吉村昭のレビュー一覧

  • 雪の花

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    天然痘の治療のため尽力した福井の町医者のお話。
    種痘(予防接種)を行おうにも無理解で上手くいかず、他の町医者からはオカルト扱いされ、藩に訴えても無視され....と大変な思いをしつつも信念を持つ有様が心に響きます。
    技術が発達した現代でも心根は同じかな、と思いつつも自分の頭で考える癖を持ちたいと思わせる話だった。

    『牛肉や豚肉を食べる西洋人を野蛮な民族だと見ていた』という旨の記載があるんだけど、ハッとさせられた。明治になるかならないかという時代のお話だけど、お肉を食べるようになったのってほんと最近なんだねぇ。

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    2025年06月12日
  • 七十五度目の長崎行き

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    吉村さん自身の旅に関する作品を読むと、日本にはまだこんなに行ってみたいと思う場所がたくさんあるんだと感じてしまう。
    タイトルにもあるように、長崎へ行ってみたい。

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    2025年06月10日
  • 雪の花

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    ネタバレ

    ・あらすじ
    江戸時代末期、福井藩で町医者をしていた笠原良策が天然痘撲滅のために生涯を賭けて奮闘する話。

    ・感想
    人間の性質ってのはやっぱりそんなに変化しないものなんだなと思った。
    未知に対する恐怖心は動物であるなら当然持っている生存に必要な能力ではあるので、それがいい方向に行く時もあればそうじゃない時もある。
    己の立場や既得権益を守りたい権力争いなんかも「あるあるだなー」と思って読んでた。

    私財を投げ打ち自分の全てを賭けて天然痘撲滅のために尽力した笠原先生はとても尊敬する。
    でも11月に雪山を超えて福井に帰るくだりは、おそらく作中で1番過酷でドラマッチくな部分だろうとは思うんだけど、個人的

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    2025年06月01日
  • 破船

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    ある漁村に伝わる「お船様」。嵐の夜に近づく船を座礁させその積荷を奪い取る異様な風習。犯罪だが村が生き残るために必要なこととして描かれる。現代でも組織内のルールに基づくものの、世間ズレをした倫理なき問題が起こる。閉鎖社会の怖さを感じる作品。

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    2025年05月31日
  • 星への旅

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    『戦艦武蔵ノート』の解説で紹介されていた「少女架刑」を読みたくて本書を購入。表題作を含む6つの短編は、すべて人間の死が絡む。ボクサーの自殺に見えた轢死は、彼の独白から異常に発達した動体視力を過信した事故死であった「鉄橋」。死んだ少女の魂が、自身が大学解剖学教室の献体として切り刻まれる様を目撃する「少女架刑」と、その姉妹編とも言える「透明標本」など、とても読みごたえがあった。当然、どの作品も暗い色調を帯び、今まで自分が読んできた吉村作品とは一味違う印象を持った。

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    2025年05月25日
  • 関東大震災

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    震災の被害は、まるで戦時中の空襲や原爆の時の様子かと思わせる程悲惨で残酷だった。
    朝鮮人に対する風評被害も酷く、被災時の恐れが人心を支配し、正常な精神状態でなくなる。将来来るであろう大震災時にどうなるか、不安にさせられた。

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    2025年05月19日
  • 三陸海岸大津波

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    明治29年(1896年)、昭和8年(1933年)、そして平成23年(2011年)。
    改めて巨大津波の恐怖を感じるとともに、巨大津波は数十年~百数十年と日本列島を割かし頻繁に襲っていることに気づかされた。
    (後でネットで調べると、平安、室町、江戸時代等、過去にも巨大津波が日本を襲っていることが分かった。)

    自然の予兆(急に豊漁になったり井戸水が枯れたり)ってゆうのは、大事なメッセージだなあって本当に思った。
    そういった過去の貴重な証言がとてつもなく貴重な情報だということに気づいて、自分の足で津々浦々足を運んで情報を集めてしっかりとまとめ上げた吉村昭、流石!信頼できるなあ!
    (なんせ東日本大震災

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    2025年05月18日
  • 新装版 間宮林蔵

