変得るものが多かったと感じました。当時の文化を伝える貴重な資料との評価はその通りと思いきます。

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    2023年01月14日
  • 仮釈放

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    主人公のわかりそうでわからない人物像がすごい。
    殺人を犯し無期刑にもなったが、罪を悔いておらず、そのことを周囲に気づかれてもいない。主人公は生真面目な性格で、何も駆け引きを打たないが、それ故に垣間見える恐ろしさがある。
    怒涛の畳み掛けとなるラストは、誰の状況も一瞬で変わり得ることを感じさせられた。

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    2022年12月29日
  • 背中の勲章

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    太平洋戦争で米国の捕虜となった様子がコンパクトにまとめられて記述されていて読みやすい。

    捉えられた日本兵は捕虜となることを恥じるが、意外と人道的な扱いを受けていることが分かる。

    生き残ったことに後悔する、国のため戦死することに何の疑いもない当時の考えに、人生とは、命とはという意味をかんごえさせられる。

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    2022年12月25日
  • 戦艦武蔵

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     初版は1971年9月、新潮社より刊行。
     綿密な聞き取り取材と資料調査にもとづき執筆された記録文学作品。戦争小説というよりは、当時の技術の限界に立ち向かった巨大プロジェクトの記録という体裁で、いかにも高度経済成長期の作品という感じである。解説の磯田光一が、この作は「一つの巨大な軍艦をめぐる日本人の“集団自殺”の物語である」と看破したのは慧眼という他にない。この小説には、「なぜこの巨大戦艦を作るのか?」「戦艦建造をめぐる過程で、どうしてそこまでやらなければならないのか?」という問いが根本的に欠けているからである。つまり、戦争や軍事をめぐる価値判断が停止されている。

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    2022年11月26日
  • 桜田門外ノ変(下)

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    桜田門外の変は、幕府と水戸藩の対立、諸外国どの向き合い方をめぐる立場の違いを背景としている。この作品は、水戸藩士の関鉄之介を主人公に事件の詳細を描く。明治維新のたった8年前。歴史のネジを巻くことになった事件。

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    2022年11月23日