吉村昭のレビュー一覧

  • 冷い夏、熱い夏

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    実体験を元に描かれているので、言葉のひとつひとつに重みと説得力を感じます。
    ただ、筆者の主張がそのまま呑み込めるかというとそうではなく、
    「私なら…」「私だったら」など反駁しながら読み進めていきました。

    癌の進行や闘病の様子はリアルなのに登場する医師や看護師、葬儀社が
    みな信頼のおける「いい人」ばかりなのには違和感を覚えました。

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    2014年01月22日
  • 総員起シ

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    かなり以前に発表された作品であり、関係者が多く存命だったためか、終始とても生々しく描かれている。

    読後、なんともやりきれない感が残る。

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    2014年01月14日
  • 冷い夏、熱い夏

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    弟が癌になり、死まで1年に及ぶ闘病と周囲が献身的に看病する。癌であることをひた隠し、1ヶ月前から葬儀の手配をする自分を冷たい人間だと責めつつ、自身の闘病経験から行動せざるをえない。深い愛情を感じる。14.1.13

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    2014年01月13日
  • 長英逃亡(上)

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    政治犯として無期懲役を食らったところ金を使い脱獄。
    行き先々で迷惑をかけながらも生き抜いていく生命力の強さは
    史実では傲岸不遜な長英先生を表しているといえなくもない。

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    2014年01月02日
  • わたしの普段着

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    吉村昭のエッセイ。他のエッセイ集と比べると、一つ一つがやや長めか。吉村昭の家系について語った「家系というもの」は一読の価値がある。

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    2013年11月04日
  • 七十五度目の長崎行き

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    吉村昭の作品に関連するエッセイ。すでに作品を読んでいたりすると面白く読める。もちろんそうでなくても、楽しく読めると思う。

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    2013年10月27日
  • 大本営が震えた日

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    ネタバレ

     12月8日、太平洋戦争開始時の米英への奇襲攻撃までの日本の苦闘。奇襲を記した作戦命令書を乗せた旅客機が中国国内に墜落したことを背景に、マレー作戦、真珠湾攻撃までの道のりを描く。実際の奇襲当日の描写がほとんどないのが、非常に印象的。
     もし、この時、奇襲攻撃が他国に知れていたら、と考えると不思議な感覚を受ける。それにしても、かなり博打的要素で戦争が始まったことがよくわかり、寒くなった。

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    2013年09月20日
  • 脱出

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    住民を巻き込んで戦場となった場所もあれば、
    「鯛の島」のように取り立てて被害のない場所があったことにはちょっと驚きでした。
    島に連れて来られた少年たちはその理不尽さを目の当たりにしたのだと思うと
    その行き場のない憤りが伝わってくるようでした。

    本書はどの話を読んでも「日本の敗戦」という事実から目を逸らせなくなります。

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    2013年09月24日
  • プリズンの満月

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    今や跡形もないけれど、サンシャインシティにはかつて巣鴨プリズンがあった事を思い出しました。
    時代は変わったものです。
    かつて、日本は戦争を起こし、連合国軍に敗れた。知ってはいるけれど
    完全に過去の物となっていた戦争を思い出しました。

    敗戦国として戦争責任を問われた人たちが収監されていた場所。今の専門店街や水族館のある高層ビルからは想像がつきません。

    また、僕はこの本を祖父から貰い読んだのだけれど、そこには僕の曾祖父が戦犯とした一瞬登場します。 
    自分の父が登場する小説を読む祖父の気持ちを考えるとなんだか不思議な気分になります。

