吉村昭のレビュー一覧

  • 桜田門外ノ変(上)

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    水戸藩をメインに描いた小説は初めて読んだかも。
    幕末モノはどうしても薩摩贔屓になってしまうので新鮮でした。

    同じ徳川同士でこうも憎しみが深まるとは。
    水戸藩の有為の人材は全て死んだとは読んだことあるけど、今作を読むと理解できた。
    色々な業の深さを考えさせられました。

    桜田門外の襲撃の描写が秀逸。
    見事に想像できる。

    ちょっと小説としてはバランスが悪い気もするけど、読んで損がない作品でした。

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    2013年04月24日
  • 天に遊ぶ

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    ・ごく短い短編が20篇ほど。これ以上短かったら小説として成立しないだろうなーってくらいの短編。いくつかドキッとさせられるものがあってうまいなーと感心しながら読んだ。

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    2013年04月14日
  • ポーツマスの旗

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    某戦国さんが私は小村寿太郎だ!といってたのがほんと笑い話だ。この人が今日本にいてくれたらパンダの国やキムチの国相手にどんな外交をしただろう⁈

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    2013年04月01日
  • 脱出

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    戦時から戦後にかけての、戦争に翻弄された若者たちの物語である。5つの物語は、北は樺太から南はサイパンに至る。吉村昭の淡々とした筆運びが臨場感を増す。民間人しかも若者の戦争による悲劇を描く。まさに日常の延長の戦争であり、何気ない平凡な日常から、ある日突然戦争を意識しだし、悲劇に巻き込まれていく様子が恐ろしい。

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    2013年03月16日
  • 桜田門外ノ変(下)

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    映画になった時から読みたかった本。やっと読み終わりました。水戸藩側からというか、襲撃現場の指揮をとった関鉄之介の視点で書かれています。彼が多くの日記を残していたとのことで、いつもながら史実に忠実で淡々と描かれてなかなか読み辛い(眠くなる)けど、のめり込んでくると余分な装飾がないぶん、ものすごいリアル感があります。

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    2013年02月19日
  • わたしの流儀

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    作家冥利に尽きる体験、日常の小さな発見、ユーモアに富んだ 日々の暮し、そしてあの小説の執筆秘話を綴る。作家・吉村昭の文章を紡ぐさまをかいま見る芳醇な随筆集。

    高名な作家である吉村昭であるが、案外とその著書を読んだ事が無い。(「ポーツマスの旗」を苦心して読んだだけである。)
    本書は随筆集であるが、緻密な小説とは違い、著者の人柄が偲ばれ面白い。

    個人的に気に入ったのは「毛がに」というお話。
    北海道の医師の話が出てくる。その医師は、類のないほどの読書家で、毎月かなりの量の書物を買い、それを一つの建物の中に並べ、町の人にも公開している。かれの夢は、その書籍を建物とともに町に寄附することだと

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    2013年01月04日
  • 冬の鷹

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    解体新書を訳して出版した杉田玄白と前野良沢のお話。
    合わせて、平賀源内も同時代で親交があり登場。
    何もないところから専門書を訳すのは、できないことはないけど本当にものすごい根気が必要な作業で、それは熱意の成せる業。

    同じ蘭学を学ぶ同士ながら、その志と辿った人生の違いが描写されています。
    三者三様に良いところがあるのに、時の趨勢が彼らを取捨選択する…
    それでも見てる人はいるんだから、頑固に生きていいのかも。

    華やかなエピソードしか聞いたことがなかった平賀源内の死に方と、あとがきのフルフェッフェンドの逸話が衝撃的でした。

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    2013年01月03日
  • 虹の翼

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    二宮忠八の生涯を描いた歴史小説。彼は、明治時代、ライト兄弟よりも早く飛行機の原理を発見した人物として知られている。
    昭和初期の軍国主義時代に二宮忠八は国定教科書でも取り上げられ、村田銃やゼロ戦と同様に日本独自の技術力の高さを以って賞賛されていたのだろうが、昨今ではあまり知られていない。(私自身も、この小説を知るまで彼のことを知らなかった)

    歴史の表舞台には必ずしも出てこない人物を、このような形で知り、学ぶことができることが歴史小説の醍醐味であり、一期一会的な人物との出会いが嬉しい。

    忠八が子供の頃に新型の凧を造る際に手助けをする竹籠職人など、日本人が、永らく手先が器用で技術力に才能を有して

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    2013年01月02日
  • 魚影の群れ

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    瀬戸内海の小島で爆発的に大量発生するドブネズミ、会員制販売され常習性のある食用カタツムリ、鵜飼される鵜、津軽海峡のマグロ、とその周りの人間の話。

    李鴻章が「耕して天に至る。以て貧なるを知るべし。以て勤勉なるかな。」と称した光景を見てみたい。人が土地に対してした敢闘の証。
    棚田ってきれいだな、くらいに感じていただけだったけど、たくさんの労働と忍耐と、土地への愛着の産物だったようです。

    ドブネズミの駆除の仕方や、鵜飼やマグロ漁の仕方、卒塔婆などの単語など、知らないことがまだまだたくさんあると教えてくれる良い本!

