吉村昭のレビュー一覧

  • 桜田門外ノ変(下)

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    ☆☆☆2020年5月レビュー☆☆☆



    非常に緊迫感の伝わってくる内容だった。
    桜田門外の変、歴史を揺るがしたその時間が遂に起きる。
    雪の中を、井伊直弼の行列に迫る水戸藩士たち。
    P70~120ぐらいの、決行決定から井伊を斃すまでの展開は、本当に手に汗握る。自分がその場にいるような感覚に陥る。


    そして、桜田門外の変のその後。
    高橋、金子といった事変の主導者が次々と切腹、投獄の憂き目に。薩摩藩との連携は失敗。
    桜田門外の変は確かに歴史を動かしたが、当の実行者には悲劇をもたらした。関鉄之助の逃避行。ここまで調べたか、作者の力量に恐れ入る。

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    2020年05月18日
  • 生麦事件(上)

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    生麦事件が起こった,としか日本史では習わないが,この事件こそが近代日本になるべく薩摩藩を押し進めた最大の要因とも言える一大事であり,あまりに面白く,手に汗握る展開で2冊を一気に読み終えてしまう.

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    2020年05月01日
  • 魚影の群れ

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    さすがだ

    淡々と事実だけを追った筆致だからこそ人間の深い哀しい業を感じる。これだけ読み手を惹きつける文章力はすごいと思う。最近の添加物だらけの文章を書く作家の方に一度是非読んで欲しい。偉そうにすみません。

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    2020年04月26日
  • 羆嵐

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    銀四郎おやじ

    三毛別のヒグマ襲撃事件の事はテレビやウィキペディアで知り、興味を持ったのでこの本を読んでみた。他のレビューにもあるとうり、確かにヒグマ怖えなあと思ったけれど、その怖さは他のメディアで見聞きしたときの方が怖かった。それはこの本がヒグマの怖さを誇張することなく表現しているからだと思う。そこに住む人々の暮らしや、集団の弱さみたいなものを意識しながら読んでいた。何より銀四郎おやじの存在感たるや、ヒグマ以上じゃないかと思う。

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    2020年04月11日
  • 海の史劇

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    海の史劇について

    私は戦史 軍艦 艦船模型が好きで、もう長いことやっています。この本は吉村昭の代表作の1冊です。「戦艦武蔵」も読みました。
    吉村さんの知識には脱帽です。まだ半分も読んでいませんが、楽しく読んでいます。日本海海戦での日露の戦い、内容は知ってるが読みやすいです。

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    2020年03月27日
  • 長英逃亡(下)

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    上巻に引き続き高野長英の逃避行。発覚した場合自分の家が没落するという大きな危険を孕みながらもこれだけの人々にゆく先々で助けられる姿や、薩摩藩・宇和島藩等までも協力する様子を見て高野長英という男が只者ではないことを再認識させられた。先見の明があり、学のあるものはどの時代も国からは恐れられる存在である。長英も例外なくその1人であるが、この人物が果たして明治維新後も生きていたとしたら日本にどのような影響を与えただろうか、そんなことを考えるととても惜しいことをしたような思いになる。
    歴史の教科書では決して語られない詳細の記述により、まるで自分も共に逃避行しているかのようなスリリングな描写に読む手がとま

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    2020年03月24日
  • 長英逃亡(上)

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    現代に比べてSNSやインターネットなどの情報拡散ツールが圧倒的に少ないのに、各藩の村人たちの結束力や幕府の徹底した捜索により現代より遥かに逃げ延びるのが困難な世界で行く先々で多くの人に協力してもらいながら間一髪で逃げ延びる高野長英。
    歴史の授業では「蛮社の獄で捕らえられたが牢屋に放火して脱獄、後に捕らえられて自殺」程度しか教わらなかったので詳しい背景が分かりとても面白い。下巻も楽しみ。

