吉村昭のレビュー一覧
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閉じた世界の恐ろしさ
狭い世界に閉ざされた人々にとって、長年培われた常識は絶対のもの。とはいえ、外の常識とここまでかけ離れてしまうものか。それでいて、外との繋がりは捨てきれない、人の性が恐ろしく、そして悲しい。
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ネタバレ「日本史上最後の仇討はいつだったと思いますか?」と訊かれたら、歴史好きならわくわくするだろう。明治13年12月17日、臼井六郎という青年が幕末に秋月藩の内部抗争で殺された両親の仇を討ち果たしたのが最後だといわれている。
六郎の父・臼井亘理は佐幕派であったが、国内の情勢を鑑みて勤皇派に転じて藩士たちの怒りを買い、干城隊という一派に寝込みを襲われて妻ともども惨殺された。当時六郎は11歳。成人するまで仇討への思いを胸に秘め、やがて上京して幕末の剣豪・山岡鉄舟に師事しながら両親殺害の実行犯である一瀬直久と萩谷伝之進の行方を捜し求め、ついに一瀬が東京で裁判所判事になっていることを突き止める。同郷の人 -
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吉村昭氏の作品にはまっている。たまたま手にとったものだが衝撃的だった。貴重な資料であった。こんなものがあったことをしらなかった自分が恥ずかしいほどだ。東日本大震災の津波の記憶がまだ生々しく残っているが、三陸地方は明治29年、昭和8年、35年と津波に遭っている。大漁、干潮、井戸水が干上がる、沖での閃光と爆弾のような音がその前兆だと。泥に埋まっている行方不明者を探す時に死体から脂がでるので水を撒くと脂が浮き出たところで見つける、とか。衝撃的な文が続く。東海沖での地震の不安が増す今、絶対読んでおくべき本だ。これだけの資料をまとめられた吉村氏に感謝しかない。
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祈り届かず
筆者は祈りにも似た気持ちで、連綿と続いてきた防災意識が人々を守ってくれると信じていたのだろう。しかし現実には、その象徴である田老町の防潮堤をあざ笑うかのように、津波は遙か上を越えていった。期せずして、筆者の詳細な記録が平成の大震災の恐ろしさを際立たせる結果となっていることが、唯々つらい。
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見えない圧倒的恐怖
普段は姿を見せない圧倒的な力ほど、恐ろしいものはない。筆者が描く津波や吹雪然り、この作品の羆も恐ろしいことこの上ない。ゴジラで描かれているような、人の行為に対する自然界からの戒めといったテーマも読み取れる。
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手に汗握る
時代も場所もかけ離れ、歴史上の偉人の出来事でありながら、目の前で繰り広げられているかのような緊迫感を醸し出す。筆者の作品はいつも一気に読み切ってしまう。
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昔読んだ漫画の中にモチーフとして登場していて、ずっと印象に残っていたが読むのが怖いような気がして保留にしたままになっていた。数十年の時を経てやっと購入。死をテーマにした中短編集で、思っていた通り暗い雰囲気に包まれた作品たちだけど、描写は素晴らしく美しい。透き通るような骨標本や暗闇に星が瞬く場面が頭の中で鮮明に映像化される感覚になる。ジャンルはかなり違うけどその感覚は宮澤賢治を読んだときに感じたものと重なる。これが戦時中を生きた人の死生観なのか。高校時代、現国の先生が太宰治の「人間失格」を評して〝精神的に参っているときに読むとヤバい〟と言ってたけど、この作品もどこかメルヘンめいた世界に引き込まれ
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ネタバレ 購入済み
目を離せない展開
作者の徹底した現実感の表現は、どの作品でも心を捉えて離さない。関係が薄いのではないかと訝るプロローグが物語の大きな問題と深く関わってきたり、物語の中では些細な出来事に過ぎないのではと思っていると、皮肉なエピローグにつながったり。単なる事実の羅列のように見えながら、小説としての構成の見事さもその一因かと。