浅田次郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレいつの間にか浅田次郎が「好きな作家」になっていた(笑)。
さて、シリーズ第4弾。当初10歳前後の小僧っ子だった“天切り松”も、はや20代の後半。親分、兄貴たちもそれぞれ歳を重ねているのも、趣がある。
今回は、太平洋戦争にひた走る軍部の闇が、市井の人々の目にどう映っているのか、“先の大戦”やら“日露戦役”等の戦争を経験している者たちが、破滅に向かって突き進む日本に憤る様にページを多く費やされていた。
タイムリーにも、船戸与一が同じ時代を描いた長編を読んでいる最中だったため、歴史に疎い自分にも時代背景がよく見えてきて、読みやすかった。
★3つ、7ポイント半。
2018.05.03.古。
相沢事件や二二六事件等、軍部周辺では非常におかしな空気が充満している日本。大陸では(前述の)「満州国演義」に描かれるような謀略が行き交うきな臭いことこの上ない時代。
政治の思惑を振りかざし軍部の内でも権力闘争や武力行使が日常茶飯事で・・・・、支那の大地では不毛な作戦に投じられた若い命が無残に散る・・・。
その同じ時代の東京。銀座・丸の内などでは「モダンガール」や「モダンボーイ」が横文字で洒落た言葉を交わしつつ優雅な都会生活を営む・・・・。
(この作品はもちろんフィクションであるが)
それらの世相の対比は決してフィクションではなく、当時の日本のリアルであるという点が、なんともかんともやるせない。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ光と影、太陽と月が陽と陰をなし、お話は自分の幸せは自分が決めるって感じでハッピーエンドなんだけれども…。
後半はルイ14世とその認知されなかった息子さんの創話がメインになっちゃって、ツアーに参加した人生いろいろの陰と陽の方々の交流が「みんなでラスベガスにリゾートを作るぞ!」で簡単に終わっちゃったのが残念。
浅田さんだったら、もっと彼らの心の交流を機微に至るまで描けただろうに…。
ルイ14世時代の話はアレクランドル・デュマさんに任せて、そっちをメインに描いて欲しかったな~。
らじのなかでは、幼いルイ14世をフロンドの乱の夜に抱いて守ったのは料理長さんじゃなくて、ダルタニャンだからさ…。
ちょっと尻すぼみなお話でした。 -
Posted by ブクログ
浅田次郎の短編集も読んでみたいなあと思って読んでみた。
時代物長編を呼んだあとだと、同じ人が書いたのかな?と思うくらいなんか違う。
違うんだけれど、こういうのが描きたかったかな、と感じた。泣けるもの、ではなくって全く別のタイプの小説、つまりこちらがわが本来の浅田次郎そのものなのではないかと。
正直主人公たちの感性が古くて、現代じゃないなあ感プンプンで首をひねることもおおい作品群でしたが、高度成長期からバブル期を過ごしてきた年代にはドンピシャかと思う。
その分、おそらくそれ以後の人にはわかりづらい部分が多いんじゃないかな。
これは読む年代層を選ぶ短編小説集かもしれない。 -
Posted by ブクログ
芹沢や近藤をはじめとする、後に新選組となる壬生浪士組の男性たちと、彼らに関わる女性たちの物語です。
壬生浪士組は、押し借りや刃傷沙汰、焼打ちなどの悪行をしますが、ひとりひとりが如才ない若者で、憎むことができません。彼らはそれぞれ努力精進やら向上心やらがあり、“なまじ剣の腕が立ち学問もあるからこそ、生まれ故郷に身の置き場をなくしたのであろう。(p168)”とありますが、それが本当ならば、悲しいことだと思いました。
しかし、土方が糸里の、片恋の娘心を逆手に取るのはまさしく鬼の仕業でした。“おなごにとって一番大切なものは、好いたこの人にもろうてほしいと、糸里は切実に希った。(p189)”と言っているのに、さだめのように平間に抱かれることを受け入れる糸里を見て、苦しくなりました。
また、“島原の妓たちの間で、身請け話は禁忌である。女としての幸せを手にすることは悲願であり、また成らぬ悲願であるからこそ、冗談にも口にしてはならなかった。(p285)”とあり、島原の厳しさを感じました。それでも、糸里や吉栄に幸せになってほしいと、願わずにはいられませんでした。