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    江戸後期の測量家・探検家である間宮林蔵の人生を描いた壮大な記録。
    歴史の教科書では「江戸後期には外国船が日本沿岸に来るようになり、幕府の警戒態勢が高まった。そのような状況の中で間宮林蔵が樺太を探検し、間宮海峡を発見した。」程度のインプットしか無かった。
    これまで吉村昭の小説を何度か読んで、新たな史実を学び、毎回自分の中で歴史観が変わる衝撃を受けてきた。折しも会社の後輩が北海道に赴任することになったので、読んでみることにした。樺太からアムール川の地域はとても人間が住める環境ではないが、その厳しさをありのままに描くのは吉村昭の真骨頂であり、今回もどれほどの地獄絵図を見せつけられるのか、ある程度覚悟

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    2025年05月18日
  • 破船

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    家族を売り、食物も育たず僅かな海産物だけで生活をする極貧の漁村。彼らには独特な風習があった。

    荒天の暗夜、海岸で火を焚き、難破船を誘い込み座礁させ、十数年ぶりの「お船様」に潤う漁村。
    翌年も難破船が来て歓喜する村人達。しかし、「お船様」に積まれていたものは厄災だった。。。絶望に絶望を重ねるラスト。


    この貧困ゆえの風習は私のご先祖様が経験したことなのかもしれない。
    脚色はあるにせよノンフェクションとはそういうことで、だからこそ重みがあり受ける衝撃が大きかった。
    普段SFやミステリーを読んでいる方に、箸休めで是非読んでほしい。

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    2025年05月17日
  • 破船

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    すごい本でした。
    貧しい生活の中で、ひたすら指導者や母の教えを守り一生懸命に生きようとする主人公を、
    どうか幸せに、どうか豊かになってくれと祈りながら読みました。
    苦しい生活なのに、自分の仕事を投げ出さず、目の前の仕事に取り組もうとする主人公の心の持ちようや行動に感心しかなかった。
    読み終えてぐったりしたけども、読めてよかった。

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    2025年05月12日
  • 星への旅

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    ○星への旅
    集団自殺に向かう若者の揺れ動く気持ちを描く。
    死は芸術たり得るのだなと思わされるほど、死にゆく際の表現は美しい、、

    そりゃみんな死ぬんやから
    芸術にしなきゃね

    ○少女架刑
    恵まれない境遇で命を終えた少女が、死後に自らの遺体の解剖や火葬を通して人々の欲望と無関心を俯瞰する

    生前には持ちえなかったほど澄んだまなざしで、骨が燃える色の変化さえも静かに感じ取っていた

    救いはない
    だが、沈黙の中に確かな声がある。

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    2025年05月11日
  • 雪の花

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     幕末、予防法のなかった天然痘に立ち向かった福井藩の町医・笠原良策の闘いを描いた作品。
     今では当たり前になっている予防接種。江戸時代は鎖国政策もあり、東洋医学が中心であり、西洋医学への理解はなかなか進まなかった。そのため、西洋から持ち込まれた種痘を体内に入れるという考え方は、人々の恐怖心を煽り、なかなか浸透しなかった。
     鎖国下の唯一の貿易港・長崎から福井まで、どのように種痘を運ぶか、藩の理解をどのように得るか、人々にはどうすればわかってもらえるのか。そうした内容が描かれていて、学校の授業では決して教わらないが、天然痘と闘った一人の人間の生き様は非常に興味深く、大切なことを教わることができる

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    2025年05月11日
  • 漂流

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    文献を読み漁り、現地に赴き書き上げる吉村さんのノンフィクション小説は、細部にまでリアリティがあり、ゆえに没読してしまう。
    この「漂流」でも、無人島で12年も生き抜いた男が感じる匂いや痛みまでも伝わってくる。

    「熊嵐」にも感じた、この五感が牛耳られる感覚が私は好き。
    タイトル買いの私だが、吉村著書は読破したい。

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    2025年04月30日
  • 関東大震災

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    ネタバレ


    恐ろしい本でした。描写が時系列で丁寧にまとめられ読みやすかった分、凄惨な場面は読んでて不安や悲壮感を強く駆り立てられました。
    地震は圧死よりその後の火事で多くの人が亡くなると聞いた事がありましたが、避難時に持ち出した家財などが更なる延焼の起因なってたのは勉強になりました。
    また流言がまるで事実かのように報道され、朝鮮の方など多くの方が亡くなられたのは本当に悲しくなりました。視野狭窄になってるとは言え、排他的行為で簡単に殺人までしてしまう人間の愚かさに更なる震災の恐ろしさを感じました。
    震災で亡くなられた方々にお悔やみ申し上げます。