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    2013年09月03日
  • 零式戦闘機

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    第二次世界大戦を、零戦の歴史とともに振り返る。

    戦争を美化することも、零戦を美化することもできない。



    ただ、特攻のイメージが強い零戦であったが、
    零戦が恐れられていたのは、その捨て身の攻撃だけでなく、機体性能にもあったことを知った。

    そして、開発の裏側も。

    なぜ、防弾設備がない戦闘機ができてしまったのか、
    なぜ、特攻のようなかたちにはしっていってしまったのか。

    たしかに、設計者の苦労はすごい。
    技術力があったということだろう。

    しかし、
    物量や資本で劣る日本の限界は、悲しいくらいである。

    もどかしいくらいの悲しい歴史。

    なんども言うけれど、美化はできない。
    零戦や日本のパ

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    2013年08月31日
  • 海の史劇

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    ネタバレ

    日本海海戦までのロシア・バルティック艦隊の大遠征と圧倒的な日本の勝利、勿論痛快な勝利ではありますが、この時代の紳士的な双方の態度、ロシア兵捕虜への人道的な日本の対応、また敗軍の将ロジェストベンスキー、ステッセル・・・への暖かい日露両国の対応など、しかし寂しい晩年。明治の成長期の輝かしい日本人の希望を描いた司馬遼太郎の「坂の上の雲」とはまた違った、より更に客観的な史実として説得力も感じさせ、なおかつ著者によって素晴らしい心温まる叙事詩になりました。

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    2013年08月24日
  • アメリカ彦蔵

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    実在の人物に取材した物語であり、幕末の尊王攘夷から明治維新に至る日本とアメリカの状況が克明に描かれており、当時の日本人やアメリカの価値観の違いのようなものが興味深く感じられた。ただ、時代の流れを詳細に描く余り、登場人物の心理描写が少なく、小説としても面白みにはやや欠けると感じた。

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    2013年08月24日
  • 逃亡

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    逃げ続ける恐怖と緊張感、戦中戦後の空気の変化、じわじわとくる。
    しかし、どうにも主人公のことが理解できないまま終わった。

    主人公は弱いのに、強い。
    知能はないけれど、生きる本能は長けている。
    だからそのために自分で自分を窮地に追い込んでおいて、生き残る。
    だから理解ができなかったのかもしれない。

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    2013年08月06日
  • 七十五度目の長崎行き

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    248p
    7月12日
    多くの初出が生まれる前であったり、幼い頃であったりで、そのことが読み進めて行く上で新鮮であった。
    取材が先か、旅行が先か、吉村さんは本当に旅行が好きだったのだと痛感した。

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    2013年07月12日
  • 生麦事件(下)

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    一つだけ参考になるのは、末期に差し掛かった幕府の無能ぶり…
    これだけ無為に引き伸ばされたら、さすがに当時のイギリス人も腹に据えかねたでしょうが、しつこく交渉する姿勢に、英国の底深さを感じました。

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    2013年07月04日
  • 死顔

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    大好きな作家だが、意外と生死にまつわる作品を読んでなかったので、ある意味新鮮だった。作者の生死感はなんとなく分かるが、実感がわかない。生死をさまよったことがないからであろう。
    年をとるにつれ、共感していくのかもしれない。

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    2013年06月28日
  • 新装版 白い航跡(上)

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    陸海軍を震撼させる脚気の予防法を確立せよ戊辰戦争で見聞した西洋医学に驚いた薩摩藩軍医の高木兼寛は、やがて海軍に入りイギリスに留学、近代医学を学ぶ。東京慈恵会医科大学を創立した男の生涯を描く。

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    2013年03月31日
  • 新装版 白い航跡(下)

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    明治時代、脚気撲滅をはじめ日本の近代医学において尽力した医師高木兼寛の生涯。海軍での兵食改善にいたる経緯、当時のドイツ医学とイギリス医学の派閥などが興味深く描かれている。偉大な功績にもかかわらず国内で評価されず、家庭内の不幸も重なり、晩年は幸福ではなかった。

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    2013年03月29日
  • 漂流記の魅力

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    近海で遭難してロシアや北米に漂着するケースが意外にあったんだねえ。記録に残っていないケースも多々あるんでしょう。
    巻末の年表の中で、音吉は2年後に帰国とあるが、間違い。日本には戻れずシンガポールで客死。

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    2013年03月06日
  • 熊撃ち

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     クマ(主に北海道のヒグマ)を撃つ猟師を題材とする短編集。すべて実在の猟師・事件に取材したという。非情さにの中に漂う抒情性が特色。

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    2018年08月16日