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    2020年03月13日
  • 仮釈放

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    最初から最後まで、なんとも言えない鬱々とした気分で、読み進みました。どうなるんだろう、どうなるんだろうとドキドキします。仮釈放された主人公の不安がヒシヒシと伝わってきます。私自身、主人公とは少し違いますが若い頃、夜逃げの経験があり、世間の目を気にしながら生きていた時期があり胸が痛みました。人間の心の奥に潜んでいる感情、説明することが困難な部分を考えさせてくれる作品です。

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    2020年01月15日
  • ふぉん・しいほるとの娘(下)

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    シーボルトが長崎出島で、遊女のお滝との間にお稲という子をもうけ、その子の話。
    シーボルトが鳴滝館で、外科を中心に医学を教えたこと、オランダ政府の命で、生徒を使い、日本の地理、学術等を調べたこと、シーボルトが江戸に呼ばれた際には更に詳しい情報を入手したことなど、知らなかったことばかり。
    シーボルトは、幕府に見つかり、国外退去となり、関係生徒も罰せられる。
    お稲は、あいの子であり普通の生活ができないこと、シーボルトへの憧れから、学問を目指すこととし、愛媛に行き、シーボルトの弟子の家に居候。
    そこで、産科医を目指すように言われて、決意し、基本的医学を身に付けた後は、大阪の産科医でシーボルトの弟子の家

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    2019年12月29日
  • 大本営が震えた日

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    「開戦」という、絶対的な時間指定がある巨大プロジェクトを進めるために、広大な領域に広がる巨大な組織の隅々に機密情報を行き渡らせるのは困難な課題だが、いくつか失敗はあったものの我が国がそういった力を持っていたのは、いまだに陰に埋もれたままの無数の英雄がいたからなのだろう。

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    2019年12月28日
  • 虹の翼

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    文明開化の波が到来した明治期の日本で、時代の先端を行く飛行器の原理を独力で探求し、実現まで残すは動力の問題というところまで辿り着いた二宮忠八の話。

    飛行器の研究開発を提案した上申書が陸軍に却下されなければ、ライト兄弟に先駆けて空を飛ぶことができたのか、想像は尽きない。ただ、もし研究開発を続けていれば、資金難や実験失敗による人命の損失などの不幸に見舞われることも十分あり得ただろうから、忠八がその後実業の世界で成功し、子供にも恵まれ、飛行器研究の先駆者として存命中に再評価もされたというのは、運命の綾というか、人生において何を幸せとするかについて考えさせられる。

    忠八は、現代に生まれていたとして

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    2019年12月27日
  • 漂流

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    「創作する遺伝子」小島秀夫推薦

    断崖絶壁の木も生えない火山島で12年余りを過ごし、無事生還した人の記録を掘り起こした素晴らしい作品です。火打ち石が無く、火も起こせない、穀物も植物も取れない、ナイナイづくしの中で生きるすべを編み出し、一人になっても生きる気力を保つ前半部と、後半の帰還への努力と苦悩が深く胸を打ちます。色々なものがありすぎて、すぐに手に入るこの時代にこそお勧めです。

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    2019年12月21日
  • ポーツマスの旗

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    日露戦争終結に向け、小村寿太郎はポーツマス講和会議に臨みます。
    講話を成立させるために、ロシア側全権ウイッテとの交渉、駆け引きの末に劇的な講和を成立させます。
    日本人は交渉下手とよくいわれますが、小村寿太郎の交渉をみると、決してそうとはいえません。
    国民の憤懣を呼びますが、日本のために、平和のために、名利を求めず交渉妥結に生命をかけた外相小村寿太郎の物語です。
    感動しました!

