吉村昭のレビュー一覧

  • 彰義隊

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    戊辰戦争で朝敵となった皇族がいた。
    二十代前半の若さで、先の見えない中で奔走する宮と彼を守ろうと供をする人々の苦難。
    和宮との婚約を破棄させられた有栖川宮熾仁親王の怨念。
    日本史を学んでても、ほとんど理解していなかったあたりの歴史を、この機会に学び直すことができた。
    幕末に生きた方々のお蔭で今がある。感謝。

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    2023年09月08日
  • 大本営が震えた日

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    八月は日本の戦争の本を読む。

    昭和16年12月1日の御前会議でアメリカ、イギリス、オランダとの開戦が決定され、奇襲に向けての準備が秘かに開始された。
    12月8日の宣戦布告と同時に真珠湾奇襲とマレー半島上陸を成功に導くためにはそれまでの一週間の軍事行動を絶対に察知されてはならず完璧な秘匿が命ぜられた。
    そんな中で作戦を伝達する極秘命令書を持った将校が乗る飛行機が中国領内で行方不明に・・・。

    最初はミステリー仕立ての小説のようにハラハラドキドキの展開だが、すべては緊迫の一週間における日本軍に起こった事実の記録。
    エトロフ島単冠湾に集結した連合艦隊が秘かにハワイを目指すその緊迫感や、タイ国境マレ

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    2023年08月15日
  • 冷い夏、熱い夏

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    肺癌で死にゆく弟に告知をしないで隠し通し、見送った記録。
    時代を感じる。
    麻酔の打ち過ぎで廃人のようになった母の記憶。
    何度も持ち直し、疲弊する妻や付き添い人。
    死ぬ、死なない、死ねない、死なさない、死にたい、死にたくない。
    死生観を問われる小説。

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    2023年07月29日
  • 星への旅

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    死後解剖される少女の視点で描かれる、「少女架刑」。
    集団自殺を図ろうとする少年たちの姿を描く「星への旅」。
    透明標本づくりに熱中する男性。
    ありありと情景が浮かび、最後まで読み進めてしまう筆力に毎回圧倒される。
    また、戦争体験をされた方の文章にも触れておかねばという気にさせられる。

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    2023年07月28日
  • 島抜け

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    ネタバレ

    新橋の古書市で購入。
    吉村昭さんは肌に合うというか、するする読める。そして描写が秀逸。
    講釈を生業とした者が、その内容から幕府の怒りに触れ、種子島に島流し。
    そこでの生活と、島抜けしてから。
    ラストはモヤモヤ。

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    2023年06月22日
  • 花火 吉村昭後期短篇集

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    吉村氏の後期短編集。

    日常の中に淡々と描かれる死と別れ。
    一切の無駄を削ぎ落とし、テーマは重いが構える事なくスッと入り込める。

    「船長泣く」でグッと掴まれ「見えない橋」で救われる思いであった。

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    2023年06月16日
  • 光る壁画

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    胃カメラが日本で開発された様子が描かれる。
    途中苦労はあったものの、順調に開発は進んでいく。
    開発者の夫婦関係も興味深かったが、こちらは虚構らしい。

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    2023年06月10日
  • 三陸海岸大津波

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    短いが、明治・昭和と数回起こった津波の暴威を克明に纏めた一冊。
    作者の無感情な書き方が、津波を前にした人間の圧倒的な無力さを伝える。
    もう少し表情のあるドキュメンタリーが好みだが、3.11以降の日本にとってこの入りやすいボリューム感は大事かもしれない。

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    2023年05月23日
  • 破船

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    起こったことを丹念に積み重ね、感情を押し殺した文体。飽食の今では考えられない、食料事情。母のことば「人間には、心のたるみが一番恐ろしい。」
    「物というものは、いつかはなくなる。恵まれている時にこそ気持をひきしめなければ、必ず泣かねばならぬようになる」
    そうは言っても、知らないことは不幸な事でもあり、感染症は防げない。平穏な幸せは長くは続かない、ドラマも、人生も。

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    2023年05月05日
  • 破獄

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    実話に基づく小説。生涯で4回の脱獄を成功させた佐久間。中には、かの網走刑務所も含まれる。特製手錠を解錠したり、3.2メートル上の天井窓を破って逃げるなど、どのような技を使ったのか、興味深い。
    戦争の経過に伴う日本の状況と刑務所事情の厳しさが背景にあり、囚人よりも看守の大変さに驚いた。看守、所長より何枚も上手の佐久間。そんな佐久間に破獄を断念させたのは、厳重に拘束するよりも人間らしく尊重して扱う事だった。
    これほどの知恵と忍耐力があれば、まともに生きれば、何でもでき、大成功しただろうに、勿体無い。
    でも破獄にしか用いられなかったからこそ、この物語を面白く、彼をさらに魅力的にしている。

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    2023年05月02日
  • 破船

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    ネタバレ

    戦慄の感染症パニック時代小説(なんだそりゃ)。長引くコロナ禍に読み、ぞくぞく。
    最近、近未来のディストピアっぽい小説を読んでたけど、昔の貧しい時代の方がよっぽど地獄だなと思う。

