吉村昭のレビュー一覧

  • ポーツマスの旗

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    日露戦争は日本海海戦で終結した訳ではなく、ポーツマス条約締結交渉が最後の戦い。世界中の諜報網、各国の思惑、世界のマスコミを相手にしたもう一つの戦い。国内世論と現実との乖離。真実を国内に明らかにすると露や世界との交渉が不利になるジレンマ。国内不満の皺寄せは最後は政治エリートが負うという覚悟。このような覚悟を持った政治家の歴史記録でした。

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    2024年08月30日
  • 関東大震災

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    著者初読み。歴史ドキュメント。「関東大震災」の存在は知っていましたが、その内実を読んだのは初めて。読むのが辛い場面多々ありますが、知っておくべき。特に流説、デマの類い。危険性は今も同じ。朝鮮人襲撃がこんなにも酷いものだったとは。日本人の「負い目」が恐怖へと変わったとの著者の指摘。なるほど。また、悲惨な状況は日頃規律正しくても人心荒廃させていくという真実。今こそ読むべき本だと思いました。想像すると怖いけど。

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    2024年08月24日
  • 破獄

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    昭和の脱獄王をモデルにしたフィクション大作。網走刑務所を訪れた際に、ついでだからと網走市の本屋で購入。
    四度の脱獄をした犯罪者とそれを防ごうと奮闘する看守の攻防に戦時中、戦後という社会情勢が複雑に絡み合う。社会面と人間ドラマ、孤独と反発、そして人間を更生に導く人間ドラマ。緻密な取材と文献資料を読み込み、構成したのだと感じずにはいられない作品だった。読後は時代の大きなうねりに巻き込まれた興奮と虚無感、感動が一度に押し寄せた。中々に素晴らしい作品でした。

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    2024年08月22日
  • 漂流

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    ネタバレ

    自分だったら、長平のように心身の健康を保つことはできないとおもう。あんな状況になったら、とても正常ではいられない。

    季節のめぐりに応じて、アホウドリが飛び去っては戻ってきたり、飛魚が飛んだり、嵐がきたりと、同じ描写が何度も繰り返される。もういいよと思うのだが、それが自然というものだと読んでいて気づく。読んでいるだけでこれなのだから、実際に12年も島で過ごした長平にとっては、さらにつらいものだっただろう。

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    2024年08月12日
  • 深海の使者

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    潜水艦の事は知らなかった。
    2ヶ月以上艦内に篭ったまま作戦を続けるなど 
    敵がいて危険な時は艦内の酸素が無くなるギリギリ
    まで潜るなど大変な苦労だと思った。
    無謀と思われる作戦も潜水艦の場合は
    亡くなっていく兵隊は逃げ場が無く全滅、
    今も戦争はあるが悲しい事です。

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    2024年08月11日
  • 新装版 赤い人

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    樺戸集治監の歴史が非常に淡々と語られていく。客観的に淡々と進むのだが、登場人物に妙に熱気がある。このあたりの文章の上手さが吉村さんならではなのだろう。解説を読むまで、囚人がほぼ言葉を発していないことも頭から飛んでいた。
    今の刑務所事情を知っていると、ここでおこなわれていることは人権侵害にほかならず、そりゃあ脱獄も反乱もおこるよな、という感じ。
    戊辰戦争、日清日露戦争、天皇陛下崩御と恩赦などの外的要因が集治監に影響していく様は時代を感じさせられるとともに、監獄というのはそれ単体で動くものでは無いことを実感する。
    北海道がこうして開拓されていったという、歴史の一部を学べた。

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    2024年08月07日
  • 漂流

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    江戸時代にシケにあい無人島に流れ着いた男が息抜き、島を脱出するまでの壮絶な生き様が描かれたドキュメンタリー小説。そう、これは事実であることに驚く。
    長平の「なるようにしかならぬのだ、飢えるか生きながらえるか、また船が沖をよぎって助けてくれるか否かは、仏のみ心のままで、自分がどう願っても叶えられるものではない」「これからは、ただ念仏をとなえ、あらゆる欲望を捨て、日々達者に暮らしてゆこうと思った」は印象に残るセリフだった。

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    2024年08月04日
  • 彰義隊

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    鶯谷駅から徒歩10分。現在の地図で見るとさほど広くない。当時の寛永寺のほとんどは上野公園となっている。上野戦争は慶応4年の旧暦5月15日。1日だけで決着がつき、山主の輪王寺宮は逃亡生活に入った。天皇の叔父である皇族が幕府側に立ち朝廷の敵になる。江戸町民への思い。後ろにいる薩長だけの好きなようにさせてはいけない。奥羽列藩同盟は早期に瓦解。無血開城。敗者に対する寛大な措置。比較的穏便に進行したという明治の政権交代。欧米列強の脅威。日本が早期に一つにならなければいけない。そのためにもささやかな抵抗は必要だった。

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    2024年07月13日
  • 高熱隧道

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    240712021

    人が自然に向き合い、どう生きるのか。そして、人は人とどうつながっているのか。時代がその関係を形作っている。

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    2024年07月12日
  • ポーツマスの旗

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    小村寿太郎のキャラクターも、ポーツマス条約の交渉の実情も、ほとんど何も知らなかったので読んでよかった。

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    2024年06月29日
  • 闇を裂く道

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    工学と社会の授業の中でおもしろいって言ってたから読んでみた。丹那トンネルの工事についての話だったかが、現場の緊張感などの雰囲気が文字に起こされていて臨場感を持って楽しめた。周囲の住民の心情の変化していくさまが、人間性に溢れていて、読んでいて非常に苦しかった。全体的に面白かったので、また読みたい。

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    2024年06月16日
  • 吉村昭の平家物語

