吉村昭のレビュー一覧

  • 漂流

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    ネタバレ

    実話だと知っていて読んだが、それでも驚いた。
    ただ脱出を目指すだけでない、みんなで酒を造るなどの生活感あふれる描写が良かった。
    この作者さんのほかの作品も…と思わせてくれる1冊。

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    2026年01月02日
  • 彰義隊

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    破獄や羆嵐等で有名な吉村昭の本。彰義隊というタイトルではあるが、上野戦争で隊士が籠った寛永寺の山主であった輪王寺親王にフォーカスした小説である。幕末もので皇族にフォーカスしたものは少なく、新たな視点を得ることができた。今後、彰義隊そのものにフォーカスした小説があれば合わせて読んでみたい。

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    2025年12月31日
  • 羆嵐

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    熊による被害が多く猟師によって射殺する、熊が可哀想、などと言う人がいる。これを読んでもそんな事が言えますか。人を喰う熊は害でしかないでしょう。人間を守るためには殺すしかないでしょう。闇雲に撃つ訳ではなく、熊の賢さ、強さへの敬意は忘れてはいけない。

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    2025年12月31日
  • 逃亡

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    面白くて一気に読んでしまいました。
    主人公の後ろめたさに感情移入して、私も何かから逃亡しているような心地がしました。下腹部がゾワゾワするような感覚がいまも残っています。

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    2025年12月30日
  • 桜田門外ノ変(下)

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    教科書上の事件としか知らなかったので立体的に知ることができて面白かった。一方でじけんごの動きについては気持ちがだれてしまって流し読みになってしまった。

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    2025年12月16日
  • 関東大震災

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    この本を書くのに、相当な量の資料を読み込まれたと思う。とても丁寧に書かれており、大震災の凄まじさが心に響きました。

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    2025年12月11日
  • 雪の火祭り 吉村昭初期中篇・短篇集

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    吉村昭『雪の火祭り 吉村昭初期中篇・短篇集』河出文庫。

    未発表小説『新月』を含む未収録作品全9篇を収録した作品集。

    吉村昭の小説を読み始めたのは40年以上前だろう。原作映画の『漂流』を試写会で観たのを切っ掛けに原作を読み、『破獄』や『羆嵐』、『高熱隧道』などを読んでいた。吉村昭は、こうした有名な中篇の傑作も面白いのだが、短篇にも名作が多数ある。自分が最も好きな短篇は『梅の蕾』だ。何度読んでも涙が零れる。舞台が故郷の岩手県であるだけに思い入れも強いのかも知れない。


    『緑雨』。昔は結核で療養という話がよくあった。兄弟で経済的な負担をし合うのも、この頃の話。結核のため、家で療養している主人公

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    2025年12月10日
  • 羆嵐

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    ネタバレ

    熊の恐怖感が凄いな~。そして銃を持っている集団でもその恐怖には勝てないんですね。前半は熊にやられっぱなしの村人。被害者の描写が辛い。妊婦さんとか辛い。後半銀四郎の登場から雰囲気が変わって迫力が増した気がする。熊を撃つ場面は良かったな。明治、大正やそれ以前の時代は自然は今より身近で怖い存在だったんだな~。昔みた『リメインズ』って映画はこれがモデルだったのかな。

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    2025年12月06日
  • 破獄

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    ネタバレ

    4回脱獄した人の話。読者としての興味はその脱獄のすごさ。作者のテーマは矯正施設に勤務する人々の苦労や思いにスポットライトを当てることか。戦前、戦中の社会問題、特に食糧事情の描写がかなり細かい。食糧難でも囚人は食料が維持される矛盾。
    脱獄のすごさは、針金で手錠を簡単に開けるとか、3メートルの壁を越えてしまうなどの小技と筋力が一つ、脅迫や懐柔、誘導で監視を甘くさせる謀略が一つ、少ない情報での(不完全なはずの)計画を実行しきる胆力、脱獄後に極寒の地で生き抜く生存力と意思(普通の脱走者は寒くて死ぬか戻る)。どれも規格外。施設や監視体制の強化ではどうしても防げないと考えた府中刑務所鈴江所長は、逆に普通に

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    2026年04月18日
  • 羆嵐

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    ゴールデンカムイを観てからだと銀四郎のほうが羆に対しての恐怖やリスペクトをよっぽど持っているなと感じた。そういうものへの無知な村の人への対応は銀四郎にも問題はあるが、分からなくもないとは思った。未開の地を切り開き、肥沃な土地に当たるかどうかも分からない。そんなギャンブルのような生活をしている中で村や部落というものが生まれていくんだなということを感じた。
    羆はいつも人間にとっての脅威であり、そしてカムイなんだと思った。太刀打ちできない圧倒的な存在として荘厳な存在ですらあると感じる。熊が全国各地で出没してアレコレ騒がれているが、難しい問題だと思うと同時に、共生していく在り方をこの本を通して改めて考

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    2025年11月30日
  • 羆嵐

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    今も昔も熊への対処方法は変わらず、恐怖感も変わらないと思った。熊にとって人間はあまりにも非力!熊を可哀想、と言う人もいるけれど、人間はそんな立ち位置にはないと思った。

