吉村昭のレビュー一覧
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下巻は、お稲の話よりも激動の幕末の話が大きな割合を占めています。新しく明治政府が出来て、医療制度も変わってきます。日本初の女医のお稲ですが、江戸時代はこれといった医師免許の試験はなかったのです。明治になり試験に受かった者が医師として認められるようになり、その試験には別の女性が受かっています(お稲は受けていない)。こうして新しい日本は女性の社会進出をどんどん認める時代となり、時代の流れとお稲の年齢からくるギャップに共感せざるをえません。
原発事故で、シーベルトについて調べようかと思い、ふと、シーボルトを思い出して読み始めた大作でしたが、学校で習う年表歴史ではない息遣いを感じることができ、大変有 -
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シーボルトと言えば、日本に西洋医学を広めたことと、シーボルト事件という歴史の授業習った程度しか知らなかったのだけど、この壮大な歴史ドラマにただただ感動するばかりでした。しかし1400ページの大作に読むのはかなり難儀(笑)。大河ドラマにでもしてほしいくらいだけど。
シーボルトが日本に来たのは1823年、文政六年。長崎で裕福なこんにゃく屋を営んでいた家の娘・お滝は、雇いの者が店の金に手を付け商売が立ちいかなくなったために、遊女として売られてしまいます。もともと美しかったお滝は、出島でシーボルトの遊女となり、2人の間にお稲が生まれますが、シーボルトは日本地図を国外に持ち出そうとする罪で国外永久追放 -
Posted by ブクログ
「東京での戦争は、開戦から5ヶ月後の昭和17年4月18日の東京初空襲からはじまった」
その日、著者は凧揚げをしていて、通過する爆撃機の風防の中にオレンジ色のマフラーを巻いた2人のパイロットを目撃する。オレンジ色のマフラーとともに、機体に描かれた中国国旗の星印もしっかり見た。
本書の中では触れられてはいないが、「中国国旗の星印」を付けた米軍機による東京初空襲とは、真珠湾奇襲への報復として決死の計画で米側が決行した「ドーリットル空襲」作戦に違いない。映画『パールハーバー』で詳しく描かれたこの作戦は、未経験の航続距離を飛び決行後の帰還はかなわず、中国本土に不時着し保護を求めるという、冒険的 -
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羆嵐がきっかけて吉村昭に嵌り込んだ。
読み始めて8作目にて初めての歴史小説。歴史小説はもう少し後でいいかと思っていたが、今度映画が公開されるということで、予習の為にも読んでみた。
歴史小説は元から割と好きな方で楽しみではあったが、勤勉で詳細な下調べはやはり吉村昭、といった感じ(まだまだ既読は少ないが)。安心して読み進められた。そして歴史的に有名な事件、『桜田門外の変』がどのようにして起ったか、その後どのように歴史の流れに繋がっているか、まったく知らなかったことに気付く。
硬質で無駄のない文章と緊張感がたまらない。
要するに歴史小説でも吉村昭は面白い、ということだ。
ますます好きになってしまった