    惜しむらくは、農村にしては口調が農民ぽくなくて、ちょい違和感が。昔の農民や侍の語り口とか、知らんけども。
    あと、最後にいろいろ種明かしする老人いたけど、そんな詳細に覚えているならもっと早く気付くのでは?と思ったり。

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    2023年04月22日
  • 天に遊ぶ

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    ネタバレ

    平瀬は犬が好き嫌い言う問題ではなく、綾子がその犬とあたかも一体化したように生活していることに、深い戸惑いを覚えている
    無言で自分を見下している警察官の眼の光に、私は不審者として疑われているのを感じた
    私は、気持ちの赴くままに10枚を限度にした短編を書き続け、十枚以下のものも書いた
    ここに収録された二十一篇には、男女の不可思議な邂逅、夫婦や家族の絆、友人とのつながり、などなど、様々な人間関係が開かれていて、それを通して人生の断面を垣間見ることができる

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    2023年04月13日
  • ふぉん・しいほるとの娘(上)

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    ネタバレ

    日本史の授業ではさらっと出てくるだけで、ほぼ忘却の彼方にあったシーボルト事件。長崎へ旅行へ行くついでに、購入してみました(ただし到着したのは旅行中で、本作は旅行中に読みました泣)。

    ・・・
    シーボルト事件とは、平たく言えば、オランダ人に成りすましたドイツ人医師シーボルトが出島で名声を広め、例外的取り扱いを受けつつ、国法に触れる日本地図等の国家機密を持ち出そうとしたことがお上に露見し、彼自身は国外追放、その他関連したものが処罰を受けたというものでした。

    で、本作。上巻では、題名にある「娘」より、むしろシーボルト自身とその妾である其扇(そのぎ)とのロマンス?や、シーボルトが密命を帯びて日本情報

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    2023年04月03日
  • 三陸海岸大津波

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    津波は単なる自然現象でそこまでの勢力はないと思い込んでいたが、この本を読み凄まじい津波の恐ろしさは体験をしてない今の若い人々に伝えていかなくつはならないと思った。
    ぜひ、多くの人に読んで自然災害に備えて欲しいと思った。
    本書は、体験者の話も書かれていて戦争時と同じくらいの筆舌に尽くしがたい悲惨な状況が目に浮かんだ。
    リアルに津波の様子を描写していて読んでいるときに身震いをした。地震の後の津波が来る前の怪奇現象は真相を突き詰めていくことにより未来のわたしたちを守ることが出来るのではないか?

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    2023年03月26日
  • 破獄

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    脱獄のことが詳細に書かれていると期待したが、思ったより詳細には書かれていなかった。
    戦争中の社会情勢が刑務所にどう影響を与えたかに重点を置かれて書かれている。

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    2023年03月16日
  • 新装版 赤い人

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    淡々と語られているので、道路やら畑やらどんどん拓けていってるような気になって読んでました。実際には何十年も経ってる話なんですよね。
    網走土産でみたことがあった五寸釘の寅吉が出てきました。脱獄と生への執念がすごい。あのお菓子からは想像つかないよ。

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    2023年02月16日
  • 陸奥爆沈

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    興味があるジャンルなので。

    帝国海軍が誇る戦艦、長門級二番艦「陸奥」。
    呉沖で大爆発を起こし、爆沈した。

    この事実は最高機密となる。
    また、爆沈の原因は何か?

    など、作者は最初全く書くつもりはなかった。
    誘われて訪れた柱島で慰霊碑を見て、何かを感じ、困難な調査を行って本書にまとめた。

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    2023年02月13日
  • 新装版 赤い人

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    2023年の1冊目。明治から大正時代にかけての北海道の開拓の歴史が学べる本。
    明治時代、囚人たちが未開の地だった北海道に送り込まれ、過酷な状況下で労働を強いられる様子が淡々と描写されている。タイトルの「赤い人」は囚人の着ていた赤い獄衣のこと。労役、脱獄、死、の繰り返しで、囚人と看守が徐々に敵対するようになり、終盤は囚人と看守の報復合戦のようになっていって怖ろしかった。囚人の中には何度も脱獄を繰り返す猛者や恩赦で釈放されてもまた舞い戻ってくる人なんかもいて、一人一人にスポットを当ててもドラマチックな物語ができそう。
    ゴールデンカムイ好きな人はより楽しめると思う。

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    2023年01月12日
  • 深海の使者

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    第二次世界大戦での太平洋上でのミッドウェイ海戦、ラバウル、ガダルカナル等の島々での悲惨な戦いは知っていたのだが、日本からドイツまで潜水艦で往来していたなんて、本当にビックリしました。詳しく、詳細に描かれており感動しました。

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    2022年12月07日
  • 破船

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    ネタバレ

    はるか昔、僻地の貧しい漁村で行われていた、往来船を座礁に導き積荷を奪うという、ほかには言えない風習。
    それが巻き起こす悲劇を描く。
    そんな風習をもつコミュニティだからこその結束と、世帯ごとライバルのように漁を行う姿が印象的だった。
    淡々と重苦しい雰囲気で進む物語だが、読み辞めたくならない不思議な小説だ。

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    2023年09月25日