吉村昭のレビュー一覧

  • 新装版 海も暮れきる

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    自由律俳句の代表例として「咳をしても一人」があることしか知らないまま読んだ。太宰治もびっくり?の尾崎放哉の生き様もだが、何より作者には放哉と同じ病気の当事者として自分のこれまでの著作の中では「死への激しい恐れ、それによって生じる乱れた言動を私は十分に書くことはせず、筆を曲げ、綺麗ごとに済ませていたことを羞じた(作者あとがきより)」という強い意志があったことに想いを馳せながら一気に読みしてしまった。
    尾崎放哉の残した書簡などの沢山の資料を研究された上での著作(伝記文学)であり、感銘を受けた。初発が講談社のPR雑誌「本」での連載ということにもびっくりした。
    是非小豆島にも行ってみたい。

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    2026年01月21日
  • 漂流

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    江戸時代に無人島に漂流して生還するという。。しかも実話。え?江戸時代にそんなことが!?どうやって生還したんだ?と興味津々で手に取った。

    島鳥(伊豆諸島)という岩だらけの火山島に12年間サバイバル。樹木も湧き水もない。食べるものは貝などやアホウドリ(渡り鳥だから期間限定)のみ。最初の数年間は孤独との闘いでもある。

    いやいやいや、アホウドリを生で食べ続けるとかちょっと無理なんだが・・・生死の選択を迫られたら最初は人間何でもやれそうだが、生への執着がよほどでないと、ここまで長期間がんばれない気がする。まず神経の細い人は生き残れなさそう。現代人は誰でも無理そう。

    その後、何回か同じように漂流して

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    2026年01月16日
  • 仮釈放

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    主人公の幼稚性が垣間見れるように感じた。同じ受刑者で女遊びにも慣れた鈴木から、幼稚なほど真面目な人間だと言われているシーンがある。この主人公は真面目なのでは無く、決まった自分の世界でしか生きることのできない幼稚な人間であると考える。確かに不倫をされる苦しみなどはあるかも知れないが、彼は妻を殺害する時に苦しみや怒りに燃えていたわけでは無く、清冽とした中で殺人を働いている。房内でハエの翅を毟り取り、紐でくくりつけて逃げないようにするシーンはまるで虫を捕まえた幼稚園児のような姿であった。結局のところ彼は幼稚な人間であり、罪を意識することができておらず、自己弁護することに終始している。罪を意識できなけ

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    2026年01月10日
  • 羆嵐

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    1915年.三毛別ヒグマ事件を基にした小説。開拓時代の貧困村を襲った巨大なヒグマと駆除しようとする人々との1週間。人間を餌とみなす熊の執着心が淡々と描かれ恐ろしすぎた。人間を餮る音が耳元で聞こえてくるようだった。なす術のない人間達の切実な思い。リアルで凄い。

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    2026年01月07日
  • 羆嵐

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    ネタバレ

    好きすぎて読み終わりたくなくて、何年もかけて読み終えた。
    北海道の凄まじく厳しい自然環境にしがみつくように生きている村の描写からすでに面白い。
    作中に描かれる熊を前にした恐怖と無力感は、令和の今も変わらないな。

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    2025年12月27日
  • 漂流

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    これが実話なのだから驚きだ

    大昔から鳥島には漂流者が流れ着き、大半の人が亡くなってしまったんだな
    長平たちが仲間の年長者を労い尊厳を守る姿がこんな極限の状態なのにすごい事だなと思う
    究極のサバイバル
    長平の精神力と行動力が凄い
    生きる力が凄かった

    流木を10年以上集めて船を作る
    それがどれほど大変なことが、読んで震えた
    一番怖かったのは、無事故郷の土佐へ帰った長平に1人だけ帰ってきたから冷たくされたり、陰口を言われたり、、、長平の苦労を知ってる読者からすれば悲しい

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    2025年12月20日
  • 羆嵐

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    大好きな作品。何度も読み返しています。
    かなり残虐な描写もありますが。。
    最近の熊被害もあり、昔の話だと思わずに
    今の人にも読んで頂きたい小説です。

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    2025年12月11日
  • 戦艦武蔵

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    ネタバレ

     長崎から棕櫚が消えた。何かが起こっている。冒頭の不気味さ。その棕櫚のすだれに隠された港で造られていたものは。。。
     いやあ、もう悔しいというか怒りというか、時代遅れの巨大戦艦を造るまでの異常なまでの秘密主義に翻弄された人々と、ほとんど成果を上げることなくあえなく海中に沈んだ戦艦の乗組員たちが哀れでなりません。
     それにしても淡々と事実を積み上げてその狂気を描く吉村氏にはますます敬意を払いたい。素晴らしい作家です。現代でこのようなことができるのは。。。。小川哲さんぐらいでしょうか。まだ吉村氏の読んでない作品がたくさんあるので、これからも読んでいきたいです。

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    2025年12月07日
  • 漂流

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    凄かった…
    人も住めないような無人島におよそ12年も生き抜いてとか自分には到底出来そうにないと思った。
    気付いたらずっとページをめくっていたくらい気になってどんどん読むことを止められなかった。
    それくらい面白かった!
    主人公の精神力や行動力、周りを観察する力など学ぶべきところがたくさんあった。
    衣食住が確立していることに感謝したくなる。

