吉村昭のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
圧倒的な読みごたえと面白さ、学びにあふれていた。
どこまでが真実なのかはわからない。緻密な取材による確かな骨組みと、その上に乗る人間ドラマ。
あとがきで登場人物は架空だと語られていた。恐らくそう大差ないやり取りは実際あっただろうし、真面目で極めつくす性分や帰属意識など日本人として共感できる部分も多い。
厳しく圧倒的な自然への挑戦。泡雪崩ホウナダレという言葉を初めて知った。人間がどうにかできるレベルではない。それでも立ち向かう人々の描写に心を打たれる。
日々上昇を続ける温度の不気味さの表現も素晴らしい。絶望感が重くのしかかってくる。
それでも諦めることなく試行錯誤を繰り返す姿勢に感銘を受けた。
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Posted by ブクログ
戦争末期の軍隊の悲惨さと、状況が変わった途端に、転向して、あの戦争は軍部がやったと言う文化人などの話を興味深く読む。
天地が自分のものという主観の拡大、夜郎自大の問題、大割拠という間違い、そして、文民統治すべき背広組自体が金権政治と腐敗に堕落して力をなくし、内部から軍服まがいの背広を育てて自壊したとの由。
この状況が、戦後80年の今、2025年の政況と符合しているのが恐ろしい。
何も信じないということ、現場と一次資料に当たるという吉村さんの姿勢は、研究と同じような姿勢だなと思い、信頼できる。
明治維新以降を批判する一つの史観として英雄豪傑の出てくる司馬遼太郎と、人情、人間を描く池波正太郎と -
Posted by ブクログ
ネタバレ零式戦闘機、通称ゼロ戦。
誕生から戦争の終焉までを描いた本です。
日本でこんなすごい技術があって、
世界を驚愕させたゼロ戦。
アメリカにゼロ戦が徹底的に調べられた後も、
徹底抗戦して立ち向かっていくほどの強さ。
しかし、アメリカに比べて日本の戦闘体制は数が圧倒的に違う。
その中でなんとか日本のためにと出てきたのが、
神風特攻隊。
日本の勝利のために、相手に体当たりしに行く。
胸が詰まる思いです。
改めて日本がすごいと思った本です。
大東亜を自信を持たせたいという気持ちの上の戦争。
ただ、戦争を擁護しているわけではない。
平和な今の日本は、敗戦があってのことで、
ただ、愛国心は持つべ -
Posted by ブクログ
戦争とひと言で言うても人の数だけ戦争体験があるわけで、本書はそれぞれ異なる立場の人が経験した戦争記録5篇が収録されている。
ただ全てにおいて共通しているものがある。みんな悲惨。
日本人同士での裏切り行為の描写があるが、こんな酷いことが出来るのかと思うと同時に、極限状態にはこういうことが起きても不思議ではないよな、とも思う。
だからこそ戦争は起きたらあかんのよ。
タイトルにもなった総員起シの章、潜水艦の中に閉じ込められて9年後に驚く姿で発見されるというエピソードなんやが、知的好奇心も刺激される話で、強烈に印象に残った。
それと同じぐらい印象に残ったのが、剃刀のエピソードのラスト。他人を巻き