吉村昭のレビュー一覧

  • 殉国 陸軍二等兵比嘉真一

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    ネタバレ

    当たり前のように、国のために死んでいく者たち。
    そんな嘘のような時代が、日本にも確かにあった。
    考えられないという言葉しか出てこない。
    本書は、戦争の凄まじさを如実に物語っている。

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    2020年09月09日
  • 長英逃亡(下)

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    いやが上にも、緊迫感の増した下巻。
    家族のために、逃亡を続ける高野長英。
    長英を逃亡させた、汚名を回復するために必死な幕府。
    遂に、決着が見られる。
    過酷な逃亡を、克明に記した大力作。

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    2020年09月05日
  • 長英逃亡(上)

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    吉村昭が描く、逃亡物語は、本当に息が詰まるような緊迫感で、リアリティがすごい。
    どんな取材をすれば、ここまで迫真迫る物語が描けるのだろうか。
    他にも、逃亡を描いた物語にも当てはまる。
    物語にグッと引き込まれてしまう。

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    2020年08月31日
  • 殉国 陸軍二等兵比嘉真一

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    1945年8月15日の終戦の日から75年が過ぎた。
    同年6月23日は沖縄戦終結の日。
    例によって吉村昭氏の徹底した取材に基づく「鉄血勤皇隊 比嘉真一陸軍二等兵 わずか14歳」の物語。70年以上前の沖縄戦という史実を知るという意味において、日本人として読むべき小説と言っても良いのではないかと思いました。

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    2020年08月30日
  • 三陸海岸大津波

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    否応なく、押し寄せてくる自然の恐怖。
    人は、自然災害に対して、どう向かい合わなければならないのか。
    圧倒的な筆力、綿密な取材により、まざまざと見せられた大自然の恐怖。
    体験した者でなければ、分からない恐怖が、脳内で迫ってくる。

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    2020年08月29日
  • 星への旅

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    昔読んだ漫画の中にモチーフとして登場していて、ずっと印象に残っていたが読むのが怖いような気がして保留にしたままになっていた。数十年の時を経てやっと購入。死をテーマにした中短編集で、思っていた通り暗い雰囲気に包まれた作品たちだけど、描写は素晴らしく美しい。透き通るような骨標本や暗闇に星が瞬く場面が頭の中で鮮明に映像化される感覚になる。ジャンルはかなり違うけどその感覚は宮澤賢治を読んだときに感じたものと重なる。これが戦時中を生きた人の死生観なのか。高校時代、現国の先生が太宰治の「人間失格」を評して〝精神的に参っているときに読むとヤバい〟と言ってたけど、この作品もどこかメルヘンめいた世界に引き込まれ

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    2020年08月29日
  • 高熱隧道

    ネタバレ 購入済み

    目を離せない展開

    作者の徹底した現実感の表現は、どの作品でも心を捉えて離さない。関係が薄いのではないかと訝るプロローグが物語の大きな問題と深く関わってきたり、物語の中では些細な出来事に過ぎないのではと思っていると、皮肉なエピローグにつながったり。単なる事実の羅列のように見えながら、小説としての構成の見事さもその一因かと。

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    2020年10月20日
  • 戦艦武蔵

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    ネタバレ


    ノンフィクションを読みたいと言ってた
    Fの常連さんに、吉村昭をお勧めしたら
    どハマりしてるようだったので

    私も久々に、ご相伴にあずかろうかと 笑

    速筆の吉村氏、とにかく著作が多い
    もう既に、他界されてるので
    これ以上、増えることは無いにしても
    制覇するには、気が遠くなるなぁー (^-^;

    しかし、好きな作家のデビュー作は
    しっかりと押さえて置かないとね


    学生時代からの短編や
    同人誌などを含めたら、ちょっと違ってきますが…

    「記録小説」というジャンルを確立させたという意味では
    本書は、デビュー作と言っても過言ではないようです



    日本帝国海軍からの極秘依頼で
    三菱重工長崎造船所で

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    2020年08月22日
  • 零式戦闘機

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    ネタバレ


    随分前に、柳田邦男の「零戦燃ゆ」を読んで
    全6巻という、あまりにも長くて難しい作品だったため
    太平洋戦争モノでも
    零戦関係は、もういいかなぁーと思ってたところ

    吉村昭の『戦艦武蔵』を読んでしまったからには
    零戦も避けては通れないよなぁーと 笑

    吉村先生なら、きっと
    違う切り口だろうと、期待を込めて…


    三菱名古屋航空機製作所で
    初めて、艦上戦闘機が制作されたのは
    大正十年十月

    国産の航空機は存在せず
    機体、発動機と共に
    外国製航空機を輸入していた

    その後も、外国機の制作権を入手して
    外国人技師を招聘
    その技術指導の元に
    設計製作に従事していたに過ぎなかった


    日本の造船技術が

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    2020年08月22日
  • 新装版 赤い人

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    ゴールデンカムイに影響されて読むことにした。
    北海道開拓の多くの部分が囚人によって行われていたこと、囚人には、凶悪犯だけでなく、佐賀の乱、萩の乱、神風連の乱、西南戦争といった士族の反乱者・秩父事件などの自由民権運動の激化事件の参加者たちもいたこと、初めて知った。

    自由民権運動の闘志が結構収監されてるの、知らなかったな。

    「日本の民主主義は戦後、アメリカの占領軍によってもたらされたもので、人民が勝ち取ったものじゃ無いからありがたみが染み付いてない」
    っていう言説をよく見るけど、明治から昭和にかけての自由民権運動について知れば知るほど、そんなこと言えちゃうのは悲しいなと思う。