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    2025年12月01日
  • 羆嵐

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    え、もう大惨事はじまったん…
    思いの外、事件が起きるのが早い!
    展開のテンポ良さと主人公の存在の曖昧さが余計不安を作りだす、短編ながらも濃厚な作りで吉村先生さすが…と舌を巻く。
    熊の恐ろしさから浮き上がってきたのは、北海道の自然の奥行き、そして立ち向かう人の営みのタフさと脆弱性。

    過疎化地帯が熊の出没を期に森と雪に飲み込まれていく…そんな大いなる自然の流れの一幕のようにも見えた。

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    2025年12月01日
  • 破船

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    ネタバレ

    なんて救いのない物語なんだ。
    海辺の寒村で自ら身売りした父の帰りを待つ10歳前後の伊作。母と下の弟妹たち3人と厳しい暮らしを乗り切るために切り詰めて暮らす様子がなんとも苦しい。父のいない間に村では一人前として扱われるようになり、大人たちの間で共有される秘密を知り、まさに大人の階段を登る。

    しかし、この苦しさが身を切るようでなんとも憂鬱になる物語ではあるのだが、淡々とした文体にどんどん引き込まれ読み進めてしまう。

    吉村昭の本は好きである。

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    2025年11月30日
  • 羆嵐

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    羆の脅威が詳細に書かれた記録文学。
    入植、開拓の厳しさ、土壌の善し悪しに裏付けされる自然の脅威。
    猟師とマタギの違いというか、そういったものがよく分かりました。

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    2025年11月30日
  • 吉村昭の平家物語

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    原文の空気感を残した、簡潔で読みやすい平家物語です。
    時代劇等での義経はイケメン俳優か演じていますが、物語では色白で背が低く、前歯がとくにつきでているとなっています。これが本当の姿でしょう。
    頼朝は、自分が清盛に助けられたために平家を滅ぼすことになった教訓から、平家を根絶やしにします。自分の兄弟までも殺してしまうような猜疑心が強い印象があります。
    最後には頼朝の子孫が味方だったはずの北条氏に殺されてしまうというのは因果応報でしょうか?

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    2025年11月25日
  • 高熱隧道

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    圧倒的な読みごたえと面白さ、学びにあふれていた。
    どこまでが真実なのかはわからない。緻密な取材による確かな骨組みと、その上に乗る人間ドラマ。
    あとがきで登場人物は架空だと語られていた。恐らくそう大差ないやり取りは実際あっただろうし、真面目で極めつくす性分や帰属意識など日本人として共感できる部分も多い。
    厳しく圧倒的な自然への挑戦。泡雪崩ホウナダレという言葉を初めて知った。人間がどうにかできるレベルではない。それでも立ち向かう人々の描写に心を打たれる。
    日々上昇を続ける温度の不気味さの表現も素晴らしい。絶望感が重くのしかかってくる。
    それでも諦めることなく試行錯誤を繰り返す姿勢に感銘を受けた。

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    2025年11月23日
  • 昭和二年生まれの流儀

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    戦争末期の軍隊の悲惨さと、状況が変わった途端に、転向して、あの戦争は軍部がやったと言う文化人などの話を興味深く読む。
    天地が自分のものという主観の拡大、夜郎自大の問題、大割拠という間違い、そして、文民統治すべき背広組自体が金権政治と腐敗に堕落して力をなくし、内部から軍服まがいの背広を育てて自壊したとの由。
    この状況が、戦後80年の今、2025年の政況と符合しているのが恐ろしい。

    何も信じないということ、現場と一次資料に当たるという吉村さんの姿勢は、研究と同じような姿勢だなと思い、信頼できる。

    明治維新以降を批判する一つの史観として英雄豪傑の出てくる司馬遼太郎と、人情、人間を描く池波正太郎と

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    2025年11月16日
  • 破船

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    何この表紙、と思い手に取った初・吉村昭作品
    大当たりでした
    話こそ暗いけれどあまりの緻密さに驚く
    船を見ると、あ、お船様、、と心の中で出てくるようになってしまった、、笑

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    2025年11月16日
  • 長英逃亡(下)

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    もったいないの一言。
    時代が違えば。
    色々な人に支えられた逃亡生活も、何の信念も感じない関係から破綻する。

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    2025年11月10日
  • 雪の花

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    こんな人がいたことを知っておくことは大事だと思い読みました。最初からすごく意識や理想の高い医者ではなかったのがリアルな印象。きっかけや出会いがいかに大切なことかを再認識しました。諦めないことの重要さも。

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    2025年10月15日
  • 殉国 陸軍二等兵比嘉真一

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    ほんの80年前に実際に沖縄であったこと。もし自分があの時代の中学生だったら、…
    時代が常識を創り、思想を創り、正義を創る。
    蛆と虱と蝿にまみれた死体の山。それを踏んで進むのが戦争か。

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    2025年09月27日
  • 雪の花

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    先に映画を観ました。いつの時代も役人ってのは…といいつつ、一般の人にも受け入れられなかったわけで、なかなか信用するのは難しいか。本当を見極められる力を身に着けたい。

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    2025年09月27日