吉村昭のレビュー一覧

  • 羆嵐

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    私は熊が怖い…
    この話を読んでみてより熊が怖くなった…

    僅かな灯りの中に浮かぶ羆のシルエット…
    暗闇から聞こえる骨を砕く音…

    羆には羆の生活があり、そこに人間が踏み入れたのだろう。
    それでも熊には会いたくない。

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    2026年04月26日
  • 帰艦セズ

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    文体は堅苦しくなくて普通に読みやすかった。若干、感情とかの描写は少ないからか、揺さぶられる感は少ないかも。

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    2026年03月26日
  • 敵討

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    仇を討つのは美徳か、悪か。

    近代国家になる過程で、人の意識や考え方、人々の空気を変えるのは非常に難しい。急速に変わりゆく国の中で生き様を貫き通した覚悟とは??

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    2026年03月20日
  • 昭和二年生まれの流儀

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    昭和一桁世代に生まれ、戦争を体験した大家2人が「日本人」を、そして「戦争」を読み解いた。

    +3人を加えた「幻の5人」の対談が読んでみたかった。

    肌で「空気の変化」を感じた人々の声は鋭い。

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    2026年03月20日
  • 漂流

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    ネタバレ

    12年間、何もない島で何もせず生きるのはどれだけしんどいことなのか想像を膨らませられることがこの本の醍醐味ではないかと思う。故郷に帰れる希望が見えない中で生きていくことはもちろんつらいが、物語の終盤のように、微かな光明が見えてしまっている状態のなかで精神を保つ難しさが伝わってきて良かった。

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    2026年02月21日
  • 殉国 陸軍二等兵比嘉真一

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    沖縄戦を取り上げた作品はいろいろあると思うが、本作は14歳の学徒兵の目を通して、ミクロの視点から、悲惨極まりない体験を描いている。

    昭和25年3月25日、沖縄の全中等学校の3、4、5年生は正規の陸軍兵として召集された。

    主人公の比嘉真一は、小柄で下級生にも引け目を感じてきたが、やっと一人前の資格が認められたと優越感を抱く。

    砲兵隊に配属された真一だったが、任務は壕掘り、炊事、負傷兵搬送、食糧徴集など雑役ばかり。命をかけて、敵を撃滅させることに従事させてもらえない淋しさを覚えながら、「その日」を待っていた。

    しかし、戦況は悪化、爆撃、砲弾、火炎放射器、一歩の違いが生と死を分ける戦場に巻き込まれながら、真一は、折り重なる死体の中に身を隠し、敵の目を欺くなど、たくましさを身につけていく。

    本書では、3カ月余にわたり、奇跡的に生き延びる真一が見た濃密な体験が延々と書き綴られるが、そこには、悲惨、汚辱、苦痛に溢れる場面がこれでもか表現され、読んでいて、申し訳ないが、「もう、十分」と心の中で叫んでしまった。

    降りしきる雨や泥濘、壕内では虱に悩まされ、負傷兵士たちがひしめく。血と膿、さらには蛆がたかり、腐臭が蔓延する。行く手には重なる死体。このような描写が繰り返される。

    そんな中で、真一や他の兵隊を支える心の支柱は強烈な義務感と敵の臭いを嗅ぎ分ける本能のみ。

    解説には、日本にとっての沖縄戦の戦略的意義について触れられている。

    本土防衛のための時間稼ぎを、その尺度とするならば、この専守防衛は95点くらいの価値がある。極めて残酷な解釈だが、一方で、そんな評価をしなければ10万人の戦没者は浮かばれない。

    孤立無援の島で絶望的な戦闘を強いられた兵士の無念は想像に余りあるが、生まれて間もない嬰児が死んだ母親の乳をまさぐる姿、壕内で泣く乳飲み子を殺せと命じられる母親、医薬、資材がほとんどない中、看護に従事させられる女学生など、沖縄県民が支払った莫大な代償は、絶対、頭の中から忘れ去せてはならないと改めて思った。

