吉村昭のレビュー一覧

  • 漂流

    Posted by ブクログ

    壮絶な体験の中における、意志の強さ、覚悟、リーダーシップ、学習能力。対比して人の弱さも赤裸々に記載され、学びが深い。

    0
    2025年09月06日
  • 零式戦闘機

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    零式戦闘機、通称ゼロ戦。
    誕生から戦争の終焉までを描いた本です。

    日本でこんなすごい技術があって、
    世界を驚愕させたゼロ戦。

    アメリカにゼロ戦が徹底的に調べられた後も、
    徹底抗戦して立ち向かっていくほどの強さ。

    しかし、アメリカに比べて日本の戦闘体制は数が圧倒的に違う。

    その中でなんとか日本のためにと出てきたのが、
    神風特攻隊。
    日本の勝利のために、相手に体当たりしに行く。
    胸が詰まる思いです。

    改めて日本がすごいと思った本です。
    大東亜を自信を持たせたいという気持ちの上の戦争。
    ただ、戦争を擁護しているわけではない。

    平和な今の日本は、敗戦があってのことで、
    ただ、愛国心は持つべ

    0
    2025年09月05日
  • 羆嵐

    Posted by ブクログ

    ★★★★★作り物では味わえない圧倒的なリアルが恐怖を増し、読む手が止まらず一気にページをめくった。あぁ怖い。しばらく田舎の山間部の実家、おそらく熊の生息はない地域ではあるが、怖くて夜は外に出られなさそう。北海道の羆怖い

    0
    2025年08月30日
  • 破獄

    Posted by ブクログ


    4回の脱獄王の物語でした。
    読んでいると、なぜ脱獄を繰り返したのかが気になる所でした。
    戦中と終戦直後の刑務所のリアルな部分(看守不足や食糧不足、司法、GHQ等)に突っ込んで居て面白いと思いました。

    看守が佐久間との心理戦において葛藤するシーンが多く、巧妙な脱獄方法と佐久間の体力には目を見張るものがありました。
    佐久間の物語終盤の心情の変化に感動しました。

    全体的に丁寧に描写されていて良かったです。

    0
    2025年08月24日
  • 関東大震災

    Posted by ブクログ

    地震後の火災による二次災害が被害を拡大しました。
    デマによる朝鮮人の虐殺は集団心理のなせることで、あってはならない恥ずべきことです。
    SNSによる拡散にも注意が必要ですね。

    0
    2025年08月17日
  • 総員起シ

    Posted by ブクログ

    戦争とひと言で言うても人の数だけ戦争体験があるわけで、本書はそれぞれ異なる立場の人が経験した戦争記録5篇が収録されている。
    ただ全てにおいて共通しているものがある。みんな悲惨。

    日本人同士での裏切り行為の描写があるが、こんな酷いことが出来るのかと思うと同時に、極限状態にはこういうことが起きても不思議ではないよな、とも思う。
    だからこそ戦争は起きたらあかんのよ。

    タイトルにもなった総員起シの章、潜水艦の中に閉じ込められて9年後に驚く姿で発見されるというエピソードなんやが、知的好奇心も刺激される話で、強烈に印象に残った。

    それと同じぐらい印象に残ったのが、剃刀のエピソードのラスト。他人を巻き

    0
    2025年08月15日
  • 羆嵐

    Posted by ブクログ

    最近クマのニュースをよく聞くが、Xのコメントで三毛別羆事件を知り本作品を購入。
    羆の恐ろしさとこのような事件が起きたのだという事実、その際の被害者の恐怖など色々考えながら読みました。
    小説のように描かれており、とても読みやすかったです。事実を描いているのでラストは小説としては少し物足りない感じですが、だからこそ脚色のない、全て実際にあったこととして見ることができ、場面を想像するとかなり恐ろしいです。
    八甲田山も読みましたが、本作品と死の貝でWikipedia三大文学と呼ばれているとは知りませんでした。
    ぜひ死の貝も読んでみたいと思います。

    0
    2025年08月09日
  • 破獄

    Posted by ブクログ

    四度の脱獄をした囚人の英雄譚だと思っていたが、そうではなかった。
    戦中戦後という時代に翻弄され困難な状況にも関わらず、脱獄囚を通じて、法と秩序を守る看守や刑務所長が、社会秩序のために奔走する話だった。 
    網走刑務所は、北海道の極寒の立地上、逃亡するのは難しいにも関わらず、脱獄する囚人。そして、その過酷な刑務所が、戦中戦後の食糧事情において、ほかの刑務所と比べ格段に良かったという点。感慨深い。

    0
    2025年08月05日
  • 島抜け

    Posted by ブクログ

    短編3話であるがどれも印象深く、面白かった。
    「島抜け」の主人公講釈師・瑞龍。
    殺人や強盗でない類の罪状で遠島刑になってしまうのかと気の毒に思った、才能がもったいない。
    逃亡中の様子が鮮明に想像でき、緊張感を与えられた。最後は刑が軽くならないかなと期待したがあっけなかった。

    0
    2025年08月01日
  • 漂流

    Posted by ブクログ

    これが実話だと思うと気が遠くなってきます。
    生き延びる力、自分には皆無だなぁと思いつつ
    ページを繰る手が止まらなくなりました。

    0
    2025年07月23日
  • 関東大震災

    Posted by ブクログ

    この★5は面白いという意味ではない。極限状態の人間について知れるという意味で読む価値は十分にある。人間の残虐性、自然の残酷さなど知りたくないことを触れる機会となり気持ちの滅入る読書だった。