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    2025年04月19日
  • 大黒屋光太夫(下)

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    大黒屋光太夫は、ロシアの女帝エカテリナに拝謁し、ついに帰国する事になる。日本との通商開始を希望するロシア政府の意向を受け、光太夫はロシアで歓待され、また多くのロシア人からの助けを受けて、奇跡的な帰国となったのである
    ロシアとの現在の状況をみるとき、この光太夫の歴史は、振り返る必要があるのではないだろうか。

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    2025年04月03日
  • 蚤と爆弾

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    フィクションのようになっているが、ノンフィクションだった。関東軍防疫給水部は731部隊で、曽根二郎は実在の軍医らしい。ペスト菌の蚤を風船に乗せアメリカに飛ばすという発想が怖い、凄い。戦争はやはり異常だ。

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    2025年03月20日
  • 新装版 白い航跡(下)

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    高木兼寛は海軍に脚気が多いことを気に病み調査をしたところ白米中心の食事が原因であると推察した。食事の因果をはっきりさせるために軍に麦飯を導入し比較するよう進言するも白米という贅沢品をやめることに抵抗があった海軍はなかなか承諾しない。兼寛は明治天皇にまで提言し艦艇筑波にて実験を行うことができ白米が脚気の原因であることを突き止める。しかし森林太郎を中心とする帝国大学医学部界隈はドイツ医学の流れをくみ脚気は細菌によるものであると説を立て兼寛の説と対立する。帝国大学医学部出身者が多かった陸軍では依然白米が食事の中心としており、日清戦争・日露戦争では多くの脚気患者を出す一方で兼寛の説を受け入れた海軍では

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    2025年03月13日
  • 新装版 間宮林蔵

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    間宮海峡(タタール海峡)の名で知られる、間宮林蔵の知られざる生涯を描いた小説。前半はロシアの脅威から蝦夷地をはじめとした北方の防御を強める幕府の意向を受け、樺太からさらに海を渡ってアムール河口付近も探査するなど、冒険家としての未踏地帯を踏破していくサバイバル活劇となっている。後半は幕府の隠密として各藩の内情を探るといった動きが増えてきており、農家出身ながら幕府や体制維持に多大なる貢献を果たした人物である。

    間宮林蔵の才能は、会うべき人と出会いその人々の資質や想いを着実に受け継いで事を為すところにある。間宮林蔵の資質を最初に見抜き幕府の役人に取り立てた村上島之丞、測量の技術を惜しみなく伝え貴重

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    2025年03月09日
  • 新装版 白い航跡(上)

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    高木兼寛の伝記。兼寛は薩摩の軍医として戊辰戦争奥羽出兵に従軍しそこで蘭医関寛斎の治療を目の当たりにし自身の非力さと漢方の限界に気づく。戊辰戦争後鹿児島に帰り西洋医学を1からしっかり学ぶ決心をし師である石神良策の推薦で開成所洋学局に入学する。その頃中央政府では今後の日本の医学をドイツ式にするかイギリス式にするかで意見が割れ相良知安らにより当時世界で最も進歩的だったドイツ式を採用することになった。それにより内々でポジションが確保されていたイギリス医師ウィルソンがお役御免となり西郷隆盛、大久保利通らの画策で鹿児島へと派遣され兼寛はウィルソンから西洋医学について多くを学ぶ。その後石神の頼みもあり兼寛は

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    2025年03月08日
  • 雪の花

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    福井藩の町医である笠原良作が、種痘を用いて天然痘と戦った生涯について描かれている作品。松坂桃李主演で映画化されているので、手に取ってみた。

    コロナ禍を経て、現代人にも身近に感じるストーリー。
    また、昔から改革を行う人物には、変化を好まぬ気質の人間からの邪魔が入るということ。そして、人のために奔走する人物には、最後には天が味方するということが書かれていた。

    『世のため』という大義と志があれば、困難に当たっても、最後まで諦めぬことが重要である。

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    2025年03月03日