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    2025年11月30日
  • 死まで 吉村昭初期短篇集

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     副題に初期短篇集とあるが、収録された作品は一九五〇年に書かれた作品もあれば一九八五年に書かれた作品もある。すべての短篇が同時代の家族を題材に書かれていて、そして、それらの家族は次々と崩壊していく。崩壊の誘因は、病と性。なんとも暗く、読んでいて陰鬱になる。特に、発掘短篇だという「日曜日」(pp77-89)の救いの無さはすごい。どんよりした気分になりながらも、とても読みやすい文章なので、するすると読めてしまう。それにしても荒んだ話を連続で読み続けるのはつらいなあ、と思っていたら、最後に収録された「雪」(pp245-267)の老夫婦の寄り添いあう姿にようやくほっとできた。

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    2025年11月30日
  • 魚影の群れ

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     濃淡の差はあれ、いずれも動物との関わりが深い四つの中編を搭載。記録文学的描写の「海の鼠」は、この作家らしい重厚かつ客観的な語り口で読ませるし、「鵜」と「魚影の群れ」は父と嫁ぐ娘との破綻が運命的に描かれている。一方、「蝸牛」はユーモラスだが不気味。

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    2025年11月25日
  • 仮釈放

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    吉村さんの小説では初めてのフィクションだった。タイトル通り仮釈放の男の生きる様を淡々と描いている。
    安価な言葉が一つも見当たらない。
    物語を展開するための安っぽい言葉ではなく、本人が発した言葉によって自然に物語が紡がれていくような。だから、読まされてるんじゃなくて、体験しているような気分になるのだろう。

    次はどの作品を読もうか。期待しかない。オススメがあればぜひ教えて欲しい。

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    2025年11月25日
  • 生麦事件(上)

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    ネタバレ

    生麦事件から長州藩の外国船砲撃、アメリカとフランスによる報復。幕府がガタガタ。島津久光とか薩摩藩とかはどうも好きになれないけど、有能な人だった感じかな。

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    2025年11月24日
  • 生麦事件(下)

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    ネタバレ

    薩英戦争と四国艦隊の砲撃、長州征伐と後半は少し駆け足な感じだったけど、面白い。『生麦事件』にあまり興味が無かったから読まないでいたけど、とても良かった。

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    2025年11月24日
  • プリズンの満月

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    巣鴨プリズンの一刑務官の評伝のように読めましたが、後書きで主人公が架空の人物と知る。
    この小説は、戦争責任の所在を問うものではありません。
    また、戦勝国や敗戦国の善悪を論じるものでもない。
    戦争という途方もないうねりの結果、戦犯という重苦しい処遇を背負った人々に対し、
    ほんの灯火に過ぎずとも、人道的なあたたかさに全力を尽くした人間たちの記録を集め、淡々とつづっている。
    (もちろん、戦中の日本上層部の行動を肯定している…という意味ではないですよ)

    人によっては、地味で退屈する筆致と感じるかもしれません。
    けれど、あの戦争はこうだったと簡単に論じる本より、遥かに誠実です。

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    2025年11月20日
  • 破獄

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    ネタバレ

    ・あらすじ
    昭和8年に青森県で起こった強盗致死事件の犯人として逮捕され無期刑判決を受けた佐久間清太郎は昭和11年、昭和17年、昭和19年、昭和22年と脱獄を繰り返す。
    4箇所の刑務所を脱獄した佐久間の執念と、戦中戦後の混乱期の世相や治安維持に努めた執行機関の取り組みなどを描く。

    ・感想
    読む前は主人公である佐久間がどうやって刑務所を脱獄したのか、という方法論やその執念がどこから来るのか?などの佐久間の人となりに焦点にあてた作品だと思ってた。
    でも実際は、佐久間という脱獄犯を通して戦中戦後の日本の
    移り変わりを描いた社会派作品だった。
    そうだよね、吉村先生だもんね。

    戦中の刑務所や警察組織が

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    2025年11月14日
  • 羆嵐

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    昨今のクマ被害から興味を惹かれ、読書開始。
    北海道の開拓民が、大型のヒグマの侵食に晒されるストーリー。

    ひたすらヒグマが怖い。
    序盤から中盤は、人間の無力さと野生の破壊力にひれ伏すばかりで、熊の生息地には近づかないでおこうと心に誓った。
    そんな中で現れる“救世主”の見せ場が、本当に痺れる。良い小説だった。

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    2025年10月27日
  • 深海の使者

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    第1次訪独潜水艦として、数々の困難の乗り越え、復路の終盤に自国の勢力圏内に寄港するも、触雷して沈没した伊号第三十潜水艦。無償譲渡されるUボートの引き取り搭乗員を送り、唯一無事帰国した伊8潜。ドイツから譲渡され、帰航路途上で消息不明となった呂号第五百一潜。ペナンに向かう航路で、英潜に撃沈された伊34潜。寄港予定の港が敵国の侵攻で分断され、消息不明となった伊52潜。…狭い艦内で、酸素消費を抑えた窮屈な姿勢で過ごし。何か月も耐えたあげく深海に沈む。浮かばない命。戦争とはそんな犠牲者も出すという現実を突きつける。

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    2025年10月22日