【感想・ネタバレ】戦艦武蔵のレビュー

あらすじ

日本帝国海軍の夢と野望を賭けた不沈の戦艦「武蔵」――厖大な人命と物資をただ浪費するために、人間が狂気的なエネルギーを注いだ戦争の本質とは何か? 非論理的“愚行”に驀進した“人間”の内部にひそむ奇怪さとはどういうものか? 本書は戦争の神話的象徴である「武蔵」の極秘の建造から壮絶な終焉までを克明に綴り、壮大な劇の全貌を明らかにした記録文学の大作である。

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ネタバレ

 長崎から棕櫚が消えた。何かが起こっている。冒頭の不気味さ。その棕櫚のすだれに隠された港で造られていたものは。。。
 いやあ、もう悔しいというか怒りというか、時代遅れの巨大戦艦を造るまでの異常なまでの秘密主義に翻弄された人々と、ほとんど成果を上げることなくあえなく海中に沈んだ戦艦の乗組員たちが哀れでなりません。
 それにしても淡々と事実を積み上げてその狂気を描く吉村氏にはますます敬意を払いたい。素晴らしい作家です。現代でこのようなことができるのは。。。。小川哲さんぐらいでしょうか。まだ吉村氏の読んでない作品がたくさんあるので、これからも読んでいきたいです。

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2025年12月07日

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長崎で建造が始まった第2号艦。その地形や造船に関わる人数を考えるとその存在を秘匿するのは容易ではない。前半は数々の困難を乗り越えて巨艦を完成、引き渡しまで。後半は戦艦武蔵と名付けられ戦線に合流するも時代は航空戦力が主になりその能力を発揮できない。
読みだしたら止まらない。
知っている最後に向けて話は進む。撃沈。
しかし話はまだ続いた。
武蔵沈没の露見を恐れた海軍中枢部は生存者をほぼ邪魔者扱い。内地に送られた者は輸送中に敵魚雷で沈没。生存者はほぼ軟禁状態。
現地に残された者はほぼ全滅。
過酷すぎる。

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2024年01月03日

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戦艦武蔵が建造されてから沈むまで。
見つからないように隠して建造するのは大変だし設計図の管理も厳重。
大変な思いをしてできた船が沈むのは悲しいですね。
その戦闘シーンも生々しくて実際にその場にいるような感覚にとらわれました。
とにかく読みごたえがあり読みだしたら止まりません!

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2023年01月07日

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非常にリアリティのある『戦争』という一場面を武蔵という存在を通して知ることができました。
人は、集中してしまうと、その意味を忘れてしまう。
そのことを改めて警戒しておかなくてはと思わされました。

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2022年01月06日

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現実の事件・事象をめぐる事実をふまえ,文学的に
構成した作品を記録文学という。吉村昭はその代表的
書き手。記録文学を因数分解すると、ノンフィクション・ルポルタージュ・実録・裏話…になるかな。
僕の中では吉村作品は「プロジェクト小説」である。
「羆嵐」は巨大羆との壮絶な格闘記、
「漂流」は無人島に流れ着いた男の生還記、
「破獄」は11年間に4度も企図した脱獄記、
「零式戦闘機」は設計者・技師・操縦者の哀歓の記録。
善悪・良否という二元論では片付けられない目的を
果たすために狂おしいほどの熱情と知恵を注ぎ
プロジェクトを完遂させる様を丹念に描く。

さて本書。戦略的都合上、徹底した機密保持の下、
当時日本最大の造船設備を誇っていた三菱重工長崎
造船所が4年の歳月をかけて建造した「戦艦武蔵」。
まさしく世界一の攻撃力に加え、最強の防御力を誇る
不沈戦艦。その建造過程を全ページの内、200ページ
余りを費やし仔細に記述。

残りのページは、武蔵が参戦時には日本の戦況を
覆すのは厳しく、不沈戦艦武蔵の使い道は遮二無二に
突撃し、肉弾特攻戦に向かうという捨て鉢状態。
米軍機による波状攻撃を受け、持ち得た能力を発揮する
ことなくレイテ沖で爆発四散し深海に沈む。
乗組員2,400名の内1,000名以上が戦死。
動機と結果の不一致という無様な終焉を迎える。

