有栖川有栖のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
旅行の飛行機で読もうと買ったホラーアンソロジー。
飛行機では結局1話目しか読まなかったけど、それ以降少しずつ読み進めた。
いろんなタイプの話が入ってて楽しかった。お得感。
特に印象的だったのは北沢陶さんの「お家さん」と恩田陸さんの「車窓」
お家さんは、大正時代に大阪の商家へ丁稚奉公する少年のお話。
時代や言葉が相まってすごく雰囲気があったし、ラストも恐ろしくて好き…
こういう作品もっと読んでみたい!
車窓は、新幹線から見える看板のお話。
少ないページなのにすごく引き込まれた。
ラストはいろんな解釈ができそう。
いろんな作家さんのお話読みたい欲でアンソロジー何冊か買っちゃったけど、読むペースが追いつかず、増えてく積読本…
仕事納めもまだだけど、何を読んで年を越そうか考えるのがわくわく。 -
Posted by ブクログ
「火村シリーズ」第2作目。
ダリの繭って何?と想像つかないタイトルだけど、読み終わった後にはこのタイトル以外は考えられない。
謎が一つずつ解けていく面白さの他にも、「サルバドール・ダリの生涯」や「繭」という要素も絡まって、深みを感じた。
ミステリに別の要素を混ぜる時の混ぜ方が本当に巧みで、そこがとても好き。
人それぞれに「繭」がある。
自分の繭は何だろうと考えると、やっぱり読書かもしれない。
読書メモに残したいフレーズも多かった。
“共感できなくても、理解は可能でありたい”
自分も共感できないからといって突き放すのではなく、理解はするようにしたい。
今回の火村とアリスは、どことなくBLっぽさを感じてしまったのは気のせいかな……。
調べてみると、この作品はやはりその界隈のファンに人気があるとか、ないとか…^^;
ダリといえば「溶ける時計」の印象しかなかったけど、妻ガラのことや、手がけた宝石についても知ることができて、とても興味深かった。
強烈なエピソードを知るほどに、ダリ作品展に行ってみたくなる。
この作品と直接は関係ないけど、あの「チュッパチャプス」のロゴデザインもダリだったとは驚いた。 -
Posted by ブクログ
『ABCキラー』
クリスティの『ABC殺人事件』へのオマージュ作。
頭文字Aの地名でAのイニシャルの人物が殺され、次はB、Cへ…
もし実際にこんな事件が起きて、自分の名前が次のアルファベットに該当していたら、怖くて外を歩けない…。
事件がすでに終わったABのような「標的にならない人」と、それ以降の頭文字の「これから起こるかもしれない人」。
そこに生まれる「あがった人」と「これからの人」という区別が、人の心理としてとても生々しい。
自分が「あがった人」側だったら、ついどこか安心してしまう気持ちもわかる…
本家の『ABC殺人事件』も改めて読み返したくなった。
『モロッコ水晶の謎』
あとがきの「ありそうでない、なさそうである」という言葉が妙に納得した。
結末だけを見ると好みが分かれそうな作品。
読んですぐは「それはないんじゃ…」と思うけど、じっくりよく考えると「なくはないか…」と思えてくる。
完璧なトリックや、『ペルシャ猫』のような番外編、本作のような変化球のような作品も、いろんな味があるのも国名シリーズの面白いところだと勝手に思っている。
Audibleにて。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ前から気になっていたアリスシリーズ。まさか作家アリスと学生アリスで二つも(しかも別世界の)シリーズがあるとは思わなかったが……ともかく作家アリスシリーズ一作目「46番目の密室」を読み終わったのでと同シリーズのこちらの作品を手に取ってみた。シリーズ刊行順に読んだ方がいいかと思ったのだが、なんとシリーズが同じでも出版社が違うしそれが刊行順とも連動してない様子。内容的にも単巻独立で特にどこから読んでも支障が無さそうなので、とりあえず手に入ったものから読んでいくことにした。
前回の46番目の密室でも思ったが、正直言ってトリックや構成に目新しいものは見られない。いかにも本格推理と言った感じで奇抜な発想や超現実的なトリックなどが組まれる訳もなく、展開も現実社会に即した抑制の効いたもので、失礼な物言いだが地味ではある。
だが、アリスシリーズの妙味はセリフ回しにあるのではないか。2作シリーズを読んだだけで語るのもにわか過ぎて烏滸がましいが、それでもこれが素直な感想だった。
とにかくセリフがオシャレなのだ。「人はどうしてミステリー小説に惹かれるのか、更になぜそれはほとんどが殺人事件なのか」と登場人物たちが話すシーンでは唸ってしまった。死体は語らない。自分が誰に殺されたのだ、無念だなどと言いはしない。しかし殺人事件を取り扱うミステリー小説では、その死体に語らせようとする。探偵が死体の声なき声を聞き謎を解き明かす。「語らないものに語らせること」その興趣に人々は惹かれるーーあまりにもロマンチックすぎる。ミステリー作家の書くセリフすぎると思う。ミステリーを愛しすぎ、ミステリとはなにか、謎とはなにか、探偵とはなにか、そんなことを日々考えている人間でなければこんなセリフは出てこない。
本作にはこれ以外にもあまりにもオシャレな台詞回しが多すぎる。個人的にはラストに語られる犯人の動機が一番おしゃれだった。どうして彼がこんなことをしたのか。人をそこまで追い詰める動機というものをここまでロマンチックに描写してしまっていいのかと戸惑いすら覚えた。語らぬ死体に語らせるノスタルジーがミステリの本懐なら、語らぬ犯人に語らせるのもまた同じなのかもしれない。
上述のとおり、正直なところ本作にあからさまに目を引く派手さはない。しかし読めば読むほど染み出す滋味のような良さがある。読み終わってからじんわり体に広がっていく「良い本読んだな」という確かな実感がある。有栖川有栖のミステリへの愛とキャラクターたちの瀟洒な掛け合いに浸りたい時はオススメの1冊だ。 -
Posted by ブクログ
完全には閉ざされてないけど、人里離れた雪山の山荘というクローズドサークル!
この閉塞感の中で進むミステリーがたまらなく好き。
館・雪・「あなたが犯人です!」という大好物三拍子が揃った、王道の本格ミステリー。
スウェーデン館に住む、あざらしのような体型の童話作家と美しいスウェーデン人の妻ヴェロニカとその両親。
さらにはペンションのオーナー家族に他の招待客たち。
自分はトリックに重きを置かないので、彼らのどこか訳ありの空気と会話だけで、事件が起きなくてもずっと読んでいたいと思った。
今回は火村の登場はだいぶ後になってから。
火村は子どもへの接し方も優しくて魅力的。
どこまで完璧なんだと思っていたら、 過去に何かあったような匂わせが気になる。
アリスの電話1本で風のように駆けつける火村。言葉にはしないけど、お互いに深く信頼しているのが伝わってきて、このコンビを読むのはまだ2作目なのに、もう2人のことが好きになっている。
「スウェーデンでは子供と同居することがない。滅多にないではなく、全くない。」
というスウェーデンの自由な個人主義の老後の考え方など、文化の違いの話も興味深かった。
次は発行順に『ロシア紅茶の謎』を読む予定。
Audibleにて。