    秩父事件、とか

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    2020年07月26日
  • 桜田門外ノ変(上)

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    この作品は、何度読んでも、リアリティ迫る描写で手に汗握り読んでしまう。
    この頃の日本や水戸藩の情勢、政治的背景など、綿密に分かりやすく描かれているので、頭の中で整理しやすい。
    名作中の名作だと思う。

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    2020年06月13日
  • 桜田門外ノ変(上)

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    ☆☆☆2020年5月レビュー☆☆☆



    桜田門外の変にいたる時代背景や、政治力学に焦点をあてた上巻。圧巻の下巻へとつながる足掛かりだ。
    水戸藩の守旧派である谷田部兄弟の捕縛から物語は始まる。
    急進派、関鉄之助を中心にこの物語は描かれる。


    藩主・斉昭の盛衰から、ペリー来航、井伊直弼の登場と、この巻は歴史を知るうえで欠かせない。


    吉村氏の作品は『生麦事件』も面白かったが、この作品も負けず劣らず。何度でも読みたい。

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    2020年05月18日
  • 桜田門外ノ変(下)

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    ☆☆☆2020年5月レビュー☆☆☆



    非常に緊迫感の伝わってくる内容だった。
    桜田門外の変、歴史を揺るがしたその時間が遂に起きる。
    雪の中を、井伊直弼の行列に迫る水戸藩士たち。
    P70~120ぐらいの、決行決定から井伊を斃すまでの展開は、本当に手に汗握る。自分がその場にいるような感覚に陥る。


    そして、桜田門外の変のその後。
    高橋、金子といった事変の主導者が次々と切腹、投獄の憂き目に。薩摩藩との連携は失敗。
    桜田門外の変は確かに歴史を動かしたが、当の実行者には悲劇をもたらした。関鉄之助の逃避行。ここまで調べたか、作者の力量に恐れ入る。

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    2020年05月18日
  • 生麦事件(上)

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    生麦事件が起こった,としか日本史では習わないが,この事件こそが近代日本になるべく薩摩藩を押し進めた最大の要因とも言える一大事であり,あまりに面白く,手に汗握る展開で2冊を一気に読み終えてしまう.

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    2020年05月01日
  • 魚影の群れ

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    さすがだ

    淡々と事実だけを追った筆致だからこそ人間の深い哀しい業を感じる。これだけ読み手を惹きつける文章力はすごいと思う。最近の添加物だらけの文章を書く作家の方に一度是非読んで欲しい。偉そうにすみません。

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    2020年04月26日
  • 羆嵐

    購入済み

    銀四郎おやじ

    三毛別のヒグマ襲撃事件の事はテレビやウィキペディアで知り、興味を持ったのでこの本を読んでみた。他のレビューにもあるとうり、確かにヒグマ怖えなあと思ったけれど、その怖さは他のメディアで見聞きしたときの方が怖かった。それはこの本がヒグマの怖さを誇張することなく表現しているからだと思う。そこに住む人々の暮らしや、集団の弱さみたいなものを意識しながら読んでいた。何より銀四郎おやじの存在感たるや、ヒグマ以上じゃないかと思う。

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    2020年04月11日
  • 海の史劇

    購入済み

    海の史劇について

    私は戦史 軍艦 艦船模型が好きで、もう長いことやっています。この本は吉村昭の代表作の1冊です。「戦艦武蔵」も読みました。
    吉村さんの知識には脱帽です。まだ半分も読んでいませんが、楽しく読んでいます。日本海海戦での日露の戦い、内容は知ってるが読みやすいです。

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    2020年03月27日
  • 長英逃亡(下)

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    上巻に引き続き高野長英の逃避行。発覚した場合自分の家が没落するという大きな危険を孕みながらもこれだけの人々にゆく先々で助けられる姿や、薩摩藩・宇和島藩等までも協力する様子を見て高野長英という男が只者ではないことを再認識させられた。先見の明があり、学のあるものはどの時代も国からは恐れられる存在である。長英も例外なくその1人であるが、この人物が果たして明治維新後も生きていたとしたら日本にどのような影響を与えただろうか、そんなことを考えるととても惜しいことをしたような思いになる。
    歴史の教科書では決して語られない詳細の記述により、まるで自分も共に逃避行しているかのようなスリリングな描写に読む手がとま

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    2020年03月24日
  • 長英逃亡(上)

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    現代に比べてSNSやインターネットなどの情報拡散ツールが圧倒的に少ないのに、各藩の村人たちの結束力や幕府の徹底した捜索により現代より遥かに逃げ延びるのが困難な世界で行く先々で多くの人に協力してもらいながら間一髪で逃げ延びる高野長英。
    歴史の授業では「蛮社の獄で捕らえられたが牢屋に放火して脱獄、後に捕らえられて自殺」程度しか教わらなかったので詳しい背景が分かりとても面白い。下巻も楽しみ。

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    2020年03月13日
  • 仮釈放

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    最初から最後まで、なんとも言えない鬱々とした気分で、読み進みました。どうなるんだろう、どうなるんだろうとドキドキします。仮釈放された主人公の不安がヒシヒシと伝わってきます。私自身、主人公とは少し違いますが若い頃、夜逃げの経験があり、世間の目を気にしながら生きていた時期があり胸が痛みました。人間の心の奥に潜んでいる感情、説明することが困難な部分を考えさせてくれる作品です。

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    2020年01月15日