戦局の趨勢を握るのは戦艦ではなく航空機に移っている
ことを軍部は知りつつ、なぜ建造に至ったのか?
著者は抒情性を一切排した筆致で遺漏なく製造過程を
丹念に描くことで、軍部の無計画さと戦略の無さを
浮き彫りにしていく。

世界一の戦艦を持つことの意義・意図が不明確であり、
非論理の上に建造が決定される。そこに屹立するのは
不沈艦を持ちさえすれば日本の国土は十二分に守護
できるのだという「神話」のみ。
山本七平の「空気の研究」にある「思考停止」状態が
壮大な愚行を生んだのか?

武蔵と大和。一卵性双生児の様な「巨艦不沈戦艦」。
いずれも重油の確保もままならず、護衛航空機をつける
ことができない状況下に出撃し、壮絶な最期を迎えた。

思考停止・非論理・神話の屹立…。
70有余年前、目を背けたくなる壮大な愚行を日本民族
がしでかしたことを教示してくれる貴重な記録。

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2026年05月14日

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戦艦武蔵の製造から沈没まで。
想像ベースとはいえとてもありありと書かれた記述に映像がくっきりと浮かんでくる。
集団幻想というか、誰も理由も分からないしそれを尋ねることもできない状況で恐ろしさが全体的に漂っている。住民の様子はほとんど描かれていないが、あとがきにあるように証言した人が怯えていたとおり、戦後も続くトラウマになっていたのだろう。

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2026年05月23日

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吉村昭は信頼している作家であり好きな作家の一人である。
本作も期待を裏切らなかった。

記録文学というらしいが、かなり綿密に調べてあり、フィクションというよりほぼノンフィクションの趣である。

武蔵が完成するまでが作品のおよそ七割を占め、残りの三割が実際の戦争での記録になる。この配分がポイントの一つであり、武蔵の完成までは正に「プロジェクトX」の趣きである。日本人の一つのことに取り組む粘り強さと緻密さがよく描かれ、職工たちの平均的な質の高さがよく分かる。

実際の戦争に投入されてからは、割とあっさり書かれている。

海軍上層部が船の諸元性能の情報が漏れるのを恐れるあまり、船を戦闘に積極的には投入せず、ただ停泊させていたり、出撃してもすぐ撤退させてしまう様は滑稽でもある。レイテでの最初で最後になる戦いも一方的にやられるばかりでほぼ役立たずのまま、戦前の国家プロジェクトは終わってしまう。その後の武蔵の艦員の最後も記されているがなんとも無残なものである。

続けて「戦艦武蔵ノート」も読もうと思う。

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2025年08月24日

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終始、客観的な視点で物語が進むせいか「何でこんな馬鹿なことをしたんだろ」という感想がまず初めに湧いた。
冷静に後から振り返れば、とてつもない大きな船を造ることには人員もコストも材料も膨大なものになるし、出来たら出来たでまた人員や燃料が必要になり、挙げ句の果てに航空機からの格好の的になって総攻撃を浴びて沈没するという悲惨という他ないプロジェクトのように思えた。

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2024年11月22日

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漁網に使う棕櫚の繊維が誰かに買い占められたことを書き出しに使うのがプロの技。いや、取材の賜物というべきか。
尋常ではない巨大戦艦を造るための苦悩や苦心を書く前半が本書の面白いところ。
だから、竣工した武蔵を海軍に引き渡した瞬間に部外者にとなって、呉工廠を後にする三菱造船所の面々というシーンまでがあれば本書は十分だと感じた。

まあ武蔵の生涯という意味では就役後、撃沈されるまで書かないと落ち着かないというのはわかるが。

そして、設計図を焼いてしまったN太郎の話はやっぱり考えさせられる。
選ばれて極秘任務に抜擢されたものの、最年少なので下働きしかさせてもらえず、その間に同期生は仕事を覚えていく。
それに焦って不祥事を作り出したが、意に反して大事件となり任務にあたった同僚たちは拷問を受けて再起できなくなった人もいるという。