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    2012年12月30日
  • ふぉん・しいほるとの娘(下)

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    小説の枠にしてますが、フィクションとしてしまっても好いんだと思う。それぐらい、史実を緻密に描き、その中で登場人物たちがどのような生を送っていったのかが生き生きと描写されてます。

    幕末をちょっと勉強すれば出てくる戦争や策謀、日本人なら誰でも知っているような超有名人たちの躍動の背後には、この小説に書かれているようなごくごく平凡な、一般的な人々の人生が織り成されていたんだということに、改めて気づかされます。
    この本を読んでも学校の歴史の点数は大して上がらないとは思いますし、その意味で勉強目的で読む必要はまったく感じません。が、この時代に生きた人々の空気感、息遣いを感じられるという意味で、学校の勉強

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    2012年12月18日
  • ふぉん・しいほるとの娘(上)

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    てっきり「フィクション」だと思って不勉強なままで読み始めたんですが、基本はノンフィクション。随所に著書の創作も盛り込まれているんだと思いますが、登場人物はほぼ100%、Wikipediaで検索したら出てきます。幕末の動乱期における歴史を追いつつ、シーボルトの私生児であった「お稲」の人生を辿る、というのが、この作品への正しい接し方なんだと思います。

    上巻は、シーボルトが出島でお稲の母であるお滝(遊女としての名前は其扇)に出会って子を成し、一方で鳴滝塾で蘭学を教えて多くの門下生を育て、その後いわゆるシーボルト事件で彼が国外追放される…といった場面を中心に展開していきます。娘であるお稲の活躍はほと

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    2012年12月16日
  • 敵討

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    吉村流仇討2編。何が面白かったかといって、幕末からの話なので、法律が変わったり、政局が変わったりと、取り巻く状況がいちいち詳しかったところ。2編とも一応はハッピーエンドというか、宿願達成で良かった良かった、なのだが、じわーっといやぁな気分がこみあげて、討つ方も討たれる方も、地獄だなあ。

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    2012年11月16日
  • 大黒屋光太夫(上)

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    江戸後期にロシアに漂流した大黒屋光太夫の生涯を描いた歴史小説。遭難時の切迫感ある状況描写など吉村昭らしさをふんだんに感じることができる。
    劇画の舞台に引き込まれる、というイメージなのか。

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    2012年11月10日
  • 新装版 間宮林蔵

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    間宮海峡を発見した人として有名であるが、その発見の旅中の状況が克明に描かれており、まさに命がけの発見であったことがよくわかる。
    志を高く、何かを成し遂げようとする偉人伝は時代を超えて学ぶことが多い。
    (間宮林蔵は、世界地図の地名に、日本人として唯一人名が刻まれている)
    当時は、地図を作るに際して足で稼ぐことが基本にあるわけだが、その測量方法、技術も興味深い。

    本著を通じ、当時の蝦夷(北海道)北方における国際情勢を理解することができる。
    また、自分自身、知らなかったことであるが、間宮林蔵は後年、幕府の隠密として働いていた。
    本著の後段は、その活動について触れられ、当時の幕府の対外方針や各藩の実

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    2012年09月30日
  • 仮釈放

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    浮気した妻と愛人を殺して、さらに愛人の母親を焼死させて、無期刑になった菊谷という男の物語。獄舎で仮釈放のために真面目に規則を守って、はれて16年で仮釈放されるけれど、社会に馴染めず日常に適応できずに、最後は新しく再婚した妻を殺してしまう。最後の文、「1人の人間を冷たい物体にした」という表現は、無常感や自分でも分からない困惑、獄舎中で死ぬまで罪を背負って生きなければいけない苦しさが出ている言葉だと思った。

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    2012年09月27日
  • 冬の鷹

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    ひたすらに蘭語を追求した前野良沢と世間をうまく渡り歩き蘭学の権威を手にした杉田玄白。
    解体新書を世に送り出した二人の対照的な生き方が鮮明に感じ取れます。

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    2012年09月05日
  • 吉村昭の平家物語

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    読みやすそうな文体に惹かれて購入。
    中学レベルの日本史の知識しかない状態で読んだけど、すごくわかりやすく面白かった。
    あらすじは知っているものの、後半は切なくなってしまう。
    そんな最後の最後まで追い詰めて殺さなくてもいいのに…。
    純粋に思ったのは、人死にすぎ、首斬りすぎ。
    この時代、その辺死体だらけなんじゃないだろうか…
    あと、義経が不憫。

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    2012年08月29日
  • 新装版 間宮林蔵

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    城山三郎・平岩外四対談集「人生に二度読む本」に掲げられている一冊、興味を持って読んでみた。世界地図で、唯一日本人名が登録されている間宮海峡を発見した冒険家として知ってはいたが、本書によって幕府老中の信認によって隠密活動をしていたことを改めて知った。前半は、樺太調査に挑んだ林蔵の過酷な探検行、史料と作者の想像力の融合により、血沸き肉踊る冒険譚。後半は、その成功により幕府の信頼を得て、諸国を巡る隠密行。シーボルト事件を筆頭に幕末のさまざまな人物との邂逅があり、対談集の城山氏の言葉では、幕末のオールスターキャストが登場する。確かに、人生で少なくとも一度は読むべき名著である。

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    2012年08月23日
  • 三陸海岸大津波

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    ネタバレ

    明治29年、昭和8年、昭和35年の三陸海岸大津波の記録。
    生存者の話、資料、絵画などを用いてありありと表現している。
    大津波が来るたびに、人々はさまざまな工夫をしてきた、が、それでも東日本大震災では甚大な被害が生じた。

    今後、どのように生きていくのか。その指針となると思う。

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    2024年12月31日
  • 生麦事件(上)

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    薩摩藩の一貫した主張も分かるのですが、それ以上に印象に残ったのは幕府の老中、ならびにニール公使の苦悩。間に立つ人はいつの世も大変なんだなあ。

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    2012年07月03日