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    2026年02月16日
  • 帰艦セズ

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    戦中から戦後を過ごした人の、ひとつの死を巡る謎、過去、生き様といった人生の重い一面を取り上げた6つの短篇集。
    戦争、事故などテーマは重く、暗いけれど、淡々とした語りが、読みやすく、各編の終わりの余韻が心にぐっときます。

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    2026年01月29日
  • 漂流

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    長平の生きるための知恵、工夫、行動力、胆力、精神力は本当に凄い。

    評価が高いわりに本の面白さとしては普通だったけど、こんな過酷な状況で生き抜いたと人がいると思うと、努力次第でどんな事でもできるのかもしれない。

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    2025年12月27日
  • 桜田門外ノ変(上)

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    ネタバレ

    水戸藩士の鉄之介を主人公に桜田門外の変を描く歴史小説。水戸藩と幕府との対立背景がわかりやすい。前半は井伊直弼が安政の大獄を開始し、水戸藩に下った天皇の勅命書を回収しようとするところまで。

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    2025年12月11日
  • 関東大震災

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    関東大震災前後の事が書かれている。
    こういう感じなんだなろうなと思っていた通りのことがかいてあった。

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    2025年11月29日
  • 星への旅

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    ネタバレ

    重たい話が多かった。一つの話を読み終えた後にすぐ次の話に進むのが難しく、別の本を読んだりした。読み始めのころは曽野綾子の重い話と通じるような気がしたけれど、それとは違った。
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    「鉄橋」生死を天秤にかけただけの男と、まるで違う理由で男の死を考える話
    「少女架刑」死の後も静寂ではなかった話
    「透明標本」骨標本に取り憑かれた男の話。「少女架刑」と繋がりあり。
    「石の微笑」引き込まれていった話。なのだけれど「ここで終わるのか!」という話。その後の姉と曽根がとても気になる。曽根と共に行ったのだろう。人の(というより生きること・死ぬことを意識している女性の?)心をつかむ曽根の力を知りたい。
    「星への旅」前の「石の微笑」と同じく引き込まれていった話。死に向かう前の興奮、死の直前の恐怖・緊迫。それらの向こうに圭一の安らぎがあったのか?
    「白い道」???

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    2025年12月31日
  • 深海の使者

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    第二次世界大戦中、日本からドイツまでの連絡ルートの開拓と技術交換のため、連合国の封鎖下にあった大西洋を通って数次にわたって潜入した潜水艦の苦闘を描いた作品。潜水艦の過酷な任務、敗戦前後の在独邦人の大変さなど、読んでいて苦しくなる。改めて戦争は悲惨だと思わされる。

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    2025年09月23日
  • 雪の花

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    幕末、天然痘対策として種痘を行うことを決意し、生涯を捧げた福井藩の町医者・笠原良策の物語。

    何らかの脅威に対して新たな技で立ち向かおうとする際に、必ず現れる障害となる存在。無知からくる恐怖だったり、既得権益にしがみつくものだったり、と時代は変われど同じ事が起こり続けます。
    コロナ禍になるまでは、それは言っても過去の出来事で、自分の生きている今ではそんな事起きないだろう、と思っていましたね。

    いや、時代が進んでも、科学技術が発達しても、人間の本質というものは変わらないのだな、という結論を得るとは思いもしませんでした。
    ワクチンの危険性の是非を云々ではなく、全てワクチンの存在自体を否定するような言説が生まれるとは。
    ノイジーマイノリティの所業だとは思っていますが、ノイジーであることがこういう場合は重要だったりするもので。事の是非よりも、声が大きい事が信頼性を得るという、何とも不可解なことが起こるものだなぁ、と思っていたものです。

    牛痘は人が牛になるからやらないよ、という理由で接種を拒否したという話もありましたが、マイクロチップ埋め込まれるも似たような事です。

    もちろん、全てを盲信するかのような行いは慎むべきで、少なからず自分で判断すべきだとは思います。それが、後から見れば間違っていた選択ということもあるでしょう。その判断に至るまでの思考が大事なのではないか、と感じます。
    のっぴきならない状況というのもあるでしょうが、それは例外ということで。