このエピソードを書くからこそ吉村昭だと思う。

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2024年11月11日

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漁具である棕櫚が日本全国から消えるという一見戦艦とは関係なさそうな話から始まり、2/3を建造まで、1/3を進水してからシブヤン海で沈むまでを描く本作。

世界最大の主砲を有する戦艦を建造しておきながら、最後までほぼ出番がなく、雷撃隊の前に海中に没した最期は、戦艦の能力云々の前に、巨艦大砲主義に邁進し、戦略・作戦・戦術レベルで語られる際の戦略レベルでの決断に誤りがあったことが痛いほど伝わってくる。

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2024年05月03日

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太平洋戦争直前、米英日の不公平な軍縮条約は国際連盟脱退につながり、日本海軍が大型軍艦造船に舵を切る。第2号艦として長崎で建造される武蔵を、まず造船大国日本の技術力の面から記述。艦建造の各段階における担当者・作業員たちの群像である。しかし、時代は航空兵力が中心になり、戦艦ではなく空母が海洋戦の主力になると山本五十六大将などが予見していたにも関わらず大型戦艦が建造された。戦隊に編入後はさして活躍することなく米航空兵力によって撃沈される、悪手といえる軍の戦略に翻弄されていく戦艦武蔵の最期は読んでいて辛かった。

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2024年02月27日

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戦争に突き進む心理を描かれたことは、設計構想の話を期待して手に取ったのでだいぶ不意打ちであった。しかし、きちんと練られており面白い

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2024年02月14日

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巨大戦艦時代が終焉をむかえる中、最後の巨大戦艦になるのかな。
宝の持ち腐れみたいに、機密にしていた戦艦やけど、いざ、使う時には、もう負け戦確定的…
何か、悲しさ満点やな。

こんな巨大なもの作るのには、その機材を運ぶのも大変で、巨砲運ぶ為に、運ぶ船作らなあかんとか…
巨大戦艦建設の最大の難関は、進水なんか…

武蔵の建造から、沈むまでの話やけど、ほとんどは、戦いまでの話が中心。

実際に、もう時代は、戦闘機中心の時代に移行して、不沈艦と歌われた武蔵建造の帝国海軍の夢と野心は…
何か、神話が一人歩きしてる感じ。

その神話が崩れた時、武蔵本体の運命は知らんけど、乗組員の運命が悲惨…

神話という夢は、いつか醒めるのに…
夢のままなんかムリやのに…

じっくりと真実を見て、
じっくりと考えて、
早急に対処する。

戦時の異常心理か知らんけど、ちゃんとして〜

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2023年11月14日

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国を挙げた一大プロジェクト、超大型戦艦武蔵の起工から最期までを克明に記しあげたノンフィクション。
手に余った巨大戦艦が辿る海上での末路は壮絶の一言。60年代にここまで緻密な調査を行い、当時の日本の愚かさやひたむきさを迫力と共に描き、花火のように終わる本作は記録文学として圧倒的な位置にいると感じた。

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2023年03月17日

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巨大戦艦「武蔵」の建設計画から、進水、戦歴、沈没に至るまでの7年間を描いた歴史文学。著者の吉村昭は、軍人や乗船兵でもなければ、造船会社の関係者でもなく、戦時中は少年だった。ある意味「第3者」という立場からフラットな目線で、「戦争に突き進み、敗色濃厚でも戦争を続けてしまう」当時の日本社会に迫ろうとしている。
膨大な人命と物資、金銭と時間を浪費するだけなのに、なぜこのような非合理的な「愚行」が国としてまかり通り、社会に根強く残ってしまうのか。筆者は強い疑問を持っていたのだろう。

実は、本書はページ数の過半数が、武蔵が建造される期間に割かれている。さすがに戦場、特にレイテ海戦における沈没までの正確な記録は残っていなかったのだろう。ただし、一般人(作業員や長崎市民)という視点から見た「武蔵」に対するイメージは緻密な取材に基づいており、大変興味深い。

・何を作るのか知らされないまま、造船所での過酷な強制労働に携わる作業員
・造船所がある港を見ることすら許されない長崎市民
・漁業で使う材料が一斉に無くなり、狼狽する漁師
・愛着を持って建造した戦艦を海軍に引き渡した直後、あっけなく退去命令をくらう造船会社の幹部

