吉村昭のレビュー一覧

  • ふぉん・しいほるとの娘(下)

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    下巻は、お稲の話よりも激動の幕末の話が大きな割合を占めています。新しく明治政府が出来て、医療制度も変わってきます。日本初の女医のお稲ですが、江戸時代はこれといった医師免許の試験はなかったのです。明治になり試験に受かった者が医師として認められるようになり、その試験には別の女性が受かっています(お稲は受けていない)。こうして新しい日本は女性の社会進出をどんどん認める時代となり、時代の流れとお稲の年齢からくるギャップに共感せざるをえません。

    原発事故で、シーベルトについて調べようかと思い、ふと、シーボルトを思い出して読み始めた大作でしたが、学校で習う年表歴史ではない息遣いを感じることができ、大変有

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    2011年04月17日
  • ふぉん・しいほるとの娘(上)

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    シーボルトと言えば、日本に西洋医学を広めたことと、シーボルト事件という歴史の授業習った程度しか知らなかったのだけど、この壮大な歴史ドラマにただただ感動するばかりでした。しかし1400ページの大作に読むのはかなり難儀(笑)。大河ドラマにでもしてほしいくらいだけど。

    シーボルトが日本に来たのは1823年、文政六年。長崎で裕福なこんにゃく屋を営んでいた家の娘・お滝は、雇いの者が店の金に手を付け商売が立ちいかなくなったために、遊女として売られてしまいます。もともと美しかったお滝は、出島でシーボルトの遊女となり、2人の間にお稲が生まれますが、シーボルトは日本地図を国外に持ち出そうとする罪で国外永久追放

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    2011年04月17日
  • 冷い夏、熱い夏

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    2011.4.14(木)¥157。
    第26回(1985年)毎日芸術賞。
    2011.4.17(日)。

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    2011年04月21日
  • 桜田門外ノ変(下)

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    ついに主人公関鉄之助を中心とする水戸藩士の井伊直弼大老暗殺、つまり桜田門外の変がようやく下巻にて達成。

    しかし、この事件自体はわずか5分の出来事。小説内での描写もあっという間。その後、藩士たちは逃亡を続け、ほとんどが死を迎える。桜田門外の変は前フリで、作者が描きたかったのは、関鉄之助たちの逃亡生活だったのか。

    桜田門外の変から2年、関鉄之助は水戸藩内で捕縛され、江戸に送られて処刑される。37歳だった。

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    2011年03月27日
  • 桜田門外ノ変(上)

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    弾圧に反発した尊皇攘夷志士が井伊直弼大老を殺害するという有名な事変の成り行きを詳細に描いた記録小説。

    井伊率いる「開国=幕府側」のネチネチとした弾圧に「尊皇攘夷=水戸藩」の怒りは爆発寸前。

    そして、井伊暗殺の桜田門外ノ変へ・・・と、なる前に上巻終了。安政の大獄の熾烈さはハンパない。

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    2011年07月21日
  • 東京の戦争

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     「東京での戦争は、開戦から5ヶ月後の昭和17年4月18日の東京初空襲からはじまった」
     その日、著者は凧揚げをしていて、通過する爆撃機の風防の中にオレンジ色のマフラーを巻いた2人のパイロットを目撃する。オレンジ色のマフラーとともに、機体に描かれた中国国旗の星印もしっかり見た。
     本書の中では触れられてはいないが、「中国国旗の星印」を付けた米軍機による東京初空襲とは、真珠湾奇襲への報復として決死の計画で米側が決行した「ドーリットル空襲」作戦に違いない。映画『パールハーバー』で詳しく描かれたこの作戦は、未経験の航続距離を飛び決行後の帰還はかなわず、中国本土に不時着し保護を求めるという、冒険的

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    2011年02月27日
  • 桜田門外ノ変(下)

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    上、下巻でとても読み応えがありました。
    資料を取材して書かれているということで歴史を知る上でも大変勉強になりました。
    暗殺に至るまでの時代の状況や経緯、そして暗殺、その後の諸藩の動き、逃亡生活、まさにドラマのようでした。

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    2011年02月23日
  • 桜田門外ノ変(上)

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    授業で習った程度で、漠然としか知らなかったですのですが、出来事の流れがよく分かり、勉強になりました。幕末の緊迫した状況が伝わってくるようで、この時代のことに興味がわきました。

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    2011年02月05日
  • プリズンの満月

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    太平洋戦争による日本国の敗戦責任は日本人個人にも割り振られた。そんな戦争犯罪者のみを収容するために作られた監獄が巣鴨プリズン。

    しかし、それはあまりに監獄らしくない監獄だった。収容者の外泊やアルバイトを許可。時にはバス移動により、集団での野球観戦も催される。そして、戦勝国の気まぐれな判断で、理由もなく、減刑されたり、釈放されたり。

