吉村昭のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ大正4年12月に北海道、天塩山脈の麓苫前村六線沢で起こった史実。丹念な取材に基づく臨場感溢れる記述。
寒村を巨大なヒグマが襲う。2日間で6人が食い殺された。ヒグマが人間を喰う、その描写が凄まじい。数十人の村人は恐怖に耐えられず村を出る。近くの村の男たち、警察官が徒党を組んで狩りに向かうが、その巨大なヒグマの気配の前になす術がない。人間が対峙できるものではなかった。
2025年11月、いま毎日ヒグマ、ツキノワグマが里山から街中にまで出没し、人間の生活圏と交わり、多くの被害が発生している。一度人間を襲ったクマがどうなるのか、この本に詳しい。
恐怖でしかない。 -
Posted by ブクログ
淡々とした語り口で、描写も決してくどくないのに、羆による被害の凄惨さ・残酷さや、それと対峙した人々の凍りつくような恐怖が伝わってくる。本当に恐ろしい。
人間社会は自然の世界に地続きで、そこには人間なんて相手にもならない存在がたくさん生きていることを思い出した。この意識は本当はもっとみんなが持っているべきで、適切に恐怖すること、その上で「棲み分け」という形で共生することがクマにとっても人にとっても必要なんだと思った。
大正時代の出来事のノンフィクションドキュメンタリーということで、ちょっと読みづらさを警戒していたけど、すごく読みやすくて驚いた。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ零式戦闘機、通称ゼロ戦。
誕生から戦争の終焉までを描いた本です。
日本でこんなすごい技術があって、
世界を驚愕させたゼロ戦。
アメリカにゼロ戦が徹底的に調べられた後も、
徹底抗戦して立ち向かっていくほどの強さ。
しかし、アメリカに比べて日本の戦闘体制は数が圧倒的に違う。
その中でなんとか日本のためにと出てきたのが、
神風特攻隊。
日本の勝利のために、相手に体当たりしに行く。
胸が詰まる思いです。
改めて日本がすごいと思った本です。
大東亜を自信を持たせたいという気持ちの上の戦争。
ただ、戦争を擁護しているわけではない。
平和な今の日本は、敗戦があってのことで、
ただ、愛国心は持つべ -
Posted by ブクログ
戦争とひと言で言うても人の数だけ戦争体験があるわけで、本書はそれぞれ異なる立場の人が経験した戦争記録5篇が収録されている。
ただ全てにおいて共通しているものがある。みんな悲惨。
日本人同士での裏切り行為の描写があるが、こんな酷いことが出来るのかと思うと同時に、極限状態にはこういうことが起きても不思議ではないよな、とも思う。
だからこそ戦争は起きたらあかんのよ。
タイトルにもなった総員起シの章、潜水艦の中に閉じ込められて9年後に驚く姿で発見されるというエピソードなんやが、知的好奇心も刺激される話で、強烈に印象に残った。
それと同じぐらい印象に残ったのが、剃刀のエピソードのラスト。他人を巻き