今の時代も、建設現場などでは「国を代表する大プロジェクト」に携わることに対して、技術者や作業員の間でプライドや連帯感は存在する。
身近なところでは、ワールドカップでの熱狂だって似ていると思う。
人々の間で「神話」を夢見る気持ちの高ぶりが、現実から離れて非合理的な集団行動を取ってしまうのだろうか。この本質に毎回迫ろうとする吉村文学、これからも沢山読んでいきたい。

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2023年02月23日

Posted by ブクログ

 初版は1971年9月、新潮社より刊行。
 綿密な聞き取り取材と資料調査にもとづき執筆された記録文学作品。戦争小説というよりは、当時の技術の限界に立ち向かった巨大プロジェクトの記録という体裁で、いかにも高度経済成長期の作品という感じである。解説の磯田光一が、この作は「一つの巨大な軍艦をめぐる日本人の“集団自殺”の物語である」と看破したのは慧眼という他にない。この小説には、「なぜこの巨大戦艦を作るのか?」「戦艦建造をめぐる過程で、どうしてそこまでやらなければならないのか?」という問いが根本的に欠けているからである。つまり、戦争や軍事をめぐる価値判断が停止されている。

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2022年11月26日

Posted by ブクログ

「吉村昭」のノンフィクション作品『戦艦武蔵』を読みました。

「吉村昭」作品は昨年7月に読んだ『零式戦闘機』以来なので約1年振りですね。

-----story-------------
日本帝国海軍の夢と野望を賭けた不沈の戦艦「武蔵」――。

厖大な人命と物資をただ浪費するために、人間が狂気的なエネルギーを注いだ戦争の本質とは何か? 
非論理的“愚行”に驀進した“人間”の内部にひそむ奇怪さとはどういうものか? 
本書は戦争の神話的象徴である「武蔵」の極秘の建造から壮絶な終焉までを克明に綴り、壮大な劇の全貌を明らかにした記録文学の大作である。
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第二次世界大戦中に建造された大日本帝国海軍の「大和」型戦艦の二番艦「武蔵」の建造から沈没までの運命と、それに関わった人々のことを描いたノンフィクション作品、、、

宇宙戦艦にまでなってしまった「大和」に比べ、やや知名度の低い「武蔵」ですが… 最近では、沈没から2015年(平成27年)にシブヤン海の水深1,000mの海底で発見されてニュースになったことが、記憶に新しいですね。

大艦巨砲主義の時代… 大日本帝国海軍の象徴的な戦艦だし、高度な技術を詰め込んだ巨大メカとしてロマンは感じる建造物ですが、、、

その戦闘力が時代遅れとなりつつあったこともあり、連合艦隊旗艦となっても戦いの最前線に立たなかったことから、当時の将兵達が「大和」を「大和ホテル」と揶揄していたように、「武蔵」も「武蔵御殿」と陰口を叩かれ、目立った戦果は挙げられないまま1944年(昭和19年)10月24日にレイテ沖海戦で撃沈… と、実戦では、期待された戦果を挙げることができず、太平洋戦争での兵器としては印象が薄いんですよね。

既に航空機が主役の時代になっていたんですよね… 本作品においても、

ドック内の建造ではなく、船台上で建造されたため進水作業に精力を削がれたことや、

棕櫚で船台を覆ったことに象徴されるように機密保持の点で必要以上の労力を割かれ、作業の進行が妨げられたこと、

度重なる工期短縮の要求、艤装工事での仕様改正要求による苦労等、

建造過程でのエピソードに過半が割かれており、完成するまでの展開が強く印象に残りましたね。

そして、もうひとつ印象に残ったのは沈没後の生存者の運命、、、

乗員2,399人中1,376人の生存者がいたようですが、武蔵が沈んだことを秘匿するため、生存者の半分は内地送還が許されず、現地に残された生存者は現地軍に武器も無いまま投入されて玉砕したそうですし、輸送船で内地へ向かうことのできた生存者は米潜水艦の魚雷を受け120人しか生存できず、帰国後は瀬戸内海の小島で軟禁生活を強いられとか… うーん、悲惨な現実です。

