【感想・ネタバレ】三陸海岸大津波のレビュー

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Posted by ブクログ 2023年03月12日

昭和45年に、明治以降の、三陸海岸で起きた3回の津波について調査、聞き取りをした記録。
実際の津波はもっと多く発生しているが、大きかったものが3回らしい。
犠牲者は明治29年は26360、昭和8年は2995、昭和35年は105名。いろいろ対策をして、犠牲を減らせるようになっている、今後は亡くなる人も...続きを読むいなくなるのではないか、というセリフがある。
2023年3月に読んでいるので、その予測が裏切られていることがらわかる。
被害のたびに対策しても、それでも被害があるという事実を忘れずに、自分も準備しようと改めて思った。

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Posted by ブクログ 2023年02月10日

すごい記録!
この本が出版されたのは、2004年。2011年6月に12刷。
津波がどんなふうに襲ってくるのか、映像も写真もない、文章だけの表現は本当にこわい。当時の教職員が熱い思いで児童生徒に記録させているのも、それを紹介してるのも、凄いとしかいいようがない!

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Posted by ブクログ 2022年08月11日

事実が淡々と書かれているところがいい。三陸海岸の自然やそこに住む人々の暮らしが好きって著者が話しているところも好感が持てる。
チリ地震津波について被害があったことは知っていたけど実際の様子は初めて知った。私自身は自分の地域にも他の地域にも知り合いの古老となる人はいないので、たとえ悲惨なものだったとし...続きを読むても過去にあった体験を教えてもらえる話は有り難い。明治、昭和の三陸地震の住民の声を基に短かめにまとめられていて被害の様相を比べながら読んでいくのにも分かりやすくてよかった。

嫌な予感がして起きるんだけど「冬の日や晴れてる日は津波はこない」という迷信を信じて、それで安心してもう一度眠りにつく部分もとても気持ちが解る。
真夜中だし暗いし寒いし明日もあるし、と思うと実際やりかねない。そして普通にありそうな行動一つで生死が決まってしまう。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2022年08月10日

本書で特に私の心を掴んだのは昭和8年の津波で家族の全てを失った牧野アイさん(当時尋常6年)の作文である。
無駄な表現を取り払い、目の前で起きた現象を淡々と描写するその文章は一見すると子供っぽくて単純にうつるかもしれない。
だが私はこれこそが本当に美しい文章だと思う。大袈裟なことを言わずとも、牧野さん...続きを読むのような真っ直ぐな言葉で、彼女の悲しさや絶望は十分すぎるほど伝わった。
 私たちは大人になるまでに多くの言葉に触れ、覚え、使う。そしてその過程で何故か必然性のない比喩や誇張をよく用いるようになる。しかし目の前で何が起きているか正確に掴み取り、そのまま表現することも大切だ。

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Posted by ブクログ 2022年06月15日

この地の古今の資料、関連する海外の災害記録、生き残った方々の生の声。
丁寧に集められ誠実に書いた本書からは、長い間隔をとりながらも繰り返し襲う津波と人知との攻防の様子が迫ってくる。
本書が世に出たのは、東日本大震災発生の40年も前。これほどの経験をしてきた三陸海岸に、なぜ住み続けるのか?という傍観者...続きを読むの疑問にも、一定の答えを提示してくれている。
官民一体となって懸命に施してきた対策を易々と凌駕し、数々の漁村を壊滅させた、あの大津波。その後引き起こされた、ある意味人災とも言われている大きな事故。今後も三陸海岸に生きていく人々はどうすれば良いのか?同じ国土に生きる我々は何をしたらよいのか?
いつ来るか分からない恐怖に備えるためにも、読みつがれるべき一冊だと思う。

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Posted by ブクログ 2022年01月30日

知らなければならない。知って正しく恐れなければならないことがある。
南三陸海岸大津波。
この言葉ですぐに思い出すのは衝撃的な3.11の圧倒的な自然の猛威とそれによってもたらされた甚大な被害。
あれだけでなく、過去に幾度となく襲ってきた津波。そしてその度に壊され失われる家や船やひと。人間関係や仕事。
...続きを読む自然の激しさと人間の無力さを痛感しながら、それでも生きる、その土地を選び生き抜く人々の覚悟に言葉を無くす。
記録文学の持つ力をまざまざと感じた。
昭和の桃の節句に襲った津波を生き抜いた子どもたちの作文が胸を打つ。
日本人として必読の書のリストがあるとしたら、必ず入れなくてはならない一冊だと思う。

