吉村昭のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ零式戦闘機、通称ゼロ戦。
誕生から戦争の終焉までを描いた本です。
日本でこんなすごい技術があって、
世界を驚愕させたゼロ戦。
アメリカにゼロ戦が徹底的に調べられた後も、
徹底抗戦して立ち向かっていくほどの強さ。
しかし、アメリカに比べて日本の戦闘体制は数が圧倒的に違う。
その中でなんとか日本のためにと出てきたのが、
神風特攻隊。
日本の勝利のために、相手に体当たりしに行く。
胸が詰まる思いです。
改めて日本がすごいと思った本です。
大東亜を自信を持たせたいという気持ちの上の戦争。
ただ、戦争を擁護しているわけではない。
平和な今の日本は、敗戦があってのことで、
ただ、愛国心は持つべ -
Posted by ブクログ
戦争とひと言で言うても人の数だけ戦争体験があるわけで、本書はそれぞれ異なる立場の人が経験した戦争記録5篇が収録されている。
ただ全てにおいて共通しているものがある。みんな悲惨。
日本人同士での裏切り行為の描写があるが、こんな酷いことが出来るのかと思うと同時に、極限状態にはこういうことが起きても不思議ではないよな、とも思う。
だからこそ戦争は起きたらあかんのよ。
タイトルにもなった総員起シの章、潜水艦の中に閉じ込められて9年後に驚く姿で発見されるというエピソードなんやが、知的好奇心も刺激される話で、強烈に印象に残った。
それと同じぐらい印象に残ったのが、剃刀のエピソードのラスト。他人を巻き -
Posted by ブクログ
最近クマのニュースをよく聞くが、Xのコメントで三毛別羆事件を知り本作品を購入。
羆の恐ろしさとこのような事件が起きたのだという事実、その際の被害者の恐怖など色々考えながら読みました。
小説のように描かれており、とても読みやすかったです。事実を描いているのでラストは小説としては少し物足りない感じですが、だからこそ脚色のない、全て実際にあったこととして見ることができ、場面を想像するとかなり恐ろしいです。
八甲田山も読みましたが、本作品と死の貝でWikipedia三大文学と呼ばれているとは知りませんでした。
ぜひ死の貝も読んでみたいと思います。 -
Posted by ブクログ
ぬるい個人主義に浸かりながら、それでも不平不満を言って暮らしている自分の頬を打たれたような。
共同体が優先順位が一番高く、個人の幸せなどそんな概念がない。
誰かのわがままや判断ミスで、共同体自体の存続を危うくするからだ。
僅か数世代前まで、私たちの先祖はこんな暮らしをしていたのだのだと、おそらく昭和初期の地方はまだその記憶を持っていただろうと思う。
生きるために、村ぐるみの犯罪に手を染める。
おそらく、本当にそういうことはあっただろうと思う。
因果応報とかそんな簡単な話ではなく、それがなければ人を売るしかない、そんなギリギリの暮らし。
方言や感情の共感など一切排除された厳しい文体なのに、一気に -
Posted by ブクログ
ネタバレ現代の価値観からすると、
どうして貧しい村を離れ、たとえば皆が身売りする豊かな隣町へ引っ越さないんだろう?
なぜ口減らしを考えながらも子どもを産むんだろう?
祈祷するとか火を焚く以外に、むしろもっと積極的にお船さまを狙ってみては?
お船さまが来たら船を解体せずそれに乗って航海に出かけられないものだろうか?
村おさの言葉を誰彼疑いなく信じてしまうのはなぜ?
などと色々考えてしまうんだが、それは自分が厳しい暮らしを強いられたことのない現代人だからだろう。
毎日の食事にも事欠く日々を送っていたら、現状を変える気力もないだろうし。
第一ご先祖さまや死者の魂をつなぎ、村を存続させていくことが、彼らの