    小村は、欧米殊にヨーロッパ各国の外交に長い歴史の重みを感じていた。国境を接するそれらの国々では、常に外交は戦争と表裏一体の関係にある。外交が戦争の回避に功を奏したこともあれば、逆に多くの人々に血を流させたことも数知れな

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    2019年10月09日
  • 夜明けの雷鳴 医師 高松凌雲

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    19世紀のパリ万博に派遣された医師、高松凌雲
    オランダで海軍学を学び帰還した榎本武揚
    英国に留学し、その後開拓使に働いた村橋久成
    新政府軍を指揮した黒田清隆

    明治期の激動の時代を生きた人々のものがたり

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    2019年09月24日
  • 虹の翼

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    ライト兄弟が、世界で初めて飛行機を飛ばした十数年前の明治期の日本。
    そこに、"飛行器"研究に生命を賭けた男がいた。
    男の名は、二宮忠八。
    ひたすらに、空を飛ぶことに憧れ、懸命に駆け抜けた人生。
    自分が夢見た、空飛ぶ器械。
    忠八が今の時代に生きていたら、どんなことを思うのだろうか。

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    2019年09月20日
  • 冬の鷹

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    オランダ語で書かれた『ターヘル・アナトミア』を翻訳した前野良沢・杉田玄白、彼らの作業過程とその後の人生を詳細に描き出した作品。
    教科書などでは、この二人がほぼ同列の訳者として記載されているけれど、事実は前野良沢が苦心して翻訳したものを、杉田玄白が整理し文献の形に整えたという風に役割分担がなされていた。
    学究肌の良沢は訳を終え、『解体新書』として発行する話を、それはまだ不完全であるからとして喜ばなかった。そのため、『解体新書』の訳者として自分の名を載せるのを禁じた。
    そのこともあって、世間の評判は玄白にのみ集中し、彼は八十を超えて大往生を迎えるまで栄華の中にあった。一方の良沢は、傑出したオランダ

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    2019年09月17日
  • 陸奥爆沈

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    昭和十八年六月八日、戦艦陸奥爆沈。
    死者、千百二十一名。
    筆者の努力により、次々に明らかになる謎。
    果たして、ひとりの軍人による行為で、一隻の戦艦が瞬時に沈没したのだろうか。
    今も残る謎。
    証拠は、塵となって消えてしまった。

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    2019年08月10日
  • ポーツマスの旗

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    外交は当初から落としどころを決めて始める。

    最近の米国やEU、その他日韓関係などの緊張具合の現在進行形を体感する限り、その様子は見えない。

    この書籍当時の時代の外相は、胆が太い。
    いい意味で官僚じゃないからなのと、個人が日本を背負っていたんだろうと思う。
    日本を守ろうとするんじゃない。
    日本を創ろうと、救おうとする気概が、ただただ、そうさせてたのかも。

    「日本人は金銭よりも名誉を尊ぶ」

    講和成立時、小村寿太郎の言葉は重い。

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    2019年08月01日
  • ニコライ遭難

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    1891年来日したロシアの皇太子ニコライを、巡査の津田がサーベルで頭を切りつけた大津事件。事件より前のニコライの日本での過ごし方や、事件後の政府高官たちが、津田を死刑にしようと暗躍する様を描くドキュメント小説。

    とっても面白かった。

    ニコライが来る時に流れたデマが、実は西郷隆盛が生きていて西郷がやって来るのだというのが面白い。ロシアで西郷を見かけたという噂が流れたそうだ。西郷に帰ってきてもらっては困るので、ニコライ(=西郷?)をやっつけなくてはならないと考える輩がいるので、警戒が厳重になったとか。

    ニコライは日本滞在を大いに楽しんだそうでその辺も面白い。

    最大の読みどころは、松方首相や

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    2019年07月20日
  • 蚤と爆弾

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    細菌兵器を完成させるための、捕虜に対する人体実験。
    戦時下という、特殊な状況が生み出した術なのか。
    戦争というものは、ここまでしないといけないのか。
    平和な時代に生まれた、自分たちには想像すらできない。
    平和な時代に生まれたことを感謝しなければならない。

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    2019年06月22日