吉村昭のレビュー一覧

  • 漂流

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    ネタバレ

    江戸時代、しけにあって無人島に流れ着き、仲間達は
    次々と死んでいく中、長平だけが12年間生き抜き
    生還した実話。
    島に生息していたアホウドリの生態を観察し食糧に。
    過酷で壮絶な内容にグングンと引き寄せられていく。
    圧倒させられた。

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    2026年10月02日
  • 光る壁画

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    ネタバレ

    世界で初めて胃カメラを開発したオリンパスの技術者たちと東大の医師の実話に基づく物語.

    光ファイバーがない時代なので,樹脂チューブの先端にフラッシュがわりの電球,フィルムカートリッジ,特殊レンズを据え付けた胃カメラの開発に成功する.遠隔操作のためには三味線の弦を用い,レンズと胃壁の距離の確保のためにはコンドームを使う,等々の試行錯誤を繰り返し,ついに1950年,胃カメラが完成する.

    オリンパスは今では一般的なカメラを作るのをやめてしまったが,内視鏡の分野では世界の売り上げの70%を占める超ガリバー企業である.

    ところで気になったのは,東大の「犬」である.フラスコで実験を繰り返したのち,人に使う前には「茶色い毛をした大きな犬」で動物実験が繰り返された.
    この犬で実験を行なう様子が何度も描かれるのであるが,この犬は全人類の大恩人(犬)であるにもかかわらず,名前がなく,ずっっと「犬」と書かれている.
    「意識がわずかに戻ったのか,犬は薄く目を開けてしばたたいていた.」
    「犬は,ふらつく足取りで,作業員にひかれて廊下に出ていった.」
    「その瞬間,犬の腹部が円形に光り,消えた」
    ああ,名前のない犬よ!!本当にありがとう!!

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    2026年09月24日
  • 新装版 赤い人

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    博物館網走監獄で紹介されていたので、手に取った。
    明治初期、新政府の敵となった旧幕府軍などの政治犯が全国的に増えており、それらを収容する施設が不足していたので、極寒の北海道に新たな監獄を作るという背景から始まる。
    監獄の建設は、赤い囚人服を着た囚人によって原野の森林を伐採し、それを材料にして作られた。
    北海道月形という地名は、初代監獄となった月形潔の名前に因む。
    樺戸郡月形の監獄は、樺戸監獄として、北海道監獄の中心となる。
    その後も、囚人を使った監獄の建設が北海道各地で行われ、空知監獄では三笠で危険な炭鉱作業に従事させて多数の死傷者を出したり、釧路監獄では、アトサヌプリ(硫黄山)で硫黄の採取により失明者を多数出したりした。これらの鉱物を運搬するために鉄道が敷かれ、それは幌内鉄道や釧路鉄道となる。
    また、網走から旭川に至る道は、鎖を繋がれた囚人が開いた道であり、工事の過程で亡くなった囚人が葬られている鎖塚が、沿道にひっそりと佇んでいる。
    北海道は、広大な風景、美味しい食べ物、全ての体験が魅力的である。しかし、北海道開拓の歴史はこのような囚人の存在があるということを忘れてはならないと思った。

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    2026年09月22日
  • 漂流

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    とても人の住むことは無理な島、禁断の不毛の小さい島。渡り鳥は、魚を食べるわけだが、そこらへんにかすかな望みはあったのだ。人と人との対立のサバイバルではなくて、自然環境の過酷さと、孤独があり、それでも帰る手立てを日夜考える、絶望と希望の物語。

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    2026年09月11日
  • 羆嵐

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    ー「腹、破らんでくれ」ー
    獰猛さ、野生の獣には慈悲などない。
    なかなか、トラウマになりそうな一文。