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Posted by ブクログ 2020年11月28日

吉村昭氏の作品にはまっている。たまたま手にとったものだが衝撃的だった。貴重な資料であった。こんなものがあったことをしらなかった自分が恥ずかしいほどだ。東日本大震災の津波の記憶がまだ生々しく残っているが、三陸地方は明治29年、昭和8年、35年と津波に遭っている。大漁、干潮、井戸水が干上がる、沖での閃光...続きを読むと爆弾のような音がその前兆だと。泥に埋まっている行方不明者を探す時に死体から脂がでるので水を撒くと脂が浮き出たところで見つける、とか。衝撃的な文が続く。東海沖での地震の不安が増す今、絶対読んでおくべき本だ。これだけの資料をまとめられた吉村氏に感謝しかない。

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購入済み

祈り届かず

2020年10月20日

筆者は祈りにも似た気持ちで、連綿と続いてきた防災意識が人々を守ってくれると信じていたのだろう。しかし現実には、その象徴である田老町の防潮堤をあざ笑うかのように、津波は遙か上を越えていった。期せずして、筆者の詳細な記録が平成の大震災の恐ろしさを際立たせる結果となっていることが、唯々つらい。

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Posted by ブクログ 2020年08月29日

否応なく、押し寄せてくる自然の恐怖。
人は、自然災害に対して、どう向かい合わなければならないのか。
圧倒的な筆力、綿密な取材により、まざまざと見せられた大自然の恐怖。
体験した者でなければ、分からない恐怖が、脳内で迫ってくる。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2020年04月12日

著者は1971年に聞き取り調査を行い、2004年に第一版を出版し、次の世代に危険を警告している。後世に伝え、二度と同じような失敗をしてはいけないと思う。この本は教訓として読んでほしい一冊である。
福島第一原発は1959年に現地視察をおこなっている。もしこの調査時に著者と同様に過去起こった事実に耳をか...続きを読むしていれば福島第一原発のような惨事にはなっていなかったと残念に思う。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2020年05月07日

 先の震災後にも新たに注目されている三陸海岸を襲った大津波の記録です。書かれたのは昭和45年とあります。明治29年、昭和8年、昭和35年のチリ地震の津波について、丹念に地元を回り、生存者を訪ね歩いて書かれたものです。


 大津波の前兆があちこちで聞かれたようですが、今回の地震のときにはなかったのか...続きを読むとネットで検索してみました。やはり結果論が多いのかな、中には「私は予知夢をよく見ます」という怪しげなのもたくさんありました。


 それにしても三陸海岸というのはこの短い間に何度も壊滅的な打撃を受けて、人口のほとんどを失っていたとは驚きです。それでも海岸近くに家を建てるということは、それだけ魅力的な場所だということなのでしょうね。


 まだ復興は遅々として進んでいないようですが、それでも昔の津波の後、立派に復興してきた土地です。きっと未来は明るいだろうと思えてきます。


 これを読んで元気を出してほしいです。



 吉村氏の文章はたいへん読みやすく、分かりやすいです。それは事実をしっかり調べた上できちんと整理して書かれているからでしょう。優れた教師の授業を聞いているようです。

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Posted by ブクログ 2020年05月04日

過去の三陸津波を簡潔に、臨場感をもってまとめている。津波(災害)に対する心構えが重要と感じるとともに、文庫という形で資料化した筆者の活動に感謝したい。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2024年03月27日

昭和45年発刊。明治29年、昭和8年の三陸海岸沖地震、昭和35年のチリ沖地震の大津波について書かれている。大津波の特徴、当時の発生や被害状況、三陸海岸に住む人々の作文などを紹介している。ただ回数を重ねるごとに被害は小さくなっているという記述があるので、大津波に対する恐怖心、警戒心を持たせる説得力を失...続きを読むってしまうのが惜しい。

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Posted by ブクログ 2023年10月31日

明治から昭和にかけ三陸海岸を襲った三度の大津波の記録小説。
著者の綿密な取材力が伺え、淡々とした描写が史実の有り様を際立たせているように感じました。
初版が1970年とのこと。3.11を知る今、「自然は人間の想像をはるかに超える姿をみせる」という一文は痛切でした。

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Posted by ブクログ 2021年07月21日

明治29年、昭和8年の三陸沖地震に起因する津波と、昭和35年のチリ地震に起因する遠地津波について、学術論文のように時系列で系統だった記述ではないが、現地のフィールドワークに基づいた著者の文章は心に響くものがある。津波で被災しても、先祖伝来の住み慣れた土地を離れられない人情。海岸付近の土地の嵩上げは賛...続きを読む否両論あるが、それも津波から守るという意味ではありだったのだろう。1970年に上梓された著作の文庫版は、14年後の文庫化あとがき、H16(2004)年の再文庫化あとがきが収録されている。

