吉村昭のレビュー一覧

  • 仮釈放

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    ネタバレ

    ・あらすじ
    浮気した妻を刺殺し、間男を刺し、男の実家に放火しその母親を焼死させた罪で無期懲役の判決を受け服役中の菊谷史郎。
    25年後に仮釈放され、保護司の指導や援助のもと就職をし、貧しいながらも自立して生活できるようになっていた。
    傍目には更生したように見える菊谷だが、25年間の服役生活を送っても心中では未だ己の行為に対して後悔の念は持っていなかった。
    そんな男の逃げきれない運命の話。

    ・感想
    えっ……つらっ。
    読んで2日ほど経ってるけどまだちょっと引きずってるし、表紙見るだけで陰鬱になる。

    吉村先生の作品はこれで6作目なんだけど、今まで読んだ本の中で1番精神を抉られた。
    ずーーーっと陰鬱

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    2025年04月02日
  • 大黒屋光太夫(上)

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    ジョン万次郎のロシア版、といった思いで半ばまで読んでいた。しかし状況は全く異なりらロシア政府の思惑が見え恐ろしい流れに。今の北朝鮮の拉致とも似ている感じもする。
    すぐ下巻を手に取りたくなる一冊です。

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    2025年03月18日
  • 漂流

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    すごくよかった。
    長平が冷静に自分を律して周りを見て考えているからこそ生き延びることができてと思う。

    島と鳥をよく読み間違えてた自分に歳を感じた

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    2025年03月15日
  • 漂流

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    感動です。驚きです。これが江戸時代に本当にあった話とは。物語りは漂流から無人島での苦闘、孤独、帰還と息をつかせません。没頭して一気読みでした。自然しかない中で人間は本当に無力。それなのに、私には無理でしょうが人間はここまで頑張れる。素晴らしい本でした。

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    2025年03月15日
  • 破獄

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    吉村昭さんの小説は本当にハズレがありません。
    綿密な取材や時代考証を経て作り上げられる作品は完全なるノンフィクションと信じて疑わないようなリアリティがあり、そして人間味がありありと描かれています。

    本作の中心人物、佐久間の終始漂う不気味さと、その奥には必ず秘めたる真髄があることをしっかり印象付けて400ページを超える間、まったく飽きさせず、最後に急展開を見せる。
    出来すぎた物語ですが嘘くささを感じさせない。

    この上ない満足度を味わさてくれる吉村作品です。

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    2025年03月10日
  • 破船

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    すごい本でした。柚月裕子さんが手元に置いている本ということで購入しましたが一気に読まされました。少し古い本ですが、客観的でテンポ感のある無駄のない文章がとても読みやすく、感情に流されない描写は小さな貧しい漁村の風景や人々の生活を目の前に甦らせてくれました。流行りの軽いストーリーの本で時間を潰すのも良いですが、このような重厚感のある内容の本は読書をしたという充実感を与えてくれると思いました。しばらく余韻に浸りたいと思います。

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    2025年02月24日
  • 三陸海岸大津波

    購入済み

    教訓

    「天災は忘れた頃にやって来る」という言葉がありますが、私も含めて今住んでいる場所にかつてどのような災害が有ったのかを調べて準備していた方は多くなかったのでは無いかと思います。自らの身に降りかからなければ、実感することは出来なかった多くの事。幾度となく繰り返される災害に対し先人は伝えようと石碑等を残していましたが、時が立つにつれてそれを意識する人は少なくなりまた多くの人が同じ様に被害を被る。とても残念なことです。現代は過去よりも映像等も含めて伝えていくことが容易になっているかと思いますが、それをどの様に受け止めて備え、起こった時にどの様な行動をするかで運命が分かれるのではないかと。

    #タメになる

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    2025年02月24日
  • 高熱隧道

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    黒部第三発電所につながるトンネル(隧道)は岩盤温度165度!
    当時のダイナマイト自然発火温度を50度以上超でもお咎めなし(戦時体制下にあり電力確保は国家命題)の異常な大土木工事を描く。着工から完工までたったの4年間!そりゃ犠牲者は300名以上でますわな。。

    ドキュメンタリーの体裁をとっているが、筆者の卓越した筆力により一気に読ませる。前半と後半で技術者たちを悩ませる内容に大きな変化があるのも魅力のひとつ。

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    2025年02月23日
  • 大本営が震えた日

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    太平洋戦争開戦の時の危機的状況を伝えるドキュメンタリー。上海号墜落、そこには米英蘭を敵に回す軍事作戦の暗号書が持ち込まれていた。電送だけでなく、文書による直接伝達を必須とした日本軍の愚かしさを感じる。真珠湾攻撃に至る場面では、日本の攻撃艦船部隊の隠密行動はほぼ成功していたことが分かった。しかし、宣戦布告の暗号文は米国にいち早く解読されていた。南方戦線での日本軍の先制攻撃を想定した米国は、結果として真珠湾を見殺しにし、「リメンバー・パールハーバー」がプロパガンダとして利用されることを許すことになったのだなぁ。

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    2025年02月22日
  • 少女架刑 吉村昭自選初期短篇集I