    ー銀四郎ー
    酒癖も悪く、粗暴で忌み嫌われるが
    羆撃ちとしては抜群である人物。
    羆の習性を分析して、単独で羆を狩る。

    ー必要なのは実力ー
    肩書きの良い警察、軍人を村民は頼ろうとするが
    到着までの遅さで被害が拡大してしまった。

    脅威が訪れたときに頼れるのは
    社会に不適合でも、圧倒的な実力を持った人
    綺麗事ではなく、本当にそう思わされました。


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    2026年09月09日
  • 光る壁画

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    主人公のお名前と私生活以外はすべてドキュメンタリーというちょっと珍しく感じる手法です。戦後の胃カメラ開発実話。胃カメラが最初に日本で開発されたとは知りませんでした。

    私の母が子供時代にすでに大人だったひとたちのお仕事。戦後から高度経済成長期にかけての空気感がすっと入ってくる感じ。渋谷、恵比寿、箱根、という馴染みのある土地が登場するせいでもあろうが。


    職場で、過去に退職した人々がおいていった本を処分することになって、欲しい本は貰えたのでピックアップしたうちの一冊。吉村昭さんはお名前は存じ上げていたけれど読むのは初めてでした。

    一回書いた感想が消えてしまって、書き直ししました。最初よりちょっと冗漫じゃなくなったような気はする。

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    2026年09月06日
  • 漂流

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    ネタバレ

     トーク番組で百田尚樹さんが薦めていて読んでみたら冒頭から惹きこまれ一心不乱に読んだ。吉村さんの本は本当に描写力、筆力がすごい。これまで読んだ作家さんで我が本棚に一番多いのは五木寛之さんか吉村昭さん。ただ、五木さんが好きなのは昭和から平成初期まで。今はあんまり…。吉村さん作品は読後感が実にどっしりとしていて読んだ感が濃く深い。
     この本、百田さんがオチをしゃべってしまっていたので、それを知らなかったらもっと心躍らせ、没頭し、感動したと思う。百田さんに“喝!”もひとつ、イエローカード、いやレッドカードか。それ(オチ)をいっちゃぁ、おしまいよ。

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    2026年09月06日
  • 羆嵐

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    おじいちゃんに貰って、なんだかなぁと積読していた。気まぐれで読んでみると意外と面白く、1日で読んでしまった。
    熊の恐ろしさが脳にこびりついた。

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    2026年08月27日
  • 雪の花

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    人生を賭けて天然痘と戦った町医者の話。

    まだ科学的な知識が十分でない時代に感染症と戦うというのがどういうことだったのかということに思いを馳せる。

    いつかこの主人公の墓参りをしてみたい。

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    2026年08月19日
  • 漂流

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    小説マイベスト5には必ず入る。
    読んでいて情景が浮かぶし、ハラハラもするし、なんて面白いんだろうと思いながら読んだ。

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    2026年08月18日
  • 海の祭礼

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    ペリーが黒船に乗ってやってきて開国を迫られた。
    では、なぜ欧米諸国は日本に開国を迫ったのか。開国により、彼らは何を得ようとしたのか。あんなにもつまらなかった授業では語られなかった歴史の一端を知ることができる、一冊。

    北の果て、礼文島から始まり、アメリカ、長崎、下田、とあちこちに舞台を移しながら、鎖国していた日本はいかにして諸外国との交渉に当たったのかを知ることができる。

    吉田昭の小説は苦しく辛いものばかり読んでいる気がするが、この小説は苦難の中にも穏やかな瞬間もあり、万人にお勧めできる。

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    2026年08月12日
  • 羆嵐

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    面白かった。
    この作品だけではなく、他の作品も読んでみたいと思った。
    そういう作家との出会いは久しぶりだ。

    20年以上読み続けられている作品には、まずハズレがないなぁと実感。

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    2026年08月12日
  • 高熱隧道

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    星5つ!!
    昔の工事の悲惨さがしっかりと表現されており、今の映像作品では表現しきれないだろうなと…
    とは言え吉村さん作品は読みやすく、司馬さんに疲れた時に読める小説。
    ちょっと読書速度が落ちてしまったのは、美談で語り継がれる黒部第四発電所と勘違いして読み始めてしまい、脳内をリセットするのに時間がかかってしまった…