    いろんな意味で、コロナ禍は歴史の勉強になりました。良くも悪くも。
    学びの大切さ、です。

    既得権益にしがみついている輩は論外。物語の舞台は福井藩。松平春嶽という、幕末の四賢侯として知られている君主の元でも、旧態依然な人物が蔓延っているというのが、この物語上における悪の存在の強大さ、根の深さを知らしめます。

    どの時代でも人間の本質が変わらないというのであれば、笠原良策のような人も必ずいるはず。そういう人になりたい、というのは今から目指すには遠い場所になって閉まっているので、そういう人の邪魔にならないような人間になりたいです。
    学びを続ける事でしょうね。知識でも体験でも交友関係でも。

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    2025年09月10日
  • 冷い夏、熱い夏

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    刻一刻と癌に蝕まれて行く弟に、少しでも希望を持っていて欲しいと願う兄。
    自分の祖父も闘病の末に癌で亡くなったので、リアルすぎる描写が読んでいて辛かった。
    本書の時代からは考えられないくらい、医学は進歩しているのに、いまだに癌の特効薬ってないんだなぁ。

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    2025年09月07日
  • 高熱隧道

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    ★★★☆☆昔ながらにトンネル工事では人が死ぬことがあると聞いたことがあった。言い伝えのようなものだと思ってきたが、このことだったのか。戦争という異常な状況がからんでくるが、中止されなかったことが不思議。死ぬまでに1度は訪れてみたいなぁ。

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    2025年08月30日
  • 零式戦闘機

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    零式戦闘機
    第二次世界大戦当時最強を誇った空の化け物。

    これだけの技術力がありながら日本はなぜ負けたのか。
    物語の主軸は戦闘機の制作にかける男達のプロジェクトXだが、大戦の歴史も学べた。

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    2025年08月14日
  • 脱出

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    フィクションとノンフィクションの間のような短編作品集。戦時中から敗戦に至るまでの辺境での話が淡々と描かれる。
    この時代では、多くの人があっという間に命を落としてしまい、生きている人も今では考えられないくらい辛い思いをしていた。今の時代がいかに恵まれたものであるかが分かる。

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    2025年07月26日
  • 戦艦武蔵

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    戦艦武蔵の建造から沈没までの記録。
    当時の技術の粋を集めて、史上最大の戦艦を建造するストーリーはさながらプロジェクトXのようで、困難に立ち向かう技術者達の姿はビジネス書で取り上げられるようなサクセスストーリー。
    一方、当時、すでに戦艦の戦力に航空機が代替され始めており、実際に戦場では戦艦武蔵は敵の飛行機による攻撃になすすべなく、沈没。
    その最期を知っている後世の我々からすると、前半のサクセスストーリーも少し方向性が違う努力に思えてしまう。
    しかしながら、それこそが人間なのかな、と思わせる話。

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    2025年07月12日
  • 新装版 間宮林蔵

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    前半は樺太探索、間宮海峡の発見、東韃靼潜入といった冒険譚、後半は幕府の隠密活動。頻発する外国船来航に右往左往する幕府など、淡々としながらも当時の世相も良く描かれている。安定の吉村昭。

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    2025年07月03日
  • 破船

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    貧しく農業がほとんどできない漁村が、冬に火を焚いて、北前船を誘導し、暗礁に乗り上げさせ、座礁した船を襲って、乗組員を惨殺し、積み荷と船の材木を盗むことによって生き延びていた。
    ある年、近隣の村で天然痘にかかった患者たちを村から追放するために載せて漂流させた船が座礁したので、商船と間違えて襲い、船に残っていた死体がつけていた衣服を、剥いで、村中で使ったために、村に天然痘が流行し、死者が多数発生する。
    この小説は、このような悲劇を、やっと大人になりかけた9歳の男児の視線で描く。

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    2025年06月22日