日本帝国海軍の夢と野望を賭けた不沈の戦艦「武蔵」ですが、、、

軍艦にも関わらず、戦場での活躍はあまり印象に残らず、建造過程や沈没後の生存者の運命の方が強く印象に残る作品でしたね。

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2022年11月11日

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白い航跡の吉村さんの著書。軍人の氏名・階級など無意味な記載も多いが、極秘建造された武蔵の難しい状況が上手に描写されている。第3、第4の巨大戦艦も造られ始めていたことを初めて知った。

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2022年07月02日

Posted by ブクログ

表題どおり、第二次対戦の時代の戦艦武蔵建造にまつわる話です。
軍の要求と圧力を受けながら、必死に設計と建造にあたった男たちの奮闘ぶりが淡々と描かれ、ぐいぐいページが進みます。
なるほど、巨大なものを建造している事実とを隠すのって難しいんだな、と気づかされました。

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2022年04月17日

Posted by ブクログ

日本帝国海軍の夢と野望を賭けた不沈の戦艦「武蔵」―厖大な人命と物資をただ浪費するために、人間が狂気的なエネルギーを注いだ戦争の本質とは何か?
非論理的“愚行”に驀進した“人間”の内部にひそむ奇怪さとはどういうものか?
本書は戦争の神話的象徴である「武蔵」の極秘の建造から壮絶な終焉までを克明に綴り、壮大な劇の全貌を明らかにした記録文学の大作である。

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2021年06月27日

Posted by ブクログ

詳細な下調べに基づく事実を順を追って記載しているのみであるが、だからこそ感じさせる異常性と虚無感がすごい。解説が絶妙に言い表している。

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2021年06月10日

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ネタバレ

太平洋戦争の最中、当時の技術を結集して作られた最強の戦艦武蔵の建造とその最後を描く。

前半では、超機密裏のうち、多大なる資源、時間、労力が投入され、製造されていく武蔵が描かれている。
その裏には巧みな機密保持工作や造船技術者の苦悩があった。

武蔵は完成後、あまり実戦に出るチャンスが無く、最終的には米軍の航空隊と魚雷攻撃の集中砲火でコテンパンにやられて沈没する。

前半で描かれていた機密保持や技術者の苦労は一体何だったのか…というほどのあっけない最後であり、なんとも言えない虚しさが残る。
吉村氏特有の冷静で客観的な表現で描かれており、とても読みやすい。

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2021年04月11日

Posted by ブクログ

2015年3月、マイクロソフトの共同創業者の故ポール・アレン氏の捜索プロジェクトチームが8年がかりで、シブヤン海底に眠る武蔵を発見した。本書を読みながら発見時のテレビの衝撃的な映像を思い出した。

大和は海軍の施設である呉海軍工廠で造艦されたのに対して、武蔵は三菱重工長崎造船所という民間企業が造ったことは初めて知った。
武蔵の起工から竣工までが造艦に関わる人間ドラマとともに完成するまでの過程が克明に記されており記録文学の傑作と言える名著だと思う。

造船所から海軍に引き渡されるまでを前編、海軍が所有してから沈没までを後編として、最新の映像技術でぜひ映画にしてほしい作品。豪華キャストに実力派の監督が手掛けてくれればヒットは間違いないと思う。映像化されれば万難を排して見に行くだろうと思わせてくれる作品だった。

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2022年06月05日

Posted by ブクログ

前半はあたかもプロジェクトXのように、世界最大級の戦艦建造プロセスが描かれる。突然の工期短縮や機密保持のための無理難題、図面紛失等様々な事件事故を踏み越えて、無事進水に至るとき、リーダー達の頬に熱いものが流れる〜という一連の流れは、まさにプロジェクトX的で、昔から日本の企業人には好まれるタイプの物語だろう。
そこから一転し、後ろ三分の一は実戦に配備された以降の武蔵の物語である。吉村の筆は前半と変わらず、数字や人事、無惨な兵士の死に様を克明に記すことで、即物的なリアリティの壁を構築していく。吉田満が『戦艦大和ノ最期』で文語調の短文により臨場感を惹起した手法と対照的に、当事者ではない吉村は確固とした事実と客観性の上に物語を構築する意図があったのだろうか。
本書には軍令部と現場の司令官・艦長らとの齟齬もいくらか示されるが、力点はこの戦争の無謀さに置かれてはいない。戦争という奔流に人々が巻き込まれる時の意識の高揚とその結末を淡々と記すのみである。