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Posted by ブクログ 2021年03月06日

読むことをためらっていたけど、読んで良かった。決して感傷的ではなく、あくまで記録に忠実に被害の様相を記した「記録文学」。いまなら正常化バイアスという言葉で表される行動が、被害を大きく広げていた。髙山文彦氏が解説に書かれた「迷信は人を怠惰にする」の言葉が重い。

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Posted by ブクログ 2021年03月05日

明治29年の大津波体験者にもインタビューを試みている貴重な記録本。執筆当時(1970年)は心強く思われたであろう宮古市田老地区(旧田老町)の大防潮堤も、2011年には津波を防ぎきれなかったのを見るにつけ、人間の想像力をはるかに越える自然の力を改めて思い知る。筆者が最後に警鐘を鳴らしていた通り、再び同...続きを読むじ悲劇が繰り返されてしまった…。夫が知ることのなかった東日本大震災の後、遺志を継いで執筆された津村節子さんの「三陸の海」も読んでみようと思う。

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Posted by ブクログ 2020年04月03日

東日本大震災をどのように理解して、咀嚼すればよいのか。
つらつらと頭でいつも考えている。

この本は、東松島市に、会社の同僚とボランティアに行った晩に、
会社の先輩が持っていた本だ。

津波というものと、その津波を前提に生きている
三陸地方の人々のメンタリティーを理解するのに役に立つと思う。

岩手...続きを読む県に田老町という町があることを知った。
そこは、津波の大きな被害を受けやすい地域であり、
それでもそこに暮らし続けるために、長大な堤防を築いて、避難訓練を繰り返してきたという。

今回の大震災ではどのような結果だったのだろうか。
それを確認したいと思った。

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Posted by ブクログ 2019年11月26日

吉村昭さん、好きです♪

我が身の無知を恥じ、
自然の驚異を改めて感じ、
何度も何十回も津波に襲われた三陸沿岸の地の人々へ想いを馳せ、

ソレと闘ってきた行政及び現地の人々の努力に心打たれた読書となった。

三陸に縁の無い身であっても、一読の価値がある一冊。
友人・知人にも薦めたい一冊。

★4つ、...続きを読む9ポイント。
2019.11.26.古。


※文庫後半で紹介された、防災対策最先端・住民の防災意識も最先端な田老町。「3・11」の際にはどうだったのだろう…検索してみねば。

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Posted by ブクログ 2019年11月11日

2019/11/11記。台風19号の被害から1ヶ月が経った。東北は毎年のように災害に見舞われている。
2011年の東日本大震災の記憶も生々しくあるなか、私たちはどのように自然災害に向き合わないといけないかを考えてる中、この本に出会った。
さすが吉村昭先生。

本書の第一版は2004年。

明治29年...続きを読む、昭和8年には三陸沖地震からの大津波、昭和35年にはチリ地震による津波と、太平洋側の東北地方は大きな被害を受けた。当時の人々の証言や記録などから、被害の状況を克明に表している。
子どもの作文や感想が、とても印象的だ。

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Posted by ブクログ 2019年07月26日

初版:1970年(中公新書)。1896、1933、1960(チリ地震)の3回の大津波について、被災者の作文や聞き取り調査などから記録したもの。この3回すべてを著者の手法で取り上げる機会は、これが最初で最後だったのだろう。被害が軽減していくことへの著者の期待が適わなかったことが、何ともやりきれない。

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Posted by ブクログ 2019年05月20日

今までに吉村昭氏の作品をいくつか読んだが、この本は少し趣を異にしている。明治29年、昭和8年の大津波の時の証言、記録を丁寧に記録している。

記録であり、読者がのめりこむようなストーリー性は無いため、氏の作品の中ではマイナーの方に分類されているのだろう。

過去から学ぶために本書は貴重と思うとともに...続きを読む、自然は人の想定を軽々と越えていくものであることを3.11で思い知った。とはいえ将来も必ず発生するだろう津波、それに対して過去のことは学んでおく必要はあると改めて思う。

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Posted by ブクログ 2019年04月02日

明治昭和と三回襲った三陸大津波の記録。ここまで頻繁に壊滅的被害を受けても復興し続けるのは三陸の地味の素晴らしさか。
そして、ここまで研究が進んでるのに平成の津波の被害を抑えられなかった正常系バイアスの怖ろしさよ。

