吉村昭のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
日露戦争の講和条約締結に尽力した小村寿太郎の話。
日露戦争の海戦を描いた海の史劇の後に読んだ。
前半は出来事の羅列が多く、若干読みづらいが、後半のロシア全権ウィッテとの緊迫した交渉は、息詰まるものがあった。
また、当時のロシアのマスコミ(新聞)操作も印象的で、時代は違えど、戦争におけるマスコミ、民衆の印象操作が重要なのは、今も昔も変わらないことが分かる。
日露戦争後の民衆の暴動、軍部の権力拡大など、このあたりから日本の外交はおかしな方向へと進んでいくことになり、あとがきにあるように、小村の行った外交は、全然日本の最後の英知といえるそうだ。 -
Posted by ブクログ
太平洋戦争開戦時、日本は12隻の戦艦を保有し、その大半は戦場で沈没しました。最大級の「大和級」に次ぐ「長門級」の2番艦「陸奥」は戦場以外で失われた数少ない戦艦で、「陸奥」は広島県柱島泊地(基地のこと)における爆発事故によって沈没しました。
本書はその爆発事故の原因究明にあたった当時の海軍関係者への取材をもとに、「陸奥」以前にも同じような爆発事故で沈没した艦船のケースにも言及しています。
日本海軍にとって、戦時中に国内基地で主力艦を失うというのは大変ショックな事件でした。発生当時、米軍(潜水艦や航空機)による攻撃、設計上のミス(漏電による火薬引火など)、人為的な問題(規律違反によるミスや、放火)