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2026年06月12日

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戦艦武蔵の建造から沈没までの記録。
当時の技術の粋を集めて、史上最大の戦艦を建造するストーリーはさながらプロジェクトXのようで、困難に立ち向かう技術者達の姿はビジネス書で取り上げられるようなサクセスストーリー。
一方、当時、すでに戦艦の戦力に航空機が代替され始めており、実際に戦場では戦艦武蔵は敵の飛行機による攻撃になすすべなく、沈没。
その最期を知っている後世の我々からすると、前半のサクセスストーリーも少し方向性が違う努力に思えてしまう。
しかしながら、それこそが人間なのかな、と思わせる話。

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2025年07月12日

Posted by ブクログ

戦艦の専門用語と軍役職と名前が詳細に書かれており、固い文面で読むスピードが落ちる。
これだけ莫大な人員、材料を投入し数年の月日を費やして建造した巨艦武蔵、その甲斐もなく人を巻き込んで沈没した運命は、やりきれない悲しさと虚しさがある。

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2025年04月11日

Posted by ブクログ

その当時の日本における造船技術の叡智を集めて、秘匿の内に産み落とされた戦艦「武蔵」の生涯の記録です。かの有名な戦艦「大和」の2番艦、いわば次男坊にあたります。
「武蔵」の生い立ちとその後の運命に見る光と影は、世界の潮流にもがく戦時中の日本の姿そのものであり、単なる戦記とは違う凄みを感じる作品です。また、飾り気のない文章で綴られる惨烈を極めた戦闘の描写と乗組員のその後には、心がえぐられます。
否が応でも戦争について考えさせられる、とても悲しい話です。

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2024年10月03日

Posted by ブクログ

1973年第21回菊池寛賞
「戦艦武蔵」「関東大震災」など一連のドキュメント作品に対して

大日本帝国海軍 最後の戦艦(でいいのかな?)
武蔵のその建造から最期までを 
記録文学の新境地

解説者曰く 日本人の集団自殺を思わせる
巨大な戦艦を ものすごい技術だと思うのだけど
材料の調達から造船まで愛国心と根性で作りあげてしまうような 狂気に近い当時の状況
進水してからは 建造から戦闘へと記録が変わる

作者のあとがきから
戦艦武蔵の建造日誌を友人から借用したとのこと
建艦に携わった技師が焼却するべきものを秘蔵していたものだとのこと
建造に関わるあらゆる種類の多くの数字が 現場に近い記録から起こされた小説

記録された数字と当時の日本軍の行動から見えてくる 資源、時間、人材の強引な召集

最期は、「退艦用意、自由行動をとれ」
レイテ沖で

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2024年07月31日

Posted by ブクログ

武蔵の造船、進水が長崎造船所を舞台にしており、長崎を最近旅した事もあるので、この本はとても身近に感じました。事実を淡々と描く作風で「熊嵐」「漂流」「破獄」がかなり好きな作品、戦争について読みたいので、他の戦争について書かれた作品も今後読みたいです。

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2022年01月08日

Posted by ブクログ

戦艦大和と同型で、大和進水後、二号艦として進水した戦艦武蔵の話だ。
武蔵は、大和進水後、大和の不都合な点を出来るだけ改善して艤装されたもので、言ってみれば大和よりも性能的には良いとも言えるだろう。
武蔵は長崎の三菱重工長崎造船所で作られた。進水までは、その製作を秘匿しておく必要があり、それにかなりの労力を費やしたようだ。
武蔵は、太平洋戦争が勃発した時はまだ艤装中で、作業員達は、休日返上で夜遅くまで働いた。
武蔵は多数の魚雷などを受け沈没し、助かった乗組員も、各地に転戦し、特攻、自爆攻撃など壮烈な最期を遂げたものが多い。

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2021年09月02日

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