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Posted by ブクログ 2019年06月29日

明治29年、昭和8年、昭和35年と三陸を襲った津波の体験者からの聞き取りを記した。
三陸を訪れるうち、いつの頃からか津波が気になり出したという。
最初の発刊は昭和45年で、その年に当時87歳と85歳だった二人の明治29年の津波体験者から話を聞いている。

昭和8年の津波では、田老尋常高等小学校の生徒...続きを読むの作文集が収録されている。低学年の作文がつたない文章ながら生々しい。2年生の子の作文では、一緒に山に登らなかった父を「私は、私のお父さんも確かに死んだだろうと思うと涙が出てまいりました」と記している。ある子供は逃げようと一旦外に出たが、家族は中に入ってしまい、たまたま家の前を通った友達と逃げて助かっている。明けていつまでたっても父母が迎えにこないので、そこで初めて一人残ったのだと気づく・・ そしてこの一人残ったアイさんに吉村氏は会っている。アイさんは今も地震がくるとすぐ家族で山に逃げるのだ、と記している。

昭和35年の津波では、遠くチリの地震が原因だったので、上記2つの津波とは波の様子が違っているのが聞き取りでわかる。地震が無いのに津波が来ているわけだ。また資料として、昭和13年に気象観測所所員だった二宮という人が、災害年表を作っていて、江戸時代の古文書中に地震の記述が無いのに津波が来た、という事実を「津波と防災」という本に残していることも紹介されている。

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Posted by ブクログ 2024年02月02日

もともと1970年の本だが、私が読んだのは2004年の再文庫化版。

東日本大震災により津波の恐ろしさに対する認識は一挙に改まったが、別に過去に恐ろしい津波の被害がなかったわけではまったくない。1896年の津波は死者約2万6千名、1933年の津波は死者約3千名、1960年のチリ地震津波は死者約100...続きを読む名。チリ地震津波は規模が小さいとはいえ、警報や堤防などの対策により津波の被害を軽減できているようにも見えたのかもしれない。しかし2011年の津波は1896年に匹敵する犠牲者を出した。それを踏まえて読むとあらためて慄然とする。

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Posted by ブクログ 2023年05月23日


短いが、明治・昭和と数回起こった津波の暴威を克明に纏めた一冊。
作者の無感情な書き方が、津波を前にした人間の圧倒的な無力さを伝える。
もう少し表情のあるドキュメンタリーが好みだが、3.11以降の日本にとってこの入りやすいボリューム感は大事かもしれない。

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Posted by ブクログ 2023年03月26日

津波は単なる自然現象でそこまでの勢力はないと思い込んでいたが、この本を読み凄まじい津波の恐ろしさは体験をしてない今の若い人々に伝えていかなくつはならないと思った。
ぜひ、多くの人に読んで自然災害に備えて欲しいと思った。
本書は、体験者の話も書かれていて戦争時と同じくらいの筆舌に尽くしがたい悲惨な状況...続きを読むが目に浮かんだ。
リアルに津波の様子を描写していて読んでいるときに身震いをした。地震の後の津波が来る前の怪奇現象は真相を突き詰めていくことにより未来のわたしたちを守ることが出来るのではないか?

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Posted by ブクログ 2022年11月05日

元々知っている内容ばかりだったので新たに知ることのできるものはほとんどなかったが、私が既にいろいろな媒体で知ることができたのは、そもそもこのルポルタージュを元にしてできた記事なり映像だったりするのではないだろうかと思った。それほど詳細に調べてあるということだろう。ルポルタージュということで社会情勢や...続きを読む被害数字もかなり分量的に多くて、新聞を読んでいるような感覚だった。

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Posted by ブクログ 2022年10月31日

田老地区の話が出てきた。
結局、東日本では防波堤を超えてきてしまった
いま、さらに高い防波堤を作ってる
厳しい自然にどこまで力勝負するのか、、、と思った。いや、でも、実際生活してるひとはそうするしかないのだけど

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Posted by ブクログ 2022年08月14日

明治、昭和と三陸海岸には幾度となく津波が襲っている。地震が起こらないケースもあるそうで、津波警報のない昔は、いきなり襲ってきた津波にのまれた被害者が少なくない。
本自体のボリュームは少ないが、中身は濃かった。

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Posted by ブクログ 2022年01月20日

明治29年、昭和8年の大津波と、昭和35年チリ地震による津波が三陸沿岸にもたらした被害の記録と体験者の証言。
特に明治29年は大災害だったんだなあ…と言葉もない。
東日本大震災まで吉村さんが存命だったら、どんな言葉を残してくれたんだろう、と思わずにはいられなかった。
津波をあらわす方言の「よだ」の意...続きを読む味に、地域差が出たり時代を経て異なってくるのも興味深い。

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