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    歴史小説のイメージが強い著者だったが初期にはこのような作品も出されていたのだなと発見。
    初出はいずれも昭和30年前後。7つの「死」の形が、当時の社会的な背景をベースに色濃く描かれている。一言一句が吟味、洗練され、過不足ない文章が心地いい。「服喪の夏」「星と葬列」が好きだった。いずれもまたじっくり読み返したい作品。

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    2025年02月17日
  • 雪の花

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    一生涯を種痘に賭けた一人の町医者。天然痘の流行の前に無力な福井藩の町医者、笠原良策。種痘の存在を知り長崎や京で学び故郷で予防治療に当たるのだが。
    映画化を機会に読んでみた感動作。余計な装飾がなく話のテンポが早いのが良い。
    吉村昭の医学もののジャンルも面白い。書籍、読書習慣が廃れていく中、今でも人気の衰えない稀有な作家。

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    2025年01月27日
  • 事物はじまりの物語

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    ネタバレ

    「解剖」から「万年筆」まで、13の事物について、日本に広まっていった経緯が簡単に解説されています。著者は有名な歴史小説家ですが、自信の想い出が織り交ぜられていて、単なる雑学本ではなく上質なエッセイとして読めます。西洋料理は当初は日本人には不評だったという点と、薩摩藩の西洋式帆船が日本国旗の起源だという俗説を訂正している点が、特に印象に残りました。

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    2025年01月27日
  • 大黒屋光太夫(上)

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    紀州から江戸に向かうはずが嵐に遭い遠くロシアまで漂流した商人、大黒屋光太夫。極寒の地を仲間とともに旅し、ロシア人の支援も受けて帰国を目指す。
    絶望からキリスト教徒に宗旨変えする仲間も出るなか、ひたすら帰国を信じる彼の姿は映画「ショーシャンクの空に」の主人公に重なる。深い教養やロシア語を身につける知性も武器に、細い糸を辿るように帰国への道を切り開いていく。
    吉村昭は華美な形容に走ることなく、淡々と彼らの
    漂流の旅を綴る。過酷な船上生活に極東の凍える寒さ、仲間と生き別れるつらさ…余計な形容を省いた描写が読者の想像をかき立てる。
    自分なら光太夫のように過酷な運命に立ち向かえるだろうか?異国の人々をも

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    2025年01月08日
  • 漂流

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    非常に面白く惹きつけられた一冊。
    ジョン万次郎も難破して辿り着いたのが、同じ「鳥島」だったのを思い出した。
    個人差にもよるが、人間は志と体力、知恵でこごまで生き延びることが出来るのかと感慨深い。
    鳥島でアホウドリが飛来しなくなったらどうなるか怖くなった、自然頼みの命だ。
    長平は人間的に最高の人物、すごい人生だ。

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    2024年12月25日
  • 雪の花

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    天然痘、今のようにワクチン接種などによる予防策がない背景では、種痘するという行為が怖かったと思います。
    ネットもない時代では、口コミのような伝わり方が主で、途絶えさえないことへの執念は素晴らしいことです。
    雪山を越えるシーンは、何とか助かってほしいと願いながら、読みました。
    映画化されるとのことで、楽しみです。

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    2024年12月18日
  • 破獄

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    戦前から戦後の刑務所の設定だが、まるで現代かのように時代を感じさせない。
    刑務官の仕事は大変だ、敬意を持った。
    無期刑囚の佐久間が、彼の持つ頭脳と強靭な体力を犯罪で使わずにいたら、相当優秀な人物として有名になっていただろうと思うと悲しい。
    鈴江府中所長にもっと早く出会えてたら、佐久間は4回も脱獄しなかっただろう。

    引き込まれるように読みふけった1冊でした。

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    2024年12月15日
  • 漂流

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    実際に会った出来事として、信じられないと感じました。人間の生命力に感動しました。人は希望を捨ててはならないという事が、とても大事と感じました。

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    2024年12月14日
  • 闇を裂く道

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    確かに帯にあるとおり『高熱隧道』をしのぐおもしろさ。驚くのは鉄道省と国鉄の人事異動の多さ。こんな大工事してんのに所長や責任者がポンポン代わる。水を失った農民に最後まで向き合った静岡県庁の柏木さんが一番偉かった。

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    2024年12月10日
  • 冬の鷹

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    ネタバレ

    前野良沢、杉田玄白それぞれの特性・性格が反映された人生が描かれており興味深く読んだ。

    良沢の執念、玄白の社交性と統率力。両者どちらが欠けても解体新書は世に出版されることはなかっただろうと思った。
    良沢は玄白の祝いの席にも出席したのに、いくら性格が合わず、後ろめたさがあったとはいえ玄白が良沢の葬儀に行かなかったのは不義理だと感じた。

    個人的に好きな場面は老いて隠棲していた良沢を娘の峰子が迎えに来た場面。冬の鷹とはまさしく前野良沢のことだと思った。

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    2024年11月25日
  • 冬の鷹

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    解体新書の訳者は杉田玄白ではなかった、とこの本の概略について事前情報を得ていたので、杉田玄白はとんでもないやつだった!という内容なのかと思って読んでいたが全く異なっていた。
    私は良沢に共感する心と玄白に共感する心の二面性があり、どちらが自分にとっての幸せが掴める生き方なのだろうかと考えながら読んでいた。

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    2024年10月22日