吉村昭のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ぬるい個人主義に浸かりながら、それでも不平不満を言って暮らしている自分の頬を打たれたような。
共同体が優先順位が一番高く、個人の幸せなどそんな概念がない。
誰かのわがままや判断ミスで、共同体自体の存続を危うくするからだ。
僅か数世代前まで、私たちの先祖はこんな暮らしをしていたのだのだと、おそらく昭和初期の地方はまだその記憶を持っていただろうと思う。
生きるために、村ぐるみの犯罪に手を染める。
おそらく、本当にそういうことはあっただろうと思う。
因果応報とかそんな簡単な話ではなく、それがなければ人を売るしかない、そんなギリギリの暮らし。
方言や感情の共感など一切排除された厳しい文体なのに、一気に -
Posted by ブクログ
ネタバレ現代の価値観からすると、
どうして貧しい村を離れ、たとえば皆が身売りする豊かな隣町へ引っ越さないんだろう?
なぜ口減らしを考えながらも子どもを産むんだろう?
祈祷するとか火を焚く以外に、むしろもっと積極的にお船さまを狙ってみては?
お船さまが来たら船を解体せずそれに乗って航海に出かけられないものだろうか?
村おさの言葉を誰彼疑いなく信じてしまうのはなぜ?
などと色々考えてしまうんだが、それは自分が厳しい暮らしを強いられたことのない現代人だからだろう。
毎日の食事にも事欠く日々を送っていたら、現状を変える気力もないだろうし。
第一ご先祖さまや死者の魂をつなぎ、村を存続させていくことが、彼らの -
Posted by ブクログ
ネタバレ・あらすじ
浮気した妻を刺殺し、間男を刺し、男の実家に放火しその母親を焼死させた罪で無期懲役の判決を受け服役中の菊谷史郎。
25年後に仮釈放され、保護司の指導や援助のもと就職をし、貧しいながらも自立して生活できるようになっていた。
傍目には更生したように見える菊谷だが、25年間の服役生活を送っても心中では未だ己の行為に対して後悔の念は持っていなかった。
そんな男の逃げきれない運命の話。
・感想
えっ……つらっ。
読んで2日ほど経ってるけどまだちょっと引きずってるし、表紙見るだけで陰鬱になる。
吉村先生の作品はこれで6作目なんだけど、今まで読んだ本の中で1番精神を抉られた。
ずーーーっと陰鬱 -
購入済み
教訓
「天災は忘れた頃にやって来る」という言葉がありますが、私も含めて今住んでいる場所にかつてどのような災害が有ったのかを調べて準備していた方は多くなかったのでは無いかと思います。自らの身に降りかからなければ、実感することは出来なかった多くの事。幾度となく繰り返される災害に対し先人は伝えようと石碑等を残していましたが、時が立つにつれてそれを意識する人は少なくなりまた多くの人が同じ様に被害を被る。とても残念なことです。現代は過去よりも映像等も含めて伝えていくことが容易になっているかと思いますが、それをどの様に受け止めて備え、起こった時にどの様な行動をするかで運命が分かれるのではないかと。