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    原典を読む自信はないけど、内容は知りたい、とある舞台を見に行って思ったので読んでみた。教科書ではほんの一部しか出てこなかったし、話が繋がらなかったけど、一通りの流れを理解するには読みやすくてよかった。

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    2024年06月12日
  • 漂流

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    江戸時代の話かーと思ったものの、めちゃくちゃすんなりと読めてしまった。あらすじが完全にネタバレだけど、史実(?)ならいいのかな。
    無人島でサバイバルする船員の絶望と希望が繰り返される記述が、地に足のついた表現で、ぜんぶ想像できる。気力をなくして洞穴で寝たきりになる者もいれば、生きていくために目標を作る者など人により生き方が異なるのも面白い。
    これを書くための調査や時代考証は大変だっただろうなあ。

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    2024年05月28日
  • 新装版 間宮林蔵

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    ネタバレ

    樺太は島か半島か。サハリンと樺太は別物か。アイヌ人を説得し、ギリヤーク人と協力し、山丹人をかわし、当時の世界地図上のただ一つの謎に決着をつける。”間宮海峡”のその人物を描いた小説。…つくばの農民の子として生まれ、地理と算術の才能を買われ役人に登用。北海道の地理を探索。海峡発見後は、幕府の隠密となる。シーボルト事件発覚のきっかけを作ったとされ、洋学者らからあらぬ恨みを買う。日々足の鍛錬を怠らず、高齢まで全国を行脚。生涯独身。時折寂しさを感じながらも、プロ意識を欠かさず、激動の時代の人生を全うしたと想像する。

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    2024年05月27日
  • 零式戦闘機

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    「攻撃は最大の防御」と言う考えは大戦当時の日本軍の愚かな考えから来てた言葉なのか…
    漫画なんかを通して美化された言葉として受け止めていたなぁ

    第1線で4年間も活躍した戦闘機を日本の人達が作った事はとても誇らしく感じるけれど、重慶爆撃での活躍の場面で強い主人公が無双するような高揚感を少し感じてしまうのはなんとも言えない気持ち…
    パヤオが良く言うのは戦争に対するこういった受け止め方なのか

    遊就館や太刀洗記念館で実物見ましたが、沢山の人達の努力の結晶だとゆう事がまじまじと感じられ、とても感慨深かった

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    2024年05月15日
  • 高熱隧道

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    ネタバレ

    黒部渓谷は、人間が挑むのは到底不可能な世界
    この渓谷は、人の住みつくことを頑強に拒否している。雪崩を起し崖くずれを発生させて、人の近づくことを許さない

    そんな中、あなたはなんで働くのですか?
    「国のため、トンネル掘師技術のため、金のため」
    それぞれの思いをもってこの黒部第三に挑む

    死者300内佐川組233名ノンフィクション
    今では考えられない人柱国家公認プロジェクト

    トンネル開通するまでは、それぞれが一つの薄い目標に向かっていたが、開通後の老人夫頭に寒気を感じた
    ■長い年月人夫たちを使ってきた経験、阿曾原谷事故以来はっきりとした形をとってきた人夫たちの異様な空気とダイナマイトの紛失の間に

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    2024年05月11日
  • 生麦事件(上)

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    ネタバレ

    R6(2024).4.13~5.4

    (きっかけ)
    友人からもらった。

    (感想)
    吉村昭先生の本、2冊目。
    1冊目は「桜田門外の変」。
    その時(2016年)の感想は、「様々な資料をもとに、関係者がどのように動いたかを淡々と綴っており、教科書みたいで読みにくい!」でしたが、今回は「それがいいね~」でした。8年で私も成長したのでしょうか。
    吉村先生の本を読むと、司馬遼太郎先生に叩き込まれた「長州藩すげえ」が、「長州藩、運がよかっただけでちょっとアレですね…」になりますね。勉強になります!

    で、「生麦事件」自体はこの上巻の最初に終わってしまって、「え、もう物語終わったんだけど…」となりましたが、

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    2024年05月05日
  • 海の祭礼

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    ネタバレ

    有色の肌に生まれ、超えられない米社会の壁。自らのルーツを日本に見る。捕鯨船に乗り込み、ボートで単身島へ渡る。鎖国下の日本。どういう運命が待つかわからない。差別はそこまでの覚悟をさせる。座敷牢で暮らすが、丁重に扱われる。日本語を覚える一方、英語を教える。結局送り返されることになるが、通詞たちが生の英語に触れたことは、その後の日米交渉に計り知れない功績をもたらす。…途中、主人公が入れ替わり、最後は史実の叙述になる。焦点定まらず、小説としては読みずらいところもあるかもしれない。それでも、読後は充実感を味わえる。

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    2024年05月05日
  • 戦艦武蔵

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    漁具である棕櫚が日本全国から消えるという一見戦艦とは関係なさそうな話から始まり、2/3を建造まで、1/3を進水してからシブヤン海で沈むまでを描く本作。

    世界最大の主砲を有する戦艦を建造しておきながら、最後までほぼ出番がなく、雷撃隊の前に海中に没した最期は、戦艦の能力云々の前に、巨艦大砲主義に邁進し、戦略・作戦・戦術レベルで語られる際の戦略レベルでの決断に誤りがあったことが痛いほど伝わってくる。

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    2024年05月03日
  • 高熱隧道

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    一度、水力発電所を見学したことがあったので、本の内容が少しイメージできた。

    この時代の人たちの情熱と意志の強さを感じた。
    事故の内容は知る度に衝撃を受けた。どうやって竣工するのかが全く想像もつかなかった。
    主人公となる人物とその周りの人々の心情をこと細かいに描かれていて素晴らしい。
    多くの人の屍の上に成り立っていると考えると心苦しさを感じるが、それの感情だけでは語れない力強さも同時に感じた。

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    2024年04月28日