    0
    2025年07月03日
  • 漂流

    Posted by ブクログ

    作品は素晴らしい!人間って、ここまでできるのか…と圧倒され、胸を打たれた。
    ただし――おい、新潮文庫!事実に基づくドキュメンタリー小説とはいえ、背表紙のあらすじで全部ネタバレするのはやめてくれ。たしかに、生還したからこそ話が伝わってるわけだけど、そこは読者の想像に委ねてくれよ…
    と言うわけで、これから読む人は、カバーでもつけて、背表紙は見ずに読み進めることをオススメします。

    0
    2025年06月27日
  • 高熱隧道

    Posted by ブクログ

    人間の侵入を拒んできた黒部峡谷に、ダムを建設するために、人間が自然に立ち向かう話である。また同時に、隧道を作るという強い意志を持った技術者と、高い賃金のために命の危険を省みず働く人夫の話でもある。黒部宇奈月キャニオンルートのツアーに参加して、その歴史を肌で実感したい。

    0
    2025年06月27日
  • 破船

    Posted by ブクログ

    ぬるい個人主義に浸かりながら、それでも不平不満を言って暮らしている自分の頬を打たれたような。
    共同体が優先順位が一番高く、個人の幸せなどそんな概念がない。
    誰かのわがままや判断ミスで、共同体自体の存続を危うくするからだ。
    僅か数世代前まで、私たちの先祖はこんな暮らしをしていたのだのだと、おそらく昭和初期の地方はまだその記憶を持っていただろうと思う。
    生きるために、村ぐるみの犯罪に手を染める。
    おそらく、本当にそういうことはあっただろうと思う。
    因果応報とかそんな簡単な話ではなく、それがなければ人を売るしかない、そんなギリギリの暮らし。
    方言や感情の共感など一切排除された厳しい文体なのに、一気に

    0
    2025年06月22日
  • 破船

    Posted by ブクログ

    小説にこんなに引き込まれるのはいつぶりかってくらい、すごい文章だった。
    作物もろくに育たない厳しい環境で、たった十七戸で身を寄せ合い破船がもたらす恵を待ち望む小さな漁村の密かな風習と事件。身を切るような貧しさが、鮮やかに心に斬り込んでくるようだった。

    0
    2025年06月19日
  • 新装版 白い航跡(下)

    Posted by ブクログ

    またも面白くて一気読み。
    脚気予防には海軍医高木兼寛が推奨する麦食、陸軍医と帝国大学医学部が推奨する米食の戦いが下巻の主なストーリー。
    麦食にして脚気病者をほぼ皆無にした海軍実績があるのに、ドイツ医学を重んじるあまり大量の病死者を出し続けてる陸軍に腹立たしくなった。その意地に犠牲となった兵士が気の毒でならない。
    高木兼寛の晩年は呪われてるのかと思うほど悲しい。

    0
    2025年06月08日
  • 新装版 白い航跡(上)

    Posted by ブクログ

    主人公の高木兼寛。
    幸運もあったと思うが優秀で、立身出世の展開が面白く短時間で読み終えた。
    明治維新で世の中の常識、様式がガラッと変わり、それは多方面で衝突も多かっただろうと思う。
    藩政政治が終わり、身分関係なく優秀な者が台頭できるようになったのは素晴らしい、今の日本の政治もガラッと変わればいいのにと思う。
    下巻が楽しみだ

    0
    2025年05月26日
  • 破船

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    現代の価値観からすると、

    どうして貧しい村を離れ、たとえば皆が身売りする豊かな隣町へ引っ越さないんだろう?
    なぜ口減らしを考えながらも子どもを産むんだろう?
    祈祷するとか火を焚く以外に、むしろもっと積極的にお船さまを狙ってみては?
    お船さまが来たら船を解体せずそれに乗って航海に出かけられないものだろうか?
    村おさの言葉を誰彼疑いなく信じてしまうのはなぜ?

    などと色々考えてしまうんだが、それは自分が厳しい暮らしを強いられたことのない現代人だからだろう。
    毎日の食事にも事欠く日々を送っていたら、現状を変える気力もないだろうし。
    第一ご先祖さまや死者の魂をつなぎ、村を存続させていくことが、彼らの

    0
    2025年05月25日
  • 漂流

    Posted by ブクログ

    実話を基にしているとのことで、主人公の生き方も興味深いが、読みものとしても飄々とした文体でとても面白い。

    0
    2025年05月21日
  • 破獄

    Posted by ブクログ

    首都圏を環状に回る武蔵野線。始発を出て次の駅。府中街道を北へと歩けば、高く聳える壁が右手に見える。その向こうで、かつての脱獄王が懲役を果たした。青森、秋田、網走、札幌と、手錠足枷もろともせず、難攻不落の獄舎を抜け出した。中にいれば食いはぐれはない。外に出れば、食うにも困る。雨風凌げる屋根も壁もない。猛獣も棲息する地域。襲われる恐怖。それでも、逃げることに執念を燃やした。何を思い、何故最後は止めたのか?戦前から戦中、戦後へと、受刑する側もさせる側も、時代に翻弄されながら、厳しさから暖かさへと変わって行った。

    0
    2025年04月23日