    そんな無意味で、バカバカしい監獄があったという事実を詳細に記録した小説。

    ちなみに巣鴨プリズン跡地は現在の池袋サンシャインビルが建っている。

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    2010年12月30日
  • 陸奥爆沈

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    吉村節炸裂!すごい本読んだ!導入部から秀逸です!!
    風化の波にさらわれて消えてしまいそうな真実・歴史の暗部を、綿密な取材で掘り起こしていく著者のその真摯な姿勢と執念が見事に結実しています。
    陸奥爆沈を通して描かれる社会・軍隊のひずみと人間の心の歪み。
    著者なりの、陸奥とともに沈んでいった魂への救済であり鎮魂歌であった筈が、それだけではなく、著者の取材とともに意外な真実が明らかになっていく。その様子は上質なミステリーのようだった。
    なんとも言えない読後感にそのままもう一度読んでしまった。
    吉村昭は本当にスゴイ!!

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    2010年12月17日
  • 大本営が震えた日

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    おもしろい!読み応えありました!!
    真珠湾攻撃前夜の物語。
    海軍・陸軍・諜報部その全てが危ない綱渡りをした上での奇跡のような成功だったことがよく分かる。暗号解読が遅れて宣戦布告が間に合わなかったその1点だけが失敗だったんだなと。
    戦争を賛美するわけではなく、日本人が世界相手に凄いことやったのはよくわかる。(つか今の日本も政治家がこんだけ死ぬ気でやればもっとましな国になるんでね?)
    どの章もスリルとサスペンスで全編山場です。
    というかほんと吉村先生凄すぎる!!

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    2011年01月02日
  • 死顔

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    商品情報にもあるように、本当に本当に、生と死を見つめ続けた作家なんだなと思った。
    あまりにも静かで深い死生観に打ちのめされる。あとからじわじわと効いてくる短編集。

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    2010年12月17日
  • 桜田門外ノ変(下)

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    羆嵐がきっかけて吉村昭に嵌り込んだ。
    読み始めて8作目にて初めての歴史小説。歴史小説はもう少し後でいいかと思っていたが、今度映画が公開されるということで、予習の為にも読んでみた。
    歴史小説は元から割と好きな方で楽しみではあったが、勤勉で詳細な下調べはやはり吉村昭、といった感じ(まだまだ既読は少ないが)。安心して読み進められた。そして歴史的に有名な事件、『桜田門外の変』がどのようにして起ったか、その後どのように歴史の流れに繋がっているか、まったく知らなかったことに気付く。
    硬質で無駄のない文章と緊張感がたまらない。
    要するに歴史小説でも吉村昭は面白い、ということだ。
    ますます好きになってしまった

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    2010年10月11日
  • 彰義隊

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    輪王寺宮をはじめとする幕府側の登場人物の逃避行が物悲しい。それにしても、吉村昭は、さすがによく調べている。

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    2010年08月07日
  • 桜田門外ノ変(上)

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    桜田門外の変が起こって150年なんですねー><
    日本を変えようと必死だったんですね…
    いまと比べてみたら感慨深いものが。

    映画にも興味が出てきました!

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    2010年07月03日
  • わたしの流儀

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    取材に編集者を連れていくと、その編集者の分はもちろん自分の旅費も出版社負担になるからそれはできない、とか、本当に人格者だと思う・・・

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    2010年01月09日
  • 大黒屋光太夫(下)

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    漂流物は心を打つ。是非裏表紙を見ないで読んでもらいたい。

    命をかけたドラマチックな人生は壮絶で、到底自分は生き抜くことはできないと
    思うけど、現代は生ぬるく生きているような気がして少しうらやましい。

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    2009年10月04日
  • 大黒屋光太夫(上)

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    映画化もされていましたね。江戸時代ロシア領に漂流し、生還を果たすまでの物語。
    シーホルトの娘、についで吉村さんの本の中ではお気に入りです。
    異国で病に倒れた者、帰国が決まる直前にロシア正教の洗礼を受け鎖国政策の日本に帰れなくなった者、帰国の船に乗ったにも関わらず上陸直前に船の中で病に倒れた者。
    様々な運命に翻弄されながらも、奇跡的に生還を果たした主人公。
    それぞれが持つ、強い郷愁。それに共感を覚えました。

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    2009年10月04日
  • 天に遊ぶ

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    エッセイあり、短編あり。吉村ファンには最高の本です。色んな作家を読んでも、やはり最後はここにたどり着きたいと思うような居心地のよさ。

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    2009年10月04日
  • 暁の旅人

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    この時代の吉村昭の本が一番好き。

    なんと立派な人が多いことだろう。
    松本良順の外国に対する認識、
    先見の明があり、彼らが日本の近代化の礎になったのだと
    うなずける。

    立派な人は奥さんも立派。

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    2009年10月04日