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    2026年08月11日
  • 人生の観察

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    すっごい辛辣でおもろいです。悪辣なわけではなく、ありがとう!って感じの刺激を味わえます。
    作家さんのエッセイも面白いなぁ。

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    2026年08月05日
  • 漂流

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    これはすごい…
    スピノザの哲学を体現している…
    なぜ諦めず、生きることにこんなに執着できるのだろう(執着というとちょっとイメージが良くないですが)…
    でもこれは紛れもない事実。

    この時代の人の信心深さにも心打たれました。

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    2026年08月05日
  • 零式戦闘機

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    ネタバレ

    零式艦上戦闘機を通じて開戦から終戦までを描いた実話。
    これを読むまで、零戦が世界の追随を許さないほどの性能であったことを知らなかった。
    緒戦は敵なしで、山本五十六が半年や一年は暴れてみせると言っていたのは根拠があるんだなと思った。
    ミッドウェー海戦を機に米国の巨大な力に飲み込まれていく日本と、零戦の役割を重ねて描いていたのが面白かった。
    また通奏低音のように、牛馬で零戦が運ばれる様子が描かれており、最高水準の技実力と超アナログ運搬、日米の国力差を見事に表していたと思う。

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    2026年08月02日
  • 漂流

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    ネタバレ

    江戸時代、土佐の船乗りが嵐にあい、無人島に流れ着き生きていくサバイバル小説。

    たった4人で、森も川もないため飲み水もない。
    もちろん無人島なので人もなく、野菜も果物もなく、生き物らしい生き物は大量のあほう鳥だけ。道具もないので火も立てられない。とても生きていけるとは思えない。

    漂流者たちは基本的に皆善人であり、しんどすぎる運命に翻弄される彼らの人生と、その中で僅かに見える希望との落差の連続に泣けてしまった。

    驚くべきはこれが実話であること。フィクションならまだもう少し生きられそうなマシな設定にするのではないだろうか。
    実話であり、その物語が今読めるということは…是非結末は調べずに読んで欲しい本。(自分は先に結末知ってしまいましたが









    ネタバレ少し
    最後、島を抜け出すシーンで数年かけて準備しても、船出の方向は神頼みというところに改めて何もないところなのだと声が出た
    あと、船出前に次に遭難した人たちのために大事な道具を残していくというところで泣けてしまった

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    2026年07月26日
  • 高熱隧道

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    最初の30ページで、悲惨な描写の連続にすでに耐えられなくて、読み進めるのがきつかった。
    人夫と技師の主従関係による暗黙のルールが、悲惨な工事現場を背景に、気味悪く漂っていて、目を逸らしたくなった。
    最後の方は、全力疾走で読み終わり。
    おもしろかったのだけど、つらくて再読はできなそう。

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    2026年07月18日
  • 羆嵐

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    この本には、その当時の人々の暮らしぶりをはじめ、
    自然の怖さ、極限状態に陥った人間の脆さ、
    そして人間の愚かさや強さ、悲哀
    といったものがすべて詰め込まれている。

    グロテスクな表現も多々あるけど
    そこは本分じゃなくって

    バトルジャンキーな爺さんの悲しみも
    責任感のある爺さんの強さも
    羆をペチペチ叩いたばあ様の痛みも
    浮かれた隣村の人達も
    組織の歯車の分署長も
    どれもこれも鮮烈に焼き付いて離れないんだから
    この本は凄いんだろうと思う。

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    2026年07月17日
  • 羆嵐

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    昨今の熊被害・駆除対策を軽視または疑問視している人は必読。熊の種類こそ違うが大いに教訓を得ること間違い無し。実話ベース(人名、被害状況を変更)で、慰霊碑的な場所(三毛別羆事件復元地)が存在するが、人里から離れている為現在でもヒグマに遭遇する可能性が